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2018/04/19 05:46
< 防衛省が16日に開示した自衛隊イラク派遣部隊の活動報告(日報)の要旨です。●は日報の記載で、◇は日報にはないものの、部隊の活動を理解する上で必要な事実として朝日新聞が補った部分です。時間は現地時間。表記は原則、日報の記載に従っていますが、意味が通りにくい部分などは補足・修正しています。■■は黒塗りだった部分です。日報の詳細を順次配信します。
●1月20日
先遣隊が、イラク南部サマワを含むムサンナ県に駐在する米英暫定占領当局(CPA)の代表を表敬。代表は「サマワの人々はサダム(・フセイン)政権の崩壊を『解放』と呼んでいる」と説明。治安情勢については「身の危険を感じることはない。私は市内の床屋で散髪する位。もしも悪いことがあれば、それは外国から流入してきた者の仕業であり、住民は外国人について必ず警察に通報する」と語る。だが、訪問中、施設前の道路で職を求めるなどのデモ発生。
ムサンナ県知事への表敬で知事は「サダムの圧制下で30年も苦しんできた。日本の復興支援に感謝。自衛隊の安全は、我々の安全の一部」と語る。陸自宿営予定地を視察し、測量や警備の方法などを検討。オランダ軍から、現地情勢などについてブリーフを受け、日・オランダの連携手順などを確認。この後、現地での心構えや語学、アラブの文化・伝統・慣習など教育を受ける。
· 1月20日の日報
●1月25日
ムサンナ県の教育者らと調整。「鉛筆やノート等の消耗品のニーズも高いが、草の根無償では供与が難しいため、寄付受けしたものを自衛隊が交付するという方策も検討の価値あり」。キャンプ・スミティ(オランダ軍)南側の射撃場も視察。「周辺は、ベドウィンが羊をつれて放牧しており……射撃に際して、十分注意する必要あり」。現地の気象は、曇り時々晴れ。最高気温17度、最低4度。
· 1月25日の日報
●1月28日
宿営地の土地使用に関し、2回目の金銭交渉実施。「地権者代表によると、当該地域には15名の地権者がおり、自分の一存では価格は下げられないとのこと。明日11時より、CPA担当者を含めねばり強く交渉し、理解を得たい」。陸自の活動に必要な通訳確保のため、候補者について調整を実施。1人あたり、1日10ドルで3名程度の雇用で調整。クウェート分遣班では、射撃訓練について「クウェート国防省の同意を得ていたが、本日になり参謀総長の命令により米英軍以外は射撃できないことが判明。先発隊の射撃訓練は困難」。
· 1月28日の日報
●2月8日
陸自先発隊の第1陣がサマワのキャンプ・スミティに17時3分に到着。ムサンナ県全般の評価として「最大の脅威は失業問題。オランダ軍及び自衛隊に対する攻撃の明確な兆候なし。テロリスト等の細胞は見られない」と報告している。
· 2月8日の日報
●2月24日
現地の治安状況として「サマワ市内の学校で、手榴弾(しゅりゅうだん)2発が爆発(一つは校庭、一つはホールにおいて爆発したが、死傷者等なし)。現在イラク警察が調査中」。ムサンナ県全般の評価として「日本人を動揺させるために日本のメディアに対する小規模な攻撃を行う可能性は否定できない」。
· 2月24日の日報
●2月25日
現地の治安状況の「テロ情報」として「あるメンバーが、バグダッドの日本大使館に対する攻撃準備を完了」「攻撃は2月下旬に実行される可能性大」。
· 2月25日の日報
◇4月7日
サマワの陸自宿営地近くに迫撃弾。同29日にも近くに迫撃弾が撃ち込まれる。この時期の日報は、防衛省は現段階で公表していない。
●7月14日
ムサンナ県でのアルカイダなどテロリスト勢力や過激派などの動向について言及。「陸自に対する脅威情報はあるものの、具体的な兆候は今のところなし」
· 7月14日の日報
「現在入手している脅威情報」として「アルカイダ系テロリストによる陸自宿営地へのロケット弾攻撃」「アルカイダ系テロリストによる陸自宿営地への車両爆弾攻撃」。
●9月22日
· 9月22日の日報
ムサンナ県の全般情勢評価として「ザルカウィ・ネットワーク等による隊員の誘拐・拉致の脅威あり」。サドル派の動向について「潜伏している少数のサドル派残党による人混みにおける小火器・手榴弾による攻撃の可能性あり」「迫撃砲・ロケット弾による宿営地への攻撃も否定できない状況」>(以上「朝日新聞」より)
上記記事を一読されて、サモワが非戦闘地域だと思われるだろうか。防衛省はイラクからの日報をなぜ隠蔽したか、通常の思考力のある日本国民なら誰でも分かることだ。
それは小泉首相が国会で「自衛隊のいる所が非戦闘地域だ」と答弁したからに他ならない。首相答弁が誤っていることが明白になるため、防衛省は自衛隊の日報を隠蔽した、と考えるのが自然だ。
しかしそれでは文民統制とはいえない。国会議員のみならず、自衛隊の最高指揮官が現地状況の詳細を知らずして、特措法に基づく海外派遣を持続させたのは国会のみならず国民を欺いたことになる。
イラン派遣に続いて南スーダン派遣を安倍自公内閣は強行した。その南スーダン派遣でも日報は隠蔽され、自衛隊が極めて危険な状況にあったことが隠蔽された。そしてそれらの「実績」に基づき「駆け付け警護」を可能にする「戦争法」が強行された。
「戦争法」は改めて指摘するまでもないだろう。米国の世界戦略から極東の米軍を縮小して、自衛隊に肩代わりさせるという米国の要請に安倍自公政権が応えたものだ。
つまり自衛隊が「戦争法」により戦争できる普通の軍隊になることだ。しかし文民統制の利かない自衛隊をいかなる名目であれ海外派遣してはならない。政権が邦人保護を名目にしても、平和維持を名目にしても、文民統制の利かない自衛隊を海外派遣すれば現地武装集団と戦争に陥る可能性が大きい。邦人保護と称して現地軍と戦争になることもありうる、というのは先の大戦から日本は学び、現憲法に生かしたはずだ。
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