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成長率も賃金も最低最悪のアベノミクス
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2018年2月14日 植草一秀の『知られざる真実』
2月14日、昨年第4四半期のGDP速報値が発表された。
実質GDP前期比年率成長率は0.5%成長になった。
前期比実質GDP成長率は8四半期連続でプラスを記録した。
8四半期連続のプラス成長は、1989年1−3月期に12四半期連続でプラス成長を記録して以来28年ぶりのことである。
安倍政権はいつものように、これをアベノミクスの成果だと強調している。
しかし、1989年といえばバブル経済の頂点になった年で、これ以降、日本経済は「失われた20年」、あるいは「失われた30年」に突入していった。
この意味で、不吉な前兆と警戒するべきであるかも知れない。
しかしながら、前期比年率0.5%の成長率は極めて低調な経済を意味している。
とても「好調」と表現できる成長率ではない。
四半期の成長率の単純平均値を計算すると、あの民主党政権時代の成長率平均値が+1.8%だった。
これに対して、第2次安倍政権発足後の成長率平均値は+1.4%である。
「あの」と表現したのは、民主党政権時代の日本経済が極めて低調な推移を示したことを意味している。
2011年3月には東日本大震災と福島原発事故に直面している。
菅直人政権と野田佳彦政権は財務省の超緊縮財政運営路線にとっぷりと浸かり、日本経済は世界のなかで唯一浮上できない状況に直面していた。
その「超低迷」の民主党政権時代よりも、第2次安倍政権発足後の日本経済が低迷を強めているのである。
国民にとって最重要の経済指標は経済成長率である。
正確に言えば実質経済成長率である。
この実質経済成長率において、安倍政権の実績は、「あの」、民主党政権時代をはるかに下回っているのである。
だから、アベノミクスが成功しているなどという話は、この世に存在しない。
まあ、「息をするように嘘をつく」安倍首相だから、超低迷の日本経済を「絶好調の日本経済」と公言してはばからないことに驚く必要はないのかも知れないが、重要なことは、このような「嘘八百」を決して信用してはならないということだ。
国民にとって、GDP成長率以上に、さらに重要な経済指標がある。
それは実質賃金の変化率だ。
国民生活にとって最重要の経済指標が実質賃金の変化率であると言ってよいだろう。
厚生労働省が2月9日、2017年の実質賃金指数を発表した。
事業所規模5人以上の事業所を対象にしたもので、賃金には基本給、時間外手当、ボーナスのすべてが含まれる。
「現金給与総額」と呼ばれるもので、さらに物価上昇率を差し引いた実質賃金の変化率を発表しているのだ。
この統計によると、2017年の実質賃金指数は前年比0.2%の減少になった。
国民にとっての経済とは、実質賃金の変化率と言っても差し支えないだろう。
その実質賃金が2017年は減少したのだ。
「あの」民主党政権時代の実質賃金はほぼ横ばいの推移だった。
それが、第2次安倍政権が発足してから5%も落ちたのだ。
これがアベノミクスの実相である。最悪の経済推移を言わざるを得ない。
2016年に実質賃金が唯一プラス転換した主因は何か。
それは、2016年の消費者物価上昇率が前年比0.1%下落したことである。
物価下落、すなわちデフレに回帰したことで、初めて実質賃金がプラス転換したのだ。
ところが、2017年は消費者物価上昇率が0.5%上昇し、実質賃金は再び減少に転じたのである。
日銀の「インフレ誘導」という政策が大間違いであったことが明白になっている。
その大間違いの政策を推進してきた黒田東彦総裁を再任するというのだから、アベノミクスの行く末は確定したのも同然である。
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