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(回答先: ウインザー公とシンプソン夫人の恋 _ シンプソン夫人はナチスのスパイだった? 投稿者 中川隆 日時 2019 年 5 月 18 日 20:12:09)
イギリスはどうやってインドの綿工業を壊滅させたのか
産業革命発祥の地で日本の「投資」を考える
2019-11-13 三橋貴明
本日は リーズを発ち、マンチェスター、リバプールと移動します。いよいよ、産業革命発祥の地へと入っていくわけです。
ご存知の通り、産業革命は、イギリス東インド会社がインド産キャラコの輸入ビジネスを拡大し、危機に陥った毛織物業者を中心に、
1.生産性向上のための投資(技術投資、設備投資、人材投資)が進んだ
2.設備投資などの資金について、銀行が万年筆マネーで貸し出すことが可能だった
と、二つの条件が満たされた結果、連合王国(イギリス)で始まりました。
産業革命は、連合王国に驚異的な生産性向上をもたらし、世界の覇権国へと導きます。
【世界の工業生産に占める各国の相対的なシェア(%)】
http://mtdata.jp/data_67.html#taikoku
『1860年。世界の人口の2%、ヨーロッパの人口の10%を占めるに過ぎないイギリスが、近代産業において世界の生産能力の40−45%、ヨーロッパのそれの55−60%を所有していたとみられている。(Crouzet, Victorian Economy)』
ちなみに、1860年頃の連合王国の世界に占めるシェアは、鉄生産が53%、石炭生産50%、原綿消費50%、工業製品貿易シェア40%に達していました。
東インド会社がキャラコを連合王国に持ち込まず、市場開拓をしなければ・・・。
イギリス毛織物業者らが、技術開発や設備投資で「インド人労働者よりも安く作る」を目指さなければ・・・。
イギリスで「金融」が発展しておらず、金貨銀貨の商品貨幣の社会で、業者らが設備投資の資金調達が困難だったら・・・。
いずれのケースでも、産業革命は時期が遅れたか、あるいは他国で始まったのではないでしょうか。
『(キャラコについて)もっとも安いものがインドで買える。イングランドでだったら、1シリング(=12ペンス)ほどの労働や作業が、そこでは2ペンスでなされる。イングランドの労働の価格はインドの労働の価格よりずっと高いから、英国で完成織物を製造することは経済的ではない(1700年頃の史料)』
当時の英印の人件費の差は、6倍。現在とは異なり、連合王国の産業主が簡単に資本(工場)をインドに移すことは困難でした。
というわけで、連合王国の発明家、企業家たちが、インドの低人件費に勝つために「投資」を行ったのです。結果、イングランドで「インドよりも安く」綿製品を生産することが可能になります。
もちろん、話はビジネスサイドにはとどまりません。
まずは、国家としてインド産キャラコの輸入禁止という保護貿易を推進(キャラコ禁止法)。
産業革命で十分に生産性が上がったならば、インドに押しかけ、
「自由貿易やろうぜ」
と、自国の綿製品をインド市場に雪崩れ込ませました。結果、それまで綿布産業で繁栄を極めていたインドのダッカ、スラート、ムルシダバードなどの街は貧困化の一途をたどり、当時のイギリスのインド総督が、
「この窮乏たるや商業史上にほとんど類例を見ない。木綿布工たちの骨はインドの平原を白くしている」
と嘆くに至ります。
1882年、インドは綿布の関税を「撤廃」させられ、完全な自由貿易の国になります。というか、させられます。
12年後、インド財政が危機に陥り、英国製品に対し3.5%の関税がかけられます。それに対し、連合王国は関税の保護効果を無くすために、同率の国内消費税をインド製品に課したのです(相殺消費税)。インドの綿布業者は、
「いかなる国の経済史においても類をみない利己的な政策」
と、批判しました。
前置きが長くなりましたが、事実上の産業革命発祥地、マンチェスターとリバプール(マンチェスターで生産された綿製品が、リバプールに運ばれ、輸出されたのです)に行ってきます!
連合王国が産業革命で発展したのは、ある意味で「資本主義」に忠実だったためです。もちろん、エゴイスティックな政策(キャラコ禁止法、インド支配と自由貿易の強制など)もありますが、
「需要が拡大している状況で、生産性向上の投資を行った」
が故に、連合王国は物凄い勢いで「覇権国」になったのです。これは、資本主義の基本です。
経済の五原則、その1.
「国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。」
でございますよ。
『MMTをめぐる議論で欠けている「供給力」の視点 完全雇用をめざす「就業保証プログラム」問題
内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。
前回、経済評論家で株式会社クレディセゾン主任研究員の島倉原氏が監訳をつとめた『MMT現代貨幣理論入門』を基に、MMTの概要を解説した。
今回は、同氏と中野剛志(評論家)、佐藤健志(評論家・作家)、施光恒(九州大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学大学院准教授)の気鋭の論客4人が、同書をめぐって徹底討議する。(中略)
◆「投資は供給力を増やす」
中野:40%はともかく、たとえ財政支出過多が理由でインフレが起きたとしても、そう長くは続きません。理由の1つは財政民主主義です。よく「増税や歳出削減をするのは国民が嫌がるから」と言うけれども、国民はハイパーインフレも嫌がりますので、高インフレを放置する政権は見切りをつけられてしまう。
財政支出過多によるインフレが続かないもう1つの理由は、「投資は供給力を増やす」という事実です。
供給に対して需要が増えて需給ギャップが広がるとインフレになるのだけれども、民間の設備投資でも公共投資でも、投資は供給力を増やすために行われます。
だから投資した瞬間には需要が増えても、それからしばらくすると設備が稼働して供給が増えるので、時間差で需要を追い上げることになる。供給が需要を追い続けているかぎり、一定以上のインフレにはならず、一方で経済の規模は拡大してゆく。これを「経済成長」と称するわけです。
ただしMMTはその名のとおり「貨幣理論」であるせいか、投資による供給の拡大についてはちゃんと議論されていないように思う。
柴山:MMTでは、完全雇用を実現する政策として「就業保証プログラム」を推奨していますね。それによって失業は減りますが、供給力が増えるかどうかはわからない。
中野:供給の分析が不十分というのはケインズの理論の欠陥でもあったんです。僕はMMTをめぐる議論に欠けているのはこの視点だと思っています。MMTを批判する人たちは供給力の議論を欠いたまま、目先の需要の増減だけ考えて、「財政支出増でインフレが起きる」という議論をしている。(後略)』
日本の場合、防災投資の拡大は必須ですが(これに反対する人、います?)、財務省の飼い犬たちは、
「政府が公共投資や防災投資を増やしても、人手不足でキョウキュウセイヤクガー」
と、人手不足を理由に持ち出し、財政拡大を否定しようとします。
いや、日本の土木・建設の供給能力が、長年の公共投資削減、一般競争入札化などの構造改革で毀損したのは確かですが、それを「そのまま」にしておいていいんかい! 世界屈指の自然災害大国で。現在、そして将来の国民が死ぬんですよ。
現在の日本が採るべき道は明らかです。
まずは、MMTでも何でも構わないので、日本に財政的な予算制約がないことを理解する。安藤先生ではないですが、
「ボクは財政健全化を重視する派だけど、『今』は財政拡大が必要だよな〜」
と、緊縮派の国会議員が逃げを打つのでもいいです。別に、謝罪も賠償も要求しません。
その上で、日本の毀損した土木・建設の供給能力を引き上げる、具体的には民間企業の投資を引き出すために、長期の防災インフラ整備、交通インフラ整備の計画を打ち出すのです。
今後十年、毎年、インフラ整備の予算積み増しが予算として確定しているならば、土木・建設企業が本気で投資拡大に乗り出し、将来の日本国民が救われます。
無論、現在の日本国民も防災インフラに守られ、交通インフラの上で生産を拡大し、豊かになることができる。
つまりは、日本は複数年度予算をコミットした「国土計画」を復活させなければならないのですが、この種の「各国の事情」に応じた供給能力拡大については、確かにMMTでは語られないというか、無理でしょう。MMTにより予算制約から解放された上で、あくまで各国の「政治」が自国のための投資、供給能力拡大政策を決定しなければならないのです。
日本に必要なのは、長期の予算をコミットする「国土計画」です。国土計画を復活させよう!
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12544623469.html
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植民地のインドは商品を輸出しても、その見返りの代金は
ポンドでイギリスに蓄積され、デフレになり、不景気になった
2006年2月9日 アメリカの謎を解く 橋本裕の文学・人生日記帳
ブッシュ大統領が1月31日の一般教書演説で、「私は8800億ドルを減税し、国民に返却した。今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」と述べた。
一方で、アメリカの経常赤字は05年が7900億ドル(93兆6940億円)、財政赤字も06年度は4230億ドル(約50兆2千億円)で過去最大、債務残高はすでに8兆ドル(約950兆円)を越えている。
日本では、税制赤字を解消するために、増税をしなければならないと考えられているが、アメリカは逆である。減税をして国内消費を活性化し、景気をよくして税収をあげようとする。さらにアメリカの場合は戦争によって軍需景気を作りだしているわけだ。
いずれにせよ、アメリカは消費大国。国も国民も借金をして消費を楽しんでいる。このアメリカの消費を助けているのが日本をはじめとするアジア諸国だ。とくに日本の貢献が大きい。日本は政府と民間が何百億ドルというアメリカ国債を買っている。
先日、朝日新聞夕刊「経済気象台」に「米国のもう一つの謎」という文章が載った。経常収支の赤字が拡大しているにもかかわらず、ドル高が持続している謎について、それは借金国のアメリカが負債について支払う金利が「異常」に低いからだと書いている。これに反して、アメリカの対外資産は巨大な利益を手にしている。
アメリカは莫大な借金をし、そしてその中から、わずかな一部を他国に貸している。そして不思議なことに、巨大な借金のための利払いよりも、わずかな海外資産の方が多くの利益を生み出しているというのだ。
どうしてこんなマジックが可能なのか。それは日本がこの逆をしているからである。なぜ日本がこの分の悪い役回りを続けるのか、実はこれこそが本当の謎だということになる。
驚くべきことに、小さな対外資産から受け取る利子と配当が、大きな対外負債に支払う利子と配当を今日まで上回り続けている。家計にたとえると、収入を上回る買い物をして毎月赤字が続き、借金が膨らんでいる。ところが、多額の借金に支払う金利がゼロに近ければ、わずかばかり保有する預金などから受け取る利子の方が大きいという状態なのだ。これでは赤字をいくら出しても、借金さえできれば、後は何の憂いもなく買い物ができる
このうまい話に手放しで悪のりして、米国は経済収支赤字を続け、負債の増加に加速度がついている。この構図が最近話題になり、債権国が浮き足だっている。日本にその気配がないことが「謎」の源である
実はアメリカのこの「うまい話」は、19世紀に繁栄した大英帝国をまねているだけだ。大英帝国の場合は、その繁栄の謎をとく鍵はインドをはじめとする植民地が持っていた。たとえば当時イギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に多額の黒字を計上していた。ところが黒字はルピーではなく、ポンドを使って決済され、そのままイギリスの銀行に預けられていた。
だからイギリスはいくら植民地を相手に赤字を出しても平気だった。イギリスの銀行に預けられたポンドを、イギリス国内で使えばいいからだ。インドは名目上は債権が増え、お金持ちになったが、そのお金をイギリスの銀行から自由に引き出し、自分の国では使えなかった。お金の使い道は預金者ではなく、イギリスの銀行が決めていたからだ。そしてもちろん、イギリスの銀行は国内の人々に貸し出した。
イギリス国民は植民地から輸入した品物で生活をたのしみ、しかもしはらったポンドもイギリスの銀行に吸収され、イギリスのために使われるわけだ。こうしてイギリスはどんどん発展した。
一方植民地はどうなったか。たとえばインドは商品を輸出しても、その見返りの代金はポンドでイギリスに蓄積されるだけだから、国内にお金がまわらなくなる。どんどんデフレになり、不景気になった。
仕事がきつくなり、給料が下がり、ますます必死で働いて輸出する。ところが黒字分の代金は、ポンドのまま名義上の所有としてやはりイギリス国内で使われる。こうしていくら黒字を出してもインドは豊かになれなかった。そして、赤字を出し続けたイギリスは、これを尻目に繁栄を謳歌できた。
このイギリスとインドの関係は、そっくり現在のアメリカと日本の関係だと言ってもよい。経済同友会元副代表幹事の三國陽夫さんは、「黒字亡国」(文春新書)にこう書いている。
輸出拡大によっていくら日本が黒字を蓄積しても、それはアメリカ国内にあるアメリカの銀行にドルで預け入れ、アメリカ国内に貸し置かれる。日本からの預金は、アメリカにしてみれば資金調達である。貸し出しなどに自由に使うことができる。
日本は稼いだ黒字にふさわしい恩恵に与らないどころか、輸出関連産業を除いて国内消費は慢性的な停滞に喘いでいる。停滞の原因であるデフレはなかなか出口が見えない。
日本の黒字がドルとして流入したアメリカはどうなのか。ドルはアメリカの銀行から金融市場を経由して広く行き渡り、アメリカ経済の拡大のために投下されている。日本の黒字は結局、アメリカが垂れ流す赤字の穴埋めをし、しかもアメリカの景気の底上げに貢献しているのである。・・・
輸出で稼いだ黒字を日本がドルでアメリカに預け、日本の利益ではなく、アメリカの利益に貢献している限り、円高圧力もデフレ圧力も弱まることなく、政府・日銀がいくら財政支出や金融緩和というデフレ解消策を講じても、一向に持続性ある効果は現れないのである
幸い、最近この貿易構造がかわりつつある。日本の貿易相手国が中国をはじめとするアジアやヨーロッパにシフトしたことで、日本の対米黒字の割合が相対的に低下したからだ。こうして日本がデフレから解放されるチャンスがここから拡大した。
しかし、問題はすでに厖大なドル建て資産をアメリカに持っていることだ。日本人の汗の結晶であるドル建て資産が、今後ドル安で何百兆と失われる可能性がある。こうした形で、アメリカは最終的に日本の資産を合法的に手に入れようとする。
「今後も減税を恒久化し、09年に財政赤字を半減する」というブッシュの一般教書の宣言は、これからも日本をはじめ、世界から資金を調達するという意思表示と読むべきなのだろう。
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/253.html
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