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プーチン「無敵」の核兵器は恐れるに足らず
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9655.php
2018年3月2日(金)19時00分 フレッド・カプラン(スレート誌コラム二スト) ニューズウィーク
年次教書演説でアメリカの核戦略に対抗する新兵器を披露したプーチン Alexei Nikolskyi/Sputnik/KREMLIN-REUTERS
<射程距離が無限でレーダーにもかからない核ミサイル?──プーチンの誇大宣伝に騙されるな。ロシアは今だってアメリカのミサイル防衛を突破できる>
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は1日に行った年次教書演説で、ロシアが新型の核兵器を開発していることを明らかにした。アメリカのミサイル防衛システムを突破し、再開した軍拡競争で優位に立とうとする意志を明確にした。
プーチンが明かした新型核兵器の1つは、原子力エンジンで射程距離を無限に延ばせる巡航ミサイルだ。プーチンの背後の大型スクリーンでは、この巡航ミサイルが大西洋を横切り、南米大陸を迂回して、太平洋沿岸からアメリカ本土を目指すCG画像が映し出された。しかも飛行中は海面ぎりぎりの高度を飛ぶため、ミサイル防衛システムのレーダーにかからないという。
この一見「無敵」の新型核兵器の開発には莫大な予算がかかるだろう。だが大して効果的とは思えない。重い原子炉を搭載すれば、核弾頭を搭載できる余裕は小さくなるからだ。もしロシアがアメリカのミサイル防衛システムを凌駕したいのなら、1つの標的に2〜3発の巡航ミサイルを発射する方が、効果的で安上がりな戦略だろう。
ミサイル防衛システムが、一度に1発以上のミサイル攻撃に対処できないことはよく知られている。これはアメリカ側の問題で、冷戦の初期から解決していない。その解決策としてアメリカが取った戦略は、まず敵国が先制攻撃に出ないよう、攻撃を抑止するのに十分な反撃能力を持つことだ(簡単なことではないが)。
プーチンが興奮気味の演説で何を言おうとこれは変わらない。
迎撃できるのは4発目まで
プーチンに踊らされたメディアもある。BBCのオンライン版は「プーチンがロシアの『無敵』核兵器を披露」、CNNは「プーチンの新型『無敵』ミサイルが米防衛システムを打ち破る」と大袈裟な見出しを付けて報道した。両方ともさすがに「無敵」と括弧はつけていたが。
重要なのは、核兵器はこれまでも防衛システムを「突破」できる点で常に「無敵」だったという事実だ。例えば運良く最初の核攻撃の迎撃に成功したとしても、敵は続けて攻撃を仕掛けて来る。大陸間弾道ミサイル(ICBM)を迎撃するアメリカの防衛システムは、4発まで迎撃できるように設計されている。しかしそれは5発目の核攻撃は迎撃できないことを意味している。
アメリカと旧ソ連が1972年に弾道弾迎撃ミサイル制限(AMB)条約を締結し、双方が迎撃ミサイルの配備を制限したのも、この事実を認識していたからだ。攻撃と防衛の軍備競争において、攻撃は常に優位に立つ。増強が容易な攻撃力に対し、なぜ複雑な防衛に大枚をはたく必要があるのか?
プーチンはこの他にも、ミサイル防衛システムを回避するために複数の弾頭を搭載できる2つの新型ミサイルの開発計画を明らかにした。しかしどちらのミサイルもロシアウォッチャーにはすでによく知られているもので、開発には時間がかかる。
最後にプーチンは、飛行中の爆撃機から発射でき、現行のミサイルの半分の時間で標的に到達できる超音速ミサイルにも言及した。アメリカと中国も同じタイプのミサイルを試作している。しかしそれはジェット戦闘機や軍艦の攻撃範囲外にある標的を迅速に攻撃するための「通常兵器」としてだ。
もしロシアが本当に超音速ICBMを開発し(まだそこには至っていないが)、数十発を配備したら、それは新しい種類の戦略的脅威となる。米軍が反撃する前に、早期警戒レーダーシステムや、おそらくは幾つかの米軍の指揮命令拠点を破壊し、アメリカはさらに大規模な攻撃に対して無防備になってしまう。
しかしプーチンにその意図はなさそうだ。他の新型ミサイルの場合と同じく、プーチンはアメリカの防衛システムを「混乱させる」兵器として宣伝している。
プーチンのミサイル防衛への執着そのものが、やや混乱している。アメリカは現在も、そして国防総省の最も野心的な計画でも、数千発の核弾頭をアメリカに向けて発射できるロシアの攻撃力に抵抗するだけのミサイル防衛力を持っていない。
アメリカが先制攻撃(プーチンはそれがあり得ることだと想像している)を仕掛けた後でも、ロシアはまだ数百発の核弾頭を持っているし、アメリカはそのほとんどを撃ち落とすことができない。はっきりしているのは、アメリカのミサイル防衛システムが、北朝鮮のような小規模な核保有国や、おそらく今後現実的になるテロ組織などからの小規模な攻撃しか想定していないことだ。
米ロ双方の被害妄想
プーチンの演説は、トランプが2月に発表した核戦略見直し(NPR)への回答、と言える。NPRは2種類の核兵器 ── 潜水艦から発射できる新型の核巡航ミサイルと、潜水艦発射型弾道ミサイル「トライデント」用の小型の核弾頭──の開発を進めると明記。バラク・オバマ前大統領が承認した、老朽化する地上配備型ICBMや航続距離が長い戦略爆撃機の更新計画も続行する。さらに核攻撃だけでなく非核攻撃への報復にも核兵器を使う可能性があると明示し、核戦争の危険を増大させるとして多くの懸念を呼んだ。
NPRが新兵器開発の方針を打ち出し、核軍縮を目指したオバマ前政権の戦略を転換させた背景には、核戦略でアメリカより優位に立とうとするロシアへの対抗意識がある。それをロシア打倒を目論むアメリカの飽くなき野望だ、とみなしたプーチンは、新型兵器と新戦略を惜しげもなく披露した。
これらすべては冷戦の再来を意味するのか。一見するとそうだが、当時と今では状況がかなり異なる。冷戦時代、世界は資本主義のアメリカが率いる西側と共産主義の旧ソ連が率いる東側、という2つの勢力に分断されていた。ソ連軍は世界中で影響力を持ち、ソ連のイデオロギーはアメリカが独裁者の後ろ盾をしていた第三世界の反政府勢力の間で特に絶大な支持を集めた。米ソを支持する勢力の間で代理戦争も起きた。小規模な紛争に米ソがあえて首を突っ込み、武器の売却や露骨な軍事介入を行った結果、しばしば代理戦争へと発展したのだ。
今のロシアはせいぜい地域大国でしかなく、シリアとウクライナ東部を除けば国外に要衝がない。ロシア軍はここ10年で装備の更新や軍改革を進め、戦力を大幅に改善させたが、いざ直接対決になればアメリカの敵ではない。経済も失敗続きだし、華麗な愛国主義と、プーチンを強い英雄に見立てた個人崇拝と、ロシア帝国へのノスタルジアが混在したイデオロギーは、ロシア国外では全然受けない。ロシアは張子の虎だ、と言いたいのではない。ロシアの核兵器は恐らくまだ使えるし、シリアでの空爆や砲撃では多くの犠牲者を出している。ロシアがアメリカを含む他の国々を大規模戦争に巻き込む恐れも十分ある。だがプーチンは旧ソ連のレオニード・ブレジネフ書記長でも、独裁者ヨシフ・スターリンでもない。トランプも、歴代米大統領のまがい物に過ぎない。
かつては冷戦時代ですら、緊張が高まった時は米ソの外交官が協議の場を設けて緊張緩和に向けた意見交換を行うか、話題をそらすなどして、とにかく収束を図った。米国防総省のNPRに対抗してプーチンが大型スクリーンにミサイルのCG画像を次々と映し出す今のように、両国の競争が過熱した時はまさにそうだった。40年にわたる核軍縮協議には、政治的対立から米ロの対話が不可能になった時期の意思疎通機会、という側面があった。それによって相手が先制攻撃に出るかもしれないという恐怖心を抑えることができた。
弱くて愚かな指導者
だがこれは全て過去の話だ。たとえロシアが平穏な時代を取り戻したくても、プーチンの個人崇拝や、ロシア経済の破綻、ロシア帝国復活を切望するノスタルジアが障壁になる。浅はかで向学心がなく、外交を担う人材をどんどん排除し、共謀疑惑があるために自分からプーチンに働きかけることもできないトランプも、平穏な時代に取り戻す障害になっている。
ここで言う「平穏な時代」とはなんと冷戦時代のことだ。核戦争の勃発に備えて米政府が国民に強制した「ダック・アンド・カバー(身を伏せて頭を覆う)」訓練を経験した筆者が、冷戦時代にノスタルジアを感じるとは、何と不思議なことだろう。今振り返れば、あれは平穏な時代だった。少なくとも、白黒ははっきりしていた。今は、問題を直視してそれと取り組もうとするプロ意識と真摯さと努力のすべてが、米ロ双方に欠落しているのだから。
プーチン「無敵」の核兵器は恐れるに足らず
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) 2018年3月2日
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— U・T (@takotyum) 2018年3月2日
このニュース本当なら、アメリカから武器を買う日本は笑い者だね‼
プーチン「無敵」の核兵器は恐れるに足らず | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトト https://t.co/AjXK0WUb8M おっ。米国の北朝鮮一斉攻撃が現実味帯びてきたので恐怖で予防線を張る風呂敷拡げてきたな、金も無いのに。エンヤコ〜♪ラ。テケレッツのアッパッパ〜♪。
— 御用 関八州取締出役代官 (@o00nHKkrcUW9PsQ) 2018年3月2日
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— BizMediaWatch_bot (@BizMediaWatch) 2018年3月2日
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