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ウイグル族を「QRコード」で管理する中国
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/qr.php
2018年9月12日(水)17時30分 ジェイカブ・ ルワンドウスキ ニューズウィーク
新疆ウイグル自治区のカシュガルで通行人の身分証をチェックする警察官。背後には治安部隊の姿が Thomas Peter-REUTERS
<新疆ウイグル自治区のイスラム系少数民族、ウイグル族に対する中国当局の人権侵害は有名だが、今度は住人把握のためQRコードが各戸に貼られたという>
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が9月9日に公表した報告書によれば、中国北西部の新疆ウイグル自治区では、イスラム教徒であるウイグル族の自宅にQRコードが設置されているという。
新疆ウイグル自治区の元住民はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、以下のように話している。「2017年春から、人が出入りするすべての家にQRコードが設置されている。設置後は、2日おきか毎日、役人が来てQRコードをスキャンする。その家の住人の人数が記録されているからだ。その頃から、家に来ている訪問者に対して、『なぜここにいる?』と質問するようになった。夜にも確認に来る」
スキャンすると住人の詳細情報が表示されるこのQRコードは、当局によれば人口管理用だという。元住民の話によれば、当局はQRコードに加え、DNAや声のサンプルも採取している。歩行パターンを記録するために、警察署内で歩くことまで強制されていると元住民は話している。
■DNAサンプルや虹彩データも
別の住民は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対して以下のように話している。「パスポートを申請したとき、DNAサンプルと虹彩スキャンデータを採取された。また動画も撮られた。字が読める人は新聞を読み上げるところを、字が読めない人は『歌を歌ってもいいし、作り話をしてもいい』と。異を唱えられる立場ではない」
ウイグルでは、およそ100万人のイスラム教徒が「政治教育センター」という名の収容所に入れられている。報道によれば、センターに収容された者たちは、みずからの宗教や民族的アイデンティティーを否定するよう強制され、中国の法律や政策を暗誦するよう求められる。指示に従わないと、24時間立ったままでいる拷問を受けたり、独房に監禁されたりするという。
中国外務省の耿爽報道官によれば、中国政府が目指しているのは「安定と発展、統一と生活を促進」すると同時に「分離独立主義と暴力的なテロ行為」を終わらせることだという。耿は問題の報告書に触れるのを避けたが、ヒューマン・ライツ・ウォッチについては「偏見に満ちている」と論評したと、ロイターは報じている。
新疆ウイグル自治区での取り締まりについて中国政府は、イスラム過激派が新疆の攻撃を計画しており、深刻な脅威だとして正当化している。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国部長ソフィー・リチャードソンは英インディペンデント紙に対して、「新疆における中国政府の人権侵害は、ここ数十年の中国で例のない規模に及んでいる」と述べた。「人権侵害を止めさせるためには中国に制裁を科すべきなのか。国連と加盟各国にとって、新疆ウイグル自治区での弾圧は重要な判断材料になるだろう」
(翻訳:ガリレオ)
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