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大家vs借り手「家賃滞納」トラブル 解決の切り札は?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190124-00000002-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 1/24(木) 11:00配信
大家と店子のトラブルで多いのはやはり「家賃滞納」
賃貸物件を経営する大家にとって、悩みのタネのひとつは“迷惑な住人”の存在と言える。家賃滞納から騒音、異臭、部屋の又貸しに至るまで、賃貸経営に付随する住人とのトラブルの内容は多種多様。しかし大家にとっては、一度契約してしまった以上、迷惑だからといって退去させるのは簡単ではない。不動産関連の法律問題に詳しい瀬戸仲男弁護士が、ある大家からの相談事例を紹介してくれた。
「住人の1人が賃借している自宅マンションの部屋でリラクゼーションサロンを始めてしまい、大家から『住居として貸しているのにお店にされては困る。なんとかしてほしい』と相談されたことがあります。アロマオイルのにおいを大家は『悪臭』だと言って抗議したのですが、住人側は『アロマの香りは芳香で悪臭ではない』と主張して折り合わず、最終的には『用例違反』(賃貸借契約の内容に違反)として退去してもらうことになりました。
この場合、住居として借りた物件を営業施設にしたことが用例違反に該当したわけですが、一般的には借り手がきちんと賃料を支払っている場合、出ていってもらうのは難しいのが現実です。仮に裁判所の判断を仰ぐ形になった場合も、生活の基盤である住宅からやすやすと追い出すことはできない、と裁判官は考えます」(瀬戸弁護士、以下同)
用例違反や騒音や異臭については基準が曖昧なケースも多く、実際の状態(騒音なら具体的数値など)を明らかにして改善を促すのが現実的な対処法になる。さらになんといっても、大家にとって悩ましく「相談事例が一番多い」(瀬戸弁護士)問題は、家賃滞納だ。
「まず、原則として管理会社や仲介業者は『払わないと追い出すぞ』と家賃を取り立てることはできません。家賃が支払われない場合は賃貸人と賃借人、当人同士の『紛争』になります。弁護士法によって、当事者の間に立って紛争解決のために交渉できるのは基本的に弁護士だけと定められています。
実際の家賃の回収は本人や保証人、実家などに打診することになりますが、大家としては滞納するような住人には出ていってほしいと考えるでしょう。一般的には、3か月以上の滞納が退去の基準になりますが、先に申し上げたように裁判官は簡単には追い出しを認めません。住まいがなくなるというのは、それだけ大きなことだと見なされています」
月々の家賃を滞納するほど経済的に困窮している住人から、数か月分の家賃を徴収するのは至難の業だ。また、仮に家賃を徴収できたとしても、結果的に弁護士費用の方が高くつくケースも多い。そこで瀬戸弁護士は、相談に来た大家に対して「『すぐに出ていってくれるのなら、滞納分は免除します』と提案してみてください」とアドバイスを送るという。
「そのまま滞納され続けるくらいなら家賃を免除して自主的に退去してもらい、滞納のリスクのない人に貸したほうがいいケースがあります。大家からしてみれば不満が残る結果でしょうし、弁護士の収入にもなりませんが、大家にとっては結果的に得をする場合も多いと思います」
大家にとっては許しがたい家賃の滞納だが、場合によっては「損切り」する覚悟も必要なケースがありそうだ。
◆取材・文/曹宇鉉(HEW)
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