http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/723.html
Tweet |
「ファーウェイショック」が今後の米中関係に与える深刻な影響 世界経済の下方リスクも高まった
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58887
2018.12.10 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
ここへ来て、米中間の貿易戦争が激化する懸念が高まっている。注目すべき点は、対中交渉の責任者が穏健派のムニューシン財務長官から、強硬派のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に移ったことだ。この責任者交代は、金融市場の市場参加者を大きく混乱させた。
追い打ちをかけるように、中国のIT大手、ファーウェイの副会長兼CFOが米国の対イラン制裁違反の疑いでカナダ当局に逮捕された。ファーウェイは中国のIT先端技術振興のけん引役であり、中国の先端技術を担う経済の本丸だ。その企業に米国の捜査の矛先が向かうことの意味は大きい。
米国内で高まる対中強硬姿勢
12月1日の米中首脳会談後、一旦は米中が貿易戦争の激化を避けるとの見方が広がった。特に、中国が米国から1.2兆ドル(約113兆円)超の輸入拡大に取り組むとの発表を受けて、多くの市場参加者は、米中が衝突ではなく妥協点の探り合いを進めたとの見方を強めた。そのため3日の金融市場では世界的に株価が上昇した。
また、2019年1月1日から米中が貿易戦争を休止し90日間の協議を行うとクドロー国家経済会議(NEC)委員長が発表した。同氏は、ムニューシン氏と並ぶ対中穏健派だ。しかし、その直後にホワイトハウスが12月1日から90日間が協議期間であると訂正した。この背景には、ライトハイザー氏やナバロ国家通商会議委員長の意向があったようだ。
今後、米国の責任者はライトハイザー氏が務める。同氏が問題視するのは、中国の知的財産の侵害などが米国の安全保障を脅かしているということだ。突き詰めていえば、強硬派は中国のIT先端技術振興政策である“中国製造2025”をやめさせたい。間髪おかずに制裁関税をかけて中国を追い詰めたいというのが強硬派の発想だろう。
また、協議期間が訂正されたことを見ると、トランプ大統領や政権ブレーンが、対中強硬派の主張を抑えることが難しくなっている可能性がある。その見方が正しいとすると、今後の貿易戦争の激化は避けられないだろう。4日以降の世界的な株価下落の背景には、そうした不安を抱く市場参加者の増加があったと見る。
米国の本気度を示すファーウェイショック
12月1日、ファーウェイの孟晩舟副会長がカナダ当局に逮捕されていた。首脳会談の時点でボルトン大統領補佐官はこの事実を把握していた。会談時点で、米国の対中強硬策はかなり固まっていたと考えるべきだ。今後、この姿勢は一段と強まるだろう。なぜなら、ファーウェイは中国製造2025のけん引役だからだ。同社は中国政府にとって欠かせない。
今後、カナダから米国へ孟副会長が引き渡され、ファーウェイが対イラン制裁の回避を企図していたことなどの捜査が進む可能性がある。その上で、米国はZTE同様、ファーウェイに制裁をかける展開が考えられる。ファーウェイは通信基地の分野では世界トップ、スマートフォンでは世界第2位のIT企業である。
すでにオーストラリアなどは、サイバーセキュリティーを理由に、次世代通信(5G)分野へのファーウェイ参入を禁止した。今後、制裁発動への警戒などを理由に、同様の対応をとる国は増えるだろう。実際に制裁が発動されれば、ファーウェイは米国のIT先端技術にアクセスができなくなる。
ファーウェイ副会長の身柄拘束は、覇権を争う米中の対立構造が一段と鮮明化したというショックを世界の金融市場に与えた。90日間の協議で米中が歩み寄る展開はかなり想定しづらくなった。目先の中国経済にはかなりの下押し圧力がかかる恐れもある。同時に、米国経済への懸念も増し、世界経済の下方リスクは従来以上に高まったと見る。
「ファーウェイショック」が今後の米中関係に与える深刻な影響 https://t.co/3GlSnXXerf #マネー現代
— Safran(サフラン)@FX (@eliotsky) 2018年12月10日
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。