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ボウソナロ: マスコミが作り出した怪物
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2018年11月 8日 マスコミに載らない海外記事
Jonathan Cook
Global Research
2018年11月1日
週末、ブラジル大統領選挙でのジャイール・ボウソナロの勝利で、欧米エリート支配層の中の悲観論者がまたもや、勢いよく活動している。彼の成功は、ドナルド・トランプの成功と同様、長年の偏見を強固にした。民衆を信じることはできない。力を与えられると、彼らは原始的衝動で突き動かされる群衆のように振る舞うのだ。今や、無知な大衆が、入念に作り上げられた文明の壁を破壊する恐れがあるのだ。
現状の守護者連中は、トランプ当選の教訓から学ぶことを拒否しているが、ボウソナロについても拒否するだろう。自分たちの専門領域だと主張する知的分野で活動するのではなく、欧米“評論家”や“専門家”連中は、またしても、一体何が、我々の民主主義とされるものを、新人デマゴーグ連中が跋扈する暗闇に追いやりつつあるのかを理解する助けになるような、あらゆるものから目を背けている。その代わり、相変わらず、もっぱら、ソーシャル・メディアのせいにされている。
明らかに、ソーシャル・メディアと偽ニュースが、ボウソナロが投票箱で勝利した理由だ。“出版・報道の自由”の利用を制限する門番がいない、億万長者や世界的大企業にとっての守るべきブランドと利益があるおもちゃで、烏合の衆が、生来の偏見を自由に表現できるようになったのだと言われている。
タイムズ・オブ・ロンドン元編集者で、現在ガーディアンにコラムを書いているイギリスのベテラン門番シモン・ジェンキンズが、ボウソナロについてご高説を垂れている。
“開かれた民主主義の擁護者たちにとっての教訓は明白だ。その価値観を当然のものとして受け入れることはできない。議論が管理されたマスコミや裁判所や組織を通さなくなると、政治は暴徒化する。かつて世界協調の媒介として称賛されたソーシャル・メディアが、ウソと怒りと憎悪の広め役になっている。そのアルゴリズムが世論を二極化させている。そのエセ情報が議論を極端へと押しやっている。” |
右翼の権化であれ、リベラル-左翼を装うガーディアンのような変種であれ、これが今や、商業マスコミの基本的合意だ。人々は愚かで、我々は、連中の粗野や本能から守られる必要がある。ソーシャル・メディアが、人類の本能的衝動の源、イドを解き放ったのだと主張されている。
金権支配を売り込む
ジェンキンズの主張には、たとえ、それが彼が意図したものでないにせよ、ある種の真実がある。ソーシャル・メディアは、実際、普通の人々を解放した。現代史上で初めて。人々は、公式の、政府公認情報の単なる受け手ではなくなった。目上の人々から言いつけられるだけでなく、口答えできるようになった - しかも、かならずしも、マスコミが期待しているほど、うやうやしくはなく。
古い特権にしがみついているジェンキンズや彼のお仲間は正当にも狼狽している。彼らには失うべきものが多々あるのだ。
だがそれは、彼らが現在の政治的舞台の冷静な観察者からはほど遠いことも意味している。彼らは現状に、地球を支配している大企業のための報酬の高い廷臣として、彼らを雇い続けている既存の権力構造に極めて多大な投資をしているのだ。
トランプ同様、ボウソナロは現在の新自由主義秩序を破壊するものではない。彼は新自由主義秩序最悪の衝動を強化したもの、又はエスカレーションだ。彼は論理的帰結だ。
我々の社会を支配している富豪連中は、その背後に説明責任を負わない自分たちの権力を隠すことができる、お飾り指導者が必要なのだ。利益第一の行為ではなく、死と破壊の戦争や人道的介入、経済が成長する中の天然資源の継続不可能な略奪、自由市場の公正な結果としてオフショアのタックス・ヘイヴンに隠される膨大な富の蓄積、経済危機をくい止めるため一般納税者の懐から資金を出す緊急援助、必要な緊縮政策として連中が画策したもの、その他色々を売り込める調子のいい営業マンを、これまで連中は好んできた。
特に、肌の色やジェンダーに基づくゲットー風の独自性の方が、階級より遥かに重要だという自分勝手な主張で、支配層エリートが我々を言いくるめた時代においては、口の達者なバラク・オバマやヒラリー・クリントンが、お気に入りの販売員だった。これは権限委譲を装う「分割して支配せよ」だった。今、ジェンキンズが嘆き悲しんでいる二極化は、実は、彼が実に忠実に仕えている、まさに商業マスコミそのものがかき立て、正当化したのだ。
ドミノ効果の恐怖
更に読む。目覚めるべき時: 新自由主義秩序は死につつある
懸念を公言してはいるものの、富豪と連中のマスコミ広報担当者は、トランプやボウソナロのような極右ポピュリストを、本物左翼のポピュリスト指導者より、遥かに好んでいる。支配層エリート権力の本当の基盤である階級特権を縮小したがっている社会主義者の一体化を主張する発言よりも、ボウソナロのようなネオファシストがあおる社会的分裂、連中の富と特権を守る分裂を連中は好むのだ。
ブラジル、ベネズエラ、イギリスやアメリカのどこであれ、本当の左翼は、警察や軍や金融業界、石油業界、兵器メーカーや商業マスコミを支配していない。まさにこうした産業と組織が、ブラジルでボウソナロを、ハンガリーでオルバーン・ヴィクトルを、そしてアメリカでトランプを権力の座につける地ならしをしたのだ。
ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァやベネズエラのウゴ・チャベスなどのかつての社会主義指導者たちが失敗する運命にあったのは、個人としての彼らの欠点ゆえにではなく、強力な既得権益集団が彼らの支配する権利を拒否したためなのだ。これらの社会主義者たちは、重要な権力のテコ、主要資源を決して支配できていなかった。当選した瞬間から、彼らの取り組みは内部からも、外部からも妨害されていた。
社会主義をアメリカに近づける種をまきかねない、大いに恐れているドミノ効果を阻止する手段として、連中の裏庭でのあらゆる社会主義実験を必ず失敗させると固く決めているアメリカエリート支配層と、中南米諸国のエリート支配層は密接につながっている。
マスコミや金融エリートや国軍は、中南米を改革しようと苦闘してきた社会主義政権の従僕であったことは決してない。大企業は、スラムの代わりの適切な住宅の建設にも、ボウソナロが更なる暴力で粉砕すると主張している麻薬密売犯罪組織に油を注ぐ貧困から大衆を引き上げることにも、興味皆無だ。
ボウソナロは、ルーラ・ダ・シルヴァやチャベスが克服しなければならなかったような、どのような組織的障害物とも決して直面しない。彼が“改革”を実施する際、彼の邪魔をする権力をもった人間は皆無なのだ。彼がブラジルの富のおいしいところを、大企業のお友達のために食い荒らすのを止める者は誰もいない。ピノチェトのチリでと同様、ボウソナロは、彼式の新ファシズムは、新自由主義と素晴らしい調和で暮らせると、安心していられるのだ。
免疫システム
もし皆様が、ジェンキンズや他のマスコミ門番による自己欺瞞の深さを理解したいのであれば、ボウソナロの政治的出世を、イギリス労働党の穏健な社会民主主義指導者ジェレミー・コービンのそれと対比願いたい。ソーシャル・メディアの役割、つまり、皆様方、大衆を嘆いているジェンキンズのような連中は、ボウソナロのような指導者を売り込む中でare also党官僚が彼のような人物を権力の座から遠ざけるために用意していた防衛手段を、彼が、はからずも、すり抜けてしまって以来、来る日も来る日も、逐一、三年間、コービンを傷つけてきたマスコミの合唱。
リベラルとされる守護者連中がこの攻撃を率いている。右翼マスコミ同様、あらゆる代償を払い、あらゆる口実を使い、コービンを阻止するという彼らの絶対的決意を示している。
コービンが労働党委員長当選した数日後、イギリス支配体制の声である、タイムズ紙が、イギリス軍司令官たちがコービン体制に妨害工作を行うことに同意したと警告する、名前を明かすのを拒否している将軍発言を引用する記事を載せた。この将軍は、まず軍事クーデターが起きるだろうと強く示唆した。
欧米民主主義の仮面を引きちぎるような、恫喝を行う必要な段階に至るとは、想定されていなかった。我々の見せ掛けの民主主義は、コービンのような脅威をずっと早くに殲滅するために防衛力が組織化されている免疫システムによって作られているのだ。
ところが、彼が権力の座に近づくや、右翼商業マスコミは、左翼指導者に対して利用される常套手段を使うことを強いられた。彼は無能で、非愛国的で、反逆的でさえある。
だが人体には、成功の可能性を高めるために様々な免疫細胞があるのと同様、商業マスコミにも、右翼の防衛を補完するためのガーディアンのようなエセ-リベラル-左翼工作員があるのだ。ガーディアンは、現代左翼の弁慶の泣きどころ、アイデンティティ政治を通して、コービンを傷つけようとした。反ユダヤ主義に関する絶え間ないでっちあげ非難は、コービンが、人種差別反対活動で何十年にもわたり、苦労しながら蓄積した功績をむしばむことを狙うものだった。
焼き畑式政治
コービンは一体なぜそれほど危険なのか? 彼が気品ある暮らしをする労働者の権利を支持し、大企業権力を受け入れるのを拒否しているためであり、我々の社会を他の形に組み換えることが可能であることを彼がほのめかしているためだ。彼が主張している計画は控え目で臆病でさえあるが、そうであっても、我々を支配している富豪階級や、そのプロパガンダ装置として機能している商業マスコミにとって、余りに過激すぎるのだ。
ジェンキンズやこれら大企業の速記者連中が無視している真実は、もしチャベスや、ルーラ・デ・シルヴァや、コービンやバーニー・サンダースの計画を阻止し続ければ、現れるのは、ボウソナロやトランプやオルバンだということだ。
大衆が民主主義に対する脅威なのではない。自らの富を更に増やすため、グローバル大企業エリートが体制を不正操作していることを益々多くの有権者が理解している
。我々の社会を二極化しているのはソーシャル・メディアではない。むしろ、はぎ取る資産が皆無になるまで地球を略奪する支配層エリートの決意が、憤りをあおり、希望を破壊したのだ。下層階級の人々の本能を解き放ったのは偽ニュースではない。変化が不可能で、権力の座にある誰も耳を傾けたり配慮したりしてくれないと感じている人々の欲求不満だ。
ソーシャル・メディアは普通の人々に力を与えた。ソーシャル・メディアが、普通の人々に、指導者は信じることができず、権力は正義に勝り、エリート支配層が儲けるためには、庶民の貧困が必要なことを示したのだ。彼らはこう結論を出したのだ。金持ちが世界に対する焼き畑式政治をできるのであれば、唯一の奥の手として、グローバル・エリートに対する焼き畑式政治をすることができるのだと。
トランプやボウソナロを選出した彼らは賢明だったのだろうか? そうではない。だが現状のリベラル守護者はそれを判断する立場にはない。本当の解決策を提示できていたはずの、権利を獲得し、前進させることができていたはずの、混乱し、自暴自棄で、幻滅している大衆に、道徳的指針を提示できていたはずの本物の左翼を弱体化させるのを、あらゆる商業マスコミが、何十年間も幇助してきたのだ。
ジェンキンズは、大衆にその倒錯した選択について説教したがっているが、彼や彼が書いている新聞こそが、大衆の福祉を気にかける政治家、より公正な社会のために戦う人々、破壊されたものを修理することを優先する人々から、大衆を遠ざけているのだ。
既存の道徳とされるものの守護者としての自分たちの資質を強化するための絶望的で身勝手な望みから、欧米支配層エリートはボウソナロを非難するだろう。だが連中が彼を作り上げたのだ。ボウソナロは連中の怪物だ。
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Jonathan Cookは、マーサ・ゲルホーン・ジャーナリズム特別賞受賞者。著書には“Israel and the Clash of Civilisations: Iraq, Iran and the Plan to Remake the Middle East” (Pluto Press) や“Disappearing Palestine: Israel’s Experiments in Human Despair” (Zed Books)がある。彼のウェブサイトはwww.jonathan-cook.net。彼はGlobal Researchの常連寄稿者。
写真出典はTranscend Media Service.
本記事の初出はGlobal Research
Copyright Jonathan Cook、Global Research、2018年
記事原文のurl:https://www.globalresearch.ca/bolsonaro-monster-engineered-media/5658597
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