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「気づいた時にはもう遅い」大投資家ジム・ロジャーズが予見する金融危機
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190117-00010001-voice-bus_all
PHP Online 衆知(Voice) 1/17(木) 13:02配信
世界3投資家に数えられるジム・ロジャーズ氏が、日本人に向けて警告を発する
<<2018年末の「クリスマス暴落」に始まり、急落・急騰を繰り返した年末年始の株式市場。世界3大投資家の1人として知られるジムロジャーズは、驚くことに2018年夏の時点で今回の事態を「予見」していた。
2019年1月17日刊行の新著『お金の流れで読む 日本と世界の未来』において、「アメリカ発の経済危機が近いうちに起きる。米中貿易戦争はその引き金となる」と警告しているのだ。リーマンショック発生の「予言」を的中させた大投資家の目に映る未来図とは。>>
※本稿は『お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(ジムロジャーズ著、大野和基訳 PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
リーマンショックが教える下げ相場の予兆
2018年7月、米中両国は互いの製品の輸入関税を引き上げた。これは実に愚かな措置だ。貿易戦争から、勝者は生まれない。どの国にとってもマイナスになるのだ。
貿易戦争をしている当事者はもちろん、他の国まで苦しむことになる。米中の貿易戦争には日本も巻き込まれ、悪影響を受けるだろう。
トランプ大統領はアメリカが貿易戦争に勝つと思い込んでいるようだが、それは間違っている。彼は、自分は歴史より賢いと思っているのだろうか。歴史を振り返れば、貿易戦争がプラスに働くことなどないとわかるだろうに。
昨今の金融市場を見ればすぐわかる。日本も中国もアメリカも、すべての国で物価が上がっている。市場には真実が現れる。
フェイクニュースに騙されてはいけない。中国の経済専門家も「貿易戦争によって中国経済は大きなダメージを受けている」と指摘している。米中間に貿易協定が結ばれなければ、両国だけではなく近隣の日本、韓国などさまざまな国に多大な影響が及ぶ。
米中の株式市場には、もちろん貿易戦争以外の要素も大いに関わっている。紙幣増刷や減税など、多くのことが同時に起きている。
貿易戦争がやってきたといっても、それは始まったばかりで、まだ市場に多大な影響を与えるまでには至っていない。経済危機というのは、1日や2日で起きるものではない。
経済に実際に影響が与えられるまでには、時間がかかるものなのだ。下げ相場は、たいていそのように起きる。
2008年は、リーマンショックで世界中がひどい下げ相場になった年だった。2007年4月、サブプライムローン業界2位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが破綻した。
さらに同じ年の7月、格付け機関が住宅ローン担保証券を一気に格下げした。10月には、投資銀行大手のメリルリンチで、CEOが経営悪化の責任を取り辞任。
それから半年後の2008年5月、アメリカの大手投資会社ベアー・スターンズが破綻し、人々は何かがおかしいとざわつき始めた。
そしてその4カ月後、2008年9月にあのリーマン・ブラザーズが破綻し、それでようやく誰もが気づいたのだ。「大変だ!何か大きな問題が世界で起きている」と。
危機というのは、いつもこのように起きる。誰も気づかないようなところで初動が起き、それが雪だるま式に大きくなっていくのである。
そしてテレビで報道された時に初めて、「何か大変なことが起きている!」と多くの人が知ることになるのだ。
歴史的に見ると、どの下げ相場も誰もが知らないところで始まり、最終的に多くの国が破綻している。
向こう10年、米ドルは上げ相場を続ける
株式市場とは対称的に、今後10年の間で、米ドルは人民元に対して、かなり上がるだろう。人民元だけでなく、ほとんどすべての他通貨に対して上がることになる。
社会的な混乱が起きている時、人は安全な避難先を探すものだ。歴史的に見て、世界で唯一の「安全な避難先」は米ドルだ。はるか昔はそれがイギリスのポンドだったが、それがいまは米ドルになっている。経済が悪化すればするほど、ドル買いをする人はますます増える。
他の通貨が米ドルに取って代わるとすれば、私が思いつくのは唯一、人民元である。ユーロは崩壊するかもしれない、というよりも間違いなく崩壊するだろうし、イギリスポンドはすでに壊滅的だ。スイスフランは規模が小さい。円はあり得ない。唯一、米ドルの対抗馬となりうるのが中国元なのだ。
アメリカ財務省は長らく、中国を「為替操作国」の監査対象にしている。中国は為替レートを作為的にコントロールしているという疑惑があり、このせいでドルの価格が上がっているというのだ。
現在、外交問題も絡んで為替操作国認定は二転三転しているが、いつの日か人民元が米ドルを凌駕する時が来るかもしれない。
それにはもちろん、管理通貨であることから脱却しなくてはならないが。元はいまのところ売買ができないので、このままでは基軸通貨になることは夢のまた夢だ。
私が持っているアメリカ株は非常に少ないが、アメリカの株式市場は2018年末の時点で、ほぼ史上最高値に近い値を記録している。
対して中国株は最高値をつけた2015年から60%落ちている。私としては、最高値の株よりも60%落ちている株を買いたい。いま下がっている方が、今後上がる可能性が高いからだ。
ジム・ロジャーズ(訳:大野和基)
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