http://www.asyura2.com/18/senkyo240/msg/571.html
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安倍首相の愛読紙が朝日と日刊ゲンダイと思われる「これだけの証拠」 どうやらかなり熟読している模様
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54588
2018.02.28 プチ 鹿島 お笑い芸人 現代ビジネス
このネタはウケる
トランプ大統領が「フェイクニュース大賞を発表」という虚虚実実なニュースが1月にあった。
それに反応したのは『産経新聞』の名物コラム『産経抄』(1月20日)。
《「国内でフェイク大賞をあげるとしたら、思いつくものは」。18日の記者会見で、小紙記者に問われた菅義偉官房長官は「いろいろ思い当たる節はあるが、コメントは控える」と苦笑していた。米政府に比べ、日本政府はマスコミに優しい。》
産経抄、なにやら含みがある。続けて読んでみると、
《一方で、インターネット上の言論を追うと、マスコミへの批判は年々高まるばかりである。新聞やテレビの報道自体が、一定の政治的意図を持ったフェイクではないかと疑われ、あるいは確信されている。朝日新聞の慰安婦報道をはじめ、そう指摘されて仕方ない部分も確かにある。》
産経は菅官房長官に『朝日新聞』発の森友・加計報道を日本のフェイク大賞と言わせたかったのかもしれない。コラムのタイトルは「新聞記事そのものが、今やフェイク視されている自覚が欠落」。
しかし約2週間後、『産経新聞』の一面に『沖縄米兵の救出報道 おわびと削除』が載った(2月8日)。
いったい何があったのだろう。
《12月9日に配信した「危険顧みず日本人救出し意識不明の米海兵隊員 元米軍属判決の陰で勇敢な行動スルー」の記事中にある「日本人を救助した」は確認できませんでした。現在、米海兵隊は「目撃者によると、事故に巻き込まれた人のために何ができるか確認しようとして車にはねられた。実際に救出活動を行ったかは確認できなかった」と説明しています。
記事は取材が不十分であり削除します。記事中、琉球新報、沖縄タイムスの報道姿勢に対する批判に行き過ぎた表現がありました。両社と読者の皆さまにおわびします。》(『産経新聞』2月8日)
12月9日の産経ニュースは「米海兵隊員の日本人救助」を報じない沖縄の地元紙について次のように非難した。
「勇気ある行動は報道に携わる人間なら決して看過できない事実。『報道しない自由』を盾に無視を続けるようならメディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」
ところが「米海兵隊員の救助」は無かった。警察になぜ確認しなかったのか。読者はそう思う。
検証記事を読むと、
《本紙那覇支局長は「トルヒーヨ氏の勇敢な行動がネット上で称賛されている」との情報を入手。救助を伝えるトルヒーヨ夫人のフェイスブックや米NBCテレビの報道を確認した上で米海兵隊に取材した。この際、沖縄県警には取材しなかった。》(2月8日)
一番知りたい理由が「沖縄県警には取材しなかった。」という一言で終わっていた。
私は新聞が偏っているのは当然だと思っていて、だからこそ「同じものを見ているのにこんなに見え方がちがうのか」という面白さを日々楽しんでいる。感謝している。『朝日』と『読売』、『産経』と『東京』なんかの読み比べをするとワクワクする。でもそれは「同じものを見ている」前提であって、「ないもの」で論陣を張られたら興ざめだ。
2014年9月11日、朝日新聞社の木村伊量社長(当時)が謝罪会見を行い、「記者の思い込み、記事のチェック不足が原因」で記事を書いてしまったと「吉田調書スクープ」の誤りを認めた。「福島第一の原発所員、吉田所長の命令に違反し撤退」という内容が誤報であったという件だ。同じ年には慰安婦報道を検証し「吉田清治証言」を取り消した。いわゆる朝日の「W吉田」誤報である。
このときの朝日も、今回の産経も、共通するのは「事実よりイデオロギー、メッセージを優先してしまった」ことだろう。「自分の見たい風景」に興奮して嬉ションしてしまい、事実確認をスルーした。
今回、産経が「米海兵隊員が日本人を救助」という“美談”を知って「この事実をなぜ沖縄の新聞は報じないんだ」とたかぶったのは容易に想像できる。もっと下世話に言うなら「このネタはウケる」と思ったのだろう、自身の読者層に。
ネットのマスコミ批判を「すくい取る」
この誤報について『毎日新聞』に次のコメントが載った。
《産経新聞はネット上のマスメディア批判をすくい取ろうとしている。》(津田正太郎・法政大教授(マスコミュニケーション論)2月8日『毎日新聞』)
そう、たしかに『産経新聞』はネットに相性が良い。
WEBの『産経ニュース』は活発だし、新聞の電子版は月額1800円で他紙に比べて格段に安い。一般紙を全紙購読している私にとってもこの価格は嬉しい。しかも一昨年の12月までは無料アプリをダウンロードすれば産経新聞をぜんぶ読めたのだ。少しでも安い新聞を探している人は産経に気づくはず。
昨年4月6日に私がTBSラジオ『荻上チキ・Sasyuracom-22』の『新聞特集』に出演した際、憲法学者で首都大学東京教授・木村草太氏の話が面白かった。
新聞を読みだしたというゼミ生が韓国や中国に対してキツい発言をするようになったので「君はどの新聞を読んでいるの?」と尋ねたら『産経新聞』と答えたという。学生なので価格の安さを重視したらしい。木村氏は「新聞によっていろいろ論調が違うことを知ったほうがいいよ」とアドバイスしたという。
この話にはさらにオチがあり、その学生が就職を控えた頃にやたらカネの話をするようになったので聞いてみたら「『日経』に変えた」。
こういう話を聞くと『産経』のネット戦略は当たっていたのだと思える。だから今でもネットのマスコミ批判を「すくい取ろう」としているのも想像できる。米兵の美談そのものより、沖縄紙に対して「日本人として恥だ」という言葉を投げたかったのだろう。
しかしその美談(事実)はなかった。「事実よりもイデオロギー先行」最近の好例であった。
「沖縄米兵の救出報道 おわびと削除」を載せた『産経新聞』だが、そのあとすぐ元気になった。理由はこちらだ。
『安倍晋三首相、朝日新聞の“誤報”列挙し批判』(産経ニュース・2月13日)
《13日の衆院予算委員会で、安倍晋三首相が朝日新聞の過去の“誤報”を列挙し、誤りをなかなか認めない同紙を批判する場面があった。首相は、学校法人「森友学園」をめぐり学園側が「安倍晋三記念小学校」との校名を記した設立趣意書を提出したと報道した朝日新聞を「全く違ったが、訂正していない。(趣意書の)原本にあたり、裏付けを取るという最低限のことをしなかった」と批判した。》
首相が指摘する記事とは、『朝日新聞』が昨年5月9日に報道したものだ。
森友学園の籠池泰典・前理事長が2013年9月に近畿財務局に国有地取得の要望書を出した際、小学校を設立するための設置趣意書に「安倍晋三記念小学校」の名称を書いていたと証言した、と朝日は報じた。
しかし昨年11月、情報が開示されると実際には「開成小学校」と書かれており、「安倍晋三記念小学校」ではなかったことが判明。
『朝日新聞』は2月6日の朝刊で「朝日新聞の報道経緯」を載せた。ポイントを抜粋してみる。
・学園が14年春ごろ、運営する幼稚園の保護者に配ったとされる小学校への寄付金の「払込取扱票」には、安倍晋三記念小学校という文言が印刷されていた。前理事長も一時期、この校名で寄付金を募っていたと認めている。
・昨年5月8日、衆院予算委員会で当時民進党の福島伸享氏が、財務省から開示された設置趣意書の大部分が黒塗りだったことを明らかにした。
・同省の理財局長だった佐川氏は「学校の運営方針に関わることなので、情報公開法の不開示情報になっている」と拒んだ。開示するとしても管財人への確認が必要だとも説明。
・財務省は昨年11月、管財人から「開示されても支障はない」との意見書を得たとして、設置趣意書を開示。小学校名は「開成小学校」と記載されていた。
・『朝日新聞』は、前理事長の証言として「安倍晋三記念小学校」と報じたことを含め、この事実を昨年11月25日付の朝刊で「森友の設置趣意書を開示 小学校名は『開成小学校』 財務省」との見出しで伝えた。
安倍首相vs.朝日新聞
籠池氏は「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金を募っていた時期もあるが、設立趣意書には「開成小学校」と記載していた。朝日に取材されると「安倍晋三記念小学校」と答えた。なので首相は「(趣意書の)原本にあたり、裏付けを取るという最低限のことをしなかった」と朝日を批判したのだ。
この経緯を見て思うのは籠池氏のつかめないキャラクターであり、食えないオヤジぶりである。『朝日』には真実を伝えなかったのか、それとも自分も忘れていたのか?
だからこそ安倍首相は『朝日』を批判しながら「籠池氏の言うことなんて信用できるのですか?」と世に問うているようにもみえる。同時にそれは「朝日からはじまった森友学園報道も信用できますか? どうですか皆さん」とも解釈できる。この一点に集中して反撃の突破口にしたい気持ちが伝わってくる。
そのたかぶりからか、首相はフェイスブックで「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした」ともコメントした。
「『朝日新聞』の報道経緯」をじっくり読んだ感想を書くと、昨年11月に情報が開示されて「開成小学校」とわかったことを報道しなかったら確かに悪意だ。しかし11月25日付の朝刊で「森友の設置趣意書を開示 小学校名は『開成小学校』 財務省」と報じている。時系列で事実を伝えているのでこれを「朝日らしいみじめな言い訳」と言い切るには違和感がある。でも一方で、朝日の妙な冷静さにも違和感がある。
その両方の違和感について指摘したコメントがあった。
2月21日に『毎日新聞』に載った『首相、止まらぬ朝日「口撃」』という記事だ。『毎日新聞』は産経沖縄と首相&朝日について他紙でもっとも検証していた。
そこに掲載されていた橋場義之・元上智大学教授(ジャーナリズム論)の話を引用してみる。
《首相は設置趣意書の校名が「開成小学校」だったという都合のよい部分を切り取って、声高に朝日新聞をおとしめている。校名は政府が黒塗りしたものであり、籠池前理事長が以前「安倍晋三記念小学校」の名を使っていたのも事実だ。》
橋場氏は「朝日新聞の姿勢にも問題がある」とする。その理由は、
《6日朝刊の報道経緯を説明する記事は前日の衆院予算委の質疑を伝える中で書かれているが、独立した記事として経緯を読者にきちんと伝え、正面から首相に反論すべきだった。》
とある。
橋場氏が指摘するように、朝日は6日の朝刊で「報道経緯」を書いたのだが、記事の見出しは『森友 国会議論かみ合わず』だった。あくまで国会の様子を報じたという体であった。そして小見出しで「首相朝日新聞の校名報道批判」と書き「朝日新聞の報道経緯は」という後半に続けた。
やはりここは最初から「首相 朝日新聞の校名報道批判」と書き、「朝日新聞の報道経緯」を説明していれば読者はさらにわかりやすかったのではないか? もっと堂々と反論すべきだったと思う。
さて、今回の「安倍晋三記念小学校」騒動が興味深いのは、これも森友問題を象徴しているからだ。
そもそも原点を思い出してみよう。森友学園報道の第一報はなんだったか?
『学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か』(2017年2月9日『朝日新聞』)
《財務省近畿財務局が学校法人に払い下げた大阪府豊中市内の国有地をめぐり、財務局が売却額などを非公表にしていることが分かった。朝日新聞が調査したところ、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1だった。国有地の売却は透明性の観点から「原則公表」とされており、地元市議は8日、非公表とした財務局の決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。》
第一報では籠池キャラはまだ関係ない。割引額も二の次である。では何が問題とされたのか。
「情報が非公表という不思議さ」である。
そのあとの一連の森友問題も「情報が公開されない」「黒塗り」「廃棄された」の連発だった。この不透明さこそが森友問題の肝であり、「開成小学校」がしばらく情報開示されていなかったことも「森友問題らしさ」なのだと思う。
だから安倍首相は「設立趣意書の原本にあたり、裏付けを取るという最低限のことをしなかった」と『朝日』を批判すると同時に「財務省は私の潔白を晴らすためにすべての森友情報をなぜ速やかに公開しないのか」と財務省も叱るべきなのだ。
今回、安倍首相は国会で『朝日新聞』を名指して批判したが、特定のマスコミ媒体批判は初めてではない。伝説の舌戦が4年前にあったのである。「安倍首相vs.『日刊ゲンダイ』」だ。当時の記事をみてみよう。
『日刊ゲンダイ』を読めとは恐れ入る
『「ある夕刊紙は…」愛読者の安倍首相、日刊ゲンダイを批判?』(2014年2月13日・『日刊ゲンダイ』)
記事の冒頭は、衆院予算委員会での安倍首相の発言を紹介。
《「ある夕刊紙は私のことをほぼ毎日のように〈人間のくず〉と報道しております。私は別に気にしませんけどね」と笑いながら受け流した。》
ここまで書き、「どうも『日刊ゲンダイ』を指しているようだが」と辛口のゲンダイ師匠は紙面で言い返す。
《本紙は首相のことを「ボンクラ」「嘘つき」とは表現したが、一度も「くず」とは報じていない。》
ああ、子どものケンカみたいで最高。そして結びは、
《麻生副総理と同様、熱心な本紙読者として知られる安倍首相。今後は2人一緒に細心の注意で熟読してもらいたい。》
皮肉たっぷりの『日刊ゲンダイ』の切り返し。
それから2年経った2016年2月。またしても安倍首相とゲンダイ師匠の「直接対決」が勃発した。
2月4日の衆院予算委員会で当時の民主党議員が「言論機関が権力者の意向を忖度し、権力者への批判を控えるようになるのではないか」「安倍政権に批判的なテレビキャスターやコメンテーターが次々と番組を降板している。民主主義の健全な発展にもマイナスだ」と問うたところ、
「今日、帰りにでも『日刊ゲンダイ』を読んでみてくださいよ。これが萎縮している姿ですか」と安倍首相が答えたのだ。
これに対し翌日のゲンダイ師匠は「『日刊ゲンダイ』を読めとは恐れ入る。」
「国会の場で安倍サマのお墨付きを得てしまった以上、今後も必死で報道の自由を行使しなければならないが、そんなに愛読しているのなら、ぜひ記事の内容もきちんと理解してもらいたいものだ」
名勝負数え唄、ここにあり。「『読売新聞』を熟読していただいて」という名言もあるが、『朝日新聞』と『日刊ゲンダイ』も熟読しているのだとわかる。
今回の『産経新聞』の沖縄報道と首相のメディア批判。新聞社も首相も嫌いな相手には熱くなる。次の舌戦はいつか?「イデオロギーを事実よりも先行させない」というルールをお願いしながら、バトルを追っていきたい。
芸人ほど、深く、おもしろく新聞を読み込む者はいない! これで「読んだつもり」からもう卒業!!
安倍首相の愛読紙が朝日と日刊ゲンダイと思われる「これだけの証拠」 https://t.co/Wm4TSEHMpl #現代ビジネス プチ鹿島最高(^^)安倍は、確かに日刊ゲンダイを愛読してるわ。
— o.murase (@14jcruyff) 2018年2月27日
「このネタはウケる」
— 家弓家 三代目 (@alpza518) 2018年2月27日
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安倍首相の愛読紙が朝日と日刊ゲンダイと思われる「これだけの証拠」(現代ビジネス) -
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プチ鹿島さん、本当に筆が立つ。
— 萱場倫 (@12345kado) 2018年2月28日
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