政府は、平和安全法制案の国会審議の時点では、憲法上、自衛隊の海外派兵はできないと答弁している。 安倍首相が憲法改正に拘(こだわ)るのは、朝鮮半島有事に、自衛隊が、朝鮮半島内の他国の領土・領海・領空で戦闘できるようにするためだ。 ◆ 朝鮮半島有事に自衛隊派兵せず 首相「憲法上できない」 (産経ニュース,2015.8.24) 安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で、朝鮮半島有事を念頭に、日本が北朝鮮や韓国の領域内で集団的自衛権を行使して戦闘に参加することは憲法上できないとの見解を示した。 「他国の領土内で行われていることへの自衛隊派遣は海外派兵に当たるからできない」と述べた。 安全保障関連法案が成立しても、半島有事での自衛隊の活動は原則、公海上での後方支援や米艦防護などに限られるとの考えを重ねて示したものだ。 http://www.sankei.com/politics/news/150824/plt1508240033-n1.html ◆ 参議院予算委員会(平成二十七年八月二十四日) ○小川敏夫君 次に、政府が平和安全法制と呼んでいるこの法案のことです。 いろいろ法案も多いし、問題もたくさんあるので、お尋ねしたいことはたくさんあっておるんですけれども、今日は一つ、やはり一番大きなこの集団的安全保障、存立危機事態……(発言する者あり)失礼しました、集団的自衛権の問題についてお尋ねします。 いわゆる存立危機事態、我が国と密接な関係を有する国に武力攻撃が生じて我が国の存立が覆される、こうしたときには存立危機事態として総理は自衛隊に出動命令を発することができる。その出動命令としては、何を目的として、すなわち出動命令を受けた自衛隊はどのような行動を取るのでしょうか。御説明ください。 ○国務大臣(中谷元君) 存立危機事態の認定におきましては、新たに新三要件ということで、三要件を満たすものでございまして、その際には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃があって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福の追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの、そして他に手段がなく、そして必要最小限度の場合という場合において、政府として必要かどうかという認定を行うということでございます。 ○小川敏夫君 どういうことをするのかというふうにお尋ねしたので、存立危機事態の要件を聞いたわけではありません。 質問すると一般論の解説から始まるので全然質疑がかみ合わないんですけれども、ですから、法律を指摘しましょう。 武力攻撃事態対処法、この条文を見ました。第三条四項です。存立危機事態においては、武力攻撃を排除しつつ、ですから、密接な国が攻撃を受けた、その受けている攻撃を排除する、これが自衛隊の任務ですね。 ○国務大臣(中谷元君) そのとおりでございまして、存立危機武力攻撃事態ということで、存立危機をもたらしている武力攻撃、これを排除するということでございます。 ○小川敏夫君 それで、一つ的を絞って、今度はテーマを絞りますけれども、存立危機事態の際に他国の領域に入るんですか入らないんですか、こういうことについて質問させていただきました。総理は、いや、個別的自衛権のときと全く同じ解釈で、他国の領域には入らないんだよというお話でした。ただ、どうもその説明では説明付かないと思うんですよね。 つまり、図を見てください、個別的自衛権の場合には、この図の右側ですね、ある国が日本を武力攻撃してきた、それを排除するんだから日本はそれを排除すればいいと、必要以上に敵国まで行くことないよということだから、他国に行く必要はないですよという説明はすごくスムーズに分かる。 しかし、今度は集団的自衛権、存立危機事態の場合には、密接関係国に武力の攻撃がなされた、そして日本は密接関係国になされている武力攻撃を排除する、これが任務です。密接関係国になされている武力攻撃を排除するのに、密接関係国の領域に入れなくて排除行動ができるんですか。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 存立危機事態においては、先ほど中谷大臣が答弁したように、存立危機事態における攻撃を排除するわけでございまして、言わば、例えば隣国が米国を攻撃をする、隣国国内において、例えばAという国と米国が戦闘状態になると。しかし、その後、A国からのミサイルの攻撃を警戒をしている米国の艦船に対するミサイル攻撃があった場合は、我が国のミサイル防衛の一翼を担い得る米国の艦船への攻撃であれば三要件に該当する可能性がございますので、この艦船への攻撃、これは大体恐らく公海上で行われると想定されるわけでありますが、その艦船への攻撃は阻止をするわけであります。 一方、今回はフルに集団的自衛権の行使を認めているわけではございませんので、例えばA国に我が国の自衛隊が行って、米国とともに戦ってA国を攻撃をするということはできないということでございます。 ○小川敏夫君 それで、一つ的を絞って、今度はテーマを絞りますけれども、存立危機事態の際に他国の領域に入るんですか入らないんですか、こういうことについて質問させていただきました。総理は、いや、個別的自衛権のときと全く同じ解釈で、他国の領域には入らないんだよというお話でした。ただ、どうもその説明では説明付かないと思うんですよね。 つまり、図を見てください、個別的自衛権の場合には、この図の右側ですね、ある国が日本を武力攻撃してきた、それを排除するんだから日本はそれを排除すればいいと、必要以上に敵国まで行くことないよということだから、他国に行く必要はないですよという説明はすごくスムーズに分かる。 しかし、今度は集団的自衛権、存立危機事態の場合には、密接関係国に武力の攻撃がなされた、そして日本は密接関係国になされている武力攻撃を排除する、これが任務です。密接関係国になされている武力攻撃を排除するのに、密接関係国の領域に入れなくて排除行動ができるんですか。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 存立危機事態においては、先ほど中谷大臣が答弁したように、存立危機事態における攻撃を排除するわけでございまして、言わば、例えば隣国が米国を攻撃をする、隣国国内において、例えばAという国と米国が戦闘状態になると。しかし、その後、A国からのミサイルの攻撃を警戒をしている米国の艦船に対するミサイル攻撃があった場合は、我が国のミサイル防衛の一翼を担い得る米国の艦船への攻撃であれば三要件に該当する可能性がございますので、この艦船への攻撃、これは大体恐らく公海上で行われると想定されるわけでありますが、その艦船への攻撃は阻止をするわけであります。 一方、今回はフルに集団的自衛権の行使を認めているわけではございませんので、例えばA国に我が国の自衛隊が行って、米国とともに戦ってA国を攻撃をするということはできないということでございます。 ○小川敏夫君 だって、法律は、密接関係国という他国が武力攻撃を受けている、その受けている武力攻撃を排除するのが自衛隊の任務なんです。日本の国内で武力攻撃が生じているわけじゃないんです。密接関係国に武力の攻撃が生じている、それを排除するんだったら、密接関係国に行かなきゃ排除できないんじゃないですかと私は聞いているわけです。ですから、密接関係国という他国の領域に入って、他国の領域において自衛隊が武力の行使をするんではないですかと聞いているわけです。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、他国の領域に入っていって大規模な空爆を行ったり砲撃を行う、そうした武力行使を目的として自衛隊を派遣する、これは海外派兵に当たることであって、三要件にある必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、これから出ると、これに反するということに明確になるわけであります。 ○小川敏夫君 総理の説明の論点ごまかしのポイントは今の説明でも二つありました。 まず、私は存立危機事態についてお尋ねしているわけです。しかし、まず、総理は一般にという言葉を付けて、存立危機事態とは関わらず自衛隊の海外派兵というものは一般に禁止されているんだと、まさに存立危機事態とかあるいは武力攻撃事態ということを抜きにして、一般に自衛隊が武力をもって海外に戦争しに行くということに話をすり替えて、そういうことは禁止されているから行かないと言って、話のすり替えがある。 それからもう一つ、存立危機事態に当たった場合の武力行使を聞いているのに、存立危機事態に当たる場合がないかのような、何か論理がおかしい論理を言っていらっしゃる。すなわち、存立危機事態に当たって必要最小限度の範囲内で武力の行使をできると書いてあるから、そのできる攻撃について密接関係国の領域に行くんじゃないですかとお尋ねしているわけですけれども、既に必要最小限度という枠はもう当然の前提で議論をしているのに、総理はそこで、いや、必要最小限度の範囲を超えるからとか、やれ空爆がどうのとか、要件をずらして答弁をされている。結局、私の質問には何にも答えていない、あるいは間違った答えをしている。 だって、どう考えたって、武力攻撃が密接関係国に加えられているんですよ。それを排除するのが自衛隊の任務ですよ。排除するためには、密接関係国の中に行かなきゃ排除できないじゃないですか。もちろん、限られた例において、例えば密接関係国にミサイルが飛んでいる、そのミサイルを公海上で撃ち落とす、それもこの集団的自衛権の行使だというんだったら、そういう例はあるかもしれない。でも、そういう例が全てじゃないんで。法律というのは、密接関係国に加えられている武力攻撃を排除するために自衛隊は密接関係国の領域に入るということがむしろ当然のことだと思うんですが、それを総理は違うと言う。法律と全く合わない説明をされているわけですよね。 総理、総理は今、アメリカという特定の国を出して説明されました。米国の艦船と言って、船の話をされました。あたかも存立危機事態がそういう事態のことだけを想定しているかのように誤った方向で説明をしようとしている。 では、アメリカではなくて韓国だったらどうするんですか。韓国に隣国が、地上軍がどっと侵入してきた、武力攻撃に入ってきた。もし仮に韓国が密接関係国だったら、入っている、現に起きているこの武力攻撃は地上軍がどっと侵入しているわけですよ、隣国から、それを排除するためには、自衛隊は韓国に行かなきゃしようがないじゃないですか。法律上はそうなりますよね。どうですか、総理。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 法律上はそうなりません。(発言する者あり) それはですね、それはこれから説明いたしますが、新三要件であります。新三要件をよく見ていただければこれは自明の理でございまして、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、そして必要最小限度の実力行使にとどまるべきことと、こうあるわけでございます。 〔委員長退席、理事岡田広君着席〕 先ほど、私は一般にと言った、一般にということと武力攻撃事態や存立危機事態がまさに別であるかのようにおっしゃったんですが、一般にの中に存立危機事態も武力攻撃事態ももちろん入ります。これも含めた上において、言わば三要件の中に必要最小限度の実力行使にとどまるべきことと、こうあるんですから、これは存立危機事態であろうと武力攻撃事態であろうと同じことでありまして、これは憲法の要請によるわけでありまして、海外に自衛隊を武力行使を目的として派遣する海外派兵はこれを超えていくもの、一般に超えていくものであるから禁止されているということは変わりがないわけであります。 そこで、そこでですね、今回の我々の容認したものは、まさに先ほど中谷大臣が答弁したように、存立危機武力攻撃を、これを排除するわけであります。存立危機武力攻撃を排除するということは、例えば、今、K国という名前を挙げられました。そうすると、AとKの関係において、それはA国の領土の中で行われている、あるいはK国の領土の中で行われているところに自衛隊を派遣するということは、これは今申し上げましたように、一般に禁じられている海外派兵に当たるわけでありますからできない。 さらにはですね、さらには、それはすなわち存立危機武力攻撃ではないと考え得るわけでありまして、それはまさに我が国の存立に関わるかどうかというそのもの、そして国民の生命や自由、幸福追求の権利が根底から覆されるということに関わってくるかどうかということの認定の中においては、今小川さんが挙げられたように、領土に自衛隊を送って、送って、その相手国をせん滅するために攻撃を加える、これは第三要件にももちろん、第三要件を超えていくわけでありますが、第一要件にも当てはまらないと、このように考えるところでございます。(発言する者あり) ○小川敏夫君 何か、総理の説明で与党の方からよく分かったという声が飛び交いましたけど、全く分かっていないということですよね。 法制局長官、お越しですね。基本的なことをお尋ねしますけれども、個別的自衛権の場合、攻撃を加えている国に、必要最小限度の範囲を超えるから攻撃はしないというのが一般の解釈ですけれども、しかし、これまでの政府の解釈において、攻撃を加えている国がミサイルを我が国にどんどん撃ち込んでくるというような場合に、座して死を待つというのが憲法の精神ではないから、そういう場合にはその敵国のミサイル発射基地、これを攻撃することも憲法上許されるんだと、このような解釈でありましたね。 ○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘のとおりでございまして、我が国に対する武力攻撃が発生している場合でございますけれども、その場合ですら、我が国の安全を本当に確保しよう、十全に確保しようとするならば、まさにその攻撃国を攻撃する、あるいは他国を通ってくるならばその他国において攻撃するというようなことも、それは、我が国の安全を十全に確保しようとするならば軍事的には合理的あるいは適当という、国際法上は可能ということだったかもしれませんけれども、憲法上の制約というのがございまして、それはまさに、爆撃機が飛んでくるならば飛んできたものを撃ち落とせばいい、しかしながら、弾道弾、ミサイルですけれども、ミサイルが次々に我が国に到達するというようなときには、その発射基地をたたく以外に国民を守る方法が全くないと、そういう極めて例外的な場合に限っては、他国における武力の行使、自衛権の発動ということも排除はされない。 そういう意味で、極めて例外的な場合として、他国における武力の発動ということも否定はされないということをお答えしてきているわけでございます。 ○小川敏夫君 ですから、それは事態に応じ合理的にやると。ですから、非常に我が国に対する危険度が迫っている、そして他に方法がない、もうミサイルが飛んでくるその基地を攻撃しなければならないというような事態であれば、そういう事態に応じて行使できると。まさに事態に応じた対応ができるわけです。憲法上許されているんです。 〔理事岡田広君退席、委員長着席〕 ところで、先ほどの質問に戻りますが、K国ということでありました。総理の説明を聞いていますと、そもそもK国が外国から攻撃を受けて外国軍が侵入しても、日本の存立危機事態に当たることはないという趣旨のお話でした。 もう一度確認します。 総理のお話は、とにかく、私が、韓国に隣国から地上軍が来た場合にどうするんですかと、自衛隊がという話をしたときに、総理の答弁の一番最初は、この存立危機事態は、我が国の存立を覆す、そうした事態があること云々かんぬんということを非常に説明されました。ですから、確認します。韓国でどのような事態が生じても、それは日本の存立の危機事態に当たることはない、すなわち、密接な関係を有する国の中で韓国は除外されている、こういうふうに総理は言いたいんですか。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 三要件に当たるか当たらないかであります。先ほどの小川委員の想定において、我が国が、我が国に危機が及んでいない中において我々がいきなり自衛隊をその国の領土に派遣するということについては、第一要件に当てはまらないし、またそもそも第三要件の必要最小限度を超えるものであると、このように考えているわけであります。 いずれにいたしましても、三要件の一つに当たらなければこれはできない、どれか一つに当てはまらなければこれはできないわけでございます。そのことで申し上げれば、先ほど来申し上げましたように、法制局長官から答弁をしておりますのも、極めて例外的に、座して死を待つべきではないということで申し上げているわけでありまして、一般には海外派兵は憲法で禁じられているということでございます。 ○小川敏夫君 全く私の質問に答えていないです。 密接関係国、存立危機事態の要件の一つの密接関係国について、アメリカという国が当然入るということでこれまで総理は答弁されています。法律はアメリカ合衆国だけとは書いていません。密接な関係を有する国と書いてあります。 ですから、私は、まず質問の前提として、議論の前提として、韓国は密接関係国から除外されるんですか、法律上排除されるんですか、それとも排除されていないんですかということを聞いているわけです。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは排除されておりません。 ○小川敏夫君 排除されていないわけです。 次に聞きます。 では、韓国に何らかの事態が生じた、韓国が他国から武力の攻撃を受けた、地上軍が侵入してきた、攻撃を受けたという場合に、起きた事態は限定しなくてもいいです、韓国が何らかの武力攻撃を受けた事態が生じた場合に、日本の存立危機事態に当たるということはあり得ない話なんですか、あり得ることなんですか、この法律上はどうですか。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、様々な事態において三要件に当てはまるかどうか、それは総合的に常に判断する。これは、韓国であろうとどこであろうと、それを常にそのように判断するというのは、これはもう最初から繰り返し御説明をしてきているとおりでございます。 ○小川敏夫君 ですから、法律は、隣国の韓国において生じた事態が、いかなる事態が生じようとも存立危機事態にはならないということはなっていないので排除していないと。ですから、起こる事態によっては、韓国が密接な関係国であって、そして、起こる事態によっては日本の存立危機事態になるというふうに当たり得る事態があるわけですね。そこまでは、総理、認めていらっしゃる。 では、そうした事態が起きたときに、日本は密接関係国である韓国に自衛隊を派遣することが法律上できるのかできないのかを聞いているわけです。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) これも先ほど来申し上げているように、韓国の領土、領海、領空に自衛隊を派遣をして、武力攻撃を目的として派遣することは、これは必要最小限度を超えるものとして、一般に海外派兵は禁じられているということで御理解をいただきたいと思います。 ○小川敏夫君 何か総理の一般的な気持ちを述べているのか、何か私の質問とは関係ない理屈を述べているのか、全く分かりません。私の質問に答えていません。 この法律においては、いいですか、韓国が密接関係国となり得る、そして韓国において生じた事態が存立危機事態にもなり得る、だから聞いているんです。その場合には、武力攻撃を排除しつつ、韓国において生じている武力攻撃を排除するということが自衛隊の行動なんですよ。そして、その武力の行使は、事態に応じた程度で合理的に必要とされる範囲で行動できる、行使できると言っている。 ですから、この法律においては、韓国において生じた存立危機事態、武力攻撃において生じた存立危機事態において、日本の自衛隊が韓国の領土の、領海内、領空内に入って武力攻撃を排除するということがこの法律上禁止されていますか、それとも法律においては明文で禁止はされていない、法律の解釈としてどちらですか。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々が排除をする武力攻撃は存立危機事態武力攻撃であって、武力攻撃全般を申し上げているわけではないわけでありまして、それはつまり、昨年の閣議決定において集団的自衛権全般を認めたのであれば武力攻撃全般を排除することになるわけでありますが、我々が認めているのは三要件に対応できる、三要件が当てはまる武力攻撃であるということでございます。 それはつまり、また先ほど申し上げましたように、今の御質問にお答えをすれば、繰り返し申し上げておりますように、武力攻撃を目的に自衛隊を海外に派遣する海外派兵は一般に憲法で禁じられている、これは法制局長官も答弁しているとおりであって、憲法に禁じられている行為は当然この法律においてもできないということでございます。(発言する者あり) ○委員長(岸宏一君) 速記を止めて。 〔速記中止〕 ○委員長(岸宏一君) 速記を起こして。 今、総理から答えられるようですから。安倍内閣総理大臣。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどお答えしたとおりなんですが、この新三要件については、自衛隊法第八十八条二項において、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」という規定がございます。 それはそのまま維持をされているわけでございまして、これは個別的自衛権においても言わば旧三要件の必要最小限度を意味しているものでありまして、これは今回の新三要件を意味しているものでありますから、先ほど私が答弁したとおりでございます。 ○小川敏夫君 総理の答弁は、私の質問の趣旨をかわして関係ないことを言っているだけなんですよ。 私は、存立危機事態になる、存立危機事態を招いた武力攻撃を排除する、それができるかどうかを聞いているのに、総理は、存立危機事態を排除することを超えた武力の行使はできないと言っている。存立危機事態を排除する程度を超えたことなんか私は聞いていませんよ。存立危機事態を招いている武力攻撃を排除すると法律に書いてあるから、私は、存立危機事態を招いた武力攻撃を排除するということを聞いているわけです。それなのに、総理は、存立危機事態を招いた武力攻撃とは何か別のことを、存立危機を招いている攻撃以外のこと、例えば敵国を攻撃するとか、そういうことについて答えているので、私の質問には何も答えていません。 それから、国際法の例とかなんとか言いましたけど、法制局長官も言ったじゃないですか、憲法上、その事態に応じて必要であれば、座して死を待つことないから敵国に対して攻撃できると言ったじゃないですか、事態に応じて。 つまり、総理は、先ほど二つのことを、私の質問に対して、存立危機事態を招いた武力攻撃、これが韓国で生じている場合に、その武力攻撃を排除するために我が国の自衛隊は防衛出動として密接な関係国であるその韓国で武力の行使をすることがこの法律上できますよ、できることになっているんだから、私はできますねと聞いておるわけです。 もう一度答えてください。この法律上できるのかできないのか。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) できないということを申し上げます。 第三要件については、自衛隊法第八十八条二項において、「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」との規定をそのまま維持をしているわけでありまして、先ほど答弁したとおりでございます。 また、事態対処法第三条第三項には、「武力攻撃が発生した場合においてこれを排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と規定されるほか、今般、同条第四項において、「存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と、こう書いてあるわけでありまして、武力攻撃一般を言っているのではなくて、「存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、」と、これは法律の中で述べているとおりでありまして、ですから、先ほど私が申し上げたとおりでありまして、集団的自衛権全てを認めるのであれば、全てを認めるのであれば、言わば武力攻撃全てを排除するということになるわけでありますが、今回は……(発言する者あり) ○委員長(岸宏一君) 静粛に願います。 ○内閣総理大臣(安倍晋三君) 済みません、少し静粛にしていただけますか、静粛に。静粛にしていただけないと答えられないのですが。よろしいでしょうか。 これはつまり、武力攻撃全般を言っているのではなくて、まさに存立危機武力攻撃というこの法律は立て付けになっているわけでありまして、それを排除することがまさに我々が今回限定した集団的自衛権の行使に当たるわけでございます。そして、先ほども申し上げましたように、個別的自衛権だったとしても、法制局長官が答弁したように、一般には海外派兵は禁じられているわけでありまして、それはこの集団的自衛権に当たりましても同じことであるということでございます。(発言する者あり) ○委員長(岸宏一君) 速記を止めて。 〔速記中止〕 ○委員長(岸宏一君) 速記を起こしてください。 ○小川敏夫君 今度の法律では、密接関係国で韓国は排除されない。そして、存立危機事態、ペルシャ湾で機雷封鎖されて石油が来なければ存立危機事態になるということがあり得るというんだから、朝鮮半島有事の場合には我が国の存立危機事態に当たるということもあり得るでしょう。であれば、武力攻撃を排除すると。で、排除するために合理的に必要とされる範囲で自衛隊は密接関係国に行って武力の行使をできる。まさにそれが今回のこの法律の改正じゃないですか。そして、総理は違うと言って訳の分からない理屈を言うけど、しかし法律にはできないと書いていないんで、要件に当たるんだからできるということですよね。 総理は、集団的自衛権について、まさに法律の内容を具体的、的確に説明しないで、あたかも危険がないような、そして世界のためになるような行動であるかのように言っている。総理がフジテレビで発言されました、アメリカで火事が起きたらその火を消すんだ、公道から火を消すのが例えば集団的自衛権だと。でも、消火活動は武力の行使じゃありません。武力の行使をすれば、相手から武力の行使を受けるんです。消火活動は相手からの攻撃は受けません。集団的自衛権の行使の例ではないものを取り上げて、国民の皆さんに対し、これが集団的自衛権ですと言っている。 しかも、総理は、公道から放水して水をアメリカの中に、アメリカの国に入れているじゃないですか。武器弾薬をアメリカの国の中に撃ち込んでいるということですよ、例えれば。すなわち、総理の説明だって、足がアメリカの範囲には入らないけど、武力の行使はアメリカの国にやるんだということになるじゃないですか、水がアメリカの中に入るんだから。まさに、国民がこの法律を分からないと言っている、分からないと言っているのは、総理が法律の中身を正しく説明しないで、これだけの危険な法律をあたかも安全であるかのような、有益な法律であるかのように間違った説明をしているから国民がよく分からない。 最後に一点。この法案に対して国民が多くの声を上げ、国会周辺でも集会をしている。過剰な警備がされているという声が強い。その点について、公安委員長でもしっかりと対応していただくように述べて、私の質問を終わります。 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/189/0014/18908240014020.pdf
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