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ネット炎上のかけらを拾いに
人の心はお金で買えた、ZOZO前澤社長の1億円プレゼント
2019/01/09
網尾歩 (コラムニスト)
同じアホならもらわにゃソンソン?
ZOZOTOWNの前澤友作社長(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
当選発表後はフォロワー数減
ZOZOTOWNの前澤友作社長が年始から、100万円を100人にプレゼントするお年玉企画を発表。申し込み方法は、前澤社長のツイッターをフォローし、対象ツイートをリツイートするというもので、締切りとされた1月7日までに500万回以上リツイートされ、リツイート数で世界新記録に。
前澤社長は8日午前中に当選者を発表し、「お金は使い方次第でこんなにもドキドキできるんだなと。これからももっともっと皆さんに楽しんでもらえるようなお金の使い方していきます」とツイート。いずれ第2弾を行うことも示唆している。
一方で、この手法への批判や、問題点の指摘も上がった。
BuzzFeedの記事(ZOZO前澤社長の「1億円お年玉」は規約違反? Twitter社に聞いてみた/2019年1月7日)では、フォロワー数を購入することや、キャンペーン応募のため複数アカウント作成について注意喚起を行わないことは規約違反にあたると指摘。ただ、前澤社長の行為は規約違反にあたらないとツイッター社から回答があったという。
アジャイルメディア・ネットワーク取締役CMOでブロガーの徳力基彦氏は、ヤフーニュース個人の記事(前澤氏1億円バラマキ企画が示す、「広告」から考える時代の終わり/2019年1月7日)で、2018年中にフォロワー数を100万まで増やしたいと公言していたもののその約半数だった前澤社長が、広告費ではないかたちで金を使ってフォロワー数を増やしたことを指摘。「今回の企画は、前澤さんやZOZO側の読みが凄かった、と言うべき企画でしょう」としつつも、「(合計)1億円の当選者が発表された後に、前澤さんのフォロワーがどれぐらい減るのか、意外に減らないのか、に注目したいと思います」と含みを持たせた。
この原稿を書いている8日17時現在、前澤社長のフォロワー数は約583万。13時には約610万のフォロワー数だっただめ、30万近く減っている。当選しなかったことを面白くないと感じる人は当然いるだろうから、ある程度減るのは想定内だろう。まさしく「人の心はお金で買える」が、「金の切れ目が縁の切れ目」を見ているような気持ちになる。
また、騒動の一端として、前澤社長を騙る偽のアカウントが出現し、前澤社長本人が注意喚起を促したほか、「◯万円プレゼントするのでリツイートとフォローを」と類似ツイートをするアカウントも現れた。前澤社長本人は本当に1人につき100万円を送金しただろうが、匿名アカウントなど「どこの誰だかわからない」アカウントの場合、「当選した本人にだけ連絡した」とウソを言ってフォロワーを増やすこともたやすいので気をつけよう(騙されたところで金を取られるわけではないが)。
庶民の遊び場から、夢を与えられる場へ
当選者が発表されてすぐ、BuzzFeedは当選者への取材記事を掲載(ZOZO前澤社長からの100万円の使い道。ある当選者の思い/1月8日)。この当選者の男性は車椅子利用者で、100万円の使い道について「100万円分の服を購入して、僕を含めオシャレがしたい障害のある方々100人に服をプレゼントして、一緒に堂々と100人で表参道を歩きたいです」と動画で語っていたという。
このほかに当選したことをツイッターで公表している人たちも、「100万円の使い道を具体的にツイートしていた」などの共通点が見られる。前澤社長は当選者の選定方法を明らかにしていなかったため、抽選と思い込んでいた人は失望を感じたようだ。
ツイッター社は規約違反ではないと見解を出しているし、ただ金を配るのではなく「夢を応援したい」意図があることも垣間見える。ツッコミどころがないこの企画にそれでもモヤモヤするのは、有名ではなくお金持ちでもない人でも面白いツイートをすることでフォロワー数を伸ばせるジャイアントキリングな一面があったツイッター上で、金の力をあからさまに使ったことだろう。
日本人のツイッターフォロワー数1位(有吉弘行/約703万)、2位(松本人志/約605万)に次ぐのは、福沢諭吉。諭吉に人気があるのは誰でも知っていることで、特に驚きはない。庶民の遊び場に自分のルールを持ち込んだ貴族が100万円で庶民に「夢」を与えている。庶民は夢をもらったのか。遊び場を奪われたのか。
前澤社長と言えば、2012年10月。送料手数料についての不満をつぶやいた女子高生に対して「詐欺??ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ。お前ん家まで汗水たらしてヤマトの宅配会社の人がわざわざ運んでくれてんだよ。お前みたいな感謝のない奴は二度と注文してなくていいわ」とブチギレた。これに批判が殺到し、一転して謝罪。さらに送料を無料にすると発表した(現在は改定)。
当時と比べると、ツイッターの使い方がこなれてきたのかもしれない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15014
2019年1月9日 週刊ダイヤモンド編集部 ,岡田 悟
「ZOZO離れ」オンワードだけではない!?セレクト各社の危機感
新春セールの取扱高が史上最速で100億円を突破したというアパレルECサイトのZOZOTOWN。ZOZOの前澤友作社長は私財で総額1億円の現金プレゼントをぶち上げ意気軒高だが、一部の出店者は、やや異なる気持ちで新年を迎えたようだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
ゾゾタウン前澤社長のツイッターより
前澤社長のツイッターより
「オンワード(ホールディングス、HD)の保元(道宣)社長とは何度もご飯に行く仲」「メディア先行で『撤退』という情報が流れ困惑しているのは私たちだけでなくオンワードさんも同じかと思います」「『ゾゾ離れ』いうタイトル設定に非常に違和感と悪意を感じます」――。
昨年末に日経コンピュータが報じたオンワードHDの、アパレルECサイト「ZOZOTOWN」からの撤退方針。サイトを運営するZOZOの前澤友作社長は、年明けから私財1億円のお年玉でツイッターのフォロワーを多数獲得し絶好調の感があるが、このニュースを後追いした東洋経済オンラインの1月5日の記事に対しては、NewsPicksのコメント欄で、冒頭のように苛立ちをあらわにした。
ZOZOは昨年12月25日、「ZOZOARIGATOメンバーシップ」と呼ばれるキャンペーンをスタート。ZOZOTOWNの利用客が年間3000円、または月500円を支払えば、購入額の10%が月最大で5万円割引になる。割引の原資はZOZOが負担する。
利用客が割引額を日本赤十字社などに寄付したり、出店者に還元することも選べる「社会貢献型の有料会員サービス」をうたう。
オンワードHDの野澤岳徳広報課長は1月7日、本誌の取材に「当社はキャンペーンに参加しない状態での出店継続を望んだが、ZOZOからは、参加するか退店の二択という話があったので、12月25日に販売を停止し、現在退店の準備を進めている」と答えた。退店、すなわち撤退はすでに社の方針として決定しているとした上で、理由について「恒常的な値下げにより、当社のブランド価値が毀損される危険性が高い」と説明した。
セレクトショップは
自社ECサイトとの競合を懸念
一方でZOZOの主要な出店者であり、客の年齢層がオンワードよりも若いセレクトショップ各社の反応は、少々異なる。ある大手セレクト幹部は「われわれがリアルで出店している商業ビルもセールの機会が多く、値下げがブランド価値の毀損になるとは、必ずしも考えない」と話す。それよりも、「むしろ、セレクト各社が近年強化している自社ECサイトが大きな影響を受けそうだ」と指摘する。
十数年前、EC運営のノウハウを持たなかったセレクト各社がECに参入するには、手数料を払ってZOZOTOWNなどのアパレルECサイトに出店するしか術がなかった。やがて他のECサイトが淘汰され、次第に強まったZOZO一人勝ちの様相は彼らにとって、EC戦略でZOZOに依存せざるを得ない状況を意味した。自社で独自のECサイトを作ろうにも、物流やサイト運営など“裏側”でZOZOの施設やノウハウに頼るしかなかった。
そこで一部の大手セレクトショップは最近、物流からサイト運営まで一気通貫でZOZOに依存しない、いわば“完全自社ECサイト”を実現し、リアル店舗とのポイント共通化などで顧客を囲い込む動きを見せている。
かといって、すぐにZOZOTOWNから撤退するわけではないものの、別のセレクト大手幹部は「ZOZOTOWNは新規顧客の流入ルートの一つとして出店は継続する」と述べ、位置づけが従来から大きく変わっているとの認識を示す。そうした意味で、やはり出店者の“ZOZO離れ”が着実に進んでいると表現するのが妥当である。
加えて、さらに別の大手セレクト幹部は「ZOZOTOWNでは、格安の無名ブランドの出店が目に見えて増えて来ている」と話す。ユナイテッドアローズを筆頭に、これまでZOZOTOWNの成長やブランドイメージ向上の原動力となってきた大手セレクト各社だが、最近は自社商品を無名ブランドの格安商品と同列に並べられることへの抵抗感が生じている。彼らの心もまた、ZOZOから離れつつあるといえよう。
ゾゾスーツ配布中止で
成長戦略の先行きは見えず
そこに来て、今回の値下げキャンペーンだ。「社会貢献を強調した実に巧みな打ち出し方だが、真の狙いは、セレクト側が強化しつつある自社ECサイトへの対抗策ではないか」(初出の大手セレクト幹部)との懸念が生まれている。確かにZOZOが恒常的に値下げをすれば、ZOZOTOWNに出店しているセレクト各社の自社ECサイトと、消費者を取り合う構図となる。血で血を洗う消耗戦となりかねない。
そんなZOZOTOWNに代わる新たな成長の柱として、サイズを計測できる水玉模様の「ZOZOSUIT」を無料配布して話題となったプライベートブランド戦略に期待が集まり、株価も一時高騰したわけだが、昨年10月にZOZOSUITの配布中止を発表し、株価も下落して先行きが見えなくなった。
過去、ZOZOの成長の限界が指摘される局面が幾度かあったが、中古品の買い取り販売サービス「ZOZO USED」の開始といったアイデアで乗り切って来た。今回のキャンペーンが果たして、吉と出るか、凶と出るか。
https://diamond.jp/articles/-/190347
【第7回】 2018年9月6日 南 和気 :SAPジャパン 人事・人材ソリューションアドバイザリー本部長
ZOZOが本社を幕張に置く理由、強さを支える「人事戦略」の秘密
ZOZOTOWN
スタートトゥデイの強さの秘訣は、前澤社長の知名度だけではありません 写真:つのだよしお/アフロ
海外では、UberやAirbnbなど、新たなビジネスモデルと共に急成長を遂げた企業が数多く誕生しています。一方、日本企業でもイノベーションは起こり始めています。世界に影響を与えるイノベーションは、必ずしも大企業から生まれるばかりではありません。圧倒的に成長する企業は、前例や常識にとらわれることなく、人材の力を引き出す工夫を凝らしています。『人事こそ最強の経営戦略』の著者であり人事戦略コンサルティングの第一人者・南和気氏が、人事が事業を支える企業を紹介していきます。今回はスタートトゥデイ(2018年10月からは「ZOZO」に社名変更)を取り上げます。
時価総額1兆円を突破
気づけば誰もが知る存在の「ZOZOTOWN」
ここ最近、メディアで取り上げられることの多いファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ。社長である前澤友作氏の名前をご存じの方も多いと思います。どうしてもメディアからは前澤氏の資産や私生活の面が取り沙汰されることが多いですが、今回は、スタートトゥデイの人事に関わる取り組みに着目していきましょう。
スタートトゥデイに対しては、「インターネットで衣類を販売しているベンチャー企業」という印象を持たれる方が多いかと思います。しかし、同社はただのベンチャー企業ではありません。社員数はおよそ900人の会社で、いわゆる大企業という規模ではないかもしれませんが、売上規模は1000億円に迫り、時価総額は1兆円を超えています。
日本企業で時価総額が1兆円を超えているのは、全体の3パーセントに過ぎません。これは特筆すべき企業価値の高さであり、さらには、メディアが前澤氏の話題を連日取り上げることで、広告宣伝費用を全く支払うことなく、ZOZOTOWNはその名前を日本全国に知らしめています。
今の時代は、テレビやネットで気になる報道を見かけると、即座にネット検索されます。ZOZOTOWNはまさにネットを介したサービスなので、一目でユーザーの興味を引くことができれば、即座に顧客の増加につながります。
ベンチャー企業や中堅企業にとって最も高いハードルは、「知ってもらうこと」です。スタートトゥデイは、ほとんどコストをかけることなく、このハードルをクリアし、大きな宣伝効果を得ているのです。
そしてこれは、人事における課題の解決にも多大なメリットをもたらしています。
成長企業であればあるほど、
「優秀な社員の獲得」と「人材流出」が悩みの種
実は、成長過程にある中堅企業にとって最大の悩みは「人」です。もちろん事業自体が苦しいときには、まずは資金繰りということになりますが、一定の成長軌道に乗ってきた企業が何より頭を悩ませるのは、「優秀な社員の獲得」と「人材流出」です。
起業をすると、その規模の拡大過程で「100人の壁がある」とよくいわれます。社員数100人までは、ヒット商品やサービスが生み出されると、その勢いで社員が一丸となって頑張れます。また、創業時のメンバーとそのネットワークの中で人を集め、同じ志を持つ人材で何とか会社を構成することができる規模です。
しかし100人の壁を越えてくると、いくら頑張って社員を採用しても、同じだけ辞めていき、なかなか規模を継続的に拡大することが難しくなります。さらに、急激に社員を増やすことで、さまざまな社員が加わることになり、必ずしも創業者の考えをよく知っている人材ばかりではなくなり、能力にもバラつきが出てきます。
よって、体系的な人材育成の仕組みや、一定の合理性のある人事制度が必要となってくるのも、この規模の特徴なのです。
特にベンチャー企業や、歴史の浅い中堅企業では、退職率の高さに悩まされます。人数が少ないだけに、優秀なエンジニアやリーダーが退職してしまうと、他の社員も芋づる式に退職してしまい、製品やサービスの急激な品質低下につながることも珍しくありません。
では、設立から20年が経過し、社員数900人のスタートトゥデイは、「優秀な社員の獲得」と「人材流出の阻止」を実現するために、どのような工夫を行っているのでしょうか。
「ここで働く理由」を生み出すために
スタートトゥデイが実践していることとは?
採用や人材の定着で重要なことは、「ブランディング」(知ってもらうこと)と「インセンティブ」(この企業で働く理由をつくる)の強化に尽きます。
自社の「ブランド」を強めるためには、多くの競合の中で、リピート顧客を獲得していくことが有効です。スタートトゥデイの場合、前澤氏の個人的な名声もさることながら、ZOZOTOWN自体が、個人顧客が利用するサービスであり、「ファッションとネット」いう分かりやすい事業特性を持つため、そのキーワード中心とした興味や知識を持つ人材が集まりやすく、「ブランディング」においても非常に有利になります。
しかし、あらゆる人に自社を知ってもらうことは、応募者を増やすこと自体には役立ちますが、自社にとって必要な人材に入社してもらい、定着してもらうこととは別問題です。企業が行うべき努力は、「ここで働く理由」を徹底的につくることです。
例えば、以前本連載でご紹介したヤマシンフィルタは、社員数500人の規模で、誰もが知っている商品があるわけではないBtoB事業の企業ですが、有名大学の落語研究会と独自のルートを構築することで、他社にはない「ここで働く理由」をつくる工夫を行っています。
スタートトゥデイの本社は、前澤氏の出身でもある千葉県の、駅で言えばJR京葉線の海浜幕張駅に位置し、関東全域から就職するには、決して有利なロケーションとは言えません。しかし、逆に千葉県に住む学生や社会人で、ファッションやネットに興味、強みがある人材からすると、東京へ向かう通勤ラッシュとは無縁のルートで通勤することができます。
また、幕張地域に住む社員には「幕張手当」という手当があり、全社員の約7割に支給されているといいます。平均年齢31歳という若い社員にとって、同じ地域に住みながら働くことは一体感を生み出すことにもつながりますし、何より、一見不利に見える地域的な条件を見事に「ここで働く理由」に変えています。
日本全国から人を集める毎年大規模な採用をするには、東京の中心地にオフィスを構えることも1つの戦略ですが、一定数の社員を確実に採用するためには、まず独自の「ここで働く理由」をしっかりと形成することが近道なのです。
スタートトゥデイが
「ボーナスの全員同額支給」を行う理由
多くの日本企業では、「成果主義」や「個人目標評価制度」といった評価制度が導入され、「個人の成果を適切に評価することこそが、公正な評価制度である」という考え方が主流となっています。
さらに最近では、「1 on 1ミーティング」や「No Rating」などで個人のパフォーマンスをより詳細に見て、差を付けていくという、「評価の個別化」が時流になっています。
これは、事業が複雑化し、個人の仕事が細分化されている大企業にとっては非常に合理的な手法でしょう。しかし、比較的単一事業に近く、全員がほぼ同じ事業に関わっている場合は、非効率な手法にもなりえます。
例えば、こういう研究比較があります。かつて、Apple社は、iOS10という現在のiPhoneの基盤ともいえるOSを、600人の開発者が2年かけて開発しました。一方、Microsoft社は、Windows VistaというOSを、10万人の開発者が5年かけて開発したといいます。もちろん異なる製品ですので単純な比較はできませんが、このApple社の開発効率の高さには、人事的な工夫がありました。
それは、開発者全員が「個人の目標」ではなく、iOS10を開発するという「チーム目標」だけを持つようにしたのです。
そうすることで、全員が協力し合って非常に効率的に作業が進められました。Microsoft社では、通常どおり個人目標が設定されていたため、開発者は自分の仕事が終われば帰ってしまいます(Fast Company “Why Employees At Apple And Google Are More Productive” 2017/03/13 )。
これは、「単一の目標がある集団においては、個人の目標を追いかけて差を付けることが必ずしも事業の成長につながらない」ということを示唆する好例でしょう。
実はスタートトゥデイでも、「ボーナスの全員同額支給」という取り組みがあります。ZOZOTOWNの事業を中心に全員で協力して事業を発展させていかなければ、個人がそれぞれの役割の中だけでいくら頑張っても、企業としては成長できない。全員が同じ方向を向いて、同じ成果に向かって走っているのであれば、あえて個人の業績を重視してボーナス支給の制度を複雑化させるよりも、全員で勝ち取った成果を全員で分け合うというシンプルな制度のほうが組織としての成果を目指す意識を高めるやすくなる、という原則に沿った取り組みだといえます。
「就業時間を短くし、社員が自ら学ぶことを支援」
これで企業にイノベーションが生まれる
また、スタートトゥデイには、「ろくじろう」という制度があります。これは1日の就業時間を6時間で終了してもいいという制度です。基本的な就業時間は午前9時から午後3時となっており、昼休みがありません。もちろん、全員が毎日6時間の就業で帰宅できるというわけではないと思いますが、可能な限り仕事を短時間で終わらせるようという共通の価値観が生まれやすくなります。
「ろくじろう」のポイントは、「終了してもいい」としているところです。そもそも、工場や店舗などシフトによる稼働や、開店時間が決まっている職種を除けば、働き方や仕事のあり方は、今後より多様化していきます。特にグローバルに事業を展開している企業では、時差を考慮して仕事をすることになり、定時という概念が事実上通用しません。
『人事こそ最強の経営戦略』
南和気さんの新刊『人事こそ最強の経営戦略』
キャリアや働く価値観も、個人によって異なってくる時代です。そういう意味では、顧客の就業時間に合わせる必要があったり、社内で顔を合わせることで仕事が効率化できたりする時間以外は、時間の使い方を個人の裁量で決められるようにしたほうが、一人ひとりの生産性はより向上します。
そして、仕事を終えた社員が、自分の能力を伸ばすことに時間を使うためのサポートを企業が行っていくことも重要です。このとき、「社員が学ぶ時間が、就業時間なのか、そうではないか」という議論に時間を割くことよりも、「就業時間を短くして、社員が自ら学ぶことを支援する」ほうが合理的です。
スタートトゥデイもこの支援を積極的に行っています。「自学手当」と呼ばれる自己成長のために支給される手当は、毎月2500円から、最大2万5000円となります。社員の能力の伸ばし方はさまざまです。
ZOZOTOWNは、支払いを最大2ヵ月後まで延長できる「ツケ払い」や、着るだけで体形サイズを計測できる「ZOZOSUIT」など、斬新なアイデアと、挑戦によって成長してきました。
こういった発想が将来的に社員から生まれ続けるようにするためには、人事ですべて研修をカリキュラム化し、同期全員が同じタイミングで受けるというスタイルだけではなく、個人が学びたいことを学びたいときに学ばせて、企業はそのためのサポートを行うというスタイルを積極的に採り入れるべきです。これは、中堅企業に限らず、大企業においても同じことがいえるでしょう。
スタートトゥデイのさまざまな人事の取り組みは、一見個性的にも見えますが、実は事業の個性に合わせて合理性のある人事戦略を着実に行い、試行錯誤の結果、現在の姿になったと考えられます。
今後事業が成長し、規模が拡大することで、組合や法制度といった枠組みの制約や、トップが担う役割の変化など、新たな課題への対応が必要になるかもしれませんが、「どんな局面でも、人事戦略が事業を支えるために最も優先されるべき」だと教えてくれている企業であるのは間違いありません。
https://diamond.jp/articles/-/179099
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