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保阪正康氏の天皇二極化論に勇気づけられる
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2018-02-14 天木直人のブログ
きのう2月13日の国会で、安倍首相は、「北朝鮮のほほえみ外交に目を奪われてはならない」と、文在寅大統領に伝えたことを明らかにしたらしい。
こんな事を堂々と国会で語る安倍首相は、おそらく南北融和を日本国民の中で一番不快に思っている一人に違いない。
それとは正反対に、今度の南北融和の動きを、内心一番歓迎されているのが今上天皇であろう。
ことほど左様に、この二人の平和に対する思いは真逆だ。
その安倍首相の手で、今上天皇は来年4月末に退位させられる。
なんともやりきれない思いの中で、きょうの地方紙(下野新聞)に掲載されていた保阪正康氏の「天皇二極化に向かう時代」という論考に私は勇気づけられた。
そこには、要旨こう書かれている。
皇太子が即位したといっても、すぐに天皇のイメージが確立していくとは思えないと。
例えば私は「天皇・皇后」という言葉で上皇・上皇皇后を思い浮かべてしまうと。
少なくとも今上天皇と時代を共にしてきた60代以上にとっては、この期間がしばらくは続くように思われると。
そう書いた後で、保阪氏は次のように天皇二極化の前例と、その時の戦争に対する抑止力を語っている。
近現代の歴史を見れば、このような「天皇が存在しているのに天皇がいない」という状況が一度だけあったと。
それは大正末期の5年間、すなわち大正天皇が病気療養に専念することになり、20歳の皇太子(昭和天皇)が摂政に就いた大正10年11月から大正15年12月の5年間であったと。
そして、重要な事は、この天皇の存在の二極化の5年間は、陸海空軍がただの一度も海外に兵を動かしていないということだ、というのだ。
この事を保阪氏は、大元帥である天皇の存在が曖昧だったためだろうと書いている。
そして、保阪氏は、実はこの大正末期の天皇二極化の5年間は、軍部が天皇の名を使って国民に威圧をかける事ができなくなった時代であったとともに、一方において共産党が結成されたり、大正デモクラシーが起こり、他方において大川周明や北一輝などの国家主義が起きるなど、日本社会の至るところに躍動の渦ができた時代だと指摘している。
そして、保阪氏はその論考を次のように締めくくっている。
実は大正末期の5年間については未だに正確に分析されてはいないと。
天皇の二極化は、軍事主導の時代にそれを弱める役割を果たしたと言っていいが、今回の生前退位による天皇の二極化は、世代によって起こるとも言えるし、起こらないとも言える、はたして、結果はどうなるだろうかと。
私はこの保阪氏の論考を読んでつくづく思った。
このままでは、大正デモクラシーは起こらない。
むしろ、大正が終わり昭和になった途端に軍部が「天皇は私たちのものだ」と言わんばかりに国民を圧迫して戦争の悲劇への道をまっしぐらに進んだように、日本はあらたな元号の下で戦争の出来る国にさせられてしまうおそれが強いのではないかと懸念する。
いまこそ新党憲法9条の考えをひろめなければいけない。
それは、いわば大正デモクラシーの現代版だ。
私は60年代以上の国民を覚醒させて、天皇の二極化を敢えて起こしたい。
天皇が上皇で健在であるうちは、新党憲法9条の存在感は高まりこそすれ、なくなることはあり得ないという思いが、ますます私の中に強まりつつある。
そして、きょうから、新党憲法9条の公約は、憲法9条を国是とし日米安保体制からの自立することとともに、南北朝鮮の統一実現を全面的に支援することを二大公約として掲げる事にしたい。
ここまで明確に党の公約を掲げる政党は今の政治の中でどこにもない。
だからこそ必要なのである(了)
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