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イタリア EUに懐疑的な政権発足へ 新たな火種の可能性も/nhk
5月24日 4時33分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180524/k10011450171000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_005
ことし3月に議会選挙が行われたあと、連立協議が難航していたイタリアで、EU=ヨーロッパ連合に懐疑的な新興政党と右派政党による連立政権が誕生することになり、今後、EUの新たな火種となることも予想されます。
イタリアでは、ことし3月の議会選挙で、いずれもEUに懐疑的な立場をとる新興政党「五つ星運動」と、右派政党の「同盟」が躍進し、2か月半以上にわたって両党を軸に連立協議が続いてきました。
両党はこれまでに、政策面で基本合意に達し、首相候補として法学者のジュゼッペ・コンテ氏(53)を選んでいましたが、23日、マッタレッラ大統領がコンテ氏を首相に指名したうえで組閣を指示したため、新政権が誕生することになりました。
コンテ氏は記者団に対し、「すべてのイタリア人の利益を守る」と述べ、新政権へ向けた決意を示しました。
両党の政策合意では、大規模な減税や最低所得保障制度の導入など、EUの財政規律にとらわれない政策を行うことや、イタリアがアフリカや中東からの移民や難民を受け入れる負担を不当に強いられているとして、EUに難民政策の見直しを求めていくことなどを盛り込んでいます。
コンテ氏は、近く組閣を行ったあと、議会の信任投票を経て首相に就任することになりますが、EUの設立当初からの主要国であるイタリアに、EUに批判的な政権が発足することで、イギリスの離脱で揺れるEUにとって、新たな火種となることも予想されます。
連立政権の政策案とは
イタリアで連立政権を担うことになった新興政党「五つ星運動」と右派政党「同盟」は、政権の発足後に目指す政策案で合意しています。
58ページに及ぶ政策案の最大の注目点は、EU=ヨーロッパ連合のさまざまなルールへの対応です。
EUは、単一通貨ユーロの価値を守り、過度のインフレを防ぐため、加盟国に対して、財政赤字をGDP=国内総生産の3%未満に抑え、財政規律を守るよう求めていますが、政策案では「ルールの抜本的な改正が必要だ」としています。
そのうえで、個人や企業に対する最大20%の大規模な減税や、低所得者層向けに月額780ユーロ(日本円で10万円余り)を支給する最低所得保障制度を導入するなどとしています。
この公約が実現すれば、財政赤字が急激に悪化することが懸念されていますが、政策案では「大胆な財政出動によって企業の投資や個人の支出が増え、経済が活性化する」として、政策による効果を強調しています。
また、イタリアではここ数年、アフリカや中東などからの多数の難民や移民が地中海を渡って到着し、EUのルールに従って難民申請の手続きなどを行ってきましたが、負担が多すぎるとして、ルールの変更を求めています。
具体的には、イタリアに到着した難民申請者を自動的にほかの加盟国に配分する新たな仕組みを作るべきだとしていますが、難民の配分については、一部の加盟国がこれまでも強く反発していることなどから実現へ向けては今後、EU各国の間で厳しい議論も予想されます。
さらに、不法移民だとわかった場合は、直ちに母国に強制送還する対策を強化することなどを掲げています。
また外交政策では、ロシアについて「脅威ではなく、重要な経済と貿易のパートナーと見なすべき」として関係改善を打ち出し、2014年のウクライナ危機以降、EUがロシアに科してきた経済制裁を解除すべきだと主張しています。
専門家 EU統合や金融市場などへの影響懸念
イタリア政治の専門家は、EUの統合や金融市場などに影響が出るおそれがあると指摘しています。
首都ローマにあるルイス大学のマッシミリアーノ・パナラーリ教授は、NHKとのインタビューで、「EU設立当初からの加盟国が反EUや反移民を掲げる東ヨーロッパの一部の国の立場に近づくおそれもある」と述べ、強権的な政権運営を行うハンガリーやポーランドなどとイタリアの新政権が近い立場を取ることへの懸念を示しました。
さらに、連立政権が大規模な減税を行うとする一方で、巨額の財源が必要となる最低所得保障などの政策を掲げていることについて、「両方を実現するのは不可能であり、イタリアの経済成長を実現する見通しも示せていない」と述べ、厳しく批判しました。
そのうえで「連立政権発足の可能性が高まった段階で、イタリアの国債の利回りはすでに上昇しており、今後はヨーロッパだけでなく、国際的な金融市場にも影響が広がることが懸念される」と述べ、政権発足に伴って市場が混乱することへの懸念を示しました。
ローマ市民から懸念の声も
イタリアで、EUに懐疑的な立場を取る連立政権が発足する見通しになったことについて、首都ローマの市民からは懸念の声が多く聞かれました。
このうち、23歳の大学生の男性は「イタリアに反EUで右派寄りの政権が誕生することになったのは残念だ」と話していました。また、46歳の男性は「選ばれた首相は納得できず、公約が実現できるとも思わないので、全く楽観はできません」と話していました。
一方、49歳の女性は「首相に指名されたコンテ氏は政治経験がないからこそ、何かを実現してくると期待したい」と述べて、新政権に期待する意見も聞かれました。
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