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ロシアが再独立してから米国は軍縮の流れを反転させ、軍事的な緊張を高めてきた
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2018.10.22 櫻井ジャーナル
アメリカのドナルド・トランプ大統領がINF(中距離核戦力)全廃条約を破棄する方針を表明したという。アメリカは「近年、ロシアが条約で禁止された兵器を開発していると批判」しているとも言われているが、その「近年」は少なくとも2014年、アメリカ政府がウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行した年までさかのぼることができる。当時の大統領は言うまでもなくバラク・オバマだ。軍縮条約の破棄はジョージ・W・ブッシュ政権が2002年にABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約から脱退してから一貫したアメリカ支配層の方針だ。
ロシア政府はINF全廃条約の破棄を危険な行為だと批判しているが、勿論、危険だと思わせることがアメリカ側の目的である。アメリカは何をしでかすかわからないと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けるとリチャード・ニクソンは考え、イスラエルは狂犬のようにならなければならないと同国のモシェ・ダヤン将軍は語った。脅せば相手を屈服させられるとネオコンは信じている。こうした人びとは中国やロシアに対しても同じ手法を使うのだが、この両国には通用しない。そこで脅しはエスカレート、最終的には全面核戦争ということになる。
中国の北京でオリンピックが開幕、イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジージア軍が南オセチアを奇襲攻撃した2008年8月、アメリカとポーランドは防空システムをポーランドに設置することで合意しているが、ロシアの強い反発でこの計画は中止になった。
ポーランドは2010年7月に地上型SM-3(イージス・アショア)の設置で合意、ルーマニアが続いた。日本も購入することになっているこのシステムが使用するランチャーは攻撃型の巡航ミサイルであるトマホークと同じで、ソフトウェアーを変更すれば攻撃用の兵器になる。韓国へはTHAAD(終末高高度地域防衛)が強引に導入された。
ロシアや中国の国境周辺にアメリカはミサイルを配備しているわけだが、その意味は1962年にソ連がキューバへ中距離ミサイルを配備したときのアメリカ側の反応を考えればわかるだろう。
当時、ジョン・F・ケネディ大統領はキューバを海上封鎖したが、カーティス・ルメイ空軍参謀長などJCS(統合参謀本部)の強硬派は大統領に対し、即日ソ連を攻撃するべきだと詰め寄っていたという。(Martin Walker, "The Cold War," Fourth Estate, 1993)
1950年代にアメリカ軍やCIAの好戦派はソ連に対する先制核攻撃計画を始動させ、1963年の後半に実行するつもりでいた。ICBMでアメリカはソ連を圧倒できるという判断から立てられた計画。ソ連は中距離ミサイルで反撃するしかなく、そうしたミサイルをソ連が配備できる場所であるキューバを軍事的に制圧しようとした。それが1961年4月に実行されたピッグス湾侵攻作戦で、これはアメリカ軍の直接的な介入が想定されていた。これをケネディ大統領が止めたのだ。
ルメイの仲間にはJCS議長だったライマン・レムニッツァーも含まれ、偽旗作戦でキューバを軍事侵攻するという作戦を1962年に作成している。これもケネディ政権に拒否され、その直後にレムニッツァーは議長再任を拒否された。このレムニッツァーはNATO軍のトップになるが、これはイギリス軍の幹部の計らいがあったからだと言われている。
ルメイたちの考え方に従うと、アメリカ軍が行っているミサイル配備に対し、ロシアや中国は核戦争を仕掛けても不思議ではないということになる。イランや朝鮮の脅威に対抗するためだというアメリカ側の弁明は戯言に過ぎない。
地中海の真ん中にあるイタリアはアメリカにとって軍事戦略上の重要な国で、そこにはB61という核爆弾がある。その爆弾の貫通能力を高め、F-35に搭載できるように改良したものがB61-12。イタリアに配備する核爆弾をB61からB61-12へ交換されると伝えられている。
21世紀に入り、ウラジミル・プーチンがロシアを再独立させることに成功したことを受け、アメリカの支配層は軍事的な圧力を強めようとしてきた。INF(中距離核戦力)全廃条約を破棄はそうした流れの中で出てきた話だ。
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