http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/784.html
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「黄ベスト運動」に関連して投稿する。
フランス語が分かる人は、次の動画◆を見てほしい。フランス語が苦手な人は、画面右下の歯車マーク(と字幕ボタン) を操作して字幕を出し、 それを英語に直せばよい。(機械字幕なので不正確な部分はあるが、大意は外さない。)
動画の中で語っている人 (Charles Gave) は金融の専門家でその分野で仕事(ビジネス)をしてきた人。amazon.fr にはEUと通貨に関する著作が幾つか出ている。
◆動画
https://www.youtube.com/watch?v=skddjC5j4cc
Gilets Jaunes : Vers une Guerre Civile
著作
https://www.amazon.fr/lions-men%C3%A9s-par-%C3%A2nes/dp/1540764788/ref=pd_sim_14_1?_encoding=UTF8&pd_rd_i=1540764788&pd_rd_r=c381e29b-0119-11e9-b077-351724338b6e&pd_rd_w=JK5bJ&pd_rd_wg=Kk0XO&pf_rd_p=ccdc1685-8b9b-4699-a8df-1a483d390f11&pf_rd_r=M29G8WKHHWS5XDR2SJBJ&psc=1&refRID=M29G8WKHHWS5XDR2SJBJ
上記動画の中で、EUの金融独裁支配の下、フランス国民が大きく3分裂しつつあること、その亀裂が大きくなっていることが説明される。(この3分裂については、すでに別の人物 Christophe Guilluy (地理学者) による研究分析があり、それに拠っていると、動画冒頭で断りがある。)
https://www.amazon.fr/Fractures-fran%C3%A7aises-Christophe-Guilluy/dp/208128961X/ref=sr_1_4?s=books&ie=UTF8&qid=1544954670&sr=1-4&keywords=christophe+guilluy
三つのグループのうち、EUの金融独裁・新自由主義体制の下で、利益を得ているのは第1と第2のグループ。
第1グループは、現在のフランス語(俗語) で「ボボ」bobo と呼ばれる人々。(この語は「ブルジョワ-ボエーム [ボヘミアン]」の略。) 多くは高学歴・高収入の人々。新自由主義者だが思想は左翼的で、自分たちの「使用人」たりうる移民を歓迎する。現在の欧米のメインストリームメディアや、官僚組織、金融界、ビジネス界など、要するにEUの「支配層」にいる人々。居住地はパリ等の大都市(不動産価格の高い地区) で、地方にはバカンスや休暇のためにしか行かない。(地方で暮らす人々の生活には無関心。) グローバリズムによる社会経済変化の「勝ち組」。
(※「左翼的」というのは他の情報源による私の加筆。動画にはない語。「移民に寛容」というほどの意味。以下同様。私の加筆と解釈あり。)
第2のグループはやはり都市部やその周辺に住む人々で、旧植民地からの移民が多い。第1のグループの「使用人」のような立場。第1グループ相手のサービス業に従事。低賃金ではあるが雇用があり、様々な補助金(社会的扶助) をもらうなど、今の体制で「利益」を得ている人々。(例えば移民家族に支払われる手厚い子供手当や住宅手当、医療保険もそれに含まれる。)
第1グループの「ボボ」は、自分たちが牛耳る国家予算を第2グループの住民(主に移民)にふんだんにばらまく。
(※動画では語られていないが、移民系による犯罪やテロの対策費用も、低学力児童の補習授業費用も、これと同種の支出になろう。)
この必要な国家予算を社会のどの部分に課税するかが、問題である。(因みに、公表された別の情報源によれば、燃料税の値上げは2030年まで続くことが規定路線である。)
第3のグループは、第1、第2のグループよりも不便な田舎に住む人々。人口比でフランス国民の約半分を占めるが、社会の周縁に追いやられてきた。20年来、地域全体で病院・学校・公共交通サービスは悪化している。人々には家賃の高い大都市に住めるだけの資力がない。仕事も家の近くにはなく車で通勤せねばならない。燃料税の値上げは死活問題である。
EU(シェンゲン協定)による東欧等からの低賃金労働力の流入による被害を最も被っているのもこの人々。東欧だけでなく、既に入国しているアフリカ系移民も爆発的な人口増加をするから、社会保障費の負担額は上がり、人口圧力のためフランスの失業率が下がることはない。
最もひどい犠牲者は「農民」だろう。かつてフランスは「農業国」であったが、今は農業で生活を立てることはできない。農家の平均月収は350ユーロ(約4万5千円)。倒産・失業・自殺が相次いだ。経営的に成り立たないので、残っている農家は「補助金」をもらってようやく存続している。日銭稼ぎの仕事をするにしても、農村には低賃金労働しかない。
そして今回の「黄ベスト運動」の中心は、この第3のグループである。
つまり「黄ベスト運動」の中心は、イギリスのBrexit 支持層と同じだということ。 トランプの支持層とも重なる。
上記動画の話者は、これは「階級闘争」ではない、と述べている。
どこにでも行けるグローバリスト(高給取りのボボ)と、自分たちの生活圏の中で昔通りに暮らしたいと願う人々との間の「文明の対立」のようなものだ。ただし両者相互に接点のない対立関係である。しかもボボは他国のボボとは共感し合うのに、自国の地方に住む住民に対しては「軽蔑」を隠さない。(その代表がマクロンである。)
「黄ベスト運動」の中で掲げられる三色旗と「ラ・マルセイエーズ」の歌声は、第3グループの人々による「絶望の叫び」だ、と話者は言う。(第1グループのボボも、第2グループの移民系も、基本的にフランスには執着しない。)
話者は、問題の解決には「税金の使い方」を明らかにすることが必要だ、と言う。誰が(働かずに) 利益を得ているか。ベルシー(財務省) はフランスを殺す機械になっているから、解体せよ、と。
また現在のメインストリーム・メディアが展開する言論統制のやり方を「オーウェル的全体主義」に喩えている。
(トランプ圧殺の手法を「黄ベスト」の「悪魔化」に使うかもしれない。)
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今月(12月)5-6日に行われた世論調査(Ipsos) で、「黄ベスト運動」に対する支持政党別の数字が出ている。
黄ベスト運動への賛同(共感) 率が最も高いのは、"極右政党"「国民連合」(党首マリーヌ・ルペン) の 90%。
次に高いのは、"極左政党"「不服従党」(メランション派) の 81%。
これまで既得権勢力として長期政権を担ってきた「共和党」(中央右派)と「社会党」(中央左派) の支持層は、
各々48% と46%が黄ベスト運動を支持。(つまり残りの半数は黄ベスト不支持。)
そしてマクロンの与党である「共和国前進」の支持層では、8割以上(83%) が黄ベスト運動に反対(不支持)している。
つまり、EUの金融独裁・新自由主義・国境を破壊するグローバリズム政治の支持層が黄ベスト運動に敵対し、それに反対する勢力が黄ベスト運動を支持している。
そして欧州のメインストリーム・メディアは、新自由主義と国境破壊(移民積極導入) に反対する勢力に対して「極右だ」「ネオナチだ」と宣伝大攻勢をかけ続けている。メディア自体が、EUの金融寡頭制勢力の手中にあるからだ。マクロンは、このEU金融独裁・新自由主義勢力が押し立てて大宣伝をして大統領に仕立て上げたパペット、操り人形にほかならない。国民の多くがそれを認識し始めており、ネット(民衆の発信媒体)上 では「金融(フィナンス) 」「オリガルヒ」の語が頻繁に使われるようになっている。
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ちなみに、来年5月に行われる欧州議会選挙を前提とした世論調査(Ifop)(今月7日付)では、支持率首位は「国民連合」(党首マリーヌ・ルペン="極右") で、24%。これに対し、マクロン与党である「共和国前進」(="右翼") の支持率は 18%。
因みに、他党の支持率は各々次の通り。
共和党(中道右派=保守本流="右翼") 11%
不服従党 (メランション派="極左") 9%
立ち上がれフランス (="右翼") 8%
EELV(エコロジスト) (=左寄り) 8%
社会党 (分裂後、="左翼") 4.5%
ジェネラシオン.s (社会党から分裂)(="左翼") 3.5%
共産党 (="極左") 2.5%
他、略。
※"右翼", "左翼", "極右", "極左" 等の呼称は、おおまかに現在のフランスのメディアの基準に従う。単に勢力図を俯瞰する際のモノサシのようなもので、絶対性はない。各々「政策」を基準に判断すればよい。
(なお、マクロンは当初「右翼でも左翼でもない」を標榜していたが、その後メディアの中には "右翼" と評価を変えたところもある。)
かつて政権を担ってきた大政党や社会運動を先導してきた政党は、ほぼ消えたか、消えつつある。(特に社会党と共産党の凋落は甚だしい。)
「黄ベスト運動」が新政党を創るという噂も流れている。
どこに注目すべきか、何を判断基準にすべきかというと、基本的に「EU」問題。EUの通貨体制と経済財形政策、そこにおける国民主権の問題。新自由主義とグローバリズムに対する態度。
なお、この投稿冒頭に引用した話者は、上記の諸政党の中で「立ち上がれフランス」に近い人物である。
私の予想としては、EUはこのままでは存続できないし、存続させてはならない。ピープルは「ノー」を突きつけている。
加盟諸国への「締め付け」を放棄して「ゆるい連合体」として生き残り、通貨ユーロを各国の選択肢ないし単なる通貨としてのみ残すなら、移行は緩やかに進むだろう。
しかし頑なに「金融独裁」を強めれば、欧州は「破裂」する。
かつて王権が自己の特権にしがみつき、改革を拒み、断頭台に消えたように。
「革命は税金から」が歴史の教訓である。
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