#自分の安全は自分で守るしかない ロシアに備えるスウェーデン、戦時の対応を国民に配布 欧州では徴兵制復活も、甘すぎる日本の対応 2018.6.18(月) 樋口 譲次 スウェーデン軍、首都沖での大規模な情報収集作戦を拡大 スウェーデンのストックホルム(Stockholm)群島をパトロールする同国軍の高速戦闘艇(2014年10月18日撮影)。(c)AFP/TT NEWS AGENCY/PONTUS LUNDAHL〔AFPBB News〕 スウェーデン政府 「IF CRISIS OR WAR COMES」を全世帯に配布 最近、スウェーデン政府の民間緊急事態庁(Civil Contingencies Agency)は、「もし、危機や戦争になったら(IF CRISIS OR WAR COMES)」というタイトルの、危機や戦争への備えをまとめた小冊子を作成し、470万全世帯に配布した。 この出来事は、2014年のロシアによるクリミア半島併合とウクライナ東部への軍事介入で、ロシアの領土的野心があからさまになったことに加え、近年、ロシア国境沿いでの軍備増強と活動の活発化が冷戦以降で最大となっていることと切り離せない。 ロシアの脅威が深刻化・長期化するのに備え、ノルディック3国やバルト3国などがいかに急激な対策を講じる必要性に迫られているかを如実に物語るものである。 小冊子の中でスウェーデン政府は、対応すべき脅威として軍事紛争だけでなく、異常気象、サイバー攻撃、災害や偶発事案なども挙げている。 「我々の周りの世界が変わり、政府はスウェーデンの総合防衛(Total defence)の強化を決めた。平時の緊急事態への備えは、戦時の抗堪力(resilience)の重要な基礎になる」 と述べ、いかなる手段を使ってでも侵入者に抵抗するよう、全国民に指示している。 また、小冊子は、「スウェーデンが他国から攻撃を受けた場合、我々は絶対にあきらめない。抵抗をやめるよう促す情報は、すべてニセ情報だ」と強く訴えている。 ロシアが圧倒的な軍事力で自国領土を攻撃する「本物の危機」への対応だけではない。 平時に、不意にサイバー攻撃を仕かけたり、国民の抵抗心や進んで自らを守ろうとする意志を弱めるような偽情報や敵対的プロパガンダを流す工作など、非対称戦への警戒も呼びかける内容となっている。 スウェーデンの総合防衛は、「スウェーデンの戦争準備に必要なすべての活動を意味し、軍事防衛(military defence)と民間防衛(civil defence)から成り立つ」と定義されている。 スウェーデンの全国民が国家の防衛と安全への責任を共有し、有事にはお互いに進んで助け合うことが国民にとって最も重要だと説いている。 欧州全域に広がるロシアへの危機感 周辺諸国の対応 危機感は欧州全域に広がっている。 NATO(北大西洋条約機構)は、すでに脆弱なバルト3国がNATOに加盟した2004年から行ってきたバルト上空監視ミッションの規模を拡大し、即応性行動計画(RAP)に基づき、欧州東部の同盟国におけるプレゼンスを継続するため、バルト3国およびポーランドに4個大隊(実質、旅団規模)をローテーション展開する常駐態勢を敷いている。 また、既存の多国籍部隊であるNATO即応部隊(NRF)の即応力を強化し、2〜3日以内に出動が可能な高度即応統合任務部隊(VJTF)を創設した。 さらにNATOは、今年6月の国防相理事会で、欧州のさらなる即応体制の強化で合意した。 その1つは、「4つの30」と呼ばれるもので、2020年までに機械化大隊と飛行中隊のそれぞれ「30」部隊と、戦闘艦「30」隻を「30」日以内に必要な地域へ配備できる体制を作ることである。 もう1つは、今年2月に合意していた2つの新司令部の設置について、米国と欧州を結ぶ大西洋のシーレーンの防衛強化を担う司令部を米大西洋岸のノーフォークに、また欧州域内の部隊や装備の輸送の迅速化を担う司令部をドイツ南部のウルムに設けることを決めたことである。 ロシアの脅威への周辺諸国の対応 ロシアの脅威に曝されている周辺諸国も、対応を急いでいる。 ノルディック3国のうち、前述のスウェーデンは、冷戦終結を受け2010年に徴兵制を廃止したが、ウクライナ危機以降、バルト海域などで軍事演習を繰り返すロシアの行動を念頭に、今年1月から8年ぶりに徴兵制を復活させた。 そして、前述のように、全世帯を対象に、危機や戦争に巻き込まれる事態を想定した小冊子を配布し、備えを呼びかけている。 また、非軍事同盟(NATO非加盟)政策を採りつつも、NATOとの関係を強化しており、今後国防費の大幅増額を計画するとともに、バルト海の戦略的要衝ゴトランド島に昨年から部隊を再配備した。 フィンランドは、約1340キロにわたってソ連と国境を接しており、第2次大戦中、ソ連の侵略への抵抗など2度の「ソ芬戦争」を戦った歴史がある。 1995年のEU加盟を機に、冷戦期の「中立政策」から「信頼に足る防衛力を基盤とした軍事的非同盟」へと政策転換した。 ロシアを刺激しないようにNATOには非加盟であるが、関係を強化している。また、徴兵制を維持し、国防費の増額にも努めながら、北欧・バルト海諸国との地域協力を積極的に進めている。 ノルウェーは、NATOの原加盟国であるが、EUには加盟していない。徴兵制を敷き、国防費を増額させながら、北極圏で活動を活発化させるロシアの動きを警戒している。 バルト3国のうち、エストニアは、伝統的にロシアへの警戒心が強く、1991年の独立以来、欧州への復帰を目指し、2004年にNATOとEU加盟を実現した。 徴兵制を採り、志願制の有事国防組織であるディフェンス・リーグ(約1万6000人規模)を保持しつつ、国防費の増額に努めている。 2007年に、ロシアからと見られる、世界で初めての大規模なサイバー攻撃を受けたことを契機として、同国タリンにNATOサイバー防衛協力センターが設立され、NATOとともに特にサイバー対策を強化している。 ラトビアは、2004年にNATOとEU加盟を実現した。2007年に徴兵制を終了したが、NATOとEUおよび米国との二国間関係の強化を基本として安全保障を確保している。また、バルト諸国間協力およびバルト・北欧協力の推進を優先課題として取り組んでいる。 リトアニアは、ロシアとの間にベラルーシが在るため、ロシア本土とは直接国境を接していないが、バルト海に面したロシアの飛び地であるカリーニングラード州への対応が大きな課題である。 同国は、2004年にNATO・EU加盟を実現し、2008年に徴兵制を廃止したが、2015年、7年ぶりに徴兵制を復活させた。 また、ロシア軍の侵攻に備えてパルチザンの結成方法を国民に伝授するリーフレットを配布している。 その中で、ロシア軍とリトアニア軍の見分け方を写真つきで詳しく説明するとともに、家族を安全な場所に避難させたらSNSを通じてパルチザンを組織するよう呼びかけている。 なおパルチザンは、一般の市民、労働者、農民などが独自の組織を作り、外国軍などに対して自発的に武器をとって戦う、正規軍に入っていない遊撃兵のことである。 その法的地位は、1907年の「陸戦の法規慣例に関する規則」および 1949年の「捕虜の待遇に関する条約」で交戦者として確認されている。 ポーランドは、1999年にNATO、2004年にEU加盟を果たした。NATO、EUおよび米国とのパートナーシップを3本柱とし、それらとの協力強化を通じて国の安全と繁栄を確保していくとの基本姿勢である。 ポーランドは、欧州への復帰を目指してNATO、EUに加盟した東欧諸国をまとめ、NATOワルシャワ首脳会合を主催し、NATO東方地域の強化を図るリーダーとしての活動を活発化させている。 徴兵制は2009年末で廃止されたが、2016年に国軍とは別の組織である国土防衛軍(WOT)の設置を決め、当面は3個旅団と4個大隊を編成したのち、5万3000名規模への拡大を目指している。 また、2016年から国防支出をNATO目標の対前年GDP(国内総生産)比2%と決め、自国の軍備の近代化のため、ミサイルなどの新しい兵器の購入を積極的に進めている。 2018年には米「SM−3」(艦船発射型弾道弾迎撃ミサイル)が同国に配備される。 また、NATOおよびウクライナも含めた隣国との合同部隊設立にも積極的で、合同部隊の本部をポーランド国内に設置し、自国および他国との協力で多層的な安全保障環境の整備を目指している。 欧州の大国でも、例えばフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、大統領選での公約通り、2001年に廃止された徴兵制(ナショナル・サービス)の復活を今年1月に宣言した。 18歳から21歳の若者(約60万人)を対象に1カ月に限っての徴兵は、あまり軍事的な意義はないとの指摘もあるが、切迫したテロ対策への意識を高める効果は大きい。 また、危機の際に国軍を補佐する予備役および軍や関連産業の人材を確保する狙いも込められている。 ドイツは、アンゲラ・メルケル政権下で2011年に徴兵制を停止したが、近年の安全保障・治安情勢の悪化などを踏まえ、徴兵制復活の是非をめぐる議論はくすぶっている。 制度上、早期の再導入は可能とされ、政府も危機時の選択肢として、その可能性を排除していない。 ソ連崩壊後、NATOは東方拡大を続け、民主化したロシアもいずれはNATO加盟国になると思い込んでいた。そして、欧州主要国は1990年からの25年間に軍事力を大幅に減らした。 しかし、 ロシアによるクリミア半島併合以来、欧州情勢が一挙に緊迫化したことから、NATO加盟国は2014年、国防支出を2024年までに対GDP比2%以上の額とすることで合意した。 そして、ドナルド・トランプ米大統領は、2017年5月のNATO首脳会合において、対GDP比2%以上の国防支出を、未達成国に改めて強く求めた。 2017年の推定で、その目標をクリアしているのは、米国3.57%、ギリシャ2.36%、英国2.12%、エストニア2.08%、ほぼ目標に到達しているのがポーランド1.99%、以上の5か国だけである。 NATO発表によると、米国を除く28カ国の国防支出は2015年から3年連続で増額しており、2018年には上記5か国にルーマニア、ラトビア、リトアニアを加えた8カ国が、また2024年までに、少なくとも15カ国が共通目標を達成する見通しである。 それに比し、日本の防衛費の対GDP比は約1.0%であり、努力不足は否めない。 世界各国の兵力は総人口の約1% 列国に比し規模の小さい自衛隊 これまで述べたように、ロシアの脅威に備えるため、多くの周辺諸国が徴兵制を復活し、国防予算を増額して防衛力を強化しているが、果たして、どのくらいの兵力を持てば、国の生存と安全を確保できるのであろうか――。 英国際戦略研究所(IISS)調べの「現役軍人数国別ランキング(2012年)」によると、世界の総兵力は約8676万人である(なお、総兵員数には、現役(正規軍)、予備役および準軍事組織(沿岸警備隊など)の要員が含まれる)。 一方、当時の世界の総人口は、約68億人(WHO世界保健統計2012年版)で、世界の総人口に占める総兵員数の割合は1.26%となる。世界各国の国力や地政戦略的条件には違いがあり、一般的に、総兵員数は、各国人口の概ね1%程度が標準的な割合である。 人口1億人以上の国における総兵員数の対人口比は、平均すると約3.5%となり、人口の多い国ほど、世界平均よりも多くの兵力を国防に充当する傾向が見られる。 そこで、日本周辺諸国の兵力について見てみよう。 中国(人口約13億8000万人)の現役兵力は約220万人、予備兵力51万人、民兵約1000万人(2004年中国国防白書)、合わせて総兵力約1300万人、人口比約1%弱である。 習近平国家主席は、2015年9月に中国軍の「兵力30万人削減」を宣言した。これは、自衛隊の総兵力を上回る数字であるが、それだけ削減しても、依然として、上記の大規模な兵力を保有している。 北朝鮮(人口約2510万人)は、現役兵力約119万人、予備兵力60万人、民兵約350万人、合わせて総兵力約513万人、人口比約2.1%である。 韓国(人口約5090万人)は、現役兵力約63万人、予備兵力450万人、合わせて総兵力約513万人、人口比約1%である。 台湾(人口約2300万人)は、中国の脅威に曝されている第一列島線上に位置する島国という点で日本の立場に似ている。 その台湾の面積は、日本の約10分の1、人口は約5.5分の1であるが、現役兵力約22万人、予備兵力166万人、合わせて総兵力約188万人、人口比約0.8%である。 では、日本はどのような状況にあるのか――。 日本(1億2700万人、平成27年)は、現役自衛官(現役兵力)約22万5000人(定員24万7000人、充足率90.8%)、列国の予備役に相当する予備自衛官(即応予備自衛官8075人、予備自衛官47900人、予備自衛官補4621人)約6万人、合わせて総兵力約28.5万人、人口比約0.22%である。 このように、総兵力の対人口比から見て、日本は、世界標準の4分の1にも満たない、小規模な兵力しか保有していないのである。 しかも日本は、東西・南北(最東端:南鳥島(東京都)〜最西端:与那国島(沖縄県)、最北端:択捉島(北海道)〜最南端:沖ノ鳥島(東京都))に約3000キロずつ長い国土に、周囲100メートル以上の島が6852あり、そのうち有人島は418、有人国境離島は148を数える。 そのため、海岸線の長さは約3万4000キロで、地球一周の85%近くになり、世界第6位である。 また、国土面積は世界第61位であるが、排他的経済水域(EEZ)の面積は世界第6位へと拡大し、国土面積に比べ島の数や海岸線の長さ及び海空域の広がりは膨大である。 このように、守るべき長大かつ広大な領域を持つ日本の地理的特性が、我が国の防衛に重く圧しかかる。 さらに、地政戦略上、常に、ロシア、北朝鮮(朝鮮半島)そして中国による3方向からの脅威を念頭に置かなければならず、兵力的に少ない陸海空自衛隊の配備や運用を一段と過重にし、また難しくしているのである。 日本の防衛力のうち、現役自衛官は、有事になれば、国境離島を含めた領土、領海、領空の防衛を最優先の任務として、敵の侵略を我が国領域の努めて遠方で阻止・撃破するために、駐屯地・基地を離れて戦場で戦うことを本分としている。 また、予備自衛官は、防衛省の説明によると、「いざという時に必要となる防衛力を急速かつ計画的に確保する」ために運用される。 即応予備自衛官は第一線部隊の一員として現職自衛官と共に任務につき、予備自衛官は第一線部隊が出動した際の駐屯地の警備や通訳・補給などの後方支援の任務等に従事し、そして、予備自衛官補は、予備自衛官の任務等を補う役目を果たすものである。 つまり、有事には、現役自衛官も予備自衛官も、我が国の防衛作戦に専念しなければならず、共に国民に寄り添って、身近で直接守ってくれるものと誤解してはならない。 気づいてみれば、国民の周りには武器をもって戦う自衛官は誰もいない、というような状況になりかねないのが現在の我が国の防衛体制なのである。 今日、北朝鮮のミサイル発射に対応している海上自衛隊のイージス艦の乗組員と航空自衛隊のペトリオット部隊の隊員、そして、中国、ロシアの領空侵犯対処に当たっている航空自衛隊のパイロット・整備員たちは、小規模な兵力で休む暇もなく対応せざるを得ず、平時の警戒監視(警備)任務で、へとへと(疲労困憊)になっている。 また、例えば米国では、各州(自治体)の治安出動や災害派遣などの非常事態対処は、平時、州知事の指揮下にある郷土防衛隊としての州兵の役割である。 しかし日本では、その役割は自衛隊が担うことになっており、自衛隊は米国の連邦軍と州兵を合わせた二重の役割を課せられているのである。 つまり、前述のデータは、列国と比較して、いかに自衛隊、自衛官に過剰な任務役割、過剰な負担がかかっているかを示すものである。 そして、自衛隊の現有兵力(予備自衛官を含む)で本当に我が国の防衛が全うできるのか、との根本的問題を投げかけていると見なければならない。これこそが、我が国防衛体制の「不都合な真実」なのである。 日本の防衛体制には重大な欠陥 中国の脅威が高まる中、日本はどうする! 以上述べたことから、我が国の防衛体制にある重大な欠陥がみてとれよう。 その第1は、現役自衛官(現役兵力)の不足である。 例えば、国土(領土)を守る陸上自衛隊の現有兵力は、約15.1万人で、単純に計算すると、約3万4000キロの海岸線に250メートル間隔で隊員1人を配置するだけでお仕舞になり、この兵力をもって敵の侵攻に対する国土防衛が成り立たないのは、自明である。 第2は、予備自衛官(予備兵力)が極端に少ないことである。 列国では、概ね現役兵力の2倍以上の予備兵力を確保している。前述の日本周辺諸国の予備兵力(民兵を含む)を見れば、明らかである。 しかし、日本の予備自衛官(予備兵力)は約6万人で、現役自衛官(現役兵力)約22万5000人の約4分の1であり、現役自衛官(現役兵力)の損耗補充や後方支援などを行う「縦深戦力」としては、あまりにも少ないと言わざるを得ない。 第3は、米国の州兵に相当する「郷土防衛隊」がないことである。 自衛隊は、米国の連邦軍と同じように、敵と戦場で戦って国土・国民を守る国家防衛が最大の任務であり、そのうえ、有事、いわゆる郷土防衛に差し向ける兵力上の余裕を持たされていない。 有事には、第一線地域(戦場)と後方地域の別なくミサイル攻撃、ゲリラ・コマンド攻撃、あるいはサイバー攻撃などの脅威が襲ってくる。その時の後方地域の守りは不可欠である。 第4は、我が国には、民間防衛の体制がないことである。 国の守りは、決して、自衛隊(軍隊)の専売特許ではない。民主主義国家においては、主権者たる国民すべてがその責任を負うのが大原則である。 その意味で、我が国と欧州諸国の安全保障環境が異なることから、直接的な参考にはできないまでも、欧州諸国の国防政策は我が国に対する大いなる示唆を与える。 スウェーデンは、民間防衛を国防の2大要素の1つとして位置づけ、全国民が国家の防衛と安全への責任を共有し、有事にはお互いに進んで助け合うことが国民にとって最も重要だと説き、具体的に施策している。 また、エストニアは、常備軍のほかに、志願制の有事国防組織であるディフェンス・リーグ(約1万6000人規模)を制度化している。 リトアニアは、有事には、市民に武器も持って立ち上がり、パルチザンとなって戦うことを呼びかけ、ポーランドは国軍とは別組織の国土防衛軍を設置している。 いま、ユーラシア大陸を挟んだ欧州の反対側のインド太平洋地域では、中国が「三戦」を絡めた「力による現状変更」、すなわち覇権的拡大の動きを強めており、欧州におけるロシア以上に中国への対応が日本および地域の喫緊の課題となっている。 日本の歴代政権の憲法解釈では、徴兵制は違憲とされている。与党・自民党の憲法改正草案にも、徴兵制については一切想定されておらず、我が国は欧州諸国の国防政策の重要な柱となっている徴兵制を採ることができない。 そうであればこそ、前述したように、現有兵力(現役自衛官)の拡充、予備自衛官(予備役)制度の抜本的見直し、郷土防衛隊の創設ならびに民間防衛体制の整備は、相互に関連させて、早急に検討しなければならない国家的課題なのである。
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