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(回答先: ロシア疑惑捜査 有罪認めた元トランプ氏補佐官に実刑求刑せず ロシア疑惑なければ支持率75%?大統領ハラスメントと捜査非難 投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 07 日 19:56:59)
米国で進化を続ける「テック・ジャーナリズム」の正体
NY在住のジャーナリスト津山氏が講演
2018/12/07
中西 享 (経済ジャーナリスト)
(AdrianHancu/Gettyimages)
ニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子氏が12月3日、日本記者クラブで「ジャーナリズムとAI 米国メディアの戦い」と題して講演した。その中で「トランプ氏が2015年に米国の大統領選挙に出馬表明してからメディアと政治をめぐる状況が一変、(メディアは)AI(人工知能に)に注目する動きが出ている。新聞やケーブルテレビのニュース番組の視聴率が上昇する一方で、トランプ大統領のメディア攻撃が繰り広げられ、メディアに対する『ダーティーウォー(汚い戦争)』が起きている」と指摘した。
また、本物かどうか見分けがつかないAIを使ったディ−プフェイク(Deep Fake)が増えていることに対しては「常に批判的に考えて、疑ってかかることが重要だ」と強調、伝えるメディア側がテクノロジーを駆使した対策を練るべきだと述べた。
津山 恵子(つやま・けいこ)氏 1988年に共同通信社に入社、2003年から06年までニューヨーク特派員、06年に退社、その後、米国の政治、メディア、教育事情などをフリージャーナリストとしてリポートしている(写真・日本記者クラブ提供)
津山氏の主な講演内容は以下の通り。
テレビは「トランプ景気」
いま米国にはテレビ業界で「トランプ景気」が起きている。ケーブルテレビのニュース番組の視聴率が上昇、新聞社の有料デジタル購読者数が急増している。ニューヨークタイムズで見ると、2011年にデジタル版を有料化してから15年に100万人を超え、その後も順調に伸びて、18年の第3四半期現在、254万人に増えている。デジタル版の購読料金は1カ月16ドル(約1800円)で、私も購読している。
トランプ大統領が「メディアを一方的に攻撃し、ジャーナリストは『国民の敵』だ」と何回も言うようになり、最高裁判事の候補のカバノー氏の学生時代の女性暴行問題の公聴会(9月27日)は、2000万人がテレビで見た。このほかFBI長官が「Fired」(首)になるなど、視聴者にとって「役者揃い」となったため、テレビの視聴率が上昇した。視聴者数が最も多いのがトランプ大統領寄りの報道をしているフォックスニュースで、プライムタイムの視聴者数が720万人、次に多いのがリベラル派のMSNBCの320万人、3番目が日本で馴染みのあるCNNで190万人。
圧倒的なフォロワー数
トランプ大統領のメディア攻撃に対して、ボストンにある老舗新聞社ボストン・グローブが8月16日に全米の報道機関に対して、社説を一斉に書くという呼び掛けをした。「大統領のやり方は報道の仕事を弱体化、非合法化し、危険にさらしさえする。計算され、一貫した方針を持つように見える初めての大統領だ」と指摘、トランプ政権のやり方がいかに危険かを1面トップの社説で訴えた。これに対して、ニューヨ−ク・タイムズをはじめ全米の450社の報道機関が同調したが、わずか1日だけにとどまった。
一方、トランプ大統領のフォロワー数は約5600万人といわれ、その半数がロボットによるものだとも言われているが、そうだとしても2800万人が大統領のツイッターを見ていることになる。ツイート数は09年3月から3万9800件で、1日当たりのツイート数が11〜12件ある。これまでの米国大統領でフォロワー数が最大だったオバマ前大統領でさえ800万人だったこと、ボストン・グローブによる1日の反論と比較して、トランプ大統領のツイート発信による国民への影響力の大きさは比べ物にならない。
AIの活用が進む
米メディアは、広告収入の減少、デジタルコストの上昇といった問題を抱えて、デジタル化の先にあるAIを進めざるを得なくなった。米国の通信社APでは、15年に「AP2020」という20年までの中期経営計画を立ててAIによる仕事の自動化を進展させた。18年の目標は、異なるタイプのニュースを効率的に、情報の信ぴょう性を速く確認して記事の信頼性を上げる。機械学習により、記者がビッグデータを使い、分析と速報の両面を強化し、ビデオを拡充するーなどで、1年ごとに課題を解決しようとしている。
具体的には、14年からAIを活用して株式、4半期ごとの決算発表、スポーツ記事などの自動化を進めた。それまでは4半期の決算原稿を300本出していたのが、3700本も出せるようになり、記事のエラー率は4%まで下がったという。
私もニューヨーク特派員時代に決算原稿を処理したが、確認などに時間が掛かり手間と労力を取られていたので、自動的に記事が出来上がるこのソフトができたことは画期的なことだと思った。
ツイッターからネタを見つける
通信社のロイターはツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を活用している。1日7億本にもなると言われるツィートの中から記事になりそうなネタを見つけてくれるロボット「TRACER(トレイサー)」を導入、ニュースのランク付けから、事実かどうかの確認までしてくれる。
これを使ってロイターはどのような成果が出たかと言うと、50以上のニュースで世界の通信社の速報に8〜60分の差をつけることができたという。具体例では、16年4月14日の午後9時26分(日本時間)に発生した熊本地震では、発生から10分後に速報を打つことができた。このほかスペースXの打ち上げた「ファルコン9」ロケットの爆発や、英国で起きたマンチェスター・アリーナの自爆テロでもロイターの速報は世界の通信社の中でも最も速かったのではないか。このようにツイッターの中から記事を拾えるようになれば、事件事故の現場に記者がいなくても、事件、事故の記事を作ることができる。こうすることで、APやロイターはいままでよりも速く正確な記事を送信し、記者は情報の分析、取材の時間を取れるようになる。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)では、95年からオンラインでの記事購読を有料化した。契約した人を購読者とは呼ばずにオンラインメンバーと呼ぶようになり、編集方針は「デジタルファースト」になった。「WSJ Plus」という富裕層を対象としたメンバーになると、大手企業のトップと食事ができ、ワインのテイスティングなどのイベントに参加できるなど、差別化をすることで契約を増やそうとしている。
ハッキングに危機感
今後はAIを使ったフェイクニュースが増えていくのは確実だ。怒りや不安をあおるような偽記事・偽広告は感情に訴えるせいか、普通の記事よりも多くリツイートされる傾向がある。顔のすり替えや音声を変えるなどすることが行われており、メディアの側にも強い危機感が生まれている。
WSJではフェイクニュースが増加していることに対して「この1年半が勝負」だとして社内にフェイクニュースを出さないようにタスクフォースを立ち上げ大学などとも連携して記者教育を行っている。また米国議会の中にも超党派でディープフェイクを排除しようという動きもある。
顔のすり替えや音声の変換などができるソフトは、アドビやIBMなどのソフト会社が販売しているので簡単に手に入る。だましてやろうというハッカーたちに使われる恐れがあり、こうしたハッキングは民主主義の危機になるとみている。
では本物かどうか見分けがつきにくいディープフェイクと呼ばれる偽ニュースにどう対処すればよいのか。常に批判的に考える、疑ってかかる、取材源に当たる、質問するといった伝統的な手法で確認することが大事だ。さらに、グーグル検索をフルに活用する、ビデオはスローダウンして写っている人間の瞬き、光の具合、ぼやけなどを点検することなども必要だ。災害や飛行機事故の現場写真の場合は、偽の写真が使われた事例が多くあるので、特に疑ってみることが肝心だ。写真などで細工されたフェイクニュースを見破るAI技術も確立されていくので、そうしたものも使っていく必要があるのではないか。
新しいテクノロジーを取り入れる
メディア業界で、デジタルの時代になって、フェイスブックが保有する個人情報の大量流出など、社会全体に大きな影響を与えるような、民主主義の在り方を問うようなスクープが増えている。これまでは1年に1、2本しか出てないような影響の大きい記事が出てきており、複数のメディアがチームを組んで調査報道をするスタイルも始まっている。
AIが導入されると、仕事が奪われるという危機感には同感できるが、そういう捉え方ではなく、トランプ政権によりメディアが侵略される前に何か手を打つ必要があるのではないか。そのためには、AIなど新しい技術を使っていくのが良いのではないかと思う。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14708
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