「あの懐かしい味のカレーを食べたい!」今も健在なつかしのカレー屋さん 昔懐かしい味のカレーを提供している沼津のカレー屋さん「CBカレースタンド」は、静岡にもある同名のお店で働いていた渡辺竹彦さんが、地元沼津でもカレー専門店を!と、駅前名店街に開いたお店。開店から44年、駅前再開発で一時お店を休業した時には、「CBカレースタンドはどこへ!?」といった閉店を心配するファンからの声が聞かれたそうだが、1年前に駅前へ新装移転を果たし待望の再開。モダンな装いに生まれ変わった「CBカレースタンド」は、昔からの味はもちろん変わらぬまま!今も健在しているのだ。
CBカレースタンド ( 静岡県沼津市 ) http://www.youtube.com/watch?v=fdoFwdZQgIk http://tabelog.com/shizuoka/A2205/A220501/22001172/ http://www.google.co.jp/search?q=CB%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%89&hl=ja&lr=lang_ja&tbs=lr:lang_1ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=0kOTUMnBGISRiQfKvIHIDg&ved=0CHQQsAQ&biw=1015&bih=897 住所: 沼津市大手町5-2-1 電話: 055-962-4666 営業時間: 11:00〜20:00 定休日: 第1・3水曜日 地図 http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&lr=lang_ja&um=1&ie=UTF-8&q=CB%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%89&fb=1&gl=jp&hq=CB%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%89&cid=0,0,14610560581716110702&sa=X&ei=0kOTUMnBGISRiQfKvIHIDg&ved=0CIYBEPwSMAI 「CBカレースタンド」の昔懐かしい味について語るには、「C&B純カレー」という輸入品のカレーパウダーの存在が欠かせない。
今でこそカレー粉はどこの家庭にもある一般的な調味料。これはかつてイギリスのC&B社が、カレーのスパイスの調合が家庭では難しいため、誰でも使えるように一定量のスパイスを混ぜ合わせカレーパウダーとして商品化したのが始まりなんだとか。 老舗といわれるカレー専門店で愛用されてきた「C&B純カレー」。「CBカレースタンド」では、「C&B純カレー」が輸入品で高価だった当時からこのカレーパウダーにこだわってきたという。国産品が主流になった現在でも、そのこだわりは変わらないのだそう。だから「CBカレー」はどこか異国情緒も漂う!?カレーなのだ。 開店当時には珍しかったカレー専門店。お店の成功は難しいのではないかと周囲に心配されながらも、好物であるカレーライスの専門店を開きたい!という情熱を貫いたという渡辺さん。当時からカレーは中華そばとほぼ同等の庶民的な価格だったにも関わらず、ソースポッドにカレーを入れてライスとカレーを分けて出すことで、高級感も味わえるという“イキな演出”を試みたという。そのスタイルも当時のまま。ノスタルジックな雰囲気がプンプン漂うこのソースポッドが、またいい味を出している。
カレーの作り方もほぼ当時と変わらない。炒めた小麦粉にカレー粉を混ぜ、ブイヨンスープでのばしてルーに仕上げるというオーソドックスな作り方。小麦粉を使ったこのルーが生むトロ〜リ感とまろやかさは、まさに日本のカレーの特徴。カレーライスの原点のようなカレーだ。 そして基本に忠実なシンプルな作り方ながらも、鶏ガラと野菜の旨味をしっかりと出したブイヨンスープが決め手となって、味の深みは本格的。 この基本のカレールーを元に、まずポークカレー、野菜カレー、ビーフカレーの3種類のカレールーが作られる。これらが16種類すべてのカレーのベースとなるのだそう。中の具に合わせて異なったカレールーを使い、そこに具の旨味もたっぷり加わる「CBカレー」は、“ルーは同じで具が変わるだけ”のカレーではなく、それぞれ違った美味しさを味わえるカレーなのだ。 ワンコインにこだわって、なんと500円で食べられる人気のポークカレー。カレーの中には豚バラ肉の具がしっかり入っているから、この安さには驚き!ソースポッドを使うイキなこだわりや、守り抜いてきた昔ながらの味、そしてこの安さ!「CBカレースタンド」が40年以上の人気を保ってきた秘訣は、こういうところにあるのだろう。 渡辺さんのオススメは?との問いに、ガッツリと食べられるボリュームカレーがご紹介されるかと思いきや、意外にも(!?)「野菜カレー」とのこと。じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、なす、きゅうり、ピーマン、しいたけ・・・とこんなにたくさんの野菜がゴロゴロ入っている「野菜カレー」は、野菜の自然な甘さが出るので、他のカレーより辛さを際立たせているのだそう。コクがあってスパイシーで辛党の私も大満足。オススメというだけあって予想以上に美味しい! もうひとつのオススメは「ナス・トマトカレー」。これも野菜のたっぷり入ったカレーだが、こちらはポークカレーがベースとなっているとのことで、「野菜カレー」とはまた違う美味しさなんだとか。渡辺さんがしきりにオススメしてくれたこのカレー、またの機会に絶対食べてみよう! そしてこのお店のイチバン人気といったら、スタミナをつけたいサラリーマンも大満足の「カツカレー」!大きくて肉厚なカツを目の前で揚げてくれるから、食欲もますますそそられる。ライスの上に揚げたてのカツをドンとのせ、カレーもそのままお皿にたっぷり盛られる。よく揚がったカツはお肉がとってもやわらかくてジューシー、香ばしくカリッと揚がった衣にカレーがからむといっそう美味しい! お店を新装して女性のお客さまも増えたという「CBカレースタンド」で、ぜひ懐かしの味を楽しんでみてはいかがだろう! http://www.tv-sdt.co.jp/imadoki/special/vol18/index4.html カレー処 ヤサカ http://www.yasaca.jp/ http://yasaca.hamazo.tv/ http://tabelog.com/shizuoka/A2202/A220201/22001957/ 住所: 浜松市中区領家1-7-30 電話: 053-463-0233 営業時間: 平日11:30〜14:30 18:00〜21:30 定休日:月曜、火曜(祝日は営業)
地図 http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&bav=on.2,or.r_gc.r_pw.r_qf.&bpcl=37189454&biw=1015&bih=897&wrapid=tlif135183038175410&um=1&ie=UTF-8&q=%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E5%87%A6%E3%80%80%E3%83%A4%E3%82%B5%E3%82%AB&fb=1&gl=jp&hq=%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E5%87%A6%E3%80%80%E3%83%A4%E3%82%B5%E3%82%AB&cid=0,0,15117134432309772927&sa=X&ei=dEuTUJ6GNKLtiAeAx4DgAQ&ved=0CG0Q_BIwAA 「浜松まできたら“やっぱり”食べて帰りたい!」 欧風でもインド風でもない、“ヤサカ”風カレー! 下見と取材を重ねるにつれ“カレーってスゴイ!”という思いがますます強くなってきた。もう何軒も何十食も食べているのに、まだ飽きない。それどころか、そろそろ取材もひと段落着いてきた最近、またぞろ“カレーが食べたい”気分になっている自分に気づいてビックリ。
そんなときに出会ったのが、この「カレー処ヤサカ」さんのカレー。 取材した日から、数日・・・いまこの原稿を書いていても、あぁ、また食べたい!“どこでもドア”があったら、今日のランチに行けるのに…と思っていたりするのだ。そんなヤサカさんのカレーは、やみつきになるカレーというのとはまた違う。私が思うに“やみつき”というのは、熱病のようにいっとき夢中になるけど、ある日突然“飽き”が来るものだ。その点、このお店のカレーは、たぶん毎日食べても飽きない味なのだ。 そのヒミツは、なんだろう。 10種類を超えるメニューがあるが、ベースとなるルーは全種類違う。 (お店によってはベースのルーを数種類用意したものを、アレンジをする場合も多い。) ヤサカさんのカレー作りは、約30種類ほどのスパイスを、それぞれのカレーにあわせ調合するところから始まるのだというが、自身でミル挽きしたスパイスを使用することが多いそう。コーヒーでも同じことが言えるけど、スパイスもやはり挽きたての方が、香り高いんだそうだ。 それらを元に、たまねぎだけでも数時間以上炒める。(メニューによって炒める時間は変えるそう。)1日かけて仕込んだカレーは、いったん寝かせてからお店へ。この時間が美味しさのヒミツのひとつでもある。 もちろん食材にもこだわっている。「安全で安心なものを食べて欲しい」という思いから、厳選した食材だけを使い“自然志向”のカレーを目指している。カレーに使われる野菜は地元のものが中心。中でもじゃがいもは浜松三方原産、きのこカレーに入っているしいたけは、森町産のどんこ。(このじゃがいもやどんこの美味しいこと!!) さらに、カレーになくてはならないお米も、地元産の減農胚芽米。このお米にきびを入れている。コシがあり、有機米の甘さがかむほどに出てくるため、ごはんだけでも食が進んでしまうのだ。調理の基本でもあるお水には活性水を使用。塩素の害のない“生きる”水は、元気の源でもある。確かに、お店でいただいたお水は、飲んだときにもスーッと抵抗なくカラダに吸い込まれていった。 また、使用しているお肉は顔なじみのお肉屋さんから仕入れているのだが、このお肉がとても美味しい。チキンバターマサラに使用している鶏肉は、岡山産の森林鶏肉。これを、純度の高い生クリームとバターを使用した濃厚なカレーにあわせてあるのだが、そのカレーに全く負けていない存在感。肉の旨みが凝縮されていて、これが本来の鶏肉の味なのかと思う。 豚肉にも同様のこだわりがある。中でもこの春からメニューに登場した数量限定のポークスペシャルは、カレー通には一度は食べて欲しい絶品の豚が味わえる。使用されているのは、引佐町産の奥山高原ポーク。天然水と良質な飼料で育てられた生産数限定の“幻”の豚である。この豚は、生産者から直接、ヤサカさんと取引しているお肉屋さんだけに卸していて、他店では買えない貴重な存在だ。 うまい!!とにかく美味しい! 言葉が出ないほど、その美味しさに圧倒されてしまった。お肉の塊が、スプーンでホロリと崩れてしまうほど柔らかい。口の中でもホロホロと崩れていくのだが、そのひと口ひと口がなんと滋味にあふれていること!柔らかいのに食べ応えもあり、かむほどに肉の旨みと甘みが出てくる。どうしてこんなに柔らかいのか伺うと、 「元々のお肉が柔らかいんですよ。ね、美味しいでしょう?私もお肉の脂身がキライだったのに、このお肉のものだけは感動していただきました。」と奥様。 おっしゃる通り、脂身がさらにうまい! トロリととろけるような食感の脂は、口の中の温度でスーッと溶けてしまうのだが、その深い甘み、臭みのなさ・・・こんな豚肉、今まで食べたことがない。 この豚肉のために、オーナーが調合したスパイスで仕上げたカレーとの相性もバッチリだ。まろやかなのに、ピリッとした刺激があって、夢中で食べてしまった。 オーナーの稲見さんは、元々は工場経営者。無類のカレー好きで、あちこちのカレーを食べ歩くこと15年以上。美味しいカレーに出会うと、舌の記憶を頼りにその味を研究し、再現、家族やお仲間を招いてカレーを振舞っていたという。 「こんなに美味しいカレーなら、お店を出してよ。」 そんなファンの声に後押しされて、2000年節分に工場の敷地内にお店をオープンした。 評判を聞いて食べに出かけたお店の味や、知り合いから教えてもらったカレーのレシピを、舌の記憶を元に再現し、さらに研究を重ねて昇華させるというオーナー。絶対音感というのがあるが、オーナーの場合、絶対味覚、絶対舌感といえるだろう。しかしヤサカのカレーは、オーナーの天性のセンスだけではなく、カレーへの深い愛情あってのものだと、いただいてみれば分かるはず。 映画やジャズ、書画、骨董などに造詣が深いオーナーと、浜松市の街づくりの市民活動にも参加している奥様。 ヤサカのある工場の敷地は、まるで映画にでも登場しそうな昭和の雰囲気が漂う。そこには地元の劇団のけいこ場と事務所、障害を持つ方々の授産所の作品発表の場であるギャラリー、環境問題に取組む方々の事務所などがあり、浜松の文化の発信基地となっている。 オーナー手作りの店内には、オーナー夫妻の温かさそのままに居心地の良い空気が流れている。そのあまりの居心地の良さに、ついつい長居をしてしまうお客さんが多いそう。この日もお昼の営業時間はとっくに過ぎているのに、静岡から来たというカップルが、幸せそうに、美味しそうに、ゆったりとカレーに舌鼓を打っていた。 「久しぶりに浜松に来たんだけど、やっぱりここのカレーを食べなきゃ帰れないと思って。」 帰りがけにスタンプカードを財布から出しながら、男性客がおっしゃっる言葉に、私も深くうなずいてしまう。 そう、インド風とも欧風とも違う“ヤサカ風”オリジナルカレーは、浜松に来たなら“やっぱり”食べて帰りたい、ここでしか食べられないカレーなのだ。 お店の名前は古事記にも出てくる「弥栄(やさか)」(=ますます栄えることという意味)に由来している。 お店ももちろんだが、ご夫妻が愛してやまない浜松の文化も、ここヤサカを発信基地としてますます栄え、輝きを増していって欲しい。 もちろんとびきり美味しいカレーのスパイシーな香りとともに。 http://www.tv-sdt.co.jp/imadoki/special/vol18/index4.html 「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』
ゴーゴーカレー
営業時間:午前10時55分〜午後9時55分 年中無休 住所(1号店):273 W. 38th St. (8th Avenue) (イーストビレッジ店):117 2nd Ave. (7th Street) 電話番号:212-730-5555(1号店) 日本に留学経験していた時以来、重度の「日本のカレー中毒」である著者が、米国で唯一「日本のカレー」を出す店を発見、感激して書いた熱いレポート。
30歳になる前に心臓発作が起きてもかまわない人は、カツとチーズを一緒に注文することができる。私は、そういう食べ方が可能と知って以来、ずっとそうしてきている。
ニューヨーク発――日本のカレーは、世界で最も完成されたカレーだ。これに異を唱える人がいるとすれば、理由はただ1つ、日本のカレーを食べたことがないからだ。 インドやタイの、カラフルで舌がヒリヒリするほど辛いカレーならよく食べる、という人はいるだろう。中には、和食レストランで好奇心に駆られ、いつもの照り焼きチキンでなくカレーを注文したことのある人もいるかもしれない。そしてひょっとしたら、そのカレーの上には、日本でおなじみのトンカツまで乗っかっていたかもしれない。 だが、日本のどこでも5分歩けば必ず1軒は見つかる、ランチメニューがカレーしかない日本のカレー専門店でカレーを食べたことがなければ、この至高の料理を味わったことがあるとは言えない。 何も旅行通を気取りたいわけではない。ただ、日本のカレーチェーンは、これまで米国本土には上陸していなかった。 ところが昨年5月、『ゴーゴーカレー』が米国進出を果たし、マンハッタンのミッドタウン、タイムズスクエアの角を曲がってすぐのところに小さな店をオープンした。それ以来、ゴーゴーカレーは米国で正真正銘の日本風カレーを、東京のサラリーマンが30分の昼休みにカレーをかき込む店と同じスタイルで提供している。その味は、私が米国でこれまで食べたどの日本風カレーをもはるかに上回る旨さだ。 なぜそんなことが言えるかといえば、私が重症のカレー中毒だからだ。 ヘロイン中毒者がヘロインを注射するのが大好きなのと同じように、私は日本のカレーを愛している。ヘロイン中毒との唯一の大きな違いは、ヘロイン中毒は長期間ヘロインを断てば中毒でなくなる点だ。 いったん日本風カレーの中毒になると、米国に帰っても中毒が治ることはない。もう一度日本のカレーを食べたいと願いながら日々を過ごし、また東京に行って日本のカレーをもっと食べられるよう貯金に励むことになる。 初めてあの恍惚とした気分を味わえば、それはもう忘れることはできない。私はそれを、金沢大学の学食で経験した。日本人学生の大半が毎日行列を作って購入しているのが、照り焼きや寿司ではなく、カレーだと言うことに私は気付いた。
それはどう見ても、焦げまくったチャウダーを、大きな皿によそった米飯の上からグロテスクにぶっかけたという風情の、茶色くてドロドロした物体だった。しかも、最後のとどめを刺すかのように、学食がその日用意した揚げ物がしばしば上に乗っかっていた。たいていはトンカツだったが、チキンカツのこともあった。ときにはチキンフライド・ステーキ[米国南部の料理で、牛のステーキ肉をフライドチキン風に揚げたもの]――といっても、日本の学食で働く女性が作れる範囲でのそれだが――も登場した。 誰が最初に私にカレーを勧めたのかは覚えていない。だが、その、天にも昇るような味わい! インドのカレーとは似ても似つかない食べ物だった。 もちろん少々スパイシーだが、全体的には甘みと塩味が効いている――その豊かでクリーミーな味わいを出すのにどんな材料を使っているのか、私にはほとんど分からなかったが、クラックコカインが入っていることはまず間違いないと思われた。 そして、カレールーはその他の食材、すなわち粘り気のある米飯の純粋な味わいや、カリッと揚がったパン粉、脂肪たっぷりの豚肉とも完璧にマッチしていた。 またそれは、私の知る限り、スプーンでガツガツ食べる、唯一の日本食だった。 その後、私が学食に行って、カレーの入った大鍋に直行しなかったときがあるとすれば、それはカレーを絶とうと無駄な試みをしたときだけだ。その日以来、私はれっきとしたカレー中毒となり、日本のあちこちのレストランでカレーを注文し、一番おいしいカレーにありつけるのはカレー専門店であることを発見した。 最も数の多いチェーン店は『CoCo壱番屋』だったが、東京に行くと、『カレーショップC&C』や『リトルスプーン』、ゴーゴーカレーなど、さらに多くのカレー専門店があった。特にゴーゴーカレーは、東京のビデオゲームの聖地である秋葉原に店舗があるので便利だった。 そんなわけで、日本に初めて1年間滞在した後、故郷のコネティカット州に戻ったときは、嬉しくもあり悲しくもあった。ボストンでもう1年、学生生活を送った私は、当地の日本人街でカレーを食べさせる店を探したが、どうにか日本のカレーと呼べる味にすら出合うことはできなかった。 卒業後日本に舞い戻り、ホテルにスーツケースを置いて文字通り一番最初にしたことといえば、独特の薄茶色をしたカレールーを1年ぶりに味わうために、最寄りのCoCo壱番屋を探すことだった。 その後も、日本を訪れるたびにきまって真っ先にカレー専門店に足を運んだが、もうその前に荷物をホテルに置いてくることさえしなくなった。カウンター席ばかりの狭い店に、「ガイジン」のXLサイズの服を2週間分詰め込んだ巨大なカバンを持ち込もうとするたびに、従業員が私を横目で見たものだ。
文化のるつぼで、日本人街もあるサンフランシスコへ引っ越したときには、ようやく母国で日本のカレーを食べることができると思った。しかし、ここまで読み進んだ皆さんはもうお気づきのことと思うが、私の期待は裏切られた。 日本のカレーを食べたいと友人に言うと、和食と米国料理を融合させた妙な店に連れて行かれた。カレーを注文すると、上に薄切りトマトと下ろしたパルメザンチーズが乗っていた。吐き気を催す味だった。 サンフランシスコの日本食レストランの多くがカレーをメニューに載せていたが、それはきまって後から追加されたメニューだった。誰も注文しないし、実際に注文してみればその理由がわかる。カレールーは、一番ましなものでもたいてい水っぽくて風味に欠ける。最悪なものに至っては、見た目も味も、冷えた茶色い泥水のようだ。 こう書けば、私が先日ニューヨーク市を訪れ、何の気なしに『Google』で「56番街の近くの日本風カレー店」というキーワードで検索をかけて、ゴーゴーカレーを見つけたときの気持ちをご理解いただけると思う。 http://wired.jp/wv/2008/05/01/%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%80%8d%e3%82%92%e7%86%b1%e6%84%9b%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e4%ba%ba%e8%a8%98%e8%80%85%e3%81%8c/ [カレー店]『リトルスプーン』のほうがもっと好きだが、贅沢を言う気はなかった。あと20分ほどで閉店という時間だったが、店までは20ブロックほどしか離れていなかった。私はタクシーに飛び乗った。
ところが、運転手は行き先を間違え、私はタクシーに乗りながら、着くころには絶対店は閉まっていると確信していた。閉店の5分前、午後9時50分きっかりに、私は通りの角から18メートルほどの距離をダッシュし、何とか閉店前に店内に入った。 私を待っていたのは、東京を約14坪分だけきれいに切り取って、ニューヨークの「ガーメント・ディストリクト」に移し変えたかのような場所だった。 ゴーゴーカレーは、近所に店舗を構える『吉野家』のように、にぎやかなタイムズスクエアのど真ん中にあるわけではないが、通りさえ間違えなければ見逃すことはない。派手な黄色と赤の日よけ、英語と日本語で書かれたカレーライス屋を示すのぼり、チラシで覆われた窓が目印だ。 私はポークカツカレーとチキンカツカレーの2つを注文した。もちろん、ジャーナリストとしての使命感からだ。
ゴーゴーカレーのカレールーは、東京で一番というほどではないが、上位の部類に入る味だ。熱々で甘くて風味にあふれ、クリーミーで豊かな味がする。 「僕は日本のカレーを食べたことがあると思っていたけど、間違いだったみたいだ」。翌日、昼食にゴーゴーカレーへ連れて行くと、『ワイアード』誌の記者Clive Thompson氏はこう言った(もちろん、私はその日もゴーゴーカレーへ昼食を食べに行ったのだ)。 水曜日の昼時、こちらに住む日本人と思しき客たちで店は満席だった。 こうした日本人たちも、カレーを愛する――おそらくは私以上に――人々だということを理解しなくてはならない。カレーライスは日本人のソウルフードだ。米国の子どもたちがマカロニチーズをガツガツ食べるように、日本の子どもたちはカレーライスをガツガツ食べる。
以前に東京で見たポスター[日本語版編集部注:カレー店内に貼ってあった販促ポスターの模様]によると、平均的な日本人はラーメンを週に1回食べるが、カレーは週に4回食べるらしい。だからゴーゴーカレーが、この心なごむ定番料理を、おおむね日本人が母国で慣れ親しんでいるのと同じやり方で提供する米国初の店舗だという事実を、米国在住の日本人が見過ごすはずもない。 この日本を代表する料理が、米国指折りの多文化地域でも大人気になっていないのは本当に不思議な話だ。しかしあるいは、それほど不思議ではないのかもしれない。大都市圏に住む人々の多くは、タイ風カレーやインドカレーを食べたことがあっても、週に4回も食べたりはしない。彼らは日本のカレーが、それらの国のカレーとは全く違う、別の料理であることがわからないだろう。 いったいどうすれば、昼食に茶色いドロドロした料理を食べる気持ちを米国人に起こさせることができるだろう? 私の経験では、無理やり食べさせるしかない。 Thompson氏はとても気に入った。私はこれまで、多くの友人や一緒に日本を訪れた人々に、私と一緒にカレー専門店に行ってカレーを食べてみるよう勧めてきたが、その結果、私がこれほどカレーを愛する理由をたちまちはっきりと理解しなかった人は、ただの1人もいない。 だから、ニューヨーカーの皆さんに言いたい。私が日本のカレーの中毒になっている理由を知るためだけでも、ぜひゴーゴーカレーを訪れてほしい。最高に便利のいいイーストビレッジにも2号店がある。 ゴーゴーカレーが提供するおいしい日本の代表的料理を食べて、サンフランシスコにも支店がオープンするまで、店の利益に貢献し続けてほしい。サンフランシスコ店がオープンすれば、私はきっと、店の稼働率を格段に上げるほどに通いつめるだろう。 http://wired.jp/wv/fromwiredblogs/2008/05/01/%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%80%8d%e3%82%92%e7%86%b1%e6%84%9b%e3%81%99%e3%82%8b%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e4%ba%ba%e8%a8%98%e8%80%85%e3%81%8c/
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