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米韓合同軍事演習中止で中国が歓喜…北東アジアで米国の軍事力弱まる
http://biz-journal.jp/2018/06/post_23802.html
2018.06.23 文=大野和基/ジャーナリスト Business Journal
金正恩朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ米大統領(ロイター/アフロ)
6月12日に開催された米朝首脳会談の成果については、意見が真っ二つに分かれる。
批判のほうが圧倒的に多いが、その主なものはアメリカの大幅な譲歩というものである。次に多い批判は、共同声明の中身が薄い、特にアメリカがかねて北朝鮮に求めていたCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)の文言が声明の中に盛り込まれず、具体性がないというものだ。米国では、この会談は“underwhelming”だったと批判している人が多いが、これは“overwhelming=圧倒的”の逆で、「ポジティブなインパクトを与えない、拍子抜け」という意味である。
私自身は、ドナルド・トランプ大統領のそもそもの思惑は、歴史上初めて米朝首脳会談を開いて、金正恩と握手したという事実をつくることだと思っていたので、その目的は達成されたという点でなんの違和感も持たない。アメリカが北朝鮮に譲歩したとも思わない。トランプの頭の中には、アメリカの圧倒的な軍事力の強さが常にある。今まで世界中が北朝鮮にだまされてきた歴史があるにもかかわらずトランプが楽観的なのは、アメリカ側にこの圧倒的な軍事力があるからだ。
金正恩は「体制保証」を求めているが、これは北朝鮮が「完全非核化」を実現しないかぎり達成できないことは、アメリカが明確にしている。金正恩は「段階的非核化」を主張しているが、最終的に完全非核化を達成しないかぎり、北朝鮮は常に体制がアメリカに破壊されるリスクにさらされる。完全非核化の定義が、アメリカと北朝鮮では異なるという指摘もあるが、それは問題ではない。いくら北朝鮮が「完全非核化した」と主張しても、アメリカが納得できるかたちでなければ受け入れないからだ。
とりあえず、最初の一歩を踏み出したという事実は、歴史的な出来事であると言っても過言ではないだろう。もしトランプと大統領選で争ったヒラリー・クリントンが大統領になっていれば、北朝鮮問題を放置していたに違いない。ヒラリーの“外交音痴”は、バラク・オバマ前大統領によって国務長官に任命されたときから不安視されていたが、「ベンガジ事件」(2012年アメリカ在外公館襲撃事件)にそのすべてが表れている。北朝鮮の非核化に関する、これからの具体的な作業はマイク・ポンペオ国務長官が主導して実行されることになる。
トランプは少し前まで金正恩のことを“madman=狂人”“Little Rocket Man(リトル・ロケットマン)”と呼び、一方の金正恩はトランプのことを“dotard=老いぼれ”と呼んでいた。だが、この首脳会談ではそれを翻してトランプは金正恩のことを“very smart and tough=とても頭がよくタフである”と持ち上げた。いとも簡単に前言を覆すのはトランプの常だ。そのため、もし金正恩が約束を実行に移さなければ、簡単にまた元通り“madman”呼ばわりすることは目に見えている。この気まぐれさは、決して筋が通らないことではなく、“トランプらしい”行動なのだ。
もっとも物議を醸したのは、トランプが「米韓合同軍事演習を中断する可能性がある」と示唆したことだ。実際に、8月に予定していた演習を中止した。トランプの発言を聞いて喜んだのは中国だろう。中国は北東アジアで米軍の力が弱まることを強く望んでいたからだ。そういう意味では、最大の勝者は中国ということになるかもしれない。
最終的に、この米朝首脳会談の真の成果がわかるのは何年も先になる。今の時点で成果を評価することは時期尚早である。
(文=大野和基/ジャーナリスト)
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