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「北朝鮮人民軍のエース」金英哲を韓国に派遣した金正恩の本当の狙い 文大統領も、それは分かっている(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/18/kokusai22/msg/165.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 2 月 27 日 11:46:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「北朝鮮人民軍のエース」金英哲を韓国に派遣した金正恩の本当の狙い 文大統領も、それは分かっている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54625
2018.02.27 近藤 大介 『週刊現代』特別編集委員  現代ビジネス


北朝鮮が「勝負」をかけてきた。2月25日から27日までの、金英哲党副委員長兼統一戦線部長一行の訪韓である。

平昌オリンピックの開会式での金与正党第一副部長&金永南最高人民会議常任委員長の訪韓に続いて、金正恩政権が「本気度」を見せてきたのだ。開会式に現れたのが金正恩政権の「表の顔」なら、閉会式に現れた金英哲副委員長は、「裏の顔」と言える。

金英哲副委員長は、金正恩委員長が全幅の信頼を置く、いわば120万朝鮮人民軍のエースである。



金英哲の経歴

金英哲副委員長は、朝鮮半島が日本の植民地支配から解放された翌年の1946年に、中朝国境に近い両江道で生まれた。名門の万景台革命学院、金日成軍事総合大学を卒業し、朝鮮人民軍15師団の一員として、韓国軍と睨み合うDMZ(南北非武装地帯)で勤務した。

金英哲の名前が韓国側に知れ渡ったのは、1968年に起こったプエブロ号事件(アメリカ軍の情報船を北朝鮮が拿捕した事件)の時である。金英哲は朝鮮人民軍の軍事停戦委員会の連絡将校を担当した。

この事件でアメリカは、北朝鮮に謝罪文を書かされて、アメリカ軍の拉致被害者を解放してもらうという屈辱を味わった。北朝鮮はこの一件を、「アメリカへの勝利」と大宣伝したが、その殊勲者の一人が、若き金英哲だったのである。

次に、金英哲が韓国側に足跡を残すのは、ソウル・オリンピック翌年の1989年2月から1990年7月まで、人民武力部(防衛省)副局長(少将)として、南北高位当局者会談の予備会談に参加した時だ。

金英哲は第1回から第8回まで、北朝鮮側代表を務めた。その後、正式に始まった南北高位級会談でも代表を務めた。1990年9月の第1回から、1992年9月の第8回までだ。さらに、1992年3月から8月まで、南北高位級会談軍事分科委員会の北側の委員長を務めた(第1回から第7回まで)。ここまでが、金日成時代である。

1994年7月から金正日時代に入ると、1988年9月に、最高人民会議の代議員となった。そして2000年、再び、韓国に関わってくる。

同年4月、2ヵ月後に控えた金大中大統領と金正日総書記の南北首脳会談の儀典警護実務者会議で、北朝鮮側の首席代表を務めた。続いて、2006年3月から2007年12月まで、朝鮮人民軍中将として、南北将軍級軍事会談の北朝鮮側代表を務めた(第3回から第7回まで)。



偵察総局のトップに就任

2008年8月に金正日総書記が脳卒中で倒れたことで、翌2009年1月から、金正恩が後継者としての活動を始めた。

同年1月8日、金正恩が25歳の誕生日に父親から後継準備を命じられた時、父子の間でひと悶着あった。金正恩は父親から抱負を問われ、こう答えたという。

「私も父親を継いで、強盛大国作りを進めていきたい。強盛大国建設は、政治・軍事・経済の3分野からなっている。祖父(金日成主席)は主体思想をもって朝鮮労働党を掌握し、故国の政治を発展させた。父上(金正日総書記)は先軍政治(軍最優先の政治)をもって朝鮮人民軍を掌握し、国の軍事を発展させた。私は祖父と父上の革命の偉業を引き継いで、内閣を掌握し、国の経済を発展させたい」

この答えは、一見すると「模範解答」だが、金正日総書記は息子を叱りつけた。

「党(朝鮮労働党)は国の柱で、軍(朝鮮人民軍)は党の柱だ。そして軍の柱は、核兵器とミサイルだ。核兵器とミサイルを手放した時が、わが国が米帝(アメリカ)に消滅させられる時だ。だから核とミサイル、そして軍を最優先しなければならない。軍がなければ何もないのだ」

これに対して、金正恩も負けてはいなかった。すぐさま反論した。

「それならば、これからは実戦と同様、サイバー戦争にも勝利する必要があります。なのにわが軍は、サイバー戦に弱い。私はこれを強化したい」

こうして翌月に金正恩が創設したのが、偵察総局だった。そして金正恩が偵察総局のトップに指名したのが、金英哲だったのである。金英哲は、金正恩が金日成軍事総合大学で軍事教育を受けていた時の、軍事理論の教官だった。

朝鮮人民軍屈指のエリート部隊

私はある亡命者から、次のような説明を聞いたことがある。

「北朝鮮では伝統的に、朝鮮労働党『35号室』と作戦部、及び人民武力部の偵察局が、韓国及び海外への諜報活動を行ってきた。それには、韓国人や日本人の拉致、テロ、暗殺、偽造紙幣や麻薬の製造、販売、武器の密輸などが含まれていた。この3部門を統合し、偵察総局を人民武力部内に設置したのだ。実際には、初の『金正恩直轄部隊』だった」

この金正恩・金英哲の偵察総局は、120万朝鮮人民軍屈指のエリート部隊となった。

「金正恩は、このテロ部隊を、ゆくゆくは朝鮮人民軍の中核の一つに据えようと考えていた。そのため、国を挙げた大掛かりなプロジェクトを構築した。

まず全国の小学生の中から、理系の天才児ばかりを、平壌の金星中学校に集め、徹底したコンピュータ教育を施した。その中からさらに選抜し、軍総参謀部傘下の自動化大学(美林大学)に入学させて、英才教育する。卒業生は全員、軍偵察総局傘下のサイバーテロ部隊に配属する」(同亡命者)

金正恩と金英哲は、偵察総局発足から一年あまり経って、「実戦」に移行した。2010年3月26日午後9時45分、南北の海の国境であるNLL(北方限界線)付近を航行中の韓国海軍の1200t級軍艦『天安号』に、魚雷を炸裂させたのである。乗員104人中、46人が即死した。

この事件は、韓国ばかりか、東アジア全体を揺るがす大事件となった。例えば、事態を穏便に済ませるため、金正日総書記が訪中した。

だが北朝鮮国内では、半年後に金正恩が、朝鮮人民軍大将として公の場に登場するのに、格好の「勲章」となった。2010年9月、金正恩は、党中央委員会委員兼党中央軍事委員会副委員長に就任した。その時、同時に、金英哲も朝鮮労働党中央委員会委員兼党中央軍事委員会委員に選任されたのだった。


2010年10月、朝鮮労働党創建65周年慶祝閲兵式の軍事パレードを金正日とともに観閲した金正恩〔PHOTO〕gettyimages

挑発に次ぐ挑発

こうして軍の要職に就いた金正恩と金英哲は、再び大胆不敵な挑発を実行した。

2010年11月21日、金正日総書記、金正恩大将、金英哲偵察総局長、李英浩総参謀長、金永春人民武力部長、金格植第4軍団長の「朝鮮人民軍6人組」は、対南最前線のケモ里海岸砲基地と茂島基地の砲兵大隊を視察した。

その2日後の11月23日午後2時34分、この二つの基地から突然、170発もの砲弾を、韓国に向けて発射。韓国側の延坪島と周辺海域を直撃し、韓国全土がパニックに陥った。延坪島では韓国軍の海兵隊員2名と民間人2名が死亡した。

偵察総局の挑発は、これに終わらなかった。翌2011年4月12日、韓国の農協のシステムにサイバーテロを起こし、これを破壊した。その後もサイバーテロを繰り返した。

同年12月に金正日総書記が急死し、金正恩時代を迎えると、金英哲偵察総局長は、要所要所で姿を現した。

例えば、2013年2月に、3度目の核実験を強行し、南北関係が悪化すると、翌3月5日に朝鮮中央テレビを通じて、「朝鮮戦争の休戦協定を、3月11日をもって白紙化し、板門店の南北直通電話を遮断する」と宣言した。

翌4月7日には、金英哲局長が平壌在住の各国大使たちを集めて、「米帝と南の傀儡(韓国)の脅威に対抗するための措置を取らざるを得なくなったので、安全のため平壌から離れるように」と通告している。

これらの重要宣言を金英哲局長が行ったのは、誰よりも金正恩委員長の信頼が厚い証左だろう。その後、金局長は、2016年1月に、朝鮮労働党統一戦線部長に就任。同年5月には、朝鮮労働党中央委員会政治局委員、副委員長、党中央軍事委員会委員にも就いた。

文在寅政権の「本気度」

今回、金正恩委員長は、このような朝鮮人民軍のエース、かついわくつきの大物を、平昌オリンピック閉会式に派遣したのだった。

金正恩委員長としても、金英哲副委員長を派遣すれば、韓国でハレーションが起きることは、当然ながら予期していたことだろう。実際、「天安号事件」の遺族や、野党・自由韓国党の議員たちが、北朝鮮代表団の行く手を塞いだり、宿泊先となったソウルの5つ星ホテル「ウォーカーヒル」(金与正一行が宿泊したのと同じホテル)の前で、シュプレヒコールを上げたりした。

それでもあえて、金英哲副委員長を送ったのは、何より、文在寅政権の「本気度」を確かめたのではなかったか。こちらも本気なのだから、そちらも本気で望めという意志表示だ。

平昌オリンピックの閉会式は、25日の夜8時から行われた。貴賓席では、トランプ大統領の長女イヴァンカ補佐官と、金英哲副委員長が、目の鼻の先で観戦したが、互いに会話を交わすことはなかった。「秘密接触」があったかどうかは不明だ。



それに先立って、同日午後5時から6時まで平昌で、文在寅大統領と金英哲副委員長の会談が行われた。

会談には、文大統領の「助さん角さん」にあたる趙明均統一部長官と徐勲国家情報院長が同席した。北朝鮮側は、李善権朝鮮平和統一委員長、金ソンヘ、趙ピョントン書記局局長、崔ガンイル外務省北米局副局長ら計8人である。

続いて、午後6時半から7時半まで、趙明均統一部長官主催の夕食会が開かれた。だが、この二つの重要会談の内容は、26日夜現在、詳らかにされていない。

「青瓦台」は、次のような声明を発表しただけである。

〈 文在寅大統領は本日、平昌冬季オリンピックの閉会式に参加するため訪韓した金英哲朝鮮労働党中央委員会副委員長、李善権朝鮮平和統一委員長ら北朝鮮高位級代表団と面会し、南北関係全般について意見交換を行った。

文大統領は、北朝鮮が平昌冬季オリンピックの開幕式に続いて、閉会式にも代表団を送り、祝賀してくれたこと、そして平昌オリンピックが安全に進められたことに対して、高く評価した。

特に、南北が統一チームを構成し、合同で入場しながら、全世界に向けて感動を与えたと述べた。南北のこのような努力で、平昌オリンピックを平和のオリンピックに至らすことができたと評価した。

文大統領は、南北関係が今後、広範囲に拡大し、進展していかねばならないという点を強調した。これに対し北側の代表団は、金正恩委員長も同じ考えだと伝えた。

文大統領は、南北関係改善と、半島問題の本質的な解決のためにも、北朝鮮とアメリカの対話が、速やかに行われなければならないと指摘した。北朝鮮の代表団も、アメリカとの対話を行う十分な用意があり、北も南北関係及び朝米関係を同様に発展させていかねばならないという同じ考えを示した 〉

南北は、26日も引き続きソウルで話し合いを続けた。金英哲副委員長一行は、27日に帰国の途に着く。

タイムリミットは迫っている

今後の当面のポイントは、3月18日にパラリンピックが終了した後、例年のような大規模な米韓合同軍事演習を行うのかどうかである。カギを握るのは、やはり文在寅政権の出方だ。

米韓合同軍事演習に関しては、基本的に次の5通りしかない。

@例年通り実施する(アメリカの主張)
A規模を縮小して行う
Bアメリカ軍の最新兵器を使わないで実施する
C時期を縮小して行う
D今年は中止する(北朝鮮の主張)


また、米朝直接交渉については、米朝ともに合意しているが、その前提条件が平行線のままだ。すなわち、アメリカの主張は、北朝鮮の核兵器の完全で不可逆的で検証可能な廃棄を前提として交渉する。一方、北朝鮮側の主張は、北朝鮮を核保有国と認めた上で交渉に臨むというものだ。

そして、この米朝の間に立っているのが、文在寅政権なのである。



文在寅大統領は、2月8日に行ったペンス米副大統領との米韓首脳会談で、「とにかくいまは北朝鮮問題を韓国に任せてほしい」と強調したという。翌9日の安倍晋三首相との日韓首脳会談でも、同様の発言をしている。

文在寅大統領のホンネが、北朝鮮側により近いものであることは、想像に難くない。だが、あまり北朝鮮寄りになっては、トランプ政権からの様々な報復がやって来るし、韓国国内で保守派からの突き上げも喰らう。

そこで考えられるのは、北朝鮮の核ミサイル問題を、2つの段階に分けることだ。第一段階は「凍結」。すなわち、これ以上の発射実験を行わない。そしてその次に、第二段階の「廃棄」に持っていくというものだ。

これが文在寅大統領の構想と思われる。金英哲副委員長とも、この線で話し合った可能性がある。

だが、米韓合同軍事演習までのタイムリミットは迫っている。韓国軍の戦時作戦統制権は、国連軍にある。すなわち、韓国軍は実質上、文在寅大統領の統制下ではなく、ブルックス在韓米軍司令官の統制下にあるのだ。そのため、文在寅大統領の「鶴の一声」で、米韓合同軍事演習の中止を決めたりできない事情がある。

今後、もしかしたら文在寅大統領が緊急訪米し、トランプ大統領と直談判を行う可能性もある。金英哲副委員長から得た何らかの妥協を「手土産」に、今年の米韓合同軍事演習の中止を求めにワシントンへ行くということだ。

文在寅政権にとって手痛いのは、本来なら味方になってくれるはずの中国とロシアの動きが鈍いことだ。

中国は、3月5日から15日頃まで行う全国人民代表大会で、憲法改正から幹部人事まで、5年に一度の大改編を行うため、いまはとても朝鮮半島問題に深く首を突っ込んでいる余裕はない。それは、3月18日に大統領選挙を控えたロシアのプーチン政権も同様だ。

あてにできないということでは、日本も同様である。文在寅政権と安倍政権の関係は、犬猿の仲とは言わないが、決して蜜月関係にはないし、友好関係にあるとも言えない。そのため、「親北」の文在寅政権にとって、いまの日本はどちらかと言えば鬱陶しい存在で、とても頼りにすることはできないのだ。

文在寅大統領の「最後の手段」

先週、トランプ政権にも、新たな動きがあった。2月23日、計56に上る北朝鮮、中国、台湾の運輸会社などを、新たに独自制裁の対象に加えたと発表したのだ。これは、国連安保理の制裁で禁止対象となっている、北朝鮮向けの石油や石炭などを洋上で渡す「瀬取り」に関与したというものだ。

同日、トランプ大統領はホワイトハウスで会見に臨み、いつものトランプ節を炸裂させた。

「これまでで最も強力な北朝鮮に対する制裁だ。残忍な独裁国家の核兵器による恐喝に、われわれは一致団結して立ち向かわねばならない。

もしも今回の経済制裁の効果が上がらない場合は、『第二の局面』に移行して行かねばならない。それは、非常に手荒なものとなるだろう。そして世界にとって、極めて残念なものになるだろう」

このトランプ発言は、日本でもセンセーショナルに報道された。「第二の局面」とは、北朝鮮空爆ではないかというものだ。



だが、私はこのトランプ会見のビデオを見て、「トランプ大統領は北朝鮮と戦争する気がないな」と思った。『トランプ自伝』(ちくま文庫)や、最近話題のトランプ暴露本『炎と怒り』(早川書房)を読むと、トランプ大統領がこうやって拳を振り上げた時は、相手と交渉する意思が固まった時なのである。つまり、交渉前に、少しでも条件を自分に有利にしようとして吹かしているのだ。

そもそも、現在のトランプ政権が直面している最も喫緊の国際問題は、北朝鮮問題ではなく、中東問題である。米国務省は23日、「5月のイスラエル建国70周年(5月14日)に合わせて、テルアビブからエルサレムにアメリカ大使館を移転する」と発表しており、中東はいよいよ一触即発になってきた。

そのため、文在寅大統領本人か、もしくは「助さん角さん」(趙明均統一部長官と徐勲国家情報院長)のいずれかが緊急訪米した場合、「北朝鮮との交渉を開始する」と言い始める可能性が高いのではないか。

だが、もしもトランプ政権が強硬な場合は、文在寅大統領には「最後の手段」がある。それは、4月15日の「太陽節」(金日成主席の誕生日)に合わせて、文在寅大統領が電撃訪朝してしまうことだ。そうなれば、米韓合同軍事演習もあったものではない。

ともあれ、オリンピックの熱い戦いは終わったが、朝鮮半島を巡る戦いは、終わることがない。



 

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コメント
 
1. 2018年2月27日 13:38:16 : FFuCCcmhyQ : c10C849XGyM[3]
> 金英哲を韓国に派遣した金正恩の本当の狙い

見出しに期待して読むと、肩透かしをくらう。

金英哲に関する、目ぼしい情報は、何もない。

北朝鮮のサイバー攻撃説は、証拠がない。

しかし、説明のとおり、北朝鮮が、いち早くサイバー部隊編成に取り組んだとしたならば、これは、中国にも、先行した動きだ。


2. 2018年2月27日 15:33:13 : hesCGq807o : As0RjqNJN@0[43]
>>1
>現代ビジネス北朝鮮のサイバー攻撃説は、証拠がない。

確かに「現代ビジネス」の立ち位置はわかりませんが、眉唾かな。
そもそも、プログラミングなどを誰が教えてスペシャリストを育て
サイバー攻撃するようなレベルに持っていけるのかな。
そんな鎖国のような国で。
(こうすればいいよ、と教える人が一人いればできるか?)

スノーデンの警告を思い出すべし。だな。
私は、徹底的に米国を疑うようにしている立場。


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