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再び注目される日露島嶼紛争
人民網日本語版 2018年09月18日12:54
ウラジオストクで開かれていた東方経済フォーラムが先日閉幕した。ロシアのプーチン大統領は12日、露日の平和条約について、いかなる前提条件も設けずに締結し、両国間の紛争の交渉による解決を条約の中で定めることを提案した。日本側にとっては予想外の提案だった。日本の菅義偉内閣官房長官は同日、島嶼の帰属問題を解決してから平和条約を締結する日本政府の立場に「全く変わりはない」と強調した。人民日報海外版が伝えた。
プーチン大統領の提案によって日露島嶼紛争に再び注目が集まった。だが両国の領土紛争の解決プロセスや北東アジアの国際関係への影響があるかどうかは、今後の動向を見守る必要がある。
■溝の解消は困難 島嶼紛争は膠着
プーチン大統領は12日、第4回東方経済フォーラムの全体会合で日本の安倍晋三首相が演説した後に、双方が年内に「いかなる前提条件も設けずに」平和条約を締結することを提案。平和条約を先に締結することが、過去70年間の懸案を解決する助けになるとも強調した。
プーチン大統領が東方経済フォーラムでこのような提案をしたのはなぜか。
中国伝媒大学国際関係研究所の楊勉教授は、これについて、島嶼の領有権を頻繁に主張する日本に対するプーチン大統領の外交テクニックだと分析する。「プーチン大統領はボールを日本側に返したのだ」。
楊氏によると、プーチン大統領は「平和条約締結後に島嶼紛争を解決」を提案することで、今後の交渉に融通の余地を残して露日関係を維持するとともに、ロシア側の立場を堅持することを図った。この発言は、領土問題におけるロシアの立場がみじんも軟化しないこともはっきりと示した。
「プーチン大統領は、四島のロシア帰属は第2次大戦の結果であり、変更は許されないと再三強調している。ロシアは周辺の安全保障に重大な注意を払っている。アジア太平洋地域に対しては特にそうだ」。国際関係学院の孟暁旭教授は、四島の重要な戦略的価値を考えると、ロシアが簡単に全てを譲ることは断じてあり得ないと指摘する。
ロシアと対照的に、日本はこの提案のために受け身に陥る可能性がある。日本の国内世論は、経済的利益によって領土紛争解決の可能性を開く日本側の戦略はふいになる可能性が高いと考えている。「北方四島問題は日本国内ですでに深刻にナショナリズム化されており、歴代内閣はいずれも世論の圧力を恐れて融通を利かせようとはしてこなかった。安倍首相が融通を利かせる余地は小さい」と孟氏は指摘する。
■膠着は継続 なお見守る必要
安倍首相はロシアの提案を受け入れるだろうか。
楊氏によると、日本としては島嶼紛争が懸案のままで、今後の交渉で失敗する可能性がある中、平和条約を締結すれば、現在のロシア側の優勢を一層強めることになる。これに国内世論の圧力や個人的立場が加わるため、この問題で安倍首相が妥協することはない。「領土をめぐる日露の膠着は今後も続いていくだろう」。
露紙「独立新聞」によると、ロシア科学アカデミー極東研究所のワレリー・キスタノフ日本研究センター長は「私からすると、何らかの期限を設けることには全く意義がない。本質は、日本が必要なのは平和条約ではなく島嶼だということだ」と指摘した。
「四島問題で安倍政権は打つ手に乏しく、今後ロシアとの駆引きで依然受け身になるだろう」。孟氏は、日本ができる第一の事は、やはり自らの立場と主張を示すことだと分析する。菅官房長官は12日、島嶼の帰属問題を解決してから平和条約を締結する日本政府の立場に「全く変わりはない」と強調した。
「島嶼地域でロシアと開発協力を強化する、日露文化交流を発展させる、首脳外交を推進する、四島を日本の自然保護区に組み込むなどは、いずれも対応の選択肢であるとは言える。そうすることで日本の存在感を高め、交渉カードを増やすことができる」と孟氏は指摘する。
「だが日露の島嶼紛争は詰まるところ北東アジアの国際安全保障における不安定化要因であり、今後激化するかどうかは、それぞれの国内情勢及び国際情勢の変化を見る必要がある」と孟氏は補足する。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年9月18日
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