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米国は熱戦を諦めて冷戦へ突入する決断をしたのか、露国の外交官60名を国外追放、欧州各国も追随
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201803260000/
2018.03.27 櫻井ジャーナル
アメリカ政府は3月26日、ロシアの外交官60名(大使館のスタッフ48名と国連に派遣されているメンバー12名)を国外へ追放すると同時にシアトルのロシア領事館を閉鎖すると発表した。
すでにイギリスがロシア人外交官23名を追い出しているが、カナダやヨーロッパの14カ国も追随する。カナダは4名、ヨーロッパの国はウクライナが13名、ドイツ、フランス、ポーランドがそれぞれ4名、リトアニアとチェコがそれぞれ3名、オランダ、デンマーク、イタリアがそれぞれ2名、ラトビア、エストニア、クロアチア、ルーマニア、フィンランドがそれぞれ1名だ。ロシアはいずれの国に対しても報復追放を実施するだろう。
西側がロシアの外交官を追放する口実に使っているのは、元GRU(ロシア軍の情報機関)大佐のセルゲイ・スクリパリとその娘のユリアがイギリスのソールズベリーで倒れているところを発見されたという出来事。イギリス政府はノビチョク(初心者)という有毒物質が倒れた原因だと断定した。
しかし、元ウズベキスタン駐在イギリス大使のクレイグ・マリーによると、イギリス軍の化学兵器研究機関であるポート・ダウンの科学者は使われた神経ガスがロシアで製造されたものだと特定できなかったと語っている。政府からの圧力もあり、ポート・ダウンの科学者は「ロシアで開発されたタイプの」化学式を持つ物質だと表現したという。ちなみに、ポート・ダウンは事件現場の近くにある。
ノビチョクとは1971年から93年にかけてソ連/ロシアで開発されていた神経物質の総称で、ロシアでこの名称が使われることはないと指摘する人もいる。イギリス政府がこの名称を使った理由はロシアとの関係を強調したいからだった可能性が高い。使われた化学物質はA-234という神経物質だとも言われているが、旧ソ連では2017年までにこうした物質や製造設備は処分された。
セルゲイ・スクリパリとユリアが倒れる3日前の3月1日、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は自国やロシアの友好国が国の存続を揺るがすような攻撃を受けた場合、ロシア軍は反撃すると宣言している。ミサイルを発射したり砲撃した地点を攻撃するとしているので、例えば、地中海に配備されたアメリカの艦船からミサイルが発射されたなら、その艦船を撃沈するということだろう。
アメリカではバラク・オバマ政権の時代から化学兵器を使えばアメリカ軍が直接シリア政府軍を攻撃すると語られ、政府軍を装って侵略軍が化学兵器を使ったと見られている。その侵略軍の黒幕とはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、オスマン帝国の復活を夢見るトルコ、天然ガスのパイプライン建設を拒否されたカタールなど。基本的には三国同盟が雇った傭兵、つまりダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)やアル・カイダ系武装勢力が侵略軍の主体だ。
バラク・オバマ大統領は「穏健派」を支援していると主張していたが、これが嘘だということはアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)もホワイトハウスへ報告している。シリアで政府軍と戦っているのはサラフィ主義者(タクフィール主義者、ワッハーブ派)やムスリム同胞団、アル・カイダ系のアル・ヌスラ(AQI)であり、そうした政策を続けると東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると2012年8月に警告しているのだ。この報告が提出された当時のDIA局長がマイケル・フリン中将だ。
ロシア国防省はアメリカがシリアで大規模な戦争を始める引き金として化学兵器を使った偽旗作戦を目論んでいる非難、そうした中でプーチンの演説はあった。ロシア参謀本部は3月17日、アメリカ海軍が艦隊を紅海、地中海、そしてペルシャ湾に配置、シリアを攻撃する準備が整えられたと警告、同じ日にセルゲイ・ラブロフ露外相はアメリカ、イギリス、フランスを含む国々の特殊部隊がシリア国内へ侵入、すでに「代理戦争」の段階ではなくなっていると語っている。
すでにアメリカはダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力を使ったシリア侵略に失敗、手先をクルドへ切り替えたが、それも計画通りに進んでいない。そこでアメリカ自らが攻撃の最前線に立たなければならない状況になり、地中海、紅海、ペルシャ湾岸に艦船を配置、ディエゴ・ガルシア島も攻撃の拠点として使われると見られているが、それもプーチンの警告でブレーキがかかったようだ。ロシア、シリア、イランを軍事力で制圧しようとすれば、反撃され、状況によってはアメリカ本土が破壊される。冷戦を復活させる方向へ動いたとしても不思議ではない。
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