http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/532.html
Tweet |
ますます絶望的なパレスチナ情勢と国際政治の不条理
http://kenpo9.com/archives/4019
2018-07-24 天木直人のブログ
ユダヤ国民国家法案を可決したイスラエル
きょう7月24日の産経新聞の記事を読んで、私は絶望的な気分になった。
私が危惧して来た事がそのまま書かれているからだ。
それが正しいからこそ、ますます絶望的になったのだ。
三井美奈パリ支局長が「緯度 経度」というコラムで書いた「露に急接近 イスラエルしたたか」という記事がそれだ。
その要旨はこうだ。
何の成果もなかった支離滅裂のヘルシンキにおける米露首脳会談であったが、唯一得をした国があった。それはイスラエルだと。
なぜなら、プーチン大統領は首脳会談後の記者会見で、ゴラン高原について、1974年のイスラエルとシリアの兵力引き離し協定(停戦協定)は完全に順守すべきだと公約したからだと。
これはイスラエルのゴラン高原占領を認めた事を意味し、シリア軍を支援するイランをけん制するものであるからだと。
米露首脳会談後の記者会見では確かにトランプ大統領もイスラエル支援を約束した。しかしトランプ大統領のイスラエル支援はあたりまえであり、しかもトランプ大統領はハチャメチャな大統領だ。それに比べプーチン大統領の支援はイスラエルにとって心強いと。
そして三井美奈記者はこう続ける。
ロシアはシリアのアサド政権にテコ入れし、イランと共同歩調をとる。だが、イスラエルが絡むと、途端にイランけん制に回ると。
米国と敵対するにもかかわらず、ロシアは米国の最大の同盟国であるイスラエルに対してつねに配慮すると。
そのカギは、イスラエル在住のロシア系ユダヤ人は約150万人、すなわち全人口のおよそ5分の一を占めるからだと。
しかも、見逃せないのは、そのユダヤ系ロシア人に新興財閥(オリガルヒ)が多い事だと。つまり財力にまかせてプーチン大統領に影響力を及ぼす存在だというわけだ。
そして三井美奈記者はこう締めくくっている。
日本や欧州がトランプのおかげで同盟関係が揺らいでいると大騒ぎしている中で、イスラエルだけが、ちゃっかり米露双方を後見役にしたのだ。イスラエルはやはりしたたかで強いと。
以上が三井美奈記者の記事の要旨だ。
そこにはパレスチナへの言及はない。
唯一言及したのが、「イスラエルはパレスチナを武力で抑え込んでおり和平を急ぐ理由はどこにもない」という言葉だ。
言わんとするところは、米ロ両国を後見役にしたイスラエルは、いまやパレスチナ占領をやり放題できるということである。
これ以上ない国際政治の不条理、不道徳である。
絶望的な記事である。
せめて習近平の中国だけはこの中に加わらないでほしいと願うばかりだ(了)
したたかなイスラエル、露に急接近 三井美奈
https://www.sankei.com/smp/world/news/180724/wor1807240018-s1.html
2018.7.24 14:45 産経新聞
会談後の記者会見。シリアに触れたプーチン露大統領は、イスラエルの占領地ゴラン高原で「1974年の協定を完全に順守すべきだ」と言った。協定は第4次中東戦争後、イスラエルとシリアの間に兵力引き離し地帯設置を定めたものだ。シリアは67年の第3次中東戦争でイスラエルにゴラン高原を占領され、奪回を狙ったが、果たせなかった。
プーチン氏の発言は「占領維持の後見役になる」と公約したのに等しい。イスラエルのネタニヤフ首相は直ちに、発言を「高く評価する」と声明を出した。イスラエルはシリアにイラン部隊が潜伏し、ゴラン高原や周辺地域の攻撃を狙ったと訴え、シリア空爆を繰り返してきたから、ロシアの公約はありがたかった。
会見ではトランプ米大統領もイスラエル支援を約束したが、同国で「この人は頼れない」というムードが広がっているのは明らかだ。地元紙ハーレツは「トランプ氏のとっぴな言動を見れば、ロシアに賭けて正解だったのは明白だ」と評した。ネタニヤフ氏は昨年来、約20回も電話や直接会談を繰り返し、プーチン氏と関係構築に努めてきた。
ロシアはシリアのアサド政権にテコ入れし、イランと共同歩調をとる。だが、イスラエルが絡むと、途端にイラン牽制(けんせい)に回る。
シリア南部ではアサド政権軍と反体制派の停戦交渉まで引き受け、汗をかく。駐シリア露大使は19日、「今のシリア南部に親イラン勢力はいないはずだ」とタス通信に述べた。イスラエルへのメッセージだ。
米同盟国イスラエルに、ロシアはなぜここまで配慮するのか。一つのカギはロシア系ユダヤ人の存在だ。
イスラエル在住のロシア系ユダヤ人は約150万。全人口のおよそ5分の1を占める。東西冷戦崩壊後、旧ソ連から大量流入したためで、国内にはロシア語テレビや新聞もある。旧ソ連で迫害された彼らは左派嫌いが顕著で、イスラエル右派を熱烈に支持する。同国の極右政党を率いるリーベルマン国防相も旧ソ連モルドバ出身だ。
旧ソ連は中東で反米・反イスラエルだったが、プーチン氏は「イスラエルのロシア系ユダヤ人は、われわれの一部」と述べ、親イスラエルに軌道修正した。
見逃せないのは、ユダヤ系に新興財閥オリガルヒが多いこと。両国を結ぶパイプとなる。5月にはサッカー英プレミアリーグの名門チェルシーのオーナーで、プーチン氏に近い大富豪ロマン・アブラモビッチ氏がイスラエル国籍を取得し、移住した。オリガルヒはソチ冬季五輪やサッカーW杯など、国威発揚イベントの強力なスポンサーだ。
一方、「歴代米大統領のだれよりも親イスラエル」を自任するトランプ氏はエルサレムへの米大使館移設に続き、イスラエル、パレスチナの和平案を発表する計画という。だが、イスラエルはパレスチナを武力で押さえ込んでおり、和平を急ぐ理由はどこにもない。喫緊(きっきん)の脅威はイランだが、トランプ氏はロシアにお任せのようだ。
日本や欧州の米同盟国がトランプ旋風に大わらわの中、イスラエルは危機を逆手に米露両国を後見役にした。この国はやはり、したたかで強い。(パリ支局長)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。