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◆プーチンの無茶ぶり◆
9月に露ウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」での、プーチンによる唐突な無条件での日露平和条約締結のオファーに対し、安倍総理は流石に無条件は避けるものの、前のめりの姿勢で臨んでいる。
当然ながら日本の報道と世論は、果たして北方領土が何島返ってくるのかに焦点が当たっている。日本としては4島一括返還が予てからの国是ではあるが、歯舞・色丹の2島返還に加え、国後・択捉の2島について平和条約締結後の継続協議に持ち込むのが現実問題としてのリミットとなるだろう。
さてその場合に一番のネックとなるのが、返還された島に米軍施設が設置されるか否かである。2島の場合、北海道本島に施設を設置するのと軍事的に実質的な差異はないが、プーチンとしてはロシア国民に対する面子を保つためにも絶対に譲れない線である。
このため、それについての日米露間での同意なしでは、2島も返ってくる事はない。しかし、全てが上手く運んで2島+アルファとなったとしても、ましてや2島で打ち切りになった場合には特に、国是であった4島一括返還から遠く離れることになる。その上プーチンからの請求書にどの位の額が書き込まれるかも不明だ。
◆国運を掛けて◆
それゆえ、この時期に敢えて日露平和条約を結ぶのは、いわば「日米露三国同盟」への布石でなければ意味がない。
即ちプーチンは中国との「不信同盟」を捨てて、トランプは米国内の反対勢力を抑え、日本を触媒として、将来の実質的な三国同盟(少なくとも協商)関係への方向性を打ち出せるかが、今回の日露平和条約の是非を分けると筆者は考える。
第一の軍事大国の米国が、第三の軍事大国であるロシアと結び、第二の軍事大国である中国を抑える。重ねて、第一の経済大国である米国が、第三の経済大国である日本と結び、第二の経済大国である中国を抑える。古来、勃興する挑戦者に対する勝利の方程式は自明である。
今の中国は、その人権、領土、経済に対する無法ぶりと影響力を考えれば、嘗てのナチスドイツに匹敵し、習近平は巨大市場を抱えた現代のヒトラーである。いわば大悪魔である習近平に対するには、現状の覇権国の主トランプが中悪魔であるプーチンと組む以外にないのが、国際秩序の現実である。またそうでなければ、恐らく日本の安全保障も保てないだろう。
奇しくも冒頭の「東方経済フォーラム」でのプーチンによる唐突な、無条件での日露平和条約締結のオファーは、安倍総理に対し習近平を挟んで行われた。プーチンとしては、「三国同盟」は恐らく視野に入っているだろう。しかし、日本が乗って来なければ中国からの侵略リスクを抱えつつ「中露不信同盟」を続けざるを得ず、それをバックに習近平は南沙諸島略奪等々を背後の守りを憂うことなく続けられる。
トランプは、ペンス演説によって国家第一の敵は中国であるという認識が国民にも芽生えつつあると言え、ロシア・ゲートにより身動きが縛られている。
日本は、これらの情勢を見極め、或いは自ら情勢を作り出しながら、国運を掛けて日露平和条約交渉に臨まなければならない。
(一部敬称略)
http://blog.livedoor.jp/ksato123/
- Re: 日露平和条約は「日米露三国同盟」への布石でなければ意味がない。 佐藤鴻全 2018/11/29 16:44:32
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