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朝鮮半島を含む東アジアの平和実現を妨害する米国の好戦勢力に米大統領は抵抗できるのか?
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2018.04.29 櫻井ジャーナル
韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談は東アジアの平和にとって良いことだと言えるが、これで平和が約束されたわけではない。似たような光景を以前も見たことがあるが、その後の展開は芳しくなかった。東アジアの軍事的な緊張を高め、あわよくば中国、そしてロシアを制圧しようと考えている勢力がアメリカ支配層には存在するからだ。
文大統領と金委員長は朝鮮半島の「完全な非核化」を目指すというが、これはアメリカ軍を巻き込むことになる。韓国にミサイルを配備、戦争の準備を進めてきたアメリカ軍が非核化に協力するだろうか?
もし朝鮮半島からアメリカ軍が核兵器を撤去することを決めたなら、日本へ持ち込むという事態が想定できる。第7艦隊がいなくなるとは思えない。核ミサイルを搭載した原子力潜水艦が東アジアから消えるということもないだろう。日本が核兵器を開発していることはアメリカの情報機関内の常識。いや、日本以外の常識だろう。「完全な非核化」を実現しようとするなら、日本も巻き込まれる。
ところで、アメリカではすでにドナルド・トランプ大統領と金委員長との会談が行われないのではという憶測が流れ始めている。もし会談が実施されても交渉が失敗に終わった場合、一気に軍事的な緊張が高まる可能性がある。交渉を失敗させようとはかりごとをめぐらす人もいるだろう。
そうしたはかりごとに加わりそうない勢力の中に日本の支配階級も含まれる。イギリス(後にアメリカ)による東アジア侵略の手先になることで日本の権力者になった彼らは今も日本を支配、そうした勢力にとって東アジアの平和は自分たちの地位と富を危うくする望ましくない状況だ。
そうした日本人を操るアメリカの勢力も東アジアの平和は望んでいない。平和は中国やロシアを中心とする経済圏を生み出すことになり、アメリカ軍が東アジアに駐留する意味はなくなる。勿論、ソ連消滅で存在意義がなくなったはずのNATOは今でも存在しているので、居座ることもできるが、ヨーロッパよりは難しいだろう。
そうしたアメリカの勢力には戦争ビジネス、軍、情報機関が含まれるが、こうした集合体へ資金を供給してカネを儲けているのは金融資本。本ブログでも指摘したことがあるが、アメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6を創設する際に中心的な役割を果たしたのは金融資本だ。
その金融資本は現在、大きな問題を抱えている。これも本ブログで繰り返し書いてきたが、経済活動ではなく通貨を発行することで富を築いているのがアメリカの金融資本。そうした金融資産を背景とする彼らの権力は幻影だとも言える。
言うまでもなく、通貨を発行するだけならハイパーインフレになってしまうが、アメリカはそれを回収する仕組みを作り上げた。そのひとつが産油国にドルを集めての回収(ペトロダラー)であり、もうひとつが規制緩和で肥大化した投機市場へのドル吸い上げ。こうしたことができるのはドルが基軸通貨だからだ。
ドルが基軸通貨の地位から陥落、石油や天然ガスの取り引きにドルが使われなくなるとアメリカの支配システムは揺らぐ。投機市場が収縮を始めたなら、システムは短時間に崩壊するだろう。
現在、ドル体制を揺るがしているのは中国とロシア。シリアでの戦争を見てアメリカに対する恐怖は世界的に薄くなり、中国とロシアとの存在感が強まっている。この両国を屈服させるか破壊しようと必死なのがアメリカの好戦派だ。こうした勢力が朝鮮半島を含む東アジアの平和実現を妨害することになる。
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