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外交の欠如がワシントンを孤立化させている
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2018年6月 7日 マスコミに載らない海外記事
2018年6月5日
Paul Craig Roberts
ソ連崩壊がワシントンの単独覇権主義に対する制約を取り除いた。権力の座に上り詰めたばかりのネオコンが好機を捉え、外交を恫喝と強制で置き換えた。悪名高い一例は、ジョージ・W・ブッシュ政権時、リチャード・アーミテージ国務次官補が、パキスタンに「言われた通りにしろ、さもないと爆撃で石器時代にするぞ」と言ったことだ。言われた通りにしたパキスタン大統領本人の権限で、アメリカはそうした。
ロシアのプーチンの場合、ロシアは反撃爆撃ができるので、これほどの脅威は、やりすぎだ。そこで脅威は弱められた。言われた通りにしないと、経済制裁を科すぞ。
経済制裁、ある国の他の国に対する覇権の主張だ。経済制裁を科する側には、 別の主権国家に、言う通りにしろ、さもなくば報いを受けるぞと言う超法規的な国際的権限があるという主張だ。
ワシントンの単独覇権主義に対する制約が取り除かれるやいなや、経済制裁はアメリカ外交政策手段となり、外交に置き換わった。クリントン政権は経済制裁をイラクに使った。クリントン政権の対イラク経済制裁の結果、500,000人のイラクの子供が亡くなったと国連が報じた際、クリントンのユダヤ人国務長官は、全国版TV番組“60 Minutes”で、レスリー・スタールに、経済制裁には、50万人の子供を死亡させるだけの値打ちがあったのでしょうかと質問された。マデレーン・オルブライトは、そうだと答えた。“それだけの値打ちはあるのです”。ユダヤ人はパレスチナ人に関して、同じように感じている。パレスチナ人の国が、イスラエルに盗み取られているのだから、パレスチナ人に、何の意味があるだろう? 彼らを殺すというのが、イスラエルの答えだ。あるイスラエル閣僚が言った通り、我々は、アメリカ人がインディアンとして知られているアメリカ先住民に対して行ったことを行っているに過ぎない。アメリカは、この犯罪をイスラエルと共有しているのだから、パレスチナ人へのイスラエルの犯罪に対するあらゆる国連行動に、ワシントンが常に拒否権を行使するのは何ら不思議ではない。二つの犯罪国家が、世界に反対して団結しているのだ。
ワシントンが21世紀に、7つの国の丸ごと、あるいは一部の破壊を推進して以来、しかも更にいくつかの国に対して、依然しかけているので、ワシントンの見地からすれば“それだけの値打ちはある”のだ。
ある国がワシントンの命令に従わない場合、ワシントンはいつも経済制裁を科する。イラン、北朝鮮、ロシアとベネズエラは、全てワシントン経済制裁の犠牲者だ。しかも、ワシントンは、ヨーロッパの同盟諸国を含め他の国々にも経済制裁を科するよう強制し、従わないと、そうした国々もワシントンは制裁する。
ワシントンによる世界覇権の主張が度を超すまでは、これが機能していた。イスラエルと、トランプ顧問になっているイスラエルの手先、ネオコンに導かれて、トランプが、アメリカ、イラン、ロシア、中国、フランス、イギリスとドイツが署名したイラン核合意を非難し、離脱した際、やりすぎたのだ。
ワシントンのヨーロッパ属国が、彼らが署名した合意から撤退しないと、彼らを経済制裁するとトランプは威嚇した。
全ヨーロッパは既に高い失業に苦しんでいる。ワシントンの経済制裁が、イランとの儲かる事業を再開したヨーロッパの状況を悪化させている。とうとうヨーロッパは悟ったのだ。ワシントンはヨーロッパに、そこからヨーロッパは何の恩恵も受けない覇権をワシントンが行使できるようにすべく、ヨーロッパは経済的に苦しむべきだと言っている。
1945年以来ワシントンの属国だったヨーロッパとイギリスの政府にとってさえ、これはやりすぎだ。売女マスコミではそうではないが、インターネット・ニュースの至る所で反乱が報じられている。ヨーロッパやEU幹部たちが、ヨーロッパはワシントンの利益でなく、自らの利益を代表すべき時期だと言っている。CIAが作り出した組織EUのトップさえ反旗を翻している。
反乱は続くのだろうか、それとも、長年ワシントンに雇われているヨーロッパ人による、もっと金をくれというポーズの滑稽なしぐさに過ぎないのだろうか? ヨーロッパの反乱を鎮めるため、ワシントンは一体いくら支払わなければならないのだろう?
ウラジーミル・プーチンは、ワシントンの傲慢さが、そのヨーロッパ帝国を崩壊させるのを待ちながら、侮辱と挑発を長年甘受してきた。おそらくプーチンの忍耐が効果を生みつつあり、今それが起きているのだ。
ワシントンが孤立化しつつある兆しがある。ワシントンは、インドと、NATO加盟国のトルコにも、ロシア兵器システムを買わないよう命じたが、両国はワシントンに肘鉄を食らわせ、ワシントンの内政干渉をはねつけて、購入を進めている。
ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長は、ヨーロッパは、ロシアと再び結びつき、ロシア攻撃を止めるべき時期だと述べた。CIA自身が作り出したEUが、ワシントンに背を向けるのだろうか?
それはあり得る。ワシントンは、エネルギーをヨーロッパにもたらすロシアのノルド・ストリーム 2 ガス・パイプライン・プロジェクトにドイツが参加すれば、ドイツを経済制裁すると威嚇した。ワシントンには、この依存が、ヨーロッパに対するワシントンの権力を弱めるので、ロシアに依存されるより、エネルギー不足で、ヨーロッパが閉鎖するほうがありがたいのだ。
長らくワシントンの売女だったドイツのメルケルが心を入れ換えた。アメリカは、もはや信頼できる政治パートナーではなく、ドイツは“自らの運命を自らの手に握る必要がある”と彼女は宣言した。最新の世論調査では、82パーセントのドイツ人が、ワシントンは“信頼できないパートナー”だという彼女に同意している。
伝説的無能さにふけっているワシントンは、同盟諸国を貿易戦争で恫喝して、帝国のあらゆる関係を悪化させつつある。トランプ政権内には、アメリカの“貿易問題”は、メキシコ、カナダ、中国やヨーロッパのせいではなく、もっぱら自ら招いたものであることを理解できる十分な能力がある人物は一人もいない。
アメリカの極めて深刻な貿易問題は、グローバリズムと、新自由主義経済学と、ニューヨーク投資銀行のおかげなのだ。
中国とのアメリカ貿易赤字の、根源は、アメリカの仕事の海外移転だ。かつてはアメリカで、アメリカ労働者によって製造されていたリーバイス、ナイキの靴、アップル・コンピューターなどの製品が、賃金や様々な法令遵守経費が、ずっと安価な外国で製造されている。アメリカ市場向けに、アメリカ企業によって、海外で製造されたこれらの製品が、アメリカでの販売用に帰ってくる際には、製品は輸入としてやってくる。だから、アメリカ企業製造の海外移転が、アメリカ貿易赤字の最も直接的な原因だ。
ところが、この基本的で、争う余地のない事実を、売女マスコミや新自由主義経済学者やアメリカ政府統計機関は決して報じない。全て中国やメキシコやカナダが悪いふりをしている。それがアメリカ企業による利潤追求行動の直接の結果だとは決して教えられない。
ソ連崩壊で、社会主義インドと、共産主義中国の政府が、資本主義が今後の方向だと判断し、両国は労働市場を外国資本に開放した。
製造の海外移転で、地元の町や労働人口を見捨てたいとは思わないアメリカ企業は、ニューヨークの投資銀行による恫喝で、そうするよう強いられた。国内生産者は、人件費が安く、利益を増加させる中国に事業を移転するように言われ、さもないと事業を外国に移転して利益を上げる企業買収に直面した。
高生産性、高付加価値の仕事がアメリカから出て行った理由は、ウオール街と企業幹部と株主の強欲のためだ。いつもそうなのだが、支配的権益集団と連中のワシントンの傀儡は外国人のせいにして、自分たちを守るのだ。
ところが、今や連中は、誤って“貿易戦争”と表現されているもの開始した。
実際は、トランプ政権は中国や他の国々と戦争をしているわけではない。トランプ政権は、アメリカ市場向け製造を海外移転したアメリカ企業と、この動きを強制したニューヨークの銀行と戦争しているのだ。関税は、中国の輸出にではなく、アメリカ企業の製造海外移転にかかるのだ。関税は、アメリカ人が、アメリカ企業が中国で製造する製品に支払う価格を上げるのだ。
鉄鋼とアルミニウムに対するトランプ関税は、アメリカの生産機能に使われる原料の費用を上げる。こうした原料の価格上昇は、鉄鋼やアルミニウムで作られるアメリカ産業の製品も価格が上がり、アメリカの競争力を損なうことを意味する。これは保護主義が機能すると考えられているものの真逆だ。保護主義は、原料の経費を最小化し、競合する外国製品に対する関税で生産物を保護することで機能する。言い換えれば、国内で製造された商品の価格は引き下げられ、競合する輸入品の価格は引き上げられる。
海外に移転された、アメリカの製造業や高度な技能の仕事は、アメリカ人にとって、より良い仕事で置き換えられるはずだと保証した際、新自由主義経済学者はウソを吐いたのだ。公式賃金データが明らかにしている通り、代替の仕事は、よりひどいもので、第三世界の国々における雇用の特徴、低賃金国内サービス業の仕事だ。
仕事の海外移転は、アメリカにとって破滅的だ。結果として生じる貿易赤字など序の口だ。給料の良い仕事の喪失が、消費者購買力を損ねている。生活水準を維持するため、消費者は、足りない収入を借金で穴埋めしている。その結果、41パーセントのアメリカ人は、万一、緊急事態に直面した場合、400ドルが集められないのだ。
かつては製造の本拠地だった国の予算も損なわれ、年金債務を返済する能力に疑念を投げかけている。仕事の海外移転の恩恵は企業幹部と株主という小さな集団に集中しているが、アメリカ経済と労働人口に対する、仕事の海外移転による膨大な外部費用に比べれば、些細なものだ。
ロボットは状況を一層悪化させる。要員の人間を置き換えるのに、実に幸福に働いている賢い連中は実際は愚かだ。彼らは社会制度を破壊しつつあるのだ。関税はロボットに取って代わられた仕事を守ることはできない。しかもロボットは、住宅、家具、自動車、服、娯楽、食べ物、飲み物、スマートホン、コンピューターを買わない。人をロボットに置き換えて節約された全てのお金は、ロボットによって製造された製品に使われない。消費者需要は崩壊する。唯一の解決策は、社会の全員が生産物の所有者になる製造の社会化だ。人々が時間をどう使うのか、働く必要がない人々はどうなるのか、能力をどう発展させるのかといった回答のない疑問が残るのでこれすらも部分的解決に過ぎない。
資本主義は、時間とともに、効果的に資源を割り当てるという主張にもかかわらず、短期的な計画対象期間は、次期四半期の利益だ。この制度ではあらゆるものが短期的だ。自社株を買い戻し、株価を押し上げ、自分たちの“業績手当て”を最大化するため、幹部連中が企業に借金させ、破壊する事態にまで至っている
経済の強さを損なう短期的利益最大化の結果、アメリカは一層好戦的になる。略奪は、体制を破綻させずに維持する手段となる。そこで、他者に対する覇権は、存続のための手段となる。
事態はトランプ政権で頂点に達している。トランプの弱い者いじめの性格が、ネオコン覇権の好戦的態度と相まって、様々な形の戦争を生み出している。ワシントンが属国を恫喝している経済戦争はロシアに友好的な自立したヨーロッパを実現しかねない。
ワシントンにおける覇権権力の衰退が、アメリカ経済復活の前提条件だ。略奪が選択肢でなくなれば、政策は内部に向かわざるを得なくなる。企業責任は、株主とともに、従業員や顧客や地域社会も含めるように回復されるべきだ。シャーマン反トラスト法を復活させ、独占企業を解体し、大きすぎて潰せない銀行を分割し、アメリカ市場向け製品を、企業が、国内、海外どちらで生産しているかにより、区別して課税することで、海外移転した製造を国内回帰させる必要がある。
歴史的に、外国貿易は、アメリカ経済発展にとって重要ではなかった。勃興する中流階級が、大規模製造や産業企業を繁栄させるのに十分な巨大な消費者市場を生み出した。この繁栄するアメリカは、グローバリズムによって破壊された。アメリカの再生には、“例外主義”という思い上がりを持たず、世界のいじめっこ役を拒否し、国内問題に注力できる新たな層の指導者が必要だ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/06/05/absence-diplomacy-isolating-washington-paul-craig-roberts/
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