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3回目の南北首脳会談「大胆な一歩踏み出す」韓国 ムン大統領〜「「…朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定につなげるための」と/nh
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/669.html
投稿者 仁王像 日時 2018 年 8 月 15 日 20:00:13: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

3回目の南北首脳会談「大胆な一歩踏み出す」韓国 ムン大統領〜「「…朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定につなげるための」と/nhk
2018年8月15日 11時52分南北首脳会談
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180815/k10011577411000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_006

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、朝鮮半島が日本の植民地支配から解放された記念日の15日、演説を行い、来月、ピョンヤンを訪問して3回目の南北首脳会談に臨むことについて「完全な非核化とともに朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定につなげるための大胆な一歩を踏み出す」として、米朝間で非核化をめぐる交渉が難航している現状の打開に意欲を示しました。

韓国のムン・ジェイン大統領は15日午前、ソウルで開かれた記念式典で演説し、アメリカと北朝鮮の間で非核化をめぐる交渉が難航していることを念頭に「北の完全な非核化の履行と、これに相当するアメリカの包括的措置が速やかに推進されるよう望む」と述べました。

そして、来月、ムン大統領がピョンヤンを訪問してキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と再び会談することで合意したことについて、ことし4月の南北首脳会談で両首脳が署名したパンムンジョム(板門店)宣言の履行を確認し、「朝鮮半島の完全な非核化とともに朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定につなげるための大胆な一歩を踏み出す」としました。

そのうえで「南北間にさらに深い信頼関係を構築し、米朝間の非核化対話を促進する主導的な努力もしていく」と述べ、3回目の南北首脳会談を通じた現状の打開に意欲を示しました。

さらに、ムン大統領は「完全な非核化と合わせて朝鮮半島に平和が定着すれば、本格的な経済協力が行えるようになる」として、国連などの経済制裁のもとでは実現が困難な南北の経済協力の再開も目指して、北朝鮮への働きかけを積極的に行っていく姿勢を強調しました。

ムン大統領「日韓協力は日朝正常化につながる」
ムン大統領は、15日の演説で日本については「安倍総理大臣と日韓関係を未来志向に発展させ、朝鮮半島と北東アジアの平和と繁栄に向けて緊密に協力することにした」と述べ、連携を強めてきたと強調しました。

そして、「その協力は、日朝関係の正常化につながっていく」として、日本と北朝鮮の関係改善にも期待を示しました。

ムン大統領は、去年の演説では、慰安婦と徴用工をめぐる問題について触れ、日本政府に何らかの取り組みを求める考えを示唆していましたが、ことしの演説では、そうした問題は取りあげず、日本に対して言及する部分は大幅に少なくなりました。

一方、ムン大統領は14日、ことしから新たに制定された「慰安婦をたたえる日」の式典に出席し、「日韓両国の歴史問題にとどまらず人類の普遍的な人権問題だ。外交で解決される問題だとも思わない」と述べ、2015年の日韓合意で慰安婦問題は解決済みだとする日本政府の立場とは一線を画す姿勢を改めて鮮明にしていました。  

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コメント
1. 2018年8月15日 20:37:56 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[9453] 報告
北朝鮮の完全な非核化を達成するため、米朝間の協議の迅速な進展を期待する
南北間の鉄道の連結について、年内に着工することを目指している
米国、中国、日本、ロシア、モンゴルを含めた「東アジア鉄道共同体」の結成を提案した。
南北境界地域に「統一経済特区」を設置することを目指すhttp://blogos.com/article/318163/

米国、日本は建設に参加するのかねぇ…
中国、ロシア、モンゴル、南北朝鮮は陸続きだけど。
とにかく中国の大都市(北京、上海、深セン(香港)広州、天津)とソウルを結びたいのだろうね。そしてそのためには必ず北朝鮮を通らなくてはならないし…

2. 2018年8月16日 00:20:17 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1317] 報告

中国、10兆円以上の北朝鮮支援を約束
混迷する朝鮮半島
習近平氏、中朝首脳会談で「米朝関係を改善してもかまわない」とお墨付き

2018年8月16日(木)
重村 智計


3度目の首脳会談に臨んだ金正恩委員長(中央)と習近平国家主席(右)(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)
 非核化をめぐる米朝交渉の潮目が変わった。明らかに、北朝鮮は「遅延作戦」を取っている。その背景にあるのは習近平国家主席の発言だ。平壌とワシントン、それぞれの中枢事情を知る複数の関係者が、習近平国家主席が「完全非核化は10年前後のちでいい」と、北朝鮮の金正恩委員長に述べたと明らかにした。

 また、中国は今後10年間にわたって総額10兆円もの支援をすると北朝鮮に約束した。

 北朝鮮の非核化について、習国家主席は「中朝首脳は何度も非核化で合意した。非核化は必ず実行してほしい」と求め、「10年前後の時間をかけてもいい」と伝えた。その理由として、非核化を短期間で実行しようとすれば、北朝鮮の軍部が反発し金委員長の指導力が不安定になることを指摘した。それゆえ、経済開発が成功し国内が安定した後でいいとしたわけだ。この中国の意向が、米朝の核交渉遅延につながっているようだ。

 習国家主席は9月9日の北朝鮮建国記念日に訪朝し、4回目の首脳会談を行うという。中朝首脳が、米朝の「完全非核化交渉」を遅らせ、日朝首脳会談の見通しを不透明にしている。

 習国家主席は、9月9日に行われる北朝鮮の建国70周年記念式典に出席し、中朝の関係回復を世界に示すという。習国家主席が訪朝するのは初めてで、緊密な中朝関係を国際社会に誇示すると同時に、北朝鮮国内の反体制勢力を抑えるため、金委員長への全面支持を印象付ける。

 マイク・ポンペオ米国務長官と河野太郎外相は8月4日、シンガポールで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムで、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相との会談を求めたが、短時間の立ち話で終わった。北朝鮮はこれを「会談」と認めなかった。金委員長が、李外相が日米外相と会談するのを認めなかったからだ。北朝鮮では、金委員長の許可なしに、政府高官同士が会談することはできない。

 北朝鮮の労働新聞(電子版)は8月6日、完全な非核化を実現するまで制裁を緩和しないという米政府と同議会の姿勢を激しく批判する論評を報じた。ただし、ドナルド・トランプ米大統領を批判するのは避けた。これは、米朝首脳会談の否定、さらには金委員長批判につながるからだ。北朝鮮は、指導者無謬説を前提にしているので、その業績は誰も否定できない。

日本からの経済協力を急ぐ必要はない
 北朝鮮が非核化への姿勢を変化させ、米政府を非難し始めたことについて、関係者は「中朝首脳会談が北朝鮮を変えた。ホワイトハウスは、首脳会談の内容を入手している」と明らかにした。中朝首脳会談で、習国家主席が「10年間で1000億ドル(約11兆円)の支援」を約束。必要なら、支援期間を20年間まで延ばすという。

 毎年1兆円以上に上るこの支援は、単なる資金援助にとどまらず、鉱山開発や企業による投資などを含むとみられる。中国は世界各地で展開する地下資源確保戦略を、北朝鮮でも展開する。

 だが、国連制裁決議が存続する限り、中国が全面的かつ大規模な支援を行うのは不可能だ。順調に支援が実行されるとは思えない。このため、石油の海上「瀬取り」など制裁の「抜け穴」を狙った支援が実行されている。中朝首脳会談後に活発化した「瀬取り」への追加制裁に中国が反対しているのはこのためだ。瀬取りの活発化は明らかに、中国政府の意向を反映した「石油支援」なのだ。

 北朝鮮は、この巨額支援があれば、日本から経済協力資金を引き出す交渉を急ぐ必要はない、と考えるだろう。すでに韓国との南北関係の動きも停滞している。習国家主席の約束が、日朝と南北関係に影響を及ぼしているわけだ。金委員長は、昨年の春頃までは拉致問題や日朝関係改善に取り組む姿勢を見せていたが、その思いは消失したようだ。

「トランプ再選はない」で一致
 習国家主席は、米中貿易戦争に関連して「トランプ大統領が2期目を務めるのは難しいだろう」との見通しで、金委員長と意見が一致したという。中朝首脳は、トランプ大統領の再選を助けないことで合意した模様だ。米中貿易戦争で、北朝鮮は中国に全面協力し、トランプ大統領を困らせる外交を進める。

 習国家主席はまた、9月の国連総会で演説し、国連制裁を解除するよう訴えるべきだと金委員長にアドバイスした。そうすれば、制裁緩和の雰囲気が生まれ、中国も支援を推進しやすくなると伝えた。だが、国連総会に出席すれば2回目の米朝首脳会談に応じざるをえなくなる。金委員長はなお検討している模様だ。

拉致問題の進展は期待薄
 日本の拉致問題について、習国家主席は金委員長に「拉致は日朝2国間の懸案で、米朝会談の議題ではない」と忠告した。このため北朝鮮は、米朝首脳会談の議題を調整したポンペオ国務長官に「拉致問題は議題にしない」との立場を示し、譲らなかったという。このため、米朝首脳会談で「拉致問題は話し合わなかった」というのが北朝鮮の公式の立場だ。

 こうした平壌の空気と金委員長の意向を受け、北朝鮮の高官は誰も「拉致問題解決」「日朝首脳会談」を進言できない状態にある。金委員長に直言できるのは、妹の与正(ヨジョン)氏と秘書室長の金昌善氏だけという。北朝鮮の高官は、秘書室を通してしか金委員長に報告・進言できず、面会もかなわないという。平壌のシステムも、金正日時代とは様変わりし、秘書室が全権を掌握している。

習氏「朝鮮は、何度も中国に裏切られた歴史を忘れないだろう」
 首脳会談での中朝首脳の発言は、にわかには信じがたい驚愕の内容だ。しかし、最近の北朝鮮の外交姿勢をみると、変化に至った背景と米中朝外交の「流れの変化」を十分に理解できる。

 トランプ大統領は、中朝が最初の首脳会談を行った直後に「中朝首脳会談後に、北朝鮮は姿勢を変えた」「完全な非核化に期限は設けない」「習近平国家主席は世界的なポーカーの名手」と発言した。また、ポンペオ国務長官も「交渉は長期化する」と、見通しを変えた。米国首脳陣による一連の発言は、中朝首脳会談の議事内容をホワイトハウスが入手した事実を、強く示唆している。あるいは、中国側が意図的にリークしたのかもしれない。

 習国家主席は、巨額の経済支援を約束した上で、「北朝鮮は中国の属国になることを心配するだろうが、そうしたことはしない。中朝の歴史関係を十分に理解している」と語ったという。「北朝鮮が中国に反発するのも理解している。北朝鮮は、何度も中国に裏切られた歴史を忘れないだろう」とも述べたという。

 そのうえで、「米朝の関係を改善してもかまわない。中国に隷属することなく独立を維持するために米朝関係を重要視する、という朝鮮の戦略を十分に理解している」との認識を示した。習国家主席が示したこの理解に、金委員長と幹部たちは心を動かされたという。


このコラムについて
混迷する朝鮮半島
朝鮮半島の動向から目が離せない。

金正恩政権が、核とミサイルの開発を続けている。
日本に対する核の脅威が刻一刻と高まる。

金正恩委員長の動向は、北朝鮮と周辺国との関係だけでなく、日米・日韓関係にも影響する。

韓国では文在寅氏が大統領に就任。
米韓と南北の距離感が大きく変わる可能性がある。

この変化をウォッチし、専門家の解説をお送りする。

3. 2018年8月16日 06:18:56 : maIBzYjaKk : WKNj51ZrpMo[1] 報告
>>2

重村智計氏の略歴や本のコメントから、どのような人物で信用にたるかを、みてみました。
と言うのは、「え、何でそんなことまで知っているの」「そんなにリークが満載かよ」みたいな印象があるからです。ニューズウィークにしばしばのる高英起氏と同じ印象があります。新しい本はないな、現時点の私の評価は、信用しないですね。

今回の>>2 引用記事からの問題提起となるのは
米朝会談の後、流れが止まっているのは
米国が変わったのか、北朝鮮が変わったのか
でしょうか 米国が変わったが明らかなんだがなー

上記を書いてから

重村智計氏はyoutubeにありますね
【右向け右】第208回 - 重村智計・東京通信大学教授 × 花田紀凱(プレビュー版)
https://www.youtube.com/watch?v=7d-z_H5EHLs

おやまー 画面だけ見て、却下ですね
念の為、対談相手の「花田紀凱」も検索
youtubeも、すっかり安倍応援団に乗っ取られているなー

結論
高英起 重村智計 花田紀凱 安倍応援団
あー、時間を無駄にした

4. 2018年8月16日 06:28:07 : maIBzYjaKk : WKNj51ZrpMo[2] 報告
3です くやしいので追記
重村智計氏のコラムを読み返しました
作文とすれば壮大な犯罪レベルの作文を書く人ですね 高英起氏とは一味違う(皮肉)
朝の貴重な時間が潰れてしまった
5. 2018年8月16日 11:23:17 : LiAK8mOVpk : JfLzxe_9T5I[781] 報告
>>3 >>4さん
朝の貴重な時間を割いて>>2に対する丁寧な解説とコメントありがとう御座います。
無駄な長文をただコピペするだけの荒らしコメントは迷惑ですね。
6. 2018年8月19日 22:32:04 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1327] 報告
トップニュース2018年8月18日 / 08:06 / 3時間前更新
焦点:韓国版ラストベルト、凋落の企業城下町を襲う失業と自殺
Hyunjoo Jin and Heekyong Yang
4 分で読む

[蔚山(韓国) 13日 ロイター] - 現代重工業で働くため、リー・ドンヒーさんが韓国南東部の港湾都市・蔚山(ウルサン)に移り住んだ5年前には、現代グループの企業城下町として栄えていた同地の造船所は昼夜を問わず稼働していた。

従業員も韓国平均給与の3倍を稼いでいたという。

だが、現在52歳のリーさんは今年1月解雇された。造船受注の急減によって、仕事を失った現代重工(009540.KS)の従業員や下請け企業関係者は2015年から2017年にかけて約2万7000人に上る。

リーさんの妻は家計を支えるため、現代自動車(005380.KS)の下請け企業で最低賃金の仕事に就いた。20歳の娘は、蔚山で就職することを希望して現代重工系列の大学に入学したが、今では違う土地での就職口を探している。

一家の境遇は、蔚山の衰退を映し出している。

かつての豊かな企業城下町は、中国との競争、人件費の上昇、そして現代グループへの過度な依存によって大きく揺らいでいる。現代グループは、韓国で大きな影響力を持つ「財閥」と呼ばれる同族経営のコングロマリットの1つだ。

リーさんのような現代グループの従業員は、数世代にわたり、朝鮮戦争(1950─53年)による惨禍からの復興と、製造業を中心とする工業大国への変貌を支えてきた。蔚山も2007年までには、韓国で最も富裕な都市になっていた。

だが、韓国の財閥は今や独りよがりで、リスク回避志向に陥っており、海外の競合他社に追いつけずにいる、と一部専門家は危惧している。

アジア第4位の経済大国である韓国が輸出を重視してきたことも、主要な貿易相手国における保護主義の台頭や外的ショックに対する自らの脆弱性を高めてしまった。

「現代は私にとって、すべてだった。もうお手上げだ」──。現代自動車の工場から10キロ圏内で、同社従業員に人気の高層マンション群にある自宅で、リーさんは吐息を漏らした。

韓国統計局によれば、若者が職を求めて流出しているため、蔚山は現在、国内で最も急速に高齢化が進んでいる。同市の人口は1970年以降4倍に膨れあがり110万人に達したが、2016年には、他地域では増加しているにもかかわらず、初めて人口が減少に転じた。

<韓国版「ラストベルト」>

蔚山が直面している課題は、多くの点で1970─80年代に米国中西部の都市が直面した状況とよく似ている。かつて繁栄した産業中心地から、大量の雇用と人口が失われた時期だ。

世界的な造船大手の本拠地であり、自動車関連産業が集まる主要拠点でもある蔚山は、今まさに韓国版「ラストベルト(赤さび地帯)」になりつつある、と一部の専門家と業界幹部は警告している。

「状況はもっと悪くなる可能性がある、現代とその下請けに頼りきりだからだ」と、ソウルにある延世大学のモ・ヨンリン教授(国際政治経済学)は語る。「他に支えるものが何もない」

伝説的な起業家だった鄭周永(チュン・ジュヨン)氏が、1967年に蔚山で現代自動車を創立。6年後には現代重工も立ち上げ、捕鯨で知られていた小さな漁村は、巨大な企業城下町へと変貌した。

数十年にわたってこの街には、高賃金や企業の補助付き住宅、潤沢な手当に魅せられた求職者が集まった。

現代グループの影響力は今も鮮烈に感じられる。現代のグレーの制服を着た従業員が現代製のクルマを運転し、現代百貨店でショッピングを楽しみ、社宅のマンションで暮らし、系列の病院で診察を受けている。子どもたちは現代系列の学校や大学に通っている。

業績低迷の影響に苦しむ現代重工は、英BPや米エクソン・モービルといった顧客企業の社員らのために使っていた、外国人向け大規模地域施設や社員寮などの売却を進めている。関係者によれば、こうした施設には、集合住宅やゴルフコース、プールや学校なども含まれる。

現代重工の広報担当者は、同社は「企業としての正常化」に向けて最大限の努力をしており、職不足と余剰労働力に対処するために労働組合とも協力していると強調した。

<自殺率が国内で最悪に>

現代グループの経営不振による影響は、蔚山全体に広がっている。

現代重工本社から数ブロック離れた、昔ながらの市場では、平日にもかかわらず市場は閑散としており、造船所の労働者向けの十数軒の飲食店や作業服店は閉店していた。

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「われわれのような商売にとっても、すべては現代次第だ。今は現代の経営が悪化しているから、こちらもやりくりに苦労している」と、この市場にある小さなそば屋を営むEom Soon-uiさんは語った。

税関データによれば、韓国の昨年輸出総額に占める蔚山のシェアは12%。これは2000年以降の最低水準であり、ピーク時の19%を大きく下回っている。

またここでは自殺件数も増加している。韓国統計局のデータによれば、25─29歳の自殺率が国内最悪となっている。

現代重工が経営する蔚山大学病院の職員によれば、自殺を試みた事例は182件に上ったという。前年は約150件だった。

蔚山市内に最近竣工した橋では客を降ろさないよう、警察からタクシー運転手に指示が出ている。ここ1カ月で3人がその橋から投身自殺しだからだ。

「一生懸命働けば生活が楽になり、子どもたちが真面目に勉強すれば豊かな人生を送れる。そう皆が信じてきた」と蔚山の自殺予防センター職員パク・サムソンさんは語る。「だが、違う現実に直面して、彼らの多くが希望を失ったようだ。中には、最悪の選択をしてしまう人もいる」

<国内では最強、海外では衰退>

造船部門で多数解雇されたことを受け、自動車部門の労働者は、次は自分たちの番ではないかと恐れている。

Hyundai Heavy Industries Co Ltd
103000.0
009540.KSKOREA STOCK EXCHANGE
-500.00(-0.48%)
009540.KS
009540.KS005380.KS
現代自動車はすでに一部の生産拠点を海外に移転しており、ロイターが閲覧した社内予測によれば、国内生産比率は、2004年の約80%から、今年は37%に下がると見込まれている。

国内での人件費高騰と強力な労働組合を考えれば、これは必要な変化だと企業幹部は指摘する。

だが労働者側は、現代グループが抱えている問題の多くは自業自得だと主張。主要市場・米国におけるスポーツタイプ多目的車(SUV)ブームを予測できなかったことや、電気自動車にシフトする業界の波に乗れなかったことなどを挙げた。

現代自動車はコメントしなかった。同社は今年に入り、今後5年で4万5000人をグループ全体で採用し、「ウェアラブル・ロボット」や人工知能などの新規事業に大きな投資を行うと約束している。

とはいえ、少数の強力な財閥への依存が、韓国経済の足を引っ張っていると一部の専門家は警鐘を鳴らしている。

財閥上位10グループが生み出す収益の総計は、2017年の韓国国民総生産(GDP)の66%に相当する。対照的に、フォーチュン誌の昨年調査によれば、米国では、上位500社による収益の総計が、同国GDPの65%に相当している状況だ。

「わが国の財閥は自己満足に陥っていた」と語るのは政府系金融機関である韓国産業銀行の李東傑(イ・ドンゴル)総裁だ。国内で享受しているほぼ独占的な環境によって、財閥グループはリスクを取ることを嫌がり、イノベーションが遅れたという。

海外主要市場での不振を背景に、韓国の輸出増加率は、昨年の15.8%から、今年5.3%に、そして来年には2.5%へとさらに減速することが見込まれている。

<消えた楽園>

これは、蔚山を筆頭とする同国の輸出拠点で、さらに苦痛が増すことを意味する。

文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領は5月、蔚山を含めたいくつかの都市を「産業危機地域」に指定。労働者・サプライヤーの支援と新規産業育成に向けて、今年1兆ウォン(約985億円)の予算を計上している。

文大統領は、財閥中心の経済政策は限界に達しており、持てる者と持たざる者の格差を拡大している、と指摘。

「革新的成長」を掲げた新政策の下、韓国政府は燃料電池や自動運転車、「スマート工場」、ドローン、さらには人工知能やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータといった分野に向けた投資を推進している。

現代グループに勤務するベテラン社員たちは、こうした新政策の恩恵を感じていないと語る。

現代重工を解雇されたリーさんは、住宅内装の仕事に就くために塗装や成形の技術を学んでいるが、地元経済の不振は不動産セクターにも打撃を与えているため、再就職に苦戦している。

1982年に蔚山に来たHa M. H.さんは今月、36年間勤めた現代重工に別れを告げる。外国からの海上プラットフォーム受注が干上がっているからだ。

「古き良き時代にここで働いていた、スコットランドなどの国からきた外国人検査技師は、蔚山を楽園と呼んでいた」と彼は語った。「仲間は皆去っていった。私が最後の1人だった」

(翻訳:エァクレーレン)

7. 2018年8月22日 11:11:05 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1266] 報告

「米韓同盟消滅」に焦る韓国の保守 その時は、日本と一緒に核武装?

早読み 深読み 朝鮮半島
2018年8月22日(水)
鈴置 高史

北朝鮮は洋上で石油などを積み替える「瀬取り」で経済制裁をすり抜けている(写真:防衛省/ロイター/アフロ)
(前回から読む)
 「米国から見捨てられる」と韓国の保守が焦り始めた。
保守系紙に「日韓同盟論」
鈴置:韓国の保守系紙、朝鮮日報に日韓同盟論とも受け止められる論文が載りました。金載千(キム・ジェチョン)西江大学教授の寄稿「北朝鮮の非核化交渉、このまま行けば我々は中国の勢力圏に編入」(8月1日、韓国語版)です。結論は以下です。
故・ズビグニュー・ブレジンスキー(Zbigniew Brzezinski)博士は著書『Strategic Vision』で、東北アジアと朝鮮半島で米国の影響力が衰退し中国が躍進した場合、韓国が取り得る選択は、中国への便乗(さらなる依存)、独自の軍事大国化、日本との安保協力のうち1つだと主張した。
隣り合う覇権国(中国)に依存する戦略が一方的な自律性の喪失に直結することは明白だ。中国に対抗しうる我が国の軍事大国化は事実上、不可能だ。
「米国なき北東アジア」を想定した場合、国際規範と自由民主主義を共有する韓日協力は中国の覇権を予防し、牽制効果を持つカードとなる。
国民の情緒が障害になるが、政府が先頭に立って大乗的な見地から韓日関係を前向きに管理・発展させねばならない。
 中国に対抗するには「単なる協力」ではとうてい無理。読む人が読めば、日韓同盟の勧めと受け止める記事です。反日至上主義者からの非難を恐れてでしょう、「軍事同盟」という言葉は一切、使っていませんが。
中国の属国に戻る
気味が悪いですね。突然にすり寄って来るなんて。
鈴置:この寄稿は日本語版にも載ったので、「反日国家が何を言い出したのだろうか」と首を傾げる向きが多かった。注目すべきは「日韓同盟論」もさることながらなぜ今、それが韓国で唱えられ始めたか、です。
なぜでしょう。
鈴置:金載千教授は冒頭で以下のように説明しています。
現在、北朝鮮の非核化が表面的な議題となっているが、水面下では米中がこの問題を契機に東北アジアの勢力再編というもっと大きな争いを繰り広げている。
これを見落とすと韓国は知らず知らずのうちに中国の影響圏に編入されるか、取り込まれてしまうであろう。
 今、米中の間で「北朝鮮の非核化」と「米韓同盟の廃棄」が取引され始めました。金載千教授は、同盟を失った韓国は中国の属国に戻ってしまう、と訴えたのです。
シナリオ 北朝鮮は誰の核の傘に入るのか? 韓国はどうする?
T 中国の核の傘を確保 米韓同盟を維持
U 米国と同盟・準同盟関係に入る 米韓同盟を維持
V 半島全体が中立化し、国連や周辺大国がそれを保証
W 自前の核を持つ 北朝鮮の核の傘に入る
北朝鮮の非核化の行方
今頃、何を言っているのでしょうか。
鈴置:確かに「今頃」です。シンガポールでの米朝首脳会談が決まる過程で、トランプ大統領は韓国への核の傘の提供の中止――つまり、米韓同盟破棄を示唆しています(「『米韓同盟廃棄』カードを切ったトランプ」参照)。
 6月12日に開いた米朝首脳会談でも、米韓合同軍事演習に加え、在韓米軍の撤収にまで言及しました(「米中貿易戦争のゴングに乗じた北朝鮮の『強気』」参照)。
 「外」から見れば、韓国が米国から見捨てられたなと容易に分かります。ただ、韓国人はその現実を認めたくなかったのです。だから「今頃」言い出したのです。
金正恩を助ける文在寅
それにしても、米朝会談からこの寄稿までに50日もたっています。
鈴置:さすがに韓国人も「見捨てられ」の可能性を無視できなくなったのでしょう。非核化に進展がないのに、文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮との経済協力や、朝鮮戦争の終戦宣言に熱をあげ始めたからです。韓国の「先走り」は米国を苛立たせています。金載千教授は以下のように指摘しました。
今からでも韓国政府は南北交流よりも北朝鮮の非核化に優先順位を置き、力を集中すべきだ。平和協定だけをとっても、非核化が進展してこそ米議会の同意が得られる。
非核化は米国に任せきりにして、北朝鮮制裁の弱体化を招く南北交流にばかり没頭したら、中国の立場を強化することになる。
米国は南北交流を巡って制裁の例外を要請する文在寅政権に対しては逆に「北朝鮮制裁注意報」を公に発令した。
 文在寅大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長は4月27日の首脳会談で「非核化」と同時に「終戦を宣言したうえで平和協定を締結する」と約束しました。韓国政府が発表した日本語の報道資料「韓半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言」で、以下のようにうたっています。
南と北は、停戦協定締結65年になる今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のための南・北・米3者または南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進していく。
 史上初の米朝首脳会談で平和ムードが盛り上がる中、南北朝鮮と中国はこの条項をタテに、早急に終戦宣言を出そうと主張しています。
「食い逃げ」を警戒する米国
 一方、米国は非核化が進まないうちに終戦を宣言すれば、「食い逃げ」されると警戒しています。終戦宣言は平和協定につながります。
 すると北朝鮮と、「反米親北」の文在寅政権が声をそろえて「平和協定を結んだのだから在韓米軍は不要。出て行け」と言い出す可能性が高い。
 トランプ大統領は在韓米軍不要論者ですが、米軍撤収は交渉カードに使いたい。非核化が進まぬうちにこのカードを無効化されてはかなわない。
 もし「終戦宣言」を食い逃げされたら、北朝鮮の非核化を飲ませるために、米国はもっと強いカード――「米韓同盟廃棄」を切らざるを得なくなるでしょう。
 トランプ大統領は「同盟廃棄」まで取引材料に使うハラはできていると思われます。ただ、米国の中には米韓同盟を捨てるなどとは想像もしていない人が多い。
 しかし非核化が思うように進まなければ、そんな人も「北から核を取りあげられるのなら米韓同盟廃棄もやむなし」と考える可能性が大です。韓国の親米保守にとっては最悪の状況に陥ります。
 8月15日、親米・反北朝鮮をうたう保守派がソウルでデモしました。朝鮮日報の「『今日は建国の日だのになぜ、政府樹立の日というのか』と摂氏38度の光化門周辺で3万人がデモ」(8月15日、韓国語版)は前文で「光化門周辺は太極旗と星条旗で埋まった」と写真付きで報じました。
 韓国の保守派が米国の国旗を手にすることは珍しくありません。が、それを保守系紙が強調するところに親米派の焦りが伺えます。

日米の「敵性国家」に
大統領はともかく、米国全体が韓国を捨てる方向に動くでしょうか?

鈴置:文在寅という左派政権が原動力になります。韓国は北朝鮮に対する制裁破りに動いている。米国を裏切って、北朝鮮・中国側に立ったのです。「そんな不義理な国を無理して守る必要もない」と思う米国人が増えるでしょう。
 北朝鮮の非核化を目標にした外交ゲームを繰り広げるうちに、いつの間にか韓国が中国・北朝鮮側に取り込まれたのです。今や完全に「中国・南北朝鮮VS米・日」の構図です。
 韓国電力が北朝鮮の石炭を火力発電に使用していたことが7月、明らかになりました。国連安保理決議は北朝鮮の石炭を禁輸品目に含めています。
 5月には東シナ海の公海上で、北朝鮮の船舶が韓国船に接近したことが自衛隊機によって確認されました。禁輸品の石油をこっそり積み替えようとした――瀬取り未遂の疑いが持たれています。いずれの事件も、韓国政府の黙認下での禁輸破りの可能性が高いと見られています。
 経済制裁の結果、北朝鮮は石油もドルも不足し経済成長率が鈍化、あるいはマイナスになったと見られています。せっかく効果があがってきたというのに制裁破り。
 北朝鮮の核武装を幇助しているとしていると非難されても、韓国は弁解できません。米国や日本から見れば、韓国はすでに「敵性国家」なのです。

日韓が一緒に核武装
そこで「米国から見捨てられる」「日本と組もう」と金載千教授は書いた……。

鈴置:その通りです。ただ、話はもう少し複雑かもしれません。冷静に考えれば韓国は、日本と同盟を結ぶだけではあまり意味がありません。なぜなら日本は核を持たないからです。韓国は米国の代わりの核の傘に入れないのです。
 それから考えると「日本との協力」とは、日本と一緒になって核武装しよう、との意味にもとれるのです。米韓同盟が消滅した後、韓国が単独で核武装に動いても米国と日本に阻止されるでしょう。
 米国にすれば、せっかく北朝鮮を非核化したのに韓国が核武装したら、何のために汗をかいたか分からなくなります。韓国の核ミサイルは米国を狙ってのものではありませんが、中国だけではなく日本に向けられるのは確実です。
 そこで「日本と一緒の核武装なら日韓の間で核の均衡ができるから、米国の許可が下りるかもしれない」と金載千教授ならずとも、韓国人は考えるものです。
 「いざという時が来れば、米国は日本の核武装なら許す」との伝説が韓国にはあります。“証拠”もちゃんとありまして「日本が使用済みの核燃料から取り出したプルトニウムの保有を米国から認められていること」です。

日・印・越と組んで中国包囲網
「日韓軍事協力論」は珍説・奇説というわけでもないのですね。

鈴置:韓国で主流になることはないと思います。が、保守の一部には昔からそうした意見があります。今回、金載千教授以外からもそんな声があがりました。
 韓国国立外交院の元院長で韓国外国語大学の尹徳敏(ユン・ドクミン)碩座教授が朝鮮日報に「中国夢を成したいなら『謙譲』から学べ」(8月16日、韓国語版)を寄稿しています。
 経済成長に成功し傲慢になって韓国を再び属国扱いし始めた中国とどう向き合うか、を論じた記事です。結論部分を訳します。
中国は大小15の国に取り囲まれている。うち9カ国と戦争をし、8カ国が米国の同盟国である。仲の良い国はパキスタンと北朝鮮ぐらい。15カ国のGDPを合わせれば中国よりも大きい。これらの国の人口と国防費も合算すれば中国よりも多い。
我々が中国周辺国とネットワーク――特にインド、日本、ベトナムとの連帯を強化すれば韓米同盟以外にも、もう1つの強力な対中のテコを持つことができる。
 尹徳敏教授の訴えた提携の相手は日本に加え、インドやベトナムなど「中国を取り囲む国」です。核武装に容易に動けない日本だけだと頼りないと考えたのでしょう。尹徳敏教授は日本専門家で内情をよく知っています。
 金載千教授とは異なり、米韓同盟が存続するとの前提で書いています。が、米韓同盟が揺らぐとの危機感を持つからこそ「もう1つの対中のテコ」を訴えたのでしょう。そうでなかったら中国のトラの尾を踏む「包囲網」など主張しないはずです。
変節した尹徳敏教授
 注目すべきは「中国の属国には戻らない」との決意表明で金載千教授と軌を一にしたことです。自分の名前を出して中国にファイティング・ポーズをとるのは保守も含め、韓国の指導層では極めて異例です。
 尹徳敏教授は少なくとも2017年11月まで「日中韓は運命共同体。東アジア共同体の構築が必要だ」と主張していました。
 朝日新聞の「東アジア共同体への道は シンポジウム『日中韓 国民相互理解の促進』」(2017年11月11日)が発言を報じています。

なぜ、尹徳敏教授は変節したのでしょうか。

鈴置:米中の対立が決定的になったからと思われます。寄稿で尹徳敏教授は「傲慢になって韓国を属国扱いするようになった」と中国を長々と非難しています。しかしこれはニュースではありません。「なぜ今」の説明にはならないのです。中国への敵対表明は米中対立が引き金になったと見るのが素直です。その部分を訳します。
中国は2025年までに製造業の分野で、2050年までには国力で米国を追い越して世界1位になるとの遠大な計画の下、事実上の覇権への挑戦状を突きつけた。
米中貿易戦争のあり様はかくしてますます1930年代末の第2次世界大戦前夜と似てきた。
米中間での中立は不可能

「戦争前夜」と「反中」はどんな関係があるのですか?

鈴置:韓国は朴槿恵(パク・クネ)政権以降、露骨な米中二股外交を展開してきました。保守言論の大御所である朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問などは2013年、先頭に立って二股を提唱したのです(「保守派も『米中二股外交』を唱え始めた韓国」参照)。
 米中が適度の対立状態にあるうちはいい。韓国は両方から大事にされると期待できるからです。しかし対立が抜き差しならない段階に至れば、二股国家は双方から叩かれます。
 マキャベリは『君主論』(角川ソフィア文庫版、大岩誠訳)の189―190ページでこう言っています。
態度をはっきりとさせて堂々と戦う方が、どんな時にでもはるかに有利なのである。
自分の立場を明らかにしないと(中略)勝った方は、怪しいと疑っているうえに逆境に際して手助けしてくれなかった者を自分の味方にしたいとは思わないし、また負けた者も、諸君が剣をとって彼らと運命を共にしなかったことゆえ、いまさらその助太刀を望めはしないからである。

でも、米ソの冷戦期にも中立国が存在しました。

鈴置:徹頭徹尾、中立を貫けば尊重されます。しかし、韓国はコウモリです。朝鮮戦争(1950―1953年)以降、米国に北朝鮮の脅威から守ってもらってきたのに、中国が台頭すると見るや「離米従中」したのです。
 保守派も含め、多くの韓国人が「米韓同盟は北朝鮮専用だ」と公言するようになっていました。要は、米中の対立時には韓国は中立を貫く、との主張です。でも、都合のいい時だけ「米国との同盟国」であることはもう、許されません。

「ずる賢く立ち回ろう」

そう言えば「中国との対立は日本に任せよう」などと唱える記事がありました(「中国に立ち向かう役は日本にやらせよう」参照)。

 朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)論説委員(当時)は「活火山の火口の役割は避けるべきだ」(2016年3月9日、韓国語版)で「中国と対立する役割は日本が負うべきであり、韓国は関係ない」と書きました。
韓国にとって米国は「血盟」だ。3万6574人の米軍将兵が朝鮮半島で命を落とした。北朝鮮との軍備競争を避け、繁栄を享受できるのも在韓米軍のおかげだ。借りを返すにはほど遠い。とはいえ、いざこざの身代わりまで買って出ることはできない。
韓国は北朝鮮を抑える「地域パートナー」との立場を越えたことはない。従って、アジアで米中間のいざこざの身代わりを進んで買って出る資格と責任は、日本にある。
指導者には、時としてずる賢さも必要になる。それでこそ「活火山の火口」役を避けることができる。
 こうしたもの言いは、米国を怒らせるだけではありません。論理的に米韓同盟を突き崩します。「北朝鮮専用」と規定するなら、南北関係あるいは米朝関係が改善すれば、米韓同盟は不要になってしまうからです。
 仮に北朝鮮が非核化するか、あるいはしたことになったとします。すると、トランプ大統領が「北朝鮮はもう敵ではなくなった。韓国の保守までが『北朝鮮専用の同盟』と言っていたのだから、米韓同盟を打ち切るぞ」と言い出す可能性があります。
 その時、「ずる賢く立ち回ろう」と呼び掛けてきた鮮于鉦記者は、どうするつもりでしょうか。「中国を共通の敵としましょう」と言い出しても、通らないでしょう。誰もが「逆境に際して手助けしてくれなかった者を自分の味方にしたいとは思わない」のです。

北の「核の傘」に入る南
米中戦争はどちらが勝つのでしょうか。

鈴置:今のところは米国が完全に主導権を握っています。貿易戦争と呼ばれることが多いのですが、本質は金融・通貨の戦争です。米国は様々の圧迫を加えて人民元を崩落の瀬戸際に追い詰めています。

 中国が人民元を防衛するにも米ドルが要ります。ドルは米国しか印刷できません。つまり中国は米国製の武器で戦うしかないのです。米国の原油に依存しながら米国に太平洋戦争を仕掛けた日本と似ています。勝ち目は薄い。
 もちろん中国だって反撃のチャンスを虎視眈々と狙っています。でもそれは中間選挙の敗北や、スキャンダルによるトランプ追い落としなどで、今ひとつ確実性に欠けます。
 韓国の金載千教授や尹徳敏教授も、米国が勝つと判断したと思われます。そう判断したからこそ、中国に対し挑戦的な記事を書いたのでしょう。

中国からいじめられるリスクを2人はとったのですね。

鈴置:中国が勝利したら、中国からいじめられるだけではなく、国内でも袋叩きになるでしょう。韓国では、各党派が周辺大国の支持を背景に――外国を引き込んで権力闘争するのが普通です。米中戦争の勃発とともに、韓国内で米中の代理戦争が始まる可能性が高い。

では、文在寅政権は中国を引き込む?

鈴置:もちろん、この政権は米国よりは中国に近い。ただ、本当に後見役と頼むのは北朝鮮と思います。「誰の核の傘に入るのか」の視点で言うなら「北の核の傘」に入るつもりでしょう。「表・北朝鮮の非核化の行方」で言えば、シナリオWです。
(次回に続く)
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『孤立する韓国、「核武装」に走る』

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ
北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。
もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。
目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。
◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録


このコラムについて
早読み 深読み 朝鮮半島
朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は、朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。


 
「最悪の雇用情勢」で韓国大統領の支持率も急落
副首相と首席秘書官の言い分も違って対策迷走も
2018.8.22(水) 玉置 直司
韓国大統領、13日から訪中 習主席と北朝鮮問題を協議へ
韓国ソウルにある青瓦台(大統領府)で行われた会議に出席した文在寅大統領(2017年11月29日撮影)。(c)AFP/YONHAP。〔AFPBB News〕

 「雇用拡大」を最優先に掲げて登場した文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権にとって、目を覆いたくなるような統計が続いている。

 2018年8月17日に発表になった「7月の雇用動向」もその代表例だった。最悪の雇用情勢がまた明らかになってしまった。雇用不安から、大統領支持率も急落し始めている。

 「良い働き口を増やすことを国政の中心に据え財政と政策を運用してきたが、結果を見ると十分ではなかったと認めざるを得ない」

 2018年8月20日、文在寅大統領は、首席秘書官・補佐官会議でこう切り出した。それほど深刻な統計が出たのだ。

 「政府の独善が生んだ“雇用破局”」(朝鮮日報)
 「雇用惨事…大きくなる経済政策チームの責任」(毎日経済新聞)
 「31万人→5000人 雇用災害」(東亜日報)

 統計庁が8月17日に発表した「雇用動向」を韓国主要紙は翌日の朝刊の1面トップで報じた。保守的なメディアだとはいえ、見出しだけ見ても相当悪い中身だったことがうかがえる。

 その通りだった。

就業者数が5000人しか増えない
 最も衝撃的だったのが、「東亜日報」の見出しの通り、「就業者数」が前年同月比5000人増にとどまったことだった。これがどれほど少ないかは、統計を見ればすぐに分かる。

 ここ数年ずっと、20万〜50万人で推移していたのだ。

 2018年1月も33万4000人増だった。新しく求職活動をする人たちを吸収すれば、これくらいの就業者数増加になっていたのだ。1年前の2017年7月は31万人だった。

 ところが、異変は、2018年2月以降に始まった。

 ▽就業者数の対前年同月比増加数(人、韓国統計庁発表)▽
      2017年9月      31万4000
         10月      28万1000
         11月      25万7000
         12月      25万7000
      2018年1月      33万4000
          2月      10万4000
          3月      11万2000
          4月      12万3000
          5月       7万2000
          6月      10万6000
          7月        5000

 2018年2月に、ガクンと減少した。5月には10万人を割り込み、ついにいきなり5000人になってしまったのだ。

製造業、飲食業…ともに激減
 どうしてこんなに減ってしまったのか?

 就業者が最も減少したのは、「施設管理業」「宿泊・飲食業」「卸小売業」だ。合わせて前年同月比で18万人以上も減少してしまった。

 「施設管理業」というのは、韓国でいえば、アパートなどの管理人さんが典型例だ。

 「製造業」も不振だった。同12万7000人だった。さらに、年齢別では40代の就業者が、同14万7000人減だった。教育など家庭で最もお金が必要になる年齢層でこれだけ雇用が減少してしまったのだ。

 失業者数も、2018年1月以降、ずっと100万人を超えている。

 韓国では、もともと青年失業率が高く、「雇用」と「格差」が大きな課題だった。最近は、ほぼあらゆる年齢層で雇用情勢が悪化しているのだ。

 政府は、「企業の構造調整などがその原因だ」などと説明してきた。

 だが、「政府の政策が雇用情勢をさらに悪化させている最大の原因」(韓国紙デスク)という主張が日を追って力を得ている。

所得主導成長論
 「所得主導成長論」のことだ。

 今の政権は、発足以降、「最低賃金の引き上げ」「非正規職の正規職転換」「公務員や公企業の雇用拡大」など、所得を引き上げることで景気サイクルを好転させることを目指してきた。

 減税や規制緩和などを通して大企業や財閥の事業環境を整えることに軸足を置いた経済政策とは決別し、「賃金=所得」を政策の柱に据えたのだ。

 この一環として、最低賃金を2018年に16.4%一気に引き上げて7530ウォンにした。さらに2019年も10.9%引き上げ、8350ウォンにすることを決めたばかりだ。

 所得増加→消費支出拡大→企業業績好転→投資拡大→雇用拡大…こんなサイクルになるというのが進歩系学者出身が主流を占める今の政権の経済政策責任者チームの読みだった。

 ところが、現実の経済はそんなに甘くなかった。

 最低賃金が一気に16%も上昇したのだ。ただでさえ、「ぎりぎり」で経営してきた飲食店、中小製造業などでは何が起きたのか?

 「こんな高い賃金は負担できない」となり、雇用削減に動き始めたのだ。

 「これまでは5人雇用してきたが、1〜2人減らさざるを得ない」

 こんな中小零細企業、さらにフランチャイズの飲食店、コンビニなどが続出した。

 「所得主導成長論」は「大企業や財閥を優遇して経済成長の牽引役にしようという考えが時代錯誤で、様々な癒着の温床だった」という反省から出たともいえる。

 ところが、実際に実行したら、そのつけは、「中小零細企業」に回ってしまっているというのが現実なのだ。

大統領支持率急落
 「雇用不安」がさらに深刻化していることを受けて、文在寅大統領の支持率も急落し始めている。

 世論調査会社、リアルメーターの「国政遂行評価」が8月20日に発表した調査によると、「良くやっている」との回答は、6月第2週の75.9%から、8月第3週には56.3%に低下した。2か月間で20ポイント近い大幅下落だった。

 同じく、韓国ギャラップ研究所が8月17日に発表した調査でも、「良くやっている」は60%で、5月第1週の83%から3か月半で23ポイント急落した。

 ギャラップの調査では、「良くやっていない」との回答者にその理由を質問したところ、最も多い38%が「経済/民生問題解決不足」を挙げた。

 ひと言で言えば、「経済政策」への不満だ。

 もともとここ数か月間、大統領支持率は低下していた。「雇用」に敏感な政府与党にとっても、17日の「雇用動向」は衝撃だった。

日曜日の対策会議
 8月19日、日曜日にもかかわらず、青瓦台(大統領府)、政府、与党の政策責任者が国会に集まり対策を協議した。

 与党「共に民主党」の院内代表、政策委員長のほか、張夏成(チャン・ハソン=1953年生)青瓦台政策室長と金東?(キム・ドンヨン=1957年生)副首相兼企画財政部長官が顔を揃えた。

 韓国メディアはここ数か月、今の政権の経済政策を巡って「所得主導成長論」を主張する張夏成室長と、「政策修正」に傾いている金東?副首相の「不仲説」を繰り返し報じてきた。

 進歩系の学者出身である張夏成室長と経済官僚出身である金東?副首長は、経歴も異なり「全く肌合いが合わない」(大手紙政治部長)という。

 張夏成室長は「所得主導成長論」や「経済民主化」が学者時代からの持論だ。

 金東?副首相は、実務により近い。最近は、雇用や成長率の低迷に危機感を持って大企業や財閥との積極的に接触している。

 成長分野を育成するために規制緩和などを進める一方、大企業や財閥に雇用拡大を要請している。

 金東?副首相は、サムスン電子の半導体工場を訪問し、李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)副会長とも面談した。だが、このことが、「財閥に接近して優遇する従来の政策の繰り返しではないか」との批判も浴びた。

2人の対照的な発言
 そんな2人が揃って姿を見せたことでメディアの関心も高まった。

 対策協議では、「雇用対策」として2019年度予算に今年度よりも12%多い予算を投入することで合意した。2018年には追加予算を含めてすでに20兆ウォン以上を投入することを決めているが、さらに増額することを決めた。

 こんな発表だったが、メディアはその内容にはあまり関心を示さなかった。もっぱら、2人の発言に焦点を当てた。

 金東?副首相は「雇用情勢が厳しいのは、構造的要因、経済要因、政策要因のためだが、これまで進めてきた経済政策もその効果を見極め、必要な場合は関係部署、党と協議をして改善、修正する方向も検討する」と述べた。

 2年間で30%近くも引き上げる最低賃金や「週52時間労働制」などを念頭に何らかの「運用弾力化」などを念頭においているとの見方もある。

年末頃になれば改善する
 ところが、今の政権の政策の最高責任者とも言える張夏成室長は、「所得主導成長、革新成長、公正経済政策はその効果が出始めれば、わが国経済に活力が生まれ経済の持続可能性が大きくなる。低所得層と中産層は成長の成果を体感し、年末頃になれば雇用状況も改善する」と語った。

 これまでの政策に間違いはない。成果出るまで少し待ってほしいということ。ひと言で「政策基調は変えない」と宣言したのだ。

 青瓦台の室長と経済副首相の意見が、最も基本的な点でははっきりと異なるのだ。

 一般的には、大統領の近くにいる青瓦台の室長がより大きな権限を持つ。だから副首相といえども、そう簡単に政策基調を変えられない。

 だが、これだけ悪い数字が続いているのに、「もう少し待ってほしい」というだけの説明では、中小例企業の経営者はたまらないだろう。

 今の韓国で雇用が増えないのは、複雑な要因による。

 半導体や化学など一部の業種、企業に成長分野が極端に偏ってる点。企業の多くがグローバル化を進め、製造拠点をどんどん海外に移転している点。

 IMF危機といわれた通貨経済危機を契機に、「構造調整」という「大規模雇用調整」が一般化してしまった点、財閥主導で中小零細企業が育っていない点。

 大学進学率が一時80%近くになるほど高く「雇用のミスマッチ」が多い点…などなどだ。

 だから、雇用情勢を一気に改善させるのは至難の業だ。

 問題は、今の政府が、「新しいアプローチ」だとして思い切った政策を採用し、実行したことだ。

 「所得主導成長論」はその狙いは分からないでもないが、2年間で最低賃金を30%引き上げれば、それなりの副作用は覚悟せざるを得ない。

 その検討と準備ができていたのか。

 何よりも、政策室長が話すように、年末にどれほど成果が出るのか、が最大の関心事だ。

 「今の雇用情勢は最悪期で、年末に今より悪くなっていることはない」。こういう学者もいるが、では、その根拠はといえば、はっきりしない。

 あくまでこれまでの政策にこだわって成果が出るのを待つのか。あるいは、思い切った政策修正に踏み繰るのか。

 毎月出る「雇用統計」だけでなく、「大統領支持率」もにらみながら、重大な決断を迫られている。

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