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アマゾンなどに「フェイク・レビュー」、英消費者団体の潜入調査で実態判明
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11151.php
2018年10月23日(火)11時04分 松丸さとみ ニューズウィーク
「フェイク・レビュー」が大手サイトで横行している… stockcam-iStock
<英国の消費者団体が、アマゾンにフェイク・レビューを投稿する活動をしているとされるグループに潜入し、実態を調査した...>
電化製品や本など何か購入する際に、オンラインでレビューを確認してから買うという人は多いのではないだろうか? 英国の消費者団体「Which?」(ウィッチ?)の調査では、オンライン・レビューを参考にする人と答えた人は97%に上った。しかし高評価だったのに買ってみたらガッカリしたという経験を持つ人は31%に達した。
実際の商品とは関係なく高評価をつけてメーカーから見返りを得る「フェイク・レビュー」がアマゾンなど大手サイトで横行している。そこでウィッチ?は、Facebookの「グループ」機能を使ってアマゾンにフェイク・レビューを投稿する活動をしているとされるグループに潜入し、実態を調査した。
ウィッチ?の調査員はまず、Facebookとアマゾンのアカウントを調査用に新たに開設した。Facebookには「アマゾン・ディールズ・グループ」と「アマゾンUKレビューワーズ」といったものを中心に、フェイク・レビューを書くグループが複数あり、合計で最大8万7000人が活動している可能性があるとウィッチ?は述べている。
グループではまず、企業が「レビューを書いて欲しい商品」を投稿する。メンバーは、商品を自分で購入する必要がある。レビューを投稿した際に「アマゾンで購入」というバッジを付けてもらうためだ。ポジティブなレビューを投稿したことが確認されると、ペイパルでメーカーから商品代が返金される。時にはプラスアルファの金額を支払ってもらえることもあるという。
ウィッチ?の調査員は、受け取った商品について正直に2つ星のレビューを投稿してみたという。するとメーカーから、無料で商品をあげるのだからレビューを書き直せ、という指示があった。別の機会では、3つ星レビューを書いたところ、5つ星に書き直さないと返金しない、と告げられたという。調査員はこれを拒否。結局、返金は受けられなかったとしている。
また、メーカーが「英国のレビューワーのみ」という募集の仕方をしていたため、他国でも同様の活動がなされている可能性があると調査員は指摘している。印象としては、「極東地域のメーカーが、アマゾンにレビューを書いてくれる欧米の消費者を求めている」ように見受けられたという。
ウィッチ?は、「売り手は、有料レビューを書かせて消費者を騙している」と指摘。今回の調査結果についてはFacebookとアマゾンにそれぞれ報告したという。
■「30%がフェイク・レビュー。無名の中国メーカーに関しては95%」
こうしたフェイク・レビューに騙されないようにする手立てはないのだろうか? ウィッチ?は、「星の数だけで判断せず、レビュー内容を読む」、「レビューが投稿された日付に注意」、「評価が5つ星と1つ星に分極していないか確認」などを挙げている。日付については、Facebookやその他のプラットホームでフェイク・レビューの募集などがあった場合、近い日付に集中する可能性があるためだ。
フェイク・レビューを見破るサイトもいくつか存在する。「fakespot.com」や「reviewmeta.com」は、商品ページのURLを入れるとレビューの信ぴょう性について分析してくれるサイトだ。残念ながら今のところ、前者は米国版アマゾン、トリップアドバイザー、アップルストアなどが対象であり、アマゾンの日本語版は対象外だ。後者は日本も含め複数地域のアマゾンに対応しているが、日本のアマゾンに掲載されている商品で分析できるのは現在のところわずか218品目だ。
米ヤフー・ファイナンスは8月、フェイク・レビューに関する記事の中で、Fakespot.comの創立者サウード・カリファ氏のこんなショッキングなコメントを掲載した。「アマゾンの全カテゴリーにおいて、全レビューの約30%がフェイク。中国の無名メーカーの商品となると95%がフェイクだと思う」。
アマゾンはこの数字を「盛りすぎ」とし、実際は1%程度だと反論している。しかしreviewmeta.comのトミー・ヌーナン氏はヤフー・ファイナンスに対し、現在アマゾンには2億個のレビューが存在し、これの1%でも200万レビューがフェイクということになると指摘する。
■フェイク・レビューの見破り方
ヤフー・ファイナンスの記事では、フェイク・レビューか否かの判断法を紹介している。最初のポイントは、プロフィールをチェックすることだ。プロフィールをクリックすると、その人がこれまでどんな商品にどんなレビューを残したかが見られる。その人が同じ日(または近い日付)で複数のレビューを投稿しており、似たようなコメントをコピペしているようであれば、疑わしいとしている。
また、正直な感想を読みたければ、2つ星や3つ星、4つ星のレビューに注目するように、と同記事は促す。企業は5つ星のレビュー求める一方で、競合が足を引っ張るためにわざと1つ星を投稿することもある。しかし2つ星〜4つ星が付けられているものは本物のレビューである可能性が高いという。
同記事はさらに、たった一言だけのレビューも怪しいとしている。というのもアマゾンのアルゴリズムで検索結果の上位に表示させるには、とにかくレビューの点数を良くすることだ。レビュー内容はそこまで重要でないため、「最高!」など具体性のないものである場合も多いという。
無料で提供された商品へのレビューも注意が必要だ。ヤフー・ファイナンスによると、2016年10月までは、レビュー内にその旨を明記する限り、メーカーが商品を無料で提供してレビューを書いてもらうという行為が許されていた。
現在これは禁止され、代わりに「Vine」という制度が登場している。これもメーカー側が無料で商品を提供してレビューを書いてもらうものだが、アマゾンを通じて行われ、「Vine」というバッジが付けられる。もちろんこれはフェイクではなく正当なレビューだが、ヤフー・ファイナンスは、タダでもらったものにはいいレビューを書いてしまうのが人間の性(さが)だと指摘。つまり、必要以上に高めの評価である可能性もある。
最後に、古めのレビューは信頼性が高いと説明している。アマゾンでフェイク・レビューが登場したのは比較的最近の話のため、カリファ氏は「2013年より前のレビューは信頼できる」としている(もちろん例外もある)。
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