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「ポスト安倍」に最も近い男はだれか 物申せない空気の中で"正論"を吐く
http://president.jp/articles/-/24144
2018.1.15 ビジネス・ブレークスルー大学学長 大前 研一 PRESIDENT 2018年1月29日号
なぜ衆院選で希望、民進は自爆したのか
2018年の日本の政治を展望するために、昨年10月の総選挙をいま1度振り返ってみたい。臨時国会冒頭に安倍晋三首相が衆院の解散を宣言して選挙戦はスタートした。
序盤から一手に衆目を集めたのは先の都議選で圧勝した都民ファーストの会を率いる小池百合子都知事の動向である。小池都知事は全国政党「希望の党」を立ち上げて、民進党の脱党組がこれに合流、自身は代表に就任して小池劇場の幕が上がる。日本のマスコミの悪い癖で、地域政党からステップアップした新党が何を目指すのか、検証もないまま追認するように小池劇場に付き合ったために、一気に希望の党ブームが巻き起こった。
いまや「首相が最も恐れる男」か(安倍晋三首相と小泉進次郎筆頭副幹事長)。(時事通信フォト=写真)
これに自民党以上に強い危機感を抱いたのは民進党だ。「名を捨てて実を取る」と当時の前原誠司代表は格好をつけたが、要は「ブームに乗らないと勝てない」ということで、民進党は希望の党への合流を図る。しかし前原代表が民進党の立候補者全員の公認を求めたのに対して、希望の党は安保法制や憲法改正に対するスタンスなどで厳しいスクリーニングを行ってリベラル派を振るい落とした。
また細野豪志元環境相が「三権の長経験者の合流はご遠慮願いたい」と菅直人氏や野田佳彦氏ら首相経験者の入党を拒否した。結果的にはこの“選別”が「排除の論理」との批判を浴びてブームにブレーキをかけ、さらに野党分裂、立憲民主党というライバル野党を生み出すことにもつながった。
小池都知事自身が出馬に踏み切らなかったことも党の勢いを削いだ。後継都知事に小泉純一郎元首相を指名して自分は衆院選に出馬し、都知事選を衆院選の同日にぶつける。こうしたオプションもありえたわけで、そうなれば小泉劇場と小池劇場の相乗効果で、選挙終盤までブームを引っ張ることもできた。
しかし党代表の小池都知事は出馬しなかった。にもかかわらず、「これは政権選択選挙」と言い切った。選挙後の首班指名については都議選で連携した公明党の山口那津男代表の名前を一時期ちらつかせたが、その後「結果を見て決める」とした。これも大きなミステークで、政権選択選挙で党として首班指名が決まっていないというのは、政治の常識では考えられない。
しかも小池都知事は日本維新の会代表である松井一郎大阪府知事と大村秀章愛知県知事との連携をアピールしていたが、維新は同会共同代表の片山虎之助参議院議員を首班指名する。最初から矛盾をはらんでいた三都物語が崩壊するのは当然だった。
有権者のうち、2人に1人は死票を投じた
選挙結果は自民党284議席、公明党29議席で合わせて与党は313議席。衆議院議席数の3分の2を超えて、憲法改正の発議が可能になった。一方の野党は立憲民主党が55議席で野党第一党に躍進、希望の党は改選前議席を下回る50議席。共産党12議席、日本維新11議席、社民党2議席で、無所属を含め野党全体では152議席にとどまった。
議席数を見れば自民党の大勝である。しかしこれは安倍政権が信任されたというよりも、政権批判の受け皿となるべき野党の分裂、崩壊が招いた結果と見るほうが正しい。今回の総選挙における自民党の得票率は48%。投票率は戦後2番目に低い53.68%だったから、自民党に投票した有権者は大体4人に1人。にもかかわらず61%の議席を占有したことになる。
野党分裂の影響の大きさを示しているのが、落選した候補に投じられた票数、いわゆる「死票」だ。今回、小選挙区では総投票数の48%が死票になった。
私は中曽根康弘首相のときに選挙アドバイザーを務めたことがあるが、最重要課題の1つが死票対策だった。当時は中選挙区制で、たとえば3人区の選挙区に2人の自民党候補が出馬した場合、1人が票を取りすぎて、もう1人が落選するようなケースが多々あった。2位、3位を野党に取られてしまうのだ。死票を減らすために公認と票割りを厳しく行うなどの選挙対策を講じて、さらに投票率を上げるために衆参ダブル選挙を中曽根首相に進言した。結果、苦戦が予想されていた1986年の総選挙で自民党は大勝し300議席を獲得した。
中選挙区制時代に与党自民党を悩ませた死票現象が、小選挙区制の今回は分裂して票を食い合った野党側に出現した。死票が48%ということは、有権者の2人に1人は死票を投じたのだ。
野党共闘が実現していたら、つまり立憲民主党、希望の党、共産党、社民党、日本維新の会、さらに野党系無所属などに割れた票が1つにまとまって統一候補を送り込んでいたら、自民党候補に勝っていた選挙区は少なくない。その意味では「共闘すれば安倍政権を倒せる」と主張してきた小沢一郎氏の見立ては間違ってはいなかった。
個人的には反対だったが、民進党は前回の参院選では共産党、社民党と選挙協力を行ってそれなりの結果(32の選挙区で統一候補11人が当選)を出した。今回の選挙でも希望の党合流を決める前までは共産党との連携も選択肢にあったのだ。もし民進党が野党共闘を実現していたら、あるいは希望の党に丸ごと大合流を果たしていたら、結果は違っていたかもしれない。選挙前の支持率を見ても、国民の心理は少なくとも安倍自民党から離れていた。ところが受け皿になるべき野党が空中分解して、選択肢がなくなってしまった。政権選択どころではなく、最後は人物本位で選ぶしかなくなってしまったわけだ。
物申せない中で、正論を吐ける小泉進次郎氏
総選挙の結果を受けて、18年の政治はどう動くか。
まずは野党。「筋を通した」と評価を上げて野党第一党にのし上がった立憲民主党だが、判官贔屓だけでは続かないし、野党再編のコンダクターになれるとも思えない。希望の党はもはや絶望の党に変わり果てた。私が知っている希望の党の議員のほとんどは、いかなる理由をつけて脱出するかを考えている。次の選挙に向けて、いかに袂を分かつかしか関心がない。野党再編には強烈なリーダーシップを持った人間が必要だが、今の野党には見当たらない。民進党から希望の党に移った連中は選挙に勝つためなら簡単に信念を曲げて「排除の論理」にサインするのだから、国民の信頼が得られるはずもないのだ。
一方の安倍自民党は野党の食い合いというオウンゴールで勝っただけで、国民から圧倒的な信任を得たわけではない。にもかかわらず、選挙からほどなくして加計学園の獣医学部新設に認可が下りて、今春にも開校される運びになった。安倍首相からすれば、「国難」が1つ突破できたのだからおめでたい。
国民感情としては安倍政権に対する信頼は薄いし、改憲勢力約8割がそのまま民意とはならない。憲法9条の3項に自衛隊を明記したい安倍首相は、憲法改正の発議に着手するかもしれない。
しかし、合憲と言い張ってきた自衛隊をなぜ今になって憲法で追認しようとするのか、という疑念が当然湧く。9条3項の問題だけで国民投票に向かえば、「大手を振って自衛隊を軍隊につくり替えて、いずれ徴兵制も復活させる気だ」という批判の恰好のターゲットになる。反対勢力のほうが議論を展開しやすい。産経、読売を除いてマスコミもこぞって反対するだろう。つまり発議はできても、国民投票には弱い。従って改憲論議は安倍首相が意図する通りには進まないと思う。
9月には自民党総裁選がある。安倍首相は当然立候補して3選を目指すだろうが、決して万全ではない。一寸先は闇というが、「もりかけ」とは別の、新たな火種が噴き出す可能性もある。意外に早く躓くかもしれない。
一応ネクストと目されているのは石破茂氏、岸田文雄氏、野田聖子氏、河野太郎氏の4人だが、こちらはこちらで現総裁に競り勝つほど票は集まらない。ただし、自民党内では「小泉進次郎まで飛べば圧勝する」という見方がある。父親は「変人」だったが、息子はきわめて常識人で、安倍首相にも苦言を呈する。教育無償化などにかかる財源2兆円を捻り出すために、消費税増税分の使途見直しのほかに不足分の3000億円の負担を安倍首相は財界に要請した。これに対して筆頭副幹事長の小泉氏は「党は何も聞いていない。このままだったら自民党は必要ない」と批判した。
安倍一強の物申せない空気の中で、これだけの正論を吐けるのだからやはり器が大きいのだろう。農政改革でも思い切った提案をしたし、地方や被災地に頻繁に足を運び、地味な役職を労を惜しまずにこなしてきた小泉氏は党内の人気も高く、隠れファンも多い。総裁選に立候補すれば、勝ち切る可能性は低くない。
(構成=小川 剛 写真=時事通信フォト)
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— 不祥事ニュース/SP (@tokyo_sp) 2018年1月15日
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— 投資家@しんごろー (@shingoror456) 2018年1月15日
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— ひのまる (@hinomaru21) 2018年1月15日
安倍がこれまで在るのは取巻き凄いのである。小泉にはまだ無い。
「ポスト安倍」に最も近い男はだれか
— Muranushi M (@Mura_0515) 2018年1月15日
物申せない空気の中で"正論"を吐く
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「ポスト安倍」に最も近い男はだれか 物申せない空気の中で"正論"を吐く:PRESIDENT Online - プレジデント https://t.co/vrHZk42RcA via @Pre_Online 小泉進次郎推しなのかw せめてあと10cm背が高ければなー。
— レーズンパン櫻井 (@raisinpan_sak) 2018年1月15日
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