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ワシントンはアルメニアで実際何をしているのか?
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2018年5月10日 マスコミに載らない海外記事
2018年5月3日
F. William Engdahl
旧ソ連邦のアルメニア全土で最近続いている抗議行動は、もう一つのワシントンによるカラー革命不安定化なのか、それともセルジ・サルキシャン首相政権下での酷い腐敗と経済発展の欠如にうんざりした単なる国民の怒りの反乱なのかという憶測が、ここしばらく大きな話題になっている。大規模抗議行動が連日続いた後、4月23日、首相は“ニコル・パシニャンが正しかった。私は間違っていた”と宣言して辞任を強いられた。アルメニアは、ロシアのユーラシア経済連合の重要なメンバーであり、それが親NATO野党の支配下におかれるようなことになれば、モスクワにとって、控えめに言っても、戦略的問題が生じかねない。事態は深刻だ。
皮肉にも、形式上、抗議行動を引き起こしたのは、サルキシャンが、トルコのエルドアンが行ったことの逆を、自分で行った結果なのだ。彼と議会の与党が、大統領府から、儀礼的役割以外のあらゆる権限をはぎ取り、実際の決定権限を、首相に与えることに成功していたのだ。彼自身が首相になる前に、彼はこれをやりおおせていた。これまでの所、ロシアはアルメニア内政に干渉しないという声明の後、続行中の抗議行動に対するモスクワの対応は、明らかに沈黙だ。
現時点では、サルキシャンが、首相を辞任し、5月1日の議会選挙で、パシニャンの対抗候補として出馬していない事実にもかかわらず、パシニャンは首相任命に必要な多数決が得られなかった。この記事を書いている時点で、“平和な市民的不服従”による交通と政府庁舎の完全遮断を、彼は呼びかけた。首相承認投票が失敗したことが発表された後、彼は議会前の群衆にこう語った。“明日はゼネストが宣言される。08:15から、我々は全ての道路、通信、地下鉄、空港を封鎖する。我々の戦いは失敗で終わるわけには行かない。”
カラー革命?
一体どのような証拠が、モスクワにとって戦略上重要な国へのワシントンの直接介入を示しているだろう? 第一に、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団-アルメニアのエレバン事務所という確立された存在があることだ。4月17日、反政府抗議行動の規模が拡大する中、いくつかのNGOが、まず確実に政府が支援している抗議行動妨害者連中を突き止めたと警告し、 平和な抗議行動参加者に対して、彼らを配備しないよう警告する政府に対する公開書簡に署名した。
呼びかけには、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティー財団により、一部の資金供給を受けているヘルシンキ委員会の一環、アルメニア・ヘルシンキ委員会も署名した。呼びかけには、ソロスのオープン・ソサエティー財団 - アルメニアも署名した。
2月に、ソロスのソロスのオープン・ソサエティー財団-アルメニアは、“若者、若い活動家やジャーナリストを引きつけることを目指す。アルメニアの確立した人権擁護活動家と、アルメニア共和国国民の権利を擁護する上で、更なる専門知識を得ることに興味がある若い世代の活動家の架け橋として機能する”よう作られた欧州連合との共同プロジェクトを発表した。
対アルメニア政府警告声明への署名者に、自らを「国境なき権利保護NGO」と称するアルメニアNGOがある。このNGOも、ソロスのOSF-アルメニアのみならず、EUや、私が最新刊、Manifest Destiny: Democracy as Cognitive Dissonanceで、アメリカ政府の政権転覆不安定化カラー革命につながっていることが多いと書いた組織アメリカ国務省USAIDからも資金提供を受けていることが判明している。
オープン・ソサエティー財団-アルメニアや他の組織が、エレバンの街頭で展開している出来事に直接つながるそのような声明に署名している事実は、少なくとも、学術的関心以上のものが、拡大する抗議行動にあることを示唆している。
アルメニア国内における他のアメリカを本拠とするNGOの役割はどうだろう? 1980年代に設立された主要なアメリカの政権転覆NGO、創設者の一人、アラン・ワインステインの言葉によれば、CIAが行っていたことを民間で行うものである全米民主主義基金は、助成金という点で、協力的ではなくなっている。とは言え、いくつかの研究で、NEDも、アルメニアにおける法の支配と政府の説明責任推進から、“EUとの連携で、いかにジョージアが恩恵を得ているか、しかしアルメニアが、いかにユーラシア経済連合からは同様な恩恵を得られないか”を示す2017年のアルメニア人ジャーナリスト向けプログラムに至るまで、アルメニア国内の無数のプログラムに資金提供していることが明らかになっている。2017年、別の寛大な助成金で、NEDは彼らに言わせれば、“質を向上させ、独自のニュースを得られるようにする”資金を供給するため、アルメニア・タイムズ新聞に、窮乏したアルメニア経済では、かなりの金額40,000ドル以上を与えた。
ワシントンが資金提供しているNGOの確固とした存在に、最近の抗議行動中、アメリカ国務省が、野党指導者ニコル・パシニャンと積極的に接触している事実を加えると、我々はワシントンによるカラー革命の変種を目撃している可能性が一層高くなる。4月30日、決定的な議会選挙の前日、A. ウェス・ミッチェル国務次官補(ヨーロッパ・ユーラシア担当)が、野党Civil Contract議員、ニコル・パシニャンとの電話対話を開始したと述べた。彼の公式声明で、ミッチェルはただこう述べていた。“アメリカ政府は、何十年にもわたるアメリカ-アルメニア関係を更に深化させることを目指してアルメニア新政権と緊密に協力することを楽しみにしている。”
ウェス・ミッチェルは、オバマの下で、悪名高いネオコン・ウクライナ・カラー革命煽動者ビクトリア・ヌーランドが占めていた地位にある。彼もヌーランドの続きであるように見える。2017年、ミッチェルは、彼が実際設立し、CEOをつとめていたCenter for European Policy Analysis (CEPA)なるものから移り国務省の職についた。これで、事態は興味深くなる。
アメリカがウクライナのオレンジ革命に深く関与していた頃の2004年に設立された、ワシントンのシンクタンクCEPAは、その任務は“アメリカ合州国との密接かつ永続するつながりによって、経済的に活気あり、戦略的に安定し,政治的に自由な中欧と東欧を推進すること”だとされている。CEPAの主要プログラムは“中欧と東欧の国々でのロシアによる偽情報を監視し、暴露することだ。”
実際、ミッチェル国務次官補は、その資金提供団体が、NATO、アメリカ国防省、全米民主主義基金、ロッキード・マーチン、レイセオン、ボーイング、BAEシステム、ベル・ヘリコプターを含む主要巨大軍事企業であるワシントンの反ロシア・シンクタンク出身者なのだ。 特に、ロシア国営のRTによるCEPAへの資金提供情報記事の後に、連中のウェブサイトの、その部分は、サイバー涅槃へと消滅したように見える。
ロシア嫌いのミッチェルが、野党指導者ニコル・パシニャンとの接触を認めているのに加えて、駐アルメニア・アメリカ大使リチャード・ミルズ、元在イラクアメリカ大使館“首席民主主義顧問”(原文通り) ウクライナ同様に、アルメニアを、ロシアから離脱させ、アメリカ勢力圏に引き込むのを支援するべく、ミルズをエレバンに転勤させたとされるビクトリア・ヌーランドのおかげで、その地位にある。電気料金の16%値上げを巡る失敗した2015年のカラー革命抗議行動を引き起こしたアルメニアのヴォロタン水力発電複合体をアメリカ企業への販売を仲立ちする上で、ミルズは、重要な役割を演じたとされている。アメリカが資金提供するNGOは、電気料金値上がりの主な理由は、ガスプロムがアルメニア・エネルギー市場を支配しているロシアのせいだと主張した。抗議行動は当時ソーシャル・メディアのハッシュ・タグ#ElectricYerevanを使って広められた。
今回は、あらゆることが、遥かに精巧なアメリカ・カラー革命のリメイクを示唆している、今回は、42歳のジャーナリストで、パシニャンの以前の反政府活動で投獄経験もあるつわもの、信頼できそうに見える指導者を用意している。パシニャンは、首相になったら、アルメニアをロシアのユーラシア経済連合から離脱させるつもりはないと慎重に宣言している。5月1日、彼はこう宣言した。“ロシアは戦略的に重要な同盟国と考えており、我々の運動は、これを脅威とは見なさない…[首相として]もし私が選ばれたなら、アルメニアは、ユーラシア経済連合と、集団安全保障条約のメンバーであり続ける。”
現段階で、ニコル・パシニャンの気休めの言葉にもかかわらず、アルメニアでの出来事は、当面直接とれる選択肢は限定されているモスクワにとっては決して良いニュースではないことは明らかだ。
なぜアルメニアなのか?
アルメニアは、1991年のソ連崩壊以来、戦略的に極めて重要なモスクワの同盟国だ。アルメニアは、二つの敵対的国家-アゼルバイジャンとトルコと国境を接している。他の隣国に、イランとジョージアがある。2003年に、アメリカがカラー革命を仕組み、親NATOのミヘイル・サアカシュヴィリを権力の座に据えて以来、ジョージアの状況は不安定で、アルメニアが、主要貿易相手国で投資国であるロシア依存から国を引き離すと固く決めている指導者の影響を受けるようなことになれば、ある種の内戦になりかねない。
既に、アゼルバイジャンでは、大喜びで、そのような結果を期待する声が上がっている。5月1日、アルメニア議会が、パシニャンを首相とする投票を拒否した際、アゼルバイジャン議員Gudrat Hasanguliyevは、アルメニアの状況は内戦になりかねないと警告した。彼は、アゼルバイジャンは、内戦を住民の大多数がアルメニア人である分離主義のナゴルノ・カラバフを奪回する好機として利用する準備をしておくべきだと主張した。
1994年、アメリカが支援するアゼルバイジャン軍と、アルメニアとの間のナゴルノ・カラバフ飛び地をめぐる戦争終結をロシアが仲立ちして以来、停戦は不安定だ。2016年に、アゼルバイジャン軍が、撤退を余儀なくされる前に、ナゴルノ・カラバフ軍事占領を試みて一時、停戦が破られた。
現時点のあらゆる証拠が、アルメニア国内の不満につけこみ、ロシアとユーラシア経済連合を弱体化させようとする、少なくとも、アルメニアに不穏と混乱を生み出すアメリカのNGOと国務省の汚い手が入ってきることを示唆している。もし、そうであれば、間もなく明らかになるだろう。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の政治学学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/05/03/what-s-washington-really-doing-in-armenia/
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