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ロシアや中国との間の軍事的な緊張を高めている米国の好戦派に対して露大統領が演説で警告
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201803030001/
2018.03.03 櫻井ジャーナル
ロシアの連邦議会でウラジミル・プーチン大統領が行った演説が話題になっている。後半部分でアメリカとその同盟国による攻撃的な姿勢を指摘、それに反撃する態勢ができていることを説明しているのだ。以前からロシア政府はアメリカが配備しているミサイル防衛の攻撃的な性格を強調していたが、その新たな発射場としてルーマニア、ポーランド、韓国とともに日本を挙げている。反撃用の兵器として原子力推進の低空で飛行するステルス・ミサイル、海底1万メートルを時速185キロメートルで航行、射程距離は1万キロに達する遠隔操作が可能な魚雷、マッハ20で飛行する大陸間ミサイルRS-26ルビエシュなどを示している。開発途中のステルス戦闘機Su-57を見せたのもアメリカの好戦派に対する警告の意味があるかもしれない。
アメリカは戦争を政治の延長とは考えていない。敵を殲滅するだけだ。先住民を虐殺し、そこに居着いたヨーロッパ人が作った国がアメリカだということを思い起こせば、そういう発想をすることが理解できるだろう。
1957年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成していた。300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)
テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授(経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスの息子)によると、1961年7月、大統領に就任して半年のケネディ大統領に対して軍や情報機関の幹部は先制核攻撃計画について説明し、63年の後半にはソ連を核攻撃するというスケジュールになっていたという。その頃になれば、先制攻撃に必要なICBMを準備でき、ソ連は間に合わないと信じていたからである。
ソ連が1991年12月に消滅すると、アメリカの好戦派は自分たちが唯一の超大国、つまり世界の覇者になったと考えた。ライバルなき世界で心ゆくまで侵略しようと考える。そして作成されたのがウォルフォウィッツ・ドクトリンだった。
21世紀になるとウラジミル・プーチンがロシアを再独立させるが、それでも国力は回復していないと考えていたようで、例えば、CFR/外交問題評議会が発行しているフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文はアメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いと主張している。アメリカはロシアと中国との核戦争で一方的に勝てると見通しているのだ。
自分たちが相手を軍事的に圧倒していると信じるアメリカの支配層は核戦争を仕掛けようとする。地上から生物を消滅させることになりかねないような戦争を回避しようと思えば、反撃能力を示しておく必要があるわけだ。ただ、アメリカ中央軍やNATOは関東軍化しているようで、どこまで警告が通用するかはわからない。
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