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中国アリババ「ビール1本を30分で無料配達」に見る小売業の薄暗い未来
https://diamond.jp/articles/-/188382
2018.12.14 姫田小夏:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
「フーマー」の店舗。オーダーの商品を入れた袋が、天井のコンベヤー伝いにバックヤードに流れていく Photo by Konatsu Himeda
ビール1本でも30分以内に
24時間無料配達の驚異
「店舗から3キロ圏内であれば、30分以内にお届けします」という驚異のサービスがある。上海ではいくつかのアプリがこうしたサービスを提供中だが、アリババグループが展開する食品スーパーの新業態「盒馬鮮生(以下フーマー)」は、これに「商品1個から、24時間OK」という付加価値がつく。
上海のヘソともいえる静安寺を起点に北上すると、「KING88」という商業施設が見えてくる。その地下にあるフーマーは2017年に開業した。もとより、アリババの馬雲会長(ジャック・マー、以下マー氏)は近年「新零售」(新たな小売り)をスローガンに掲げており、オンライン(eコマース)とオフライン(リアル店舗)の結合を目指してきた。
この業態の特徴の1つが、オンラインで受けた注文をオフラインの店舗から配達することにある。店内は天井に沿ってベルトコンベヤーが張り巡らされており、スタッフが注文を受けてピックアップした商品は、専用の袋に入れられ、カタカタと音を立ててバックヤードに流れていく。
大阪出身の田中春男さん(仮名)もユーザーのひとり。上海在住は20年近く、百戦錬磨の田中さんはもはや大抵のことには動じない。だが、フーマーのサービスは「驚異だ」と唸る。
「フーマーな、ビール1本から頼めるんやで。30分以内に無料でな。しかも24時間OKで、夜中ですら持ってくるんや」
この驚異のサービスによって、消えてなくなるものがいくつかある。例えば“アーイー(お手伝いさん)”がそれだ。上海でも一定の収入がある家庭ではたいてい自宅でお手伝いさんを雇用し、買い物や炊事を切り盛りしてもらうのだが、このサービスの出現で、彼女たちは早晩「お役御免」となるかもしれない。
消されるのはお手伝いさんだけではない。食品流通に詳しい田中さんは、フーマーのサービスをこう分析する。
「24時間、30分以内に無料なんていうサービス、絶対に赤字のはずや。これが意味するのは、お客をすべて囲い込んで、ほかを倒すことにある。どう考えたって、それしかないやろ」
標的はフランス資本の
スーパー「カルフール」か
2018年末時点で、上海でフーマーは十数店舗にまで増えた。その1つである「星空広場店」は、虹橋路と水城南路の交差点に開店した。
古北新区のカルフール商圏に堂々と開業するフーマー Photo by Konatsu Himeda
虹橋路を挟んだ南側には、各国から集まった外国人が多く生活する「古北新区」と呼ばれるエリアがある。約1.3平方キロの面積に3万人超が暮らすが、その胃袋を満たしていたのが、フランス資本のカルフール古北店だった。同店は各種の輸入食材はもちろんのこと、巨大な売り場に各種商材を取りそろえ、「世界一の売り上げをたたき出す店舗」と言われた。
古北新区はいわばカルフールの牙城だったのだが、そこに突如として食い込んできたのがフーマーだった。田中さんが言うように「無料30分デリバリー」という画期的サービスを携え、顧客を総なめにする算段なのかもしれない。
土曜の夕方にもかかわらず、買い物客はまばらなカルフール Photo by Konatsu Himeda
11月の上旬、筆者は早速このカルフール古北店に足を運んでみた。うわさに違わず、かつての栄華からは想像もつかない状態だった。土曜の夕方にもかかわらず買い物客の姿はほとんどない。もちろん、これはフーマーのせいだけではない。最近は「デリバリー」を提供するサービス業者が増えており、実体店の行列に並ばずとも買い物ができるようになったことも影響している。
それにしても、往時のにぎわいを知る者からすれば、カルフールの凋落は激しすぎる。田中さんは次のように語っている。
「このまま行けば、カルフールは早晩店を閉じるかもしれんな。その後は、古北新区はフーマーの独壇場になる。いや、もっと言えば、ネット取引と金の流れを押さえたのがアリババなら、リアル店舗での商売もアリババが制覇する。それがアリババが狙う“流通革命”とちゃうか」
アリババのお膝元で
閑古鳥鳴くリアル店舗
アリババグループ創業者で現会長のマー氏は、浙江省杭州市の出身だ。そのジャック・マー氏のお膝元である杭州市まで足を延ばしてみた。伝統的建築物を残す市内の観光地は世界的にも有名だ。その観光地は撮影の楽しみこそあったものの、残念ながら「買い物の楽しみ」は欠落していた。
観光用に保存された古い町並みでは、ご当地特産の菓子、工芸品、シルクのスカーフなどの店舗が繰り返し現れるが、よく見ればほとんどがチェーン店だ。店構えこそ個性的だが、売られている“中身”も“売り方”も「飽食の時代」に入った中国の消費者を動かすものではない。
店の前を素通りする観光客 Photo by Konatsu Himeda
同行してくれた中国人の友人に「せっかく来たのに、どうして何も買わないの?」と尋ねると、「どの土産物も、上海でも買えるから」と答える。ましてや、ネット販売を使えば、リアル店舗で買うよりもずっと安く手に入ってしまう。これでは観光収入などあったものではないだろう。
むしろ悲しむべきは、コストを理由に“愚直なこだわり精神”が瞬時に淘汰されてしまうことだ。それが今の中国市場の無常ぶりである。これだけの数の店舗が居並びながら、店主のこだわりや店づくりにかける情熱を醸し出す店舗は皆無だった。
店先では暇を持て余す従業員がスマホをしきりにいじっている姿ばかりが目に付いた。
スマホで時間をつぶす従業員 Photo by Konatsu Himeda
2017年夏、この杭州市にアリババの無人店舗第1号ができた。人件費や店舗賃料、その他の出店コストを考えれば、リアル店舗の経営など割に合わないのだろう。今後は「無人店舗」が主流になるのだとしたら、店頭の販売員たちも、いずれ消えていく運命にあるのかもしれない。
1999年にマー氏が杭州市で起業した3年後の2002年に、筆者はこの地でマー氏本人を訪問し、取材したことがある。その当時は、まさかこんな流通革命を起こす大人物になろうとは想像すらできなかった。
その後アリババは「淘宝網(タオバオ)」で中国全土に消費革命をもたらし、また「支付宝(アリペイ)」による決済革命で、今や銀行をも不要にしてしまった。そして現在、取り組んでいる「キャッシュレス都市」の構築で、中国に現金不要の社会を到来させようとしている。「未来の製造業はメード・イン・インターネットだ」とマー氏が叫ぶ製造革命は、国境をも不要にしてしまうに違いない。
中国では、私たちの想像を超えるスピードで“新旧交代”が進んでいる。その狭間で生まれるのが「熾烈な企業間競争」だが、新興市場はたいてい巨頭2社が圧倒的シェアを握る傾向にある。「最後にのみ込むのはアリババか」――そんな臆測も飛び交う。
政治を共産党が掌握するのに対し、市場経済はアリババが握る――。「一党独裁」、「市場独占」とそれらは中国的特色の強い支配形態だが、そこにどんな盲点が潜んでいるのか。“ファーウェイ報道”もさることながら、“アリババ帝国”がどこまで版図を広げるのか、その行く末が気になる。
(ジャーナリスト 姫田小夏)
「未来の製造業はメード・イン・インターネットだ」とマー氏が叫ぶ製造革命は、国境をも不要にしてしまうに違いない。
— ryu720 (@ryu7206) 2018年12月14日
中国アリババ「ビール1本を30分で無料配達」に見る小売業の薄暗い未来 https://t.co/GTOhMzNEss #スマートニュース
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— えのぺい📇 Have a good Cashless. (@enopay110) 2018年12月13日
働く人大変だよ
ドローンとか自動運転車でロボットが代わりになればいいと思うけど
アリババは「淘宝網(タオバオ)」で中国全土に消費革命をもたらし、「支付宝(アリペイ)」による決済革命で、銀行をも不要にした。そして現在、取り組んでいる「キャッシュレス都市」の構築で、中国に現金不要の社会を到来させようとしている。姫田小夏さんのコラム。https://t.co/z7CGXLsoq5
— 石川一敏 (@ik108) 2018年12月13日
「小売業の薄暗い未来」というメタファーが面白いですね。「お先まっ暗」のように程度強調は以前からあったけど、ビミョー系修飾が近年増えてる印象。 https://t.co/stxqvQwnl2
— 尾谷昌則 (@masanori_odani) 2018年12月14日
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