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自作トランスドライブ300Bシングルアンプ、中国製300BとWE300Bの聴き比べ
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/158.html
投稿者 中川隆 日時 2022 年 2 月 10 日 10:28:19: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 和山通商 PSVANE300B-SE 職人手作業5球シングル真空管ステレオパワーアンプ 販売価格 79,000円(税込) 投稿者 中川隆 日時 2022 年 2 月 10 日 09:52:37)

自作トランスドライブ300Bシングルアンプ、中国製300BとWE300Bの聴き比べ

徒然なるままに
http://ultra-pure-sounds.jp/episod.html

作品集
http://ultra-pure-sounds.jp/about.html

トランスドライブ300Bシングルアンプ
http://ultra-pure-sounds.jp/300B.html

念願の300Bのシングルアンプを創ることにしました。以前は2A3アンプを作ってそれをアップグレードする計画でした。しかしそれは実現しませんでした。その後、300Bへの思いはたち消えておりましたが、838シングルアンプを作った時に、トランスドライブを諦めたこと、中国製の300Bを手に入れてしまったこと、Tango(ISO)が閉店する前に衝動的に3.5kΩのシングルトランス(FC-30-3.5S)を購入しておいたこと、などの要因が重なり、とうとう製作を決断しました。仕事も結構忙しいのでなかなか時間が取れませんが、できる限り早く完成させたいものです。せっかくなのでトランスドライブ(Tango NC-16)とすることにしました。この段間トランスは一次側に15 mAまで流せる仕様になっています。しかし、838アンプを作った時に感じたことはもっと少ない電流で飽和してしまい、よくないことがわかっていました。そこで、ドライブ段をプッシュプルにすることを思い立ちました。NC-16にはセンタータップがありますので、プッシュプルとして使用することができます。そこで、ここに示したような回路を設計しました。1つ大きな問題があります。その時入手できたのはTangoのMX205という電源トランスだけでした。B電源の電流は十分なのですが、300BのヒーターをDC化するのが難しそうに思えました。そこで、超小型のスイッチング電源(TRACO POWER 入力AC100-240V, 出力5.0V 3.6 A) スイッチング電源の写真 を採用することにしました。ラッシュカレントによるフィラメントの劣化を防ぐためと、室温でのフィラメントは約0.6Ωです。ステレオで2本並列に使うと0.3Ωと超低インピーダンスとなってしまい、スイッチングレギュレーターの保護回路が働いてしまい電力供給ができない構造になっています。そこで初期段階は負荷を2Ωの抵抗が受け持ち、約5秒間フィラメントを予熱してから、本格的にヒーター電流を供給するようにCRによる遅延回路を入れてFETで制御することにしました。回路構成は、初段が位相反転を作るところで、中段がそれを増幅してドライブトランスへ信号を送り出します。今までは初段と中段を直結していましたが、B電流の調整機構などを作る必要があることから、今回は単純にコンデンサー結合としました。トランス出力は直接300Bのグリッドに送り込まれます。
アンプシャーシはいつものようにタカチのSL10にしました。今回もサブパネルを使い、ネジ類が天板に出てこない構造にしました。段間トランスが追加されるので少し手狭な感じですが、なんとかこのケースで収まることがわかりましたので、これで設計しました。


天板の図面はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300Bfront.PDF

サブパネルの図面はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300Bsub.PDF


設計した回路図はここにあります。
素人が設計したものですので、この回路を試されて起こった事故につきましては自己責任でお願いいたします。

電源回路はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300Bpower.PDF

メインアンプの回路はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300B.PDF


完成したので早速電源を投入しました。中段のプレート電圧が思った通りになっていません。調べた結果、グリッドの電圧が異常であることがわかったことから、そこにグリッドリーク抵抗(330 kΩ)を入れることで改善が認められました。また、300Bのバイアスですが、電流を70 mAにしようとすると、バイアス電圧が深すぎるのでもう少し浅くする必要があり、抵抗を変更して対応することにしました。現状では65 mAにセットしてあります。フィラメント電源ですが、ラインレギュレーションがプラスマイナス0.5%ということで25 mV程度のふらつきが予想されますが全くハムノイズは聞き取れませんでした。大変優秀です。効率が78%と高いことから発熱もそんなに問題がなさそうです。真空管を使うという効率を度外視したデバイスで遊んでいるのですが、フィラメントのDC電源には効率を云々かんぬんしているのはなんだか矛盾を感じますが・・・さて実際に音はどうかと言いますと、一言で言って素晴らしいという言葉につきます。2A3の時に感じたナローレンジの印象は払拭されています。また、以前に作った838シングルアンプのような重たさもなく、エンジンでいうと軽やかに吹け上がるといった感じでしょうか?低音も重厚であり、高音も繊細な清涼感があります。やはりアナログ音源の相性がとても良いと思います。万人の心を惹きつけて止まない300Bの実力を垣間見た気がしました。製作の構想から時間がかかりましたが、作り終えて大満足しています。トランスドライブとコンデンサー結合の違いなどを本当は体感したいところですが、プッシュプルで作ってしまったので、そのような実験は今回は叶いません。しばらくはこのアンプで音楽を楽しむことにします。そのうちに、プッシュプルの片側を殺してシングルとしてトランスドライブおよびコンデンサー結合の比較をやっても面白いと持っています。その前に、300Bのアップグレードが待っているような気がします。手頃な価格で入手出来る程度の良い300Bとはどのようなものか、探し求める旅に出る予感がします。

http://ultra-pure-sounds.jp/300B.html  

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コメント
1. 中川隆[-13755] koaQ7Jey 2022年2月10日 10:34:37 : ZtijSkYdH2 : THNRZ3A0MEZlTEU=[18] 報告
ウエスタンエレクトリック WE300B
(3rd Nov. 2017)
http://ultra-pure-sounds.jp/WE300B.html

WE300B(復刻品)を一本だけ入手しました。とりあえずどんな音がするのか試してみたくて購入しました。訳あり中古品です。少しエミッションが減っているようですが音出しをしてみることにしました。

現在我が家のメインアンプとなっているトランスドライブ300Bシングルアンプの片方だけWE300Bをつけて見ました。左チャンネルは今まで使っていた中国製と思われる300Bです。右チャンネルにWE300Bを挿して聞き比べをしました。明らかに音が違います。音の重心が低いように感じます。しっかりと低音が響きます。こんなに個性があるのかと驚きました。弦楽器の重低音が豊かな響きを聞かせてくれるような気がします。先入観を入れないように冷静に考えてもWE300Bの音の方が好きです。何としても程度の良いペアーチューブを手に入れてみたいと思いました。PSVANの復刻版は評判が良いようです。同じような釣りフックのヒーターで構造はWE300Bそっくりです。ペアでも60000円くらいです。これを買うのもありかもしれません。また高槻電気の300Bも気になっています。高音の抜けが良いという評判を見た気がします。現行品で160000円くらいで買えるようです。
http://ultra-pure-sounds.jp/WE300B.html

プスバン WE300B
(28th April 2018)
http://ultra-pure-sounds.jp/WE300Bpsvane.html

友人のYさんからプスバンのWE300B復刻版を貸していただきました。以前から気になっていたものなので早々に我が家のトランスドライブのアンプに挿してみました。バイアス調整をして70mAとなるようにしました。

以前から使っていた中国製のノーブランドと比べるとやはり中低音が豊かな気がします。かなり良いものだと感じました。形状を見てみると、ガラス部分のフォルム、ヒーターの釣鐘部分、電極線の取り回しなど全てにおいて、よく復刻されていると感じます。ガラス部分の寸法をノギスで測りましたが、ウエスタンのものとプスバンのものでほとんど同じでした。ガラスの部分を指で弾いて見ましたが、ほとんどマイクロフォニックノイズは聞くことができませんでした。ウエスタンとの比較はどうかというと、遜色がないのではないかというのが自分の結論です。ペアで6万円台で手に入るようですので、これはかなりお勧めということになります。
http://ultra-pure-sounds.jp/WE300Bpsvane.html

81年製ウエスタンエレクトリック WE300B
(10th July 2019)
http://ultra-pure-sounds.jp/WE300B-2.html

以前ある方から300Bアンプの作製依頼をされたので1台作製しました。今まで作ってきたプッシュプルによるトランスドライブ型のアンプです。現在自宅のメインアンプとなっているものと全く同じものです。その後何度かその方のお宅にお邪魔したりして交流をさせていただいております。その方が最近すごく程度の良い1981年製のWE300Bマッチドペアを購入されました。バイアス調整など、メンテナンスを兼ねてそのアンプとWE300Bをお預かりしました。千載一遇のチャンスなので、我が家のノーブランド中国製300BアンプとWE300Bアンプを同じ条件で運転して、繋ぎかえながら音の違いを見ることにしました。

写真の中で左側がWE300Bのアンプで、右のそれが我が家の中国製のアンプです。場所がないのでスピーカーの上に置きました。両方のアンプをウオームアップした後どちらを先に聞くのが良いか悩みました。美味しいものを先に食すべきか、後にするべきかそれによって印象は大きく変わる可能性があるからです。微妙な差異の時は聞く順番も結果の評価に影響を与えるかもしれません。結局、最初にWE300Bを聞くことにしました。その後、中国製です。以前にも同じような聞き比べをしました。その時は、復刻版の訳ありWE300Bを片チャンネルにさして左右のスピーカーから出てくる音の違いをじっくりと聞きました。まずその時の印象からお話ししますと、WE300Bの方が音の重心が低く低音が豊かな印象がありました。その時の印象は先入観になりますので、なるべくそれを考えないで聞きました。今回は、Jazz bar 2001のアルバムを聞きました。本当に驚いたことに、低音の違いだけではありません。高音域の音が明確に違います。ハイハットのシャープな音が全く違います。WE300Bの方がはるかに高音域まで音が再生されていると思いました。これはニュアンスの違いの印象を議論しているのではなく、事実をお話ししています。明らかに電気的な特性として優れていると言えると思いました。情報量がはるかに多いということです。中国製の300Bにつなぎかえると悲しくなるくらいにその差は歴然としております。いつもは、オーディオのHiFi化に批判的な家内もこればかりは大いに納得してくれたようです。しかし、WE300Bを買うことに同意してくれたわけではありませんが・・・その後はおきまりのバイオリンを聞きました。もちろん豊かな芳醇な香りを呈する音といって良いと思います。万人が素晴らしいと評価しているWE300Bは本当に素晴らしいです。いつかは絶対に手に入れたい物のリストに書き込みました。どちらを先に聞くかは今回は全く重要ではありませんでした。
http://ultra-pure-sounds.jp/WE300B-2.html

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