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新築ワンルーム投資などやってはいけない!約30年間キャッシュアウトで収支マイナスに
https://biz-journal.jp/2018/12/post_25956.html
2018.12.17 文=沖有人/スタイルアクト(株)代表取締役、不動産コンサルタント usiness Journal
投資用に新築ワンルームを買った人は“ご愁傷様”だ。
買った時点で、ほぼ損が確定しているからだ。しかし、これを購入できる人は年収が高い人でもある。テレビ局、広告代理店、国家公務員が引っかかりやすい3大職業だ。不動産の収益性が低いがゆえに、個人年収が高くないとローンを組めないからだ。なんとも皮肉な話だ。
このローンを貸している金融機関側の論理は「新築ワンルームが儲からないことは百も承知しているが、この人は年収が高いからこそなんとか返済してくれる」という算段になっている。こんな目論見なので、メガバンクはこうした融資はしない。結果として住宅ローンよりかなり金利が高くなるが、この時点で「何かおかしい」と思ったほうがいい。そんな大損状態でも大逆転をする方法はある。今回は、その解決策を提示しておこう。
■新築ワンルームが儲からないカラクリ
新築ワンルーム投資が損をすることは簡単に証明できる。
まず、表面利回りが3.5%程度しかないはずだ。これに対して、金利は1.8%程度かかる。投資用マンションの値下がり率は毎年2.5%以上になる。つまり、利回り−金利−値下がり率=3.5−1.8−2.5=▲0.8%が毎年マイナスになる。キャッシュフローベースでは値下がり率(2.5%)がなくなる代わりに、元本返済と固定資産税などの合計約3%が加わり、毎年1.3%程度キャッシュがマイナスになる。3000万円の物件なら40万円のキャッシュアウトだ。これに取得・売却にかかわる諸費用が物件価格の5%以上かかり、収益性が落ちていくタイミングで追い打ちのように大規模修繕などの費用がかかる。
ちなみに、ワンルームの管理費単価は通常のファミリータイプの2倍以上のボッタクリ状態が多い。これに気づいても、1棟の管理費を下げるのは多くの所有者の合意が必要になるので実質的には無理に近い。無関心のオーナーの相場すら知らない無知につけ込むかたちなのだ。こうして結果として数百万円のマイナスで済めばいいが、1000万円を超える人も多い。無知は非常に高くつくものだ。
ここまで書いても、「年金代わりになる」とか「節税できている」とか、自分をなぐさめている人は多い。不動産を買う際は必ず事業収支を将来にわたって作成しなければ、何がリスクかもわからない。これを作成すると、最初の1〜2年目だけが節税効果でキャッシュフローがプラスになったとしても、その後はローン返済までの約30年間キャッシュアウトが続くことがわかる。30年後にローンが終わったとしても家賃はすでにかなり下がり、空室率は上がり、税金も取られるので、大した手取りにはならずに修繕費ばかりがかさむ。もちろん、この不動産投資のトータルの事業収支は大幅にマイナスになることはほぼ間違いない。
■“隠れ負債”がマイホーム購入に影響も
こんな新築ワンルームを結婚前に購入してしまったら、いろいろなリスクを抱えることになる。ひとつは、マイホームを持てなくなるリスクだ。儲からない不動産を買ったら個人借り入れの信用は落ちるに決まっている。悪くすると、ブラックリストに載ったも同然だ。こうしてマイホームを買う段に隠れ負債が発覚し、満足な住宅ローンが引けなくなることがある。この隠れ債務が発覚したことで、婚約・結婚が破談になることもある。
失敗したと思っても、ずっと物件を持っているよりも売ったほうが傷は浅くなる。そのためには、毒をもって毒を制すことをおすすめする。不動産には不動産を充てると損益は通算しやすい。そのためには自宅を購入することだ。自宅も不動産投資同様にローンを組んで購入することになる。自宅の住宅ローンの場合には「フラット35」というセーフティネットが存在する。民間の低利の変動金利が借りられなくてもフラット35は借りられる可能性がある。それに、フラット35なら自分の年収が高ければ頭金なしで物件を購入する、フルローンという方法も取れる。
■新築ワンルームの損失を自宅の利益で相殺
ローンさえ借りられれば、独身者でも自宅を買って資産形成して、自宅の利益とワンルームの損失を相殺することができる。なぜなら、自宅は一般の不動産投資と違って、金利が安く、税制が優遇されており、値下がり幅が小さいからだ。
金利は一般の不動産投資が約2%前後なのに対して、自宅は最低金利が0.5%ほどと低い。賃料の表面利回り3.5%から2%を引くと1.5%しか残らないが、0.5%の金利なら、3%残る。これに加えて、優遇税制で自宅の住宅ローンを組むとローン残高の1%が還付される。マイナス0.5%の金利なので、実質利回りは4%になる。投資の損失を毎年4%の利回りの自宅で相殺するのだ。
先ほど説明したように、ワンルームの年間収支はマイナスになる。家賃よりもローン返済が多く、固定資産税もかかるので、数十万のマイナスは毎年出る。これと相殺するために、自宅の住宅ローンを組むとローン残高の1%が還付される。これは最大40万円もらえるので、これで補填できることになる。支払う税金を還付される税金で返す方法になる。このためには自宅は50平方メートル以上にしなければ、この還付の税制が受けられないので気をつけよう。
また、売却したときの利益には不動産投資では20〜40%程度の税率がかかるが、自宅は3000万円まで無税になる。自宅で値上がり益が出やすいのは、次に買う人が自宅目的だからだ。これが投資になると、少しでも安く買いたい人ばかりなので購入価格が安くなりがちだ。しかし、自宅は気に入れば買う人が多いので、値崩れがしにくい。結果として、自宅の値下がり幅は都心部に近ければ年間1%と下がりにくくなる。不動産投資が2.5%は下がることから、ここでも毎年1.5%の差が生まれる。金利と税制の差と合わせて、かなりの差があることになる。
■新築ワンルーム投資地獄からの脱出
自宅を買わず賃貸に住むと、表面利回りの3.5%に諸費用込みで4%近くかかる。どうせこれだけの出費をするなら、持ち家を買おう。持ち家は3.5%の表面利回りから金利0.5%を引くが、1%の還付金があり、資産価値が毎年1%と落ちない場所を選ぶことができる。こうした物件の資産性や適正価格は、筆者が主宰する無料会員制サイトである「住まいサーフィン」【※1】を見れば全物件がわかるようになっており、23万人の会員が活用している。こうなると、毎年3%相当の資産形成が自宅で可能になる。この利益で新築ワンルーム投資の損失を補填するのだ。
通常、不動産投資した際の損得は通算することができる。今回の場合は自宅の売却益はまるごと無税でもらえる。なので、まずは自己資金をつくるために自宅の利益が出たところで売却をして手元現金をつくろう。その手元キャッシュがないと、不動産投資の損失を自分で補填し、投資ローンを全額返済することができなくなる。あくまでも、順番は自宅の益出しをした後の損失の補填ということになる。
ここまでやれば、新築ワンルーム投資地獄から抜け出せるはずだ。あとは実行あるのみだ。不良資産の処分が終わることを祈ってやまない。
(文=沖有人/スタイルアクト(株)代表取締役、不動産コンサルタント)
【※1】
「住まいサーフィン」
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