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安倍政権はアベノミクスによって有効求人倍率が上昇したと主張してきた。しかし、ここにはごまかしがある。雇用が増加しているのは、低賃金・長時間労働を強いられる業種ばかりなのだ。ここでは『月刊日本』4月号に掲載された、弁護士で『アベノミクスによろしく』の著者である明石順平氏のインタビューを紹介したい。
『月刊日本』4月号
明石順平「労働者は死んでもいいのか」より
http://gekkan-nippon.com/?p=13255
<ブラックバイトを生み出すフランチャイズ制>
―― 安倍首相が最も強調している成果の一つが、有効求人倍率の上昇です。しかし、増えているのがブラック企業の雇用であれば、何の意味もありません。
【明石】 有効求人倍率と有効求人数はリーマンショックのあった2008年から下がり始め、2009年7〜9月の時期に底を打っています。その後はずっと上昇基調です。アベノミクス前後でもそのペースは変わっていません。つまり、雇用改善は以前からの大きな流れであって、アベノミクスのおかげというわけではありません。
また、雇用増加の内訳を見ると、1位は「医療、福祉」、2位は「卸売業、小売業」、3位は「宿泊業、飲食サービス業」となっています。これらはことごとく低賃金・長時間労働を強いられている業種です。我々のところに相談に来る人たちも、これらの業種の方が多いです。
これらの業種の共通点は、フランチャイズ制が導入されていることです。フランチャイズ制では、フランチャイザー(本部)がフランチャイジー(加盟店)からロイヤリティ(権利料)をとり、店舗を開業させます。フランチャイザーは開業資金を負担させることができるため、多店舗展開が可能になります。また、労務上の問題が生じても、それはフランチャイジーの責任だという形で、労務リスクから逃げることができます。さらに、ロイヤリティは利益ではなく売上から取るため、赤字でもロイヤリティが入ってきます。まさにメリットしかありません。
他方、フランチャイジーにとっては、開業資金は自分で借り入れなければならず、またロイヤリティもがっぽり取られるので、全然儲かりません。どうにか利益を出そうとすると、労務コストを削るしかないため、ブラックバイトが発生してしまうのです。
私はいま飲食店の破産事件を手がけていますが、これもフランチャイズ制です。フランチャイザーから搾り取られるだけ搾り取られ、潰れたらぽいっと捨てられる。本当に酷い状況です。
―― ブラック企業やブラックバイトを取り締まっても、フランチャイズ制が続く限り、同じ問題が起こってしまうのではないでしょうか。
【明石】 その通りです。一番の悪の親玉はフランチャイザーです。もっと言えば、それを放置している政府です。いくらブラック企業の経営者を責めても、対処療法にしかなりません。仕組みそのものを変えなければダメです。しかし、自民党のバックは経団連なので、自民党政権の間はこの仕組みが見直されることはないでしょう。……
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