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売国まっしぐらの安倍暴政日欧EPA&TPP11
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2018年2月 9日 植草一秀の『知られざる真実』
一昨日の2月7日、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」が主催する
「TPPプラス交渉をただす!院内集会」
が参議院議員会館で開催された。
野党国会議員が6名参加し、会場に入りきれない市民が参集し、密度の濃い集会が開催された。
今回の集会は、TPP11ならびに日欧EPA妥結を受けて、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」が事前に質問事項を政府に投げかけ、政府の担当部局の職員が回答を示すという形態で実施された。
政府からは内閣官房、外務省、農水省から13名の職員が出席した。
集会は14時から17時まで開かれ、14時から15時までは、政府に投げかけた質問事項を参加者に説明することと国会議員からの発言時間に充当された。
15時から17時の2時間を活用して、政府からの回答と、その回答に対する再質問および再回答が実施された。
政府側の説明で冒頭、内閣官房TPP等政府対策本部からTPP11が3月8日にチリにおいて署名式を行うことで各国が準備を開始することで合意したことが報告された。
続いて外務省から日欧EPAの交渉妥結について報告があった。
その上で、内閣官房TPP等政府対策本部から日欧EPA等の経済効果分析について説明があり、さらに、農水省からTPP11および日欧EPAによる日本の農林水産物生産額への影響試算についての説明が行われた。
全国共同行動が用意した質問事項は、
1.TPP11の合意に関する懸念事項
2.日欧EPAにおける「食の安全」に関する懸念事項
3.政府の「影響試算」と「政策大綱」に関する疑問点
4.日欧FPAにおける「国有企業」「公共調達」等に関する疑問点
の4つのカテゴリーに分類して提示された。
これらの4つのカテゴリーのうち、第4のカテゴリーについては説明時間が無くなり、次回への積み残しとなった。
第1の「TPP11の合意に関する懸念事項」として、TPP11の新協定第6条の問題点が取り上げられた。
協定6条とは「TPP原協定の発効が見込まれる場合又は見込まれない場合に、いずれかの締約国の要請があった時は、TPP11協定の改正等を考慮するため、この協定の見直しを行う」というものである。
「TPPに反対する人々の運動」世話人の近藤康男氏が指摘したように、当初のTPP協定の決定を維持してしまうと、米国が離脱することによって日本への参加国および米国から輸入が増大し、日本の農林水産業が受ける影響がより甚大になる懸念がある。
どういうことか。
ひとつの例として牛肉の輸入を考えてみる。
TPPでは輸入急増時のセーフガード発動の要件を定めた。
TPPでは参加国からの輸入量が発効時点では年間59万トン、16年目には73.8万トンを超えるとセーフガードを発効できるとしている。
たとえば発効時にオーストラリアと米国からそれぞれ30万トンの輸入が行われたとすると、合計輸入量が60万トンとなり、セーフガードを発効できる。
しかし、TPPから米国が離脱したため、60万トンというセーフガードの発効条件は意味をなさなくなる。
オーストラリアから50万トンの輸入が行われ、これとは別にTPPの枠外で米国から30万トンの輸入が行われれば、輸入量は80万トンになるのにセーフガードを発効できなくなる。
当然のことながら、日本はこうした取り決めの「凍結」を求めなければならなかった。
しかし、日本は凍結を求めず、TPPの決定事項をそのまま受け入れた。
これに対して農林水産事業者から懸念が表明され、それが協定大6条に反映されたのだが、この条文が意味を持たないことは明白である。
協定第6条の表現は分かりにくいが、要するに、米国がTPPに入らない場合に「TPP11協定の改正等を考慮するため、この協定の見直しを行う」という「気休めの文言」が示されただけに過ぎない。
日本に対する輸出を拡大しようとする参加国が、日本が譲歩した水準を緩和する協定見直しに合意するわけがないのである。
全国共同行動を指揮している山田正彦元農林水産大臣が、政府の木で鼻をくくったような説明に対して、厳しい批判を示したのは当然のことである。
また、内閣官房の出席者はISD条項について、日本企業が参加国に投資を行う際に投資リスクを軽減する意味でISD条項が有効であるからこれを肯定するとの説明を示した。
しかし、2012年の総選挙に際して、安倍自民党は「国の主権を損なうようなISD条項には合意しない」ことを公約に明記した。
この点について私がこの自民党公約と政府の姿勢に矛盾があることを指摘したが、内閣官房の担当者は自民党公約を認識していなかった。
ISD条項を用いて外国企業が日本を提訴する場合、最終的な裁定権限が外部の裁定機関に委ねられることは主権喪失そのものであり、これがISD条項の根本的な問題である。
この点についての認識すらない者がこれらの協定の実務を担っていることは悲劇というようよりも喜劇に近い。
そして、政府が提示する影響試算は、その杜撰さを論評するのも憚られるような代物なのである。
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