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アメリカ... 自らの最悪の敵
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2018年6月23日 マスコミに載らない海外記事
Finian Cunningham
2018年6月21日
Sputnik
ドナルド・トランプ大統領が、それまでのアメリカ大統領たちと同様に、アメリカ軍の優位と、国民の擁護者という、その重要な役割を自慢しているのは壮大な逆説だ。
トランプ政権は、その座についた最初の年に、年間軍事予算を、既にして膨大な平均数値である年間約6000億ドルから、7000億ドルに増加した。巨大な軍事支出は、アメリカの国家安全保障と、世界的指導力を維持するのに必須だとトランプは述べた。
国民を外国の脅威から安全にしておくはずの組織への、この途方もない不適切な経済資源の配分が、国家安全保障上、アメリカにとり、実際最大の脅威だというのは逆説だ。
ロシアや中国やイランや北朝鮮といった外国の敵とされるものは忘れよう。アメリカ社会と、その世界的権力を弱体化させているのは、アメリカ国防産業による国家優先順序の奇怪な歪曲なのだ。
トランプは"国家安全保障の脅威"として、中国やカナダやヨーロッパの同盟諸国との不公正な貿易関係とれさるものへの言及に専念している。メキシコ国境を越える移民家族に対して、論争の的になっている(例外を認めない)ワシントンの寛容ゼロを説明する上でも、同じ国家安全保障が口実にされている。
こうした国家安全保障とされるものの問題も、軍事化したアメリカの経済の、アメリカ社会に対する破滅的影響と比べれば色あせる。
アメリカ人政治学教授のコリン・キャヴェルは、何十年にもわたるアメリカ軍の累積する浪費が、アメリカの負債総額が今や20兆ドルを越えている主な要因だと言う。この負債だらけの国、世界最大、ダントツの債務国が、トランプ共和党の緊縮財政派が、公共支出と投資の過酷な削減を要求する大義になっているのは辛辣な皮肉だ。
このコラムのためのインタビューで、キャヴェルはこう言った。 "この軍事債務が、共和党議員が、医療、住宅、教育、道路、橋や、他のインフラ・プロジェクトを削減し、雇用創生を阻止し、給与を押し下げ、債務返済のために増税する素材となって、アメリカ労働者を押しつぶしているのです。"
約4000万家庭、つまり全国民の約半数が、今や貧困とされ、公式数値は、アメリカの社会的不平等と貧困が記録的水準に達したことを示している。
アメリカ中に広がる貧困は、連邦公共支出や社会投資の節減と一体だ。それが更に、国防産業に振り向けている壮大な経済資源と関連しているのだ。究極的に、普通のアメリカ国民は、軍の大盤振る舞いの厄介な経費を無数の間接的な形で負担して、自分たちが困窮化するという報いをうけているのだ。
一体なぜ、そのような自滅政策が可能なのだろう? キャヴェル教授が指摘する通り、悪循環が働いているのだ。この悪循環は、経済の民主化と、アメリカ軍国主義の善とされるものと、外国の敵の悪とされるものにまつわるプロパガンダ神話から、アメリカ国民が覚醒することによってしか、断ち切ることはできない。
スメドリー・バトラー少将が、1930年に刊行した『戦争はいかがわしい商売だ』と非難する古典的反戦本に習って、彼が"軍隊はいかがわしい商売だ"と呼ぶものから利益を得ている極めて強力な既得権益徒党があるのだと彼は言う。
キャヴェルはこう指摘している。"アメリカ資本家、特に、武器、兵器、制服、銃、飛行機、無人機、糧食、傭兵、兵站などを供給する連中や、アメリカ政府に金を貸し、20兆ドルの国債で不当に高い利子支払いを得ている連中にとって、軍事支出は好ましいのだ。"
この軍-産業-金融複合体には、無数のシンクタンク、評論家、ロビイスト、ロッキード・マーチン、ボーイングやレイセオンなどの巨大ペンタゴン兵器メーカーから、婉曲に"政治献金"と言われているお給料を貰っている議員たちが、しっかり奉仕している。
マスコミ環境は、ペンタゴン産業の利益になるよう、不釣り合いに偏向している。ウオール街への多い利益と配当金が、連中の利己本位の偏向を推進するので、外交関係となると、こうした権益は必然的に、外交より軍国主義と紛争を求めがちだ。
キャヴェル教授は、悪循環は他の形でも機能していると指摘する。7つの海外海軍艦隊と世界中の800の基地とで、大きくなりすぎた軍隊は、その存在の正当化が必要だ。これは必然的に、アメリカの軍事計画者やシンクタンクが、敵を探し、他の国々を"脅威"として描くことを意味する。トランプ政権は、いくつかの政策文書で、この二国を"世界的ライバル"と呼び、"大国競争"の復活を言って、ロシアと中国に対する敵意を強化している。トランプ政権が過去最高の水準で軍事支出をし、ロシアと中国に対する敵対的言辞もエスカレートさせたのは偶然ではない。
キャヴェル教授によれば、何百万人もの困窮した失業アメリカ人は、アメリカ軍事機構の兵卒供給に即使える新兵供給源なので、悪循環の忌まわしい推進力の一つだという。
"このいかがわしい商売は実にもうかるため、毎年高額の配当金を得るのが嬉しい金持ち層を生み出し、これら社会の寄生虫連中こそ、無料医療、衣服代と、軍隊糧食の約束という好機に飛びつく失業アメリカ労働者で戦えると連中が言う、外国での無用で果てしない戦争の最高の主張者なのです"と、キャヴェル教授は言う。
つまり、軍という巨大な怪物は、国家安全保障という本当の利益にではなく、強力な大企業エリートの権益に役立っているのだ。
"シリアからアフガニスタン、イラクから、リビアからソマリア、イランから、ニジェールから、ベネズエラに至るまで、アメリカは益々戦争に結びついています" とキャヴェルは言う。そのような平和的な進展が、アメリカ経済の軍国主義的な基本的性格と対立する可能性があるので、トランプが突然北朝鮮との緊張を緩和したのが、ワシントンで、多くの狼狽を引き起こした理由だと彼は主張する。
アメリカ軍予算の公式数値は、不変のドルを基準に計算すれば、第二次世界大戦以来の、どの十年間と比べても、現在、最高水準にある。現在の軍事支出は、過去数十年間の、アメリカが朝鮮とベトナムで壮大な戦争をしていた対ソ連・共産中国冷戦の絶頂のものさえ遥かに超えている。
ストックホルム国際平和研究所によれば、アメリカは、それに続く軍事支出の、中国、ロシア、インド、サウジアラビア、イギリスとフランスを含む10カ国を合わせた合計より、多額の金を軍に使っている。ロシアの軍事予算は、アメリカのおよそ十分の一なのに、ロシアは、アメリカにとって、最大の国家安全保障脅威だと考えられている。
"アメリカ政府と社会は、実に深く、挑発と戦争に結びついています"キャヴェル教授は言う。"しかし、あらゆる行き過ぎにも最終的な限界があり、それを益々、日々のアメリカ社会の内部浸食で目にしているのです。"
アメリカにおける貧困の爆発と社会条件の明らかな劣化は、将来にわたり有害な影響を及ぼす。連邦の削減による学生の壊滅的負債のおかげで、アメリカの若者は、もはや高等教育を受けられない。貧困と失業の重みの下、家庭は崩壊しつつある。コミュニティーは破壊された公共サービスや崩壊するインフラで荒廃している。合成麻薬のオピオイドや他の薬物乱用による病的な現実逃避で、国民の士気は衰退している。
アメリカは歴史的敗北をしつつある。この敗北が、軍と、その奇怪な大企業資本主義によって苦しめられているというのは痛烈な皮肉だ。アメリカ軍国主義が、アメリカで最も差し迫った国家安全保障の脅威だ。アメリカが自分自身の最悪の敵なのだ。
本記事の見解や意見は 、もっぱら筆者の ものであり、必ずしもSputnikのそれを代表するものではない。
Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。北アイルランド、ベルファスト生まれの農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詩作曲家でもある。彼は20年以上、ミラー、アイリッシュ・タイムズ、インデペデントを含む主要マスコミ企業で、記者、編集者として働いた。
記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201806181065526366-america-its-own-worst-enemy/
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