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(回答先: 和山通商 PSVANE300B-SE 職人手作業5球シングル真空管ステレオパワーアンプ 販売価格 79,000円(税込) 投稿者 中川隆 日時 2022 年 2 月 10 日 09:52:37)
自作トランスドライブ300Bシングルアンプ、中国製300BとWE300Bの聴き比べ
徒然なるままに
http://ultra-pure-sounds.jp/episod.html
作品集
http://ultra-pure-sounds.jp/about.html
トランスドライブ300Bシングルアンプ
http://ultra-pure-sounds.jp/300B.html
念願の300Bのシングルアンプを創ることにしました。以前は2A3アンプを作ってそれをアップグレードする計画でした。しかしそれは実現しませんでした。その後、300Bへの思いはたち消えておりましたが、838シングルアンプを作った時に、トランスドライブを諦めたこと、中国製の300Bを手に入れてしまったこと、Tango(ISO)が閉店する前に衝動的に3.5kΩのシングルトランス(FC-30-3.5S)を購入しておいたこと、などの要因が重なり、とうとう製作を決断しました。仕事も結構忙しいのでなかなか時間が取れませんが、できる限り早く完成させたいものです。せっかくなのでトランスドライブ(Tango NC-16)とすることにしました。この段間トランスは一次側に15 mAまで流せる仕様になっています。しかし、838アンプを作った時に感じたことはもっと少ない電流で飽和してしまい、よくないことがわかっていました。そこで、ドライブ段をプッシュプルにすることを思い立ちました。NC-16にはセンタータップがありますので、プッシュプルとして使用することができます。そこで、ここに示したような回路を設計しました。1つ大きな問題があります。その時入手できたのはTangoのMX205という電源トランスだけでした。B電源の電流は十分なのですが、300BのヒーターをDC化するのが難しそうに思えました。そこで、超小型のスイッチング電源(TRACO POWER 入力AC100-240V, 出力5.0V 3.6 A) スイッチング電源の写真 を採用することにしました。ラッシュカレントによるフィラメントの劣化を防ぐためと、室温でのフィラメントは約0.6Ωです。ステレオで2本並列に使うと0.3Ωと超低インピーダンスとなってしまい、スイッチングレギュレーターの保護回路が働いてしまい電力供給ができない構造になっています。そこで初期段階は負荷を2Ωの抵抗が受け持ち、約5秒間フィラメントを予熱してから、本格的にヒーター電流を供給するようにCRによる遅延回路を入れてFETで制御することにしました。回路構成は、初段が位相反転を作るところで、中段がそれを増幅してドライブトランスへ信号を送り出します。今までは初段と中段を直結していましたが、B電流の調整機構などを作る必要があることから、今回は単純にコンデンサー結合としました。トランス出力は直接300Bのグリッドに送り込まれます。
アンプシャーシはいつものようにタカチのSL10にしました。今回もサブパネルを使い、ネジ類が天板に出てこない構造にしました。段間トランスが追加されるので少し手狭な感じですが、なんとかこのケースで収まることがわかりましたので、これで設計しました。
天板の図面はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300Bfront.PDF
サブパネルの図面はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300Bsub.PDF
設計した回路図はここにあります。
素人が設計したものですので、この回路を試されて起こった事故につきましては自己責任でお願いいたします。
電源回路はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300Bpower.PDF
メインアンプの回路はこちら
http://ultra-pure-sounds.jp/300B/300B.PDF
完成したので早速電源を投入しました。中段のプレート電圧が思った通りになっていません。調べた結果、グリッドの電圧が異常であることがわかったことから、そこにグリッドリーク抵抗(330 kΩ)を入れることで改善が認められました。また、300Bのバイアスですが、電流を70 mAにしようとすると、バイアス電圧が深すぎるのでもう少し浅くする必要があり、抵抗を変更して対応することにしました。現状では65 mAにセットしてあります。フィラメント電源ですが、ラインレギュレーションがプラスマイナス0.5%ということで25 mV程度のふらつきが予想されますが全くハムノイズは聞き取れませんでした。大変優秀です。効率が78%と高いことから発熱もそんなに問題がなさそうです。真空管を使うという効率を度外視したデバイスで遊んでいるのですが、フィラメントのDC電源には効率を云々かんぬんしているのはなんだか矛盾を感じますが・・・さて実際に音はどうかと言いますと、一言で言って素晴らしいという言葉につきます。2A3の時に感じたナローレンジの印象は払拭されています。また、以前に作った838シングルアンプのような重たさもなく、エンジンでいうと軽やかに吹け上がるといった感じでしょうか?低音も重厚であり、高音も繊細な清涼感があります。やはりアナログ音源の相性がとても良いと思います。万人の心を惹きつけて止まない300Bの実力を垣間見た気がしました。製作の構想から時間がかかりましたが、作り終えて大満足しています。トランスドライブとコンデンサー結合の違いなどを本当は体感したいところですが、プッシュプルで作ってしまったので、そのような実験は今回は叶いません。しばらくはこのアンプで音楽を楽しむことにします。そのうちに、プッシュプルの片側を殺してシングルとしてトランスドライブおよびコンデンサー結合の比較をやっても面白いと持っています。その前に、300Bのアップグレードが待っているような気がします。手頃な価格で入手出来る程度の良い300Bとはどのようなものか、探し求める旅に出る予感がします。
http://ultra-pure-sounds.jp/300B.html
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