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地方で輸入車が売れている理由…レクサスとの販売競争が激化、日系ブランドの新型車が激減
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25970.html
2018.12.19 文=小林敦志/フリー編集記者 Business Journal
ボルボの「XC40」(「XC40 | ボルボ・カー・ジャパン - Volvo Cars」より)
2018年12月7日に「2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤー」が決定した。第39回となる今回の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのは「ボルボXC40」となった。第38回、つまり前回のイヤー・カーは「ボルボXC60」だったため、2年連続でボルボが受賞した。
1980-1981を第1回とする日本カー・オブ・ザ・イヤーは、第38回で輸入車として初めてボルボXC60がイヤー・カーに輝いている。第37回まで設けられていた「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」部門が38回よりなくなったこともあるのだろうが、名だたる日本車を差し置いて輸入車が2年連続でイヤー・カーに輝いていることは注目に値するといえるだろう。
2008年のリーマン・ショック以降、日本国内での日系ブランドの新型車投入数が目立って減ってきているといわれる。日本市場の縮小傾向には歯止めがきかず、軽自動車やコンパクトカー、ミニバンばかりが売れる“ガラパゴス市場”化が進んだ。さらに、グローバル市場のトレンドと乖離した趣向性が強く見られることもあり、日系メーカー各社が日本市場での売れ筋モデルに特化した商品ラインナップを展開するようになったことも影響しているといわれる。
ここ数年はメーカーの不祥事が相次ぎ、イヤー・カーを決定する“たたき”ともいえる“10ベスト”の受賞や、そもそも10ベスト決定のためのノミネートを辞退するメーカーもある。事情通によると、「年間にデビューする新型車が少なすぎ、日系ブランド車だけを見ると、イヤー・カーとして『これだ』というモデルがすぐに思い浮かばない」という。
■日本車とは“別世界”だった輸入車
日本自動車販売協会連合会(自販連)や全国軽自動車協会連合会(全軽自協)、そして日本自動車輸入組合(JAIA)の統計を基に、輸入車については海外ブランドのみの販売台数、そして登録車および軽自動車の販売台数を合算した、2017暦年での新車販売総数は554万183台となる。そのうち海外ブランドのみの輸入新車販売台数は30万6088台となり、全体における輸入車の割合は約5.5%となっている。これが2014暦年となると、新車販売総数が585万2948台となり、輸入車は29万196台で輸入車比率は約4.9%となる。
販売総数については、2017暦年は2014暦年比で約94%となり、日本車の販売台数も同じく約94%となった一方、輸入車は105.4%となっている。ちなみに、輸入車だけを見ると、2017暦年の新車販売台数は10年前の2007年に比べて132%となっている。市場全体で見れば海外ブランドの販売比率は微々たるものともいえるが、日系ブランドの新車販売の閉塞状況が続くなか、統計を見ても、輸入車は着々と存在感を高めているといっていいだろう。
最近は死語になりつつあるが、かつてはよく「外車(ガイシャ)」と言われていた輸入車。この輸入車の日本市場での立ち位置も、日本市場が“ガラパゴス市場”と言われる状況を具現化したものといえる。グローバル市場、特に先進国市場では、たとえ世界に名を馳せる自国の自動車メーカーがあったとしても、自国ブランドと海外ブランドが完全に別世界のように分け隔てられている市場は大変珍しい。たとえば、アメリカでは新車販売統計でもアメリカンブランドとその他の国のブランドを分けて集計されることはない。ところが、日本では日本車と輸入車の販売統計はそれぞれの業界団体が行い、さらに日本車のなかでも登録車は自販連、軽自動車は全軽自協が行っているのである。
かつて為替が固定相場で“1ドル=360円”というレートだった頃は、それだけで輸入車の価格は今では信じられないほど高いものであり(物価比)、まさに“お金持ち”しか乗れないクルマであった。その後、為替の自由化も進み、サラリーマンでも手を出せる価格設定のクルマが多くなっても、固定相場時代のイメージが強すぎることもあり、日本車と輸入車は厳然と分け隔てられた“別世界”のような時代が続いていた。
かつて、ある老舗の輸入車販売ディーラーで「最近はサラリーマンのお客様も増えてきましたので、値引き交渉がきつくなりました」という話を聞いたときに、輸入車の別世界観を改めて知ったことを今も記憶している。
日本中で“輸入車=ぜいたく品”という強烈なインパクトは21世紀になっても残り、長い間「輸入車は東名阪(東京、名古屋、大阪)でしか売れない」ともいわれていた。実際は、東名阪以外の主要政令指定都市(札幌、仙台、福岡など)でも輸入車はそれほど抵抗なく売れていたが、そのほかの地方部では、たとえ輸入車に興味があり、しかも資産家などで購入可能であったとしても、「あの家は輸入車を買えるほどお金を持っている」などと近所で噂になるのを嫌い、輸入車を避けてクラウンやセドリックなどに乗る人も多かった。
そんななか、2005年に日本国内でレクサスブランドが開業すると、輸入車に興味のある地方在住の富裕層が「これはトヨタでつくっているから」とよく乗るようになり、「地方部でレクサス車がよく売れている」といった話も聞いたことがある。
■地方にも浸透する輸入車人気
ところが、「ここ最近は輸入車に新しい動きが出てきた」と前出の事情通。
「ある欧州ブランドの大型セダンがいよいよ日本でも発売になるとして、インポーターが全国のディーラーから発売前の予約受注の受付を開始したことがありました。すると、当初の『東名阪ぐらいがメインになるんだろうな』という関係者の思いをよそに全国各地から予約受注が殺到し、初期ロット(最初に日本に陸揚げされる車両)の枠を超えてしまい、抽選になったそうです」
最近では“市内”などという表現もよく使われる、県庁所在地以外の各地の中核都市に輸入車ディーラーが出店する動きも目立ってきている。ある地方都市を訪れた際には、日系ブランド系ディーラー関係者から「このあたりも輸入車ディーラーが目立ってきて、よく売れている」と聞いたことがある。また、各地のイタリア車やフランス車などの趣味性の高いブランドの愛好家仲間の“オピニオンリーダー”的存在の人がディーラーを経営することで、そのネットワークを活用しながら新規の愛好家を増やしていき、販売促進を行っているケースもあるという話も聞く。
このように、それまで輸入車に乗ることを躊躇するような土地柄の場所にディーラーが出店し、輸入車がよく売れるようになった。そのため、前述したように地方で強みを見せていたレクサスだが、今では地方部でも以前よりはドイツ系高級ブランドとの販売競争が目立ってきているとも聞く。その背景には、日系ブランドのラインナップに魅力的なモデルが少なくなってきているという事情があるのだが、それについては次回に詳述したい。
(文=小林敦志/フリー編集記者)
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