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「幕開け」なのだ【リベラル21】
2018.03.13 この国は土台(大企業)から中枢(政府)まで腐っている、佐川国税庁長官辞任は森友疑惑の「幕引き」ではなく、安倍内閣総辞職の「幕開け」なのだ
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-4302.html
10日ほど前の3月2日、朝日新聞の1面トップに「森友文書書き換えの疑い、財務省、問題発覚後か、交渉経過など複数個所」とのスクープ記事が掲載された。財務省が森友学園との国有地取引の際に作成した決裁文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあり、森友学園との具体的な価格交渉に関する箇所や「本件の特殊性」「特例的な内容となる」といった核心的部分が削除されていたというのである。
それから1週間後の3月9日、朝日新聞はまたもや1面トップで「森友文書
項目ごと消える、貸付契約までの経緯売却決済調書7ページから5ページに」との新たな疑惑を報じた。2016年の売却契約時の文書では1ページあまりにわたって記されていた「貸付契約までの経緯」、すなわち財務省理財局長の承認を受けて特例的な契約を結ぶ経緯の項目がその後の文書ではすべて消されているというのである。朝日が指摘する契約当時の文書と国会に開示された文書の主な相違点は、以下の3点である。
(1)「事案の概要」を記した第1項目では、「学園から早期に本件土地を買い受けたいとの要請を受けて、価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」との内容が、「学園から早期に本件土地を買い受けたいとの申し出があり、売払申請書の提出があった」という記載に変っている。
(2)「貸付契約までの経緯」を記した第4項目では、学園から「借り受けて、その後に購入したい」との要望があり、近畿財務局が「本省理財局長に相談したところ(中略)学園の要請に応じざるを得ないとの結論になり、貸付について検討」したこと。また、10年以内の売買を約束した貸付契約が「特例的な内容となる」として、理財局長の承認を得たことなどが記されていたが、それらが項目ごとそっくり無くなっている。
(3)第5項目の「本件売払いに至る経緯について」は、前項目が無くなったので第4項目に繰り上がり、かつ「売払価格を示し、学園がその金額に納得できれば(中略)損害賠償等を行わない」との学園側の提案に触れた部分や「学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示を行うこととした」の部分が無くなっている。
契約当時の文書から削除された部分あるいは変更された内容は、全て近畿財務局と森友学園の間の国有地売却に関する協議内容や交渉過程を示す部分であり、佐川理財局長(当時)が国会答弁で「一切ない」と全面否定してきた答弁を覆す証拠ばかりである。これがもし本当だとすれば(私は十中八九そうだと思う)、政府が国会に虚偽答弁したことが明々白々になる。
それだけではない。今回の財務省による決済文書(公文書)の書き換えがもし事実だとすれば、これは、これまでの虚偽答弁を正当化するために「全省挙げて」行った財務省の組織的違法行為であり、国家統治体制の根幹を揺るがす「組織的犯罪行為」だと言わなければならない。各紙がこのことを以て、政権にとっての「計り知れない打撃」になると指摘しているのも至極当然のことといえよう。
ここまで書いてきたとき、「森友学園国有地売却に携わっていた近畿財務局職員が自殺、問題との関連は不明」との痛ましいニュースが飛び込んできた(産経新聞デジタル版、3月2日13時17分発)。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却取引に携わっていた財務省近畿財務局の男性職員が3月7日に神戸市灘区の自宅で死亡していたことが9日、捜査関係者への取材で分かったというのである。現場の状況から自殺とみられ、遺書もあるという。
男性職員は当時、学園側と直接売却交渉をしていた統括国有財産管理官の部下であり、上席国有財産管理官として職務の遂行に当たっていた。近畿財務局は取材に対して「現状で事実は把握していない」としているが、早晩このニュースは国会はもとより全国を揺るがす大事件に発展することは間違いない。安倍首相や昭恵夫人、麻生財務相をはじめ財務省当局が自らの責任を隠蔽するため白を切り通してきたそのツケが、末端機構の犠牲者を生み出すという絵に描いたような悲劇に発展したのである。
それにつけてもこの数日間、日本資本主義の腐朽と退廃を象徴するような大企業トップと政府高級官僚の辞任が相次いでいる。3月6日には川崎神戸製鋼社長が品質データ改ざんの責任を問われて辞任、そして3月9日には森友疑惑隠蔽の中心人物、佐川国税庁長官が世論の批判に耐えきれず辞任した。この2つの辞任には直接の関係性はないが、「この国のかたち」すなわち国家統治体制の観点からすれば、日本資本主義の土台(大企業)と中枢(政府)が同時崩壊を始めている兆候とみなすことができる。
日本経済の基盤であるものづくり大企業(製造業)の品質データ改ざん問題は、今さら始まったことではない。自動車企業では三菱自動車、日産自動車、スバル自動車が肩を並べ、材料メーカーや部品メーカーでも東洋ゴム、東レ、三菱マテリアル、宇部興産、神戸製鋼所など枚挙の暇もない。これに不正会計処理が発覚した東芝、社員を過労自殺に追いやった電通や野村不動産などを加えると、日本資本主義の腐朽はもはや個別企業のレベルにとどまらず、経済界全体に及んでいることがわかる。経団連会長が所属企業の不正問題で釈明に追われる有様を見ると、大企業のモラルハザードはもはや日本資本主義の深部にまで達していると考えて間違いないのである。
日本資本主義の上部構造であり、国家統治機構の中枢である政府の腐敗構造はもっと根深い。自民党国会議員の利権汚職や問題行動は後を絶たないし、事件を起こしても大臣や要職に再起用されるなど、安倍政権の「お友達内閣」による政治倫理の破壊はもはや止めを知らない。そして、その行き着く先が今回の「もりかけ疑惑」に象徴される国政私物化であり、それが財務省をはじめ国家官僚機構にまで及んだのが今回の「公文書書き換え事件」だったのである。
ことは、個別内閣のレベルをはるかに超えている。安倍政権を守るために「ウソを重ねる」行為は、さらなる国家統治体制の崩壊をもたらし、民主政治の土台を破壊する。いま問われているのは、与党議員をはじめ官僚機構全体が安倍政権と「手を切る」ことであり、安倍政権によるこれ以上の国政私物化、民主主義の蹂躙、民主政治の崩壊を食い止めることなのである。
しかしながら、安倍政権はあくまでも事態を隠蔽し、内閣の存続を図ろうとするだろう。それは、衆参両院において改憲発議に必要な3分の2勢力を維持している現在、この機を逃しては改憲が(永遠に)遠のくことを安倍首相自身が誰よりもよく知っているからだ。そのためにも安倍首相は何としても権力の座から降りたくない、降りては「元も子もない」と思っているに違いないのである。
であるからこそ、私たちは彼を権力の座から引き下ろさなければならない。安倍政権はこれまで、読売、サンケイのような右翼メディアを利用して巧みに国民世論を操作してきた。内閣支持率が消極的支持であれ相対的選択であれ、「危険水位」まで下がらなかったのはそのためだ。しかし「事実」の持つ重みは余りにも大きい。まして「もりかけ疑惑」の本質は単純であり、国民には極めて分かりやすい類の話である。首相夫妻が「お友達」に国民の財産をタダ同然で売払うために便宜を図ったのではないか――という疑惑は、誰にでもわかる話なのだ。
だから、安倍首相は自らに降りかかる火の粉を払うために「事実」をあくまでも隠し通さなければならなかった。それが自分だけでは不可能だったために、与党国会議員はもとより官僚機構全体を巻き込んで壮大な「虚構の世界」を作り上げてきたのである。だが、「蟻の一穴」は防げなかった。どこからとも知れず情報がリークされ、それが次第に「巨大な噴出口」となり、今や迸る水勢を防ぐことが困難になった。安倍政権は、いよいよのっぴきならぬところまで追い詰められてきたのである。
佐川国税庁長官辞任は、森友疑惑の「幕引き」ではなく、安倍内閣総辞職の「幕開け」なのだ。安倍首相は自らを守るために「トカゲの尻尾切り」を続けるかもしれない。しかし、トカゲに尻尾が幾つもあるわけはない。切れば切るほど尻尾から胴体へ、胴体から頭部への切断断面は上がってくる。佐川国税庁長官の辞任は「トカゲの尻尾切りではない。頭だ」と自民党国対委員長が言ったという。だから、もはや「事態は終わった」「国会証人喚問もしない」と言いたいのだろう。だが今後、事態がもう一段バージョンアップすることは避けられない。そしてそのときが本当に「トカゲの頭が切られる」ときなのである。
国民は真実の解明を求めている。この声は大きくなることはあっても決して小さくなることはない。まして近畿財務局職員の自殺という悲劇は、担当者を死に追いやった安倍首相夫妻に対する激しい怒りを呼び起こし、安倍政権の政治責任を追及する声を高めるだろう。いまこそ安倍政権が国民の審判を受けるとき、そして内閣総辞職に追い込むときがやってきたのである。
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