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米朝首脳会談と日本の行方は 東京新聞・五味洋治氏に聞く 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226568
2018年4月9日 日刊ゲンダイ
「北朝鮮はトランプ大統領にチャンスを見いだしている」/(C)日刊ゲンダイ
北朝鮮を取り巻く状況がめまぐるしく動いている。平昌五輪を機に南北交流が再開。11年ぶりの南北首脳会談、史上初の米朝首脳会談が実現しようとしている。金正恩朝鮮労働党委員長は国際社会が求める非核化に応じる用意があるのか。圧力一辺倒の日本は蚊帳の外に置かれたままなのか。
新著「金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて」(文藝春秋)が話題の朝鮮半島情勢の第一人者である、東京新聞論説委員の五味洋治氏に聞いた。
■中国を引き入れた絶妙なタイミング
――金正恩委員長は電撃訪中し、習近平国家主席と会談しました。2011年のトップ就任以来、初外遊です。
絶妙なタイミングでした。伝統的友好国の中国との関係を回復させ、南北、米朝会談に強い立場で臨めるようになった。中国は以前から金正恩委員長を招いていたはずで、この時期になったのは北朝鮮の意向でしょう。米国の大統領補佐官(国家安全保障担当)に爆撃容認論者のボルトン元国連大使が内定したのをにらみ、中国の支援取り付けに動いたのだと思います。
――北朝鮮の方針転換をどうみていますか。
背景には複合的な要素が挙げられます。国際社会による経済制裁がじわじわと効いている。一方で、国連安保理の制裁決議は10回を数え、これ以上やりようがない。そうなると、トランプ米大統領が限定的であれ、軍事力行使に踏み切る可能性が膨らむ。金正恩委員長は制裁と軍事攻撃を非常に怖がり、対話に舵を切ったとみています。
――圧力が奏功した?
もちろん、北朝鮮なりの理由も考えられます。核・ミサイル開発がある程度の段階まできたので、自国の経済発展を図りたい。ちょうど、韓国で平昌五輪の開催が控えていた。北朝鮮は韓国に頭を下げたがらないのですが、朝鮮半島で行われる平和の祭典に協力する口実で、路線変更を切り出しやすかった。こうしたいくつかの要因とタイミングが重なり、トントン拍子で進んだ印象です。
――金正恩委員長の一連の行動は軍事攻撃を避け、核・ミサイル開発を完成させるための時間稼ぎとの指摘があります。
時間稼ぎにはなりません。むしろ、時間が区切られてしまう。南北会談も米朝会談もそうですが、決裂してしまったらおしまいです。北朝鮮はどうしようもない国だという口実を与え、軍事攻撃されるリスクを高めかねない。本人が出てきたのは、何らかの決心をして、交渉ラインを決めてのことだと思います。
――南北会談は27日に実施されますが、米朝会談の詳細は未定です。トランプ大統領は交渉の前提に非核化を挙げ、金正恩委員長は軍事的脅威の除去と体制の安全が保障されれば朝鮮半島の非核化に向けて努力するとしている。両者のスタンスにはズレがあります。
米朝会談を決めてからトランプ大統領がホワイトハウスのスタッフを強硬派に入れ替えたので、米国の姿勢もハッキリしませんが、厳しい条件は付けないでしょう。トランプ大統領は米国第一主義です。米国が損をせず、自分の手柄になればいい。そういう発想ですから、史上初の米朝首脳会談を実現して、世界に金正恩委員長と仲良くやっているところを見せたい。思い切った手を考えていると思います。
――どんな手ですか?
国交正常化を前提とした交渉です。いきなり大きく出て金正恩委員長を驚かせ譲歩を引き出そうとするかもしれません。そこまでいかなくても、朝鮮戦争の休戦協定を平和条約に切り替え、戦争終結を提案するのではないか。実現すれば北朝鮮が望む在韓米軍の縮小・撤退にもつながります。
初外交で電撃訪中(C)新華社/共同通信イメージズ
日本の抗議はファックスだけ |
――北朝鮮が核保有に固執するのは、朝鮮戦争で国連軍を率いたマッカーサー最高司令官が原爆投下を画策したり、クリントン元大統領が先制攻撃を検討した過去が影響しているとされます。交渉次第で北朝鮮は非核化に応じるでしょうか。
米朝交渉を振り返ると不信と裏切りの歴史でしたが、トランプ大統領にチャンスを見いだしているのは間違いないと思います。核施設をすべて公開するとか、トランプ大統領に政治的な手柄を持たせれば、周りが反対しても北朝鮮の長年の希望をかなえるかもしれない。いずれにせよ、ゴールまでは長い道のりになるとは思います。
――日本はすっかり置いてきぼりです。
これほどの急展開は僕も想定していませんでしたが、いつか日本はバスに乗り遅れるとは考えていました。米国は圧力を強調しますが、学者などの民間レベルで北朝鮮側と常に接触している。つまり、水面下のパイプがある。ところが、日本は圧力一辺倒。コミュニケーションの場をつくり、どんな状況にも対処できるようにする必要があった。かつて機能していた北朝鮮側とのパイプはほぼ切れてしまったようです。
――いつごろまで接触していたんですか?
1年くらい前まででしょうか。北朝鮮外務省と国家保衛省(秘密警察)とのパイプを利用して、3〜4カ月に一度くらいのペースで接触していたと聞きますが、いまは連絡がつかない状態のようです。僕は以前、北京で勤務していたんですが、(在中国)日本大使館と北朝鮮大使館の外交官が一緒に飲みに行き、非公式に情報交換をしていた。日本大使館に招いたり、表に出ない交流を重ねていたんです。
北朝鮮がミサイルを発射するたびに、「政府は北朝鮮に対し、北京の外交ルートを通じて厳重に抗議した」と報じられ、拳を振り上げて怒りを表明したかのようですが、実際は北朝鮮大使館にファクスを送っているだけなんです。これが外交なのかと、僕は言いたい。安倍首相は北朝鮮情勢を「国難」だと言っておきながら、金正恩委員長と会談したいと言い出して、理解しがたいですね。
――日朝首脳会談は実現できるのでしょうか。
何とも言えません。いま求められているのは、あれこれ条件を付けず、北朝鮮との接点をつくることでしょう。金正恩委員長という人物に向き合い、交渉相手としてどんな戦略を立てるべきかを研究しておくべきだったと思います。彼のお母さんが日本生まれの在日コリアンだったこともあり、子どものころから日本に関心を持っていた。日本と縁もゆかりもない人ではないのだから、地の利を生かすべきでしょう。外務省には「コリアンスクール」と呼ばれる優秀な専門家集団がいるのに、安倍首相の強硬路線に萎縮してしまったのか。
■聞きたい情報しか聞かない安倍政権
――情報収集を怠ったんですか? あるいは情報を上げなかった?
この1年、北朝鮮情報を収集している人に会うと、「北朝鮮が困窮していると聞いていませんか?」と必ず聞かれます。北朝鮮に行った人に聞いても、市民生活への影響はそれほど出ていないという声が多い。経済規模が小さいし、自給自足型社会だからでしょう。僕が「そんなに影響はないんじゃないですか」と返すと、「そういう報告は逆効果になるので、困っているとか苦しんでいる情報はないですか?」と言う。安倍政権は聞きたい情報しか聞かないということでしょう。それで結果的に取り残された。
――打開策はありますか?
南北交流が拡大し、将来の統一が遠くないかもしれない。その時に日本がどう支援するか構想を出してほしい。植民地時代に日本は自然環境などを調査してインフラ施設を造ったんですから、データや技術面で協力できる。市場開放する時には投資して発展に寄与することもできる。日本が積極的にプレーヤーとなって、朝鮮半島の平和構築に向けた役割を果たす努力をしてほしい。安倍首相は北朝鮮で評価が低いわけではないんです。
――そうなんですか?
安倍首相は政財界に強い影響力があるでしょう。北朝鮮は強い指導者が大好きですよ。その人と話せばすべて解決するからと。最近、北朝鮮に行った友人が外務省幹部から聞いた話ですが、少しずるいところがあるともみられているようです。拉致被害者らの再調査などを含むストックホルム合意を受けて、北朝鮮は15年に報告書をまとめたんですが、それを受け取らない。内容を知っているのに、受け取らないと言うんです。まずは相手が出したものを見て、そこから交渉を始めて、乗り込むなり何なりして納得がいくまで調査すればいいと思うんです。日本側が止めてしまったままでは、日朝関係は動きません。 ――打開策はありますか?
南北交流が拡大し、将来の統一が遠くないかもしれない。その時に日本がどう支援するか構想を出してほしい。植民地時代に日本は自然環境などを調査してインフラ施設を造ったんですから、データや技術面で協力できる。市場開放する時には投資して発展に寄与することもできる。日本が積極的にプレーヤーとなって、朝鮮半島の平和構築に向けた役割を果たす努力をしてほしい。安倍首相は北朝鮮で評価が低いわけではないんです。
――そうなんですか?
安倍首相は政財界に強い影響力があるでしょう。北朝鮮は強い指導者が大好きですよ。その人と話せばすべて解決するからと。最近、北朝鮮に行った友人が外務省幹部から聞いた話ですが、少しずるいところがあるともみられているようです。拉致被害者らの再調査などを含むストックホルム合意を受けて、北朝鮮は15年に報告書をまとめたんですが、それを受け取らない。内容を知っているのに、受け取らないと言うんです。まずは相手が出したものを見て、そこから交渉を始めて、乗り込むなり何なりして納得がいくまで調査すればいいと思うんです。日本側が止めてしまったままでは、日朝関係は動きません。
(聞き手=本紙・坂本千晶)
▽ごみ・ようじ 1958年、長野県生まれ。早大第一文学部卒業後、中日新聞東京本社入社。韓国・延世大に語学留学後、ソウル支局や中国総局に勤務。米ジョージタウン大にフルブライト留学。2004年に北京国際空港で金正日総書記の長男の金正男氏と偶然出会って交流が始まり、単独インタビューを実現。「父・金正日と私 金正男独占告白」など著書多数。
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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2018年4月8日
“拳を振り上げて怒りを表明したかのようですが、実際は北朝鮮大使館にファクスを送っているだけなんです。これが外交なのかと、僕は言いたい。”
— goodjone (@goodjone64) 2018年4月8日
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東京新聞・五味洋治氏に聞く』https://t.co/vGLiuTcPrQ#日刊ゲンダイDIGITAL
#五味洋治「北朝鮮が困窮していると聞いていませんか?困っているとか苦しんでいる情報はないですか?」と言う。安倍政権は聞きたい情報しか聞かないということでしょう。それで結果的に取り残された
— 髑髏兵衛 (@Dokurobe_3rd) 2018年4月9日
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元宗主国としての矜持を示し、経済協力と同時に過去の過ちを謝罪、充分な償いを行うべきである。米朝首脳会談と日本の行方は 東京新聞・五味洋治氏に聞く https://t.co/HWEMchvDAG #日刊ゲンダイDIGITAL
— 阿嘉尚敏 (@halcyon1990) 2018年4月9日
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— yuki 戦争ではなく平和と和解をもたらす日本を目指して (@yukiyanagi3333) 2018年4月9日
日本国民は嫌悪感 国際的には蚊帳の外。立派な方であれば特区に辞任しているよ。
— 平和主義 自由党勝手に応援しています。 (@horiike2) 2018年4月9日
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