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黒田総裁、先行き巡る不確実性さらに高まっている
日高正裕
2018年12月26日 14:02 JST
最近の保護主義的な動きは慎重に点検していく必要
保護主義的な動き、長期化すれば負の影響が増幅される恐れも
日銀の黒田東彦総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
日本銀行の黒田東彦総裁は26日、都内で講演し、「先行きを巡る不確実性はさらに高まっている」との見方を示した。
黒田総裁は「このところ海外経済の動向を中心とする不確実性が増している」と言明。特に米中間の貿易摩擦をはじめ最近の保護主義的な動きは「慎重に点検していく必要がある」と語った。
これまでのところ、この問題がわが国経済に及ぼす影響は「限定的」としながらも、その解決に「時間がかかる可能性も否定できない」と指摘。展開次第では「企業マインドの悪化や金融市場の不安定化を伴って負の影響が増幅される恐れもある」との懸念を示した。
英国の欧州連合(EU)からの合意なき離脱の可能性や、米国の利上げの動きが新興国からの資本流出につながる可能性、中東などの地政学的リスクなどにも「留意が必要」と指摘。中国では製造業景況感の改善ペース鈍化など一部に弱めの動きも見られ、「貿易摩擦の影響なのか」今後見極めていく必要があると語った。
金融政策運営については、金融緩和のベネフィットだけでなくコストについてもバランスよく考慮しながら、物価目標の実現に向け、「強力な金融緩和の下で、一歩ずつ歩みを進めていく方針だ」と述べた。
日銀は20日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を決めた。長期金利の誘導目標は「0%程度」としてある程度の変動を認めるとし、短期金利の「マイナス0.1%」と共に据え置いた。指数連動型上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ方針も従来通り。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とのフォワードガイダンス(政策金利の指針)も維持した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-26/PKBUMY6K50XS01?srnd=cojp-v2
ビジネス2018年12月26日 / 14:32 / 8時間前更新
海外下振れリスクに一層注意、金融政策は「持久力」が重要=日銀総裁
2 分で読む
[東京 26日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は26日、都内で開かれた日本経済団体連合会(経団連)の審議員会で講演し、海外経済の下振れリスクに一層注意が必要になってきた、と語った。金融政策運営は、効果と緩和長期化による副作用をバランスよく考慮しながら、強力な金融緩和を粘り強く続けていく「持久力」が重要になっていると語った。
総裁は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」との日銀法に定められた理念を紹介したうえで、企業収益や雇用・賃金の増加とともに物価が緩やかに高まっていく「好循環が働く経済を目指して金融政策を運営している」と語った。
これまでの強力な金融緩和は「わが国経済を大きく改善させる効果があった」としたが、景気拡大や労働需給の引き締まりに比べれば「物価は弱めの動きを続けており、物価安定目標の実現には、なお時間を要する」と指摘。「ここにきて海外経済を中心とする下振れリスクにも、一層注意が必要になってきた」とも述べた。
こうした局面での金融政策運営は「金融緩和の効果と副作用をバランスよく考慮しながら、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく」とし、「まさに政策の持久力が大事になっている」と強調。
金融緩和の長期化による金融仲介機能の停滞や、金融システムが不安定化するリスクは「大きくない」としながらも、「政策の持久力を維持する観点からも、先行きの動向を注視していく必要がある」と語った。
そのうえで、今後の金融政策運営について、海外経済の動向を中心としたさまざまなリスクを点検しながら「政策のベネフィットとコストを比較衡量し、その時々の状況に応じて、最適な政策を実施していく方針」と繰り返した。
<不安定な株価、世界経済のリスクに対する認識変化>
26日には一時1万9000円割れまで軟化した株式市場については「やや不安定な動きを続けている」と指摘。「世界経済を巡る様々なリスク要因に対する認識の変化が、株式市場の変動に繋がっている面がある」と分析し「今後も、国際金融市場の動向とその背景となる各種リスク要因の動きについて、注意深く点検していく」とした。
先行きの経済については「緩やかに拡大を続ける」との見通しを維持したものの「このところ、海外経済の動向を中心とする不確実性が増してきていることには留意が必要」と付け加えた。なかでも、米中貿易摩擦をはじめとする保護主義的な動きは「慎重に点検していく必要がある」とした。
保護主義的な動きは「どの国にとってもメリットはない。行き過ぎた動きには、いずれブレーキがかかるはず」との見方を示す一方で、米中貿易摩擦が「米中間の関係を将来にわたってどう構築していくのか、という大きな文脈の一部と捉えるならば、その解決に時間がかかる可能性も否定できない」と、長期化の可能性にも言及した。そうした場合「企業マインドの悪化や金融市場の不安定化を伴って負の影響が増幅される恐れがある」との懸念を示した。
一方、中国の製造業の景況感の改善ペースが鈍化していることに触れ「これが、貿易摩擦の影響なのか、それともデレバレッジなどに伴う国内需要の減速の表れなのか、といった点も、今後見極めていく必要がある」と指摘した。
戦後最長の景気回復の下で、人手不足に悩むほどの需要増加に直面しながらも、将来に対する慎重な見方を示す企業が少なくないのは「こうした海外経済を巡る不確実性の高まりが企業マインドを慎重化させている面がある」とした。
*内容を追加しました。
伊藤純夫 清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN1OP0A7
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