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2019年の銀行業界予報は「雨」、メガは本業利益、地銀は再編がテーマ
https://diamond.jp/articles/-/189778
2019.1.7 週刊ダイヤモンド編集部 田上貴大
『週刊ダイヤモンド』12月29日・1月5日新年合併特大号の第一特集は「総予測 2019」です。毎年恒例の超人気企画ですが、今年は、ありえないほどに大幅増強!なんと、40人の経営者がインタビューで登場します。さらに識者50人が株価や景気、為替、政治、文化を予測。また、週刊ダイヤモンド編集部の記者25人が金融、産業業界が、どう動くかも執筆しています。つまり、総勢115人が2019年を見通す、総合計272ページの豪華な一冊になっているのです!ここでは誌面の一部を紹介。メガバンクと地方銀行が、それぞれ生き残るための「課題と弱点」がハッキリ浮かび上がった2019年。お互いの動向に注目します。
2019年、銀行業界の天気予報は18年と変わらず「雨」となり、地方銀行にとっては、再編がさらに加速する一年となるだろう。
目下、業界を取り巻く最大の課題は、日本銀行の金融緩和政策によって屋台骨の融資事業が低迷しているという構造不況だ。特に地銀は経営環境が厳しい。金融庁の統計によると、地銀全体の18年度上期決算は純利益が前年同期比29.8%減と大幅に落ち込んだ。
近年、生き残りを懸けて再編を進めてきた地銀にとって、経営統合が重要な選択肢であることに変わりはない。そんな中、18年8月には再編の追い風となる出来事が起きた。長崎県の地銀2行の統合に対し、独占禁止法の観点から「待った」をかけていた公正取引委員会が、一転して認可したのだ。認可を得るため、地銀2行は取引先のシェア調整を行っており、他行にとっても公取の“拒絶”をかわす上での参考になったといえる。
では、次の再編候補はどこか。振り返ると、16〜17年に再編案が出た長崎県と新潟県、三重県は同一県内に地銀3行が残る地域。となれば、おのずと19年も“密集”地域の動向に注目が集まる。
そこで、まだ地銀が3行残る県と、金融庁が公表した「ある試算」を組み合わせて、19年の再編模様を占った(下図参照)。この試算は、都道府県別の地銀の事業存続の可否を有識者が算出したもので、薄茶色で示した県は地銀2行、紫色の県は1行単独でも事業の採算が取れなくなるという。
※全画面で拡大
3地銀が残る県は、いずれも将来の不採算が見込まれる。その中で注視すべきは福島県。業績不振の福島銀行は金融庁から業務改善命令が出されており、今後の業績次第では、競合行の軍門に下ることを検討せざるを得ない。
また、スルガ銀行(静岡県)にも注目。かつては、独自の収益モデルが評価されたが、行き過ぎた営業姿勢が組織全体の不正を招いた。「今の看板のままで営業を続けられるか」(東海地方の地銀幹部)という疑問も寄せられており、立て直しのために他行と手を組むのも選択肢の一つだろう。
メガは自力の強化必須
マネロン対策が共通課題
メガバンクに焦点を絞ると、18年度の上期決算は3メガバンクグループ共に最終増益となったが、一時的な利益の支えによるため、収益性は決して盤石とはいえない。
一時的な利益とは何か。それを知るために金融史をひもとこう。
平成の象徴の一つであるバブル崩壊は、今の構造不況とは比べものにならない「暴風雨」を銀行にもたらした。景気悪化により、銀行は回収不可能な不良債権を抱え、経営危機に追い込まれた。
その後、銀行は不良債権処理を断行。下図の通り、銀行を悩ませた貸借対照表(BS)上の不良債権額は年々減っている。
※全画面で拡大
結果、銀行が融資の貸し倒れを見越して事前に積む引当金が、近年の企業の業績回復に伴い利益として戻ってきた。つまり、未曽有の危機をもたらした“元凶”が、皮肉にも今の銀行の好決算を一時的に支えているわけだ。
この戻り益は、毎年損益計算書(PL)に貢献している。18年度上期決算では、3メガバンク合計で約2000億円の水準に達し、最終増益の一つの理由となった。
一方で、「今後はそれほど戻り益は出てこない」(國部毅・三井住友フィナンシャルグループ社長)と予想されるため、自力での収益改善が必要不可欠。19年5月に通期決算が発表されるが、本業の利益を示す「コア業務純益」をどこまで積み上げられるかに注目だ。
また、19年のメガと地銀の共通テーマがマネーロンダリング(不正資金の洗浄)対策だ。というのも、19年に日本の金融業界はマネロン対策を国際的に推進するFATF(金融活動作業部会)による審査を控えているからだ。
だが、特に地銀は「ノウハウも人も足りない」(地銀関係者)というお寒い状況にある。業界一丸となり、“弱点”の克服に精を出すことが必要だ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)
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