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ゴーンを“追放”した西川社長の誤算 日産立件で総退陣浮上 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/242205 2018/11/23 日刊ゲンダイ 詰め腹を切らされるか(西川社長)/(C)日刊ゲンダイ 「ゴーン・ショック」は当分、収束しそうにない。日産自動車のカルロス・ゴーン容疑者が逮捕された19日の会見で、「執行部体制に影響はない」と断言した西川広人社長。今後、第三者委員会を立ち上げ、日産の新体制を発足させると口にしていたが、新たな問題が浮上。東京地検特捜部が法人としての日産を立件するというのだ。 ゴーンは、金融商品取引法違反(有価証券報告書への虚偽記載)容疑でパクられた。当初、「司法取引」が行われ、日産本体は「お咎めなし」とみられたが、特捜部は、虚偽記載が長年にわたって行われてきた背景として、法人の責任を重視。法人も罰する「両罰規定」を適用する方針だ。元特捜部検事の若狭勝弁護士がこう言う。 「金融商品取引法の両罰規定によって、法人は7億円以下の罰金が科されます。社員が不正を犯した場合、法人も処罰されるのは自然なことなので、別に驚く話ではありません。ただ、日産側は、特捜部の捜査に協力してきたため、罰金額はある程度、減額されると考えられます」 日産本体が立件されれば、当然、現執行部も無傷では済まない。ゴーンの“独裁”を許してきた西川社長の進退が問われるのは間違いない。 西川社長は会見で、「1人に権限が集中しすぎた」「長年における(ゴーンの)統治の負の側面と言わざるを得ない」などと、全責任をゴーンにおっかぶせるような発言を連発。社長としての責任については「私がどういう立ち位置で何ができたか考えないといけない」とお茶を濁した。 「西川社長は、会見でゴーン氏の逮捕について『クーデターではない』と言っていましたが、果たしてどうでしょうか。特捜部は社内の状況や資金について、西川社長から任意で聴取していたといいます。西川社長は、法人として捜査に全面的に協力していた。恐らく本人は、独裁者のゴーンを追放し、自分たちは『司法取引』によって『お咎めなし』になると計算していたはず。それが、法人も立件となりそうで、慌てているはずです」(経済担当記者) ルノー本社があるフランスでは、西川社長らによる“クーデター説”がもっぱらだ。実際、仏ルモンド紙(電子版)は、<ルノー経営陣から日本側の「クーデター」だという声が出ている>と解説。地元経済紙「レゼコー」は、西川社長が<目をかけてくれたゴーン氏を公共の場で引きずり降ろした>として、古代ローマのカエサルを殺害した「ブルータス」になぞらえて報じた。 西川社長からすれば、法人が立件されるのは大誤算だろう。 「証券取引等監視委員会は数年前から、ゴーン氏の不正な投資について、日産側に是正するよう伝えていた。日産はゴーン氏に何度も是正を促したが突っぱねられたといいます。いずれにしろ、日産が不正の事実を前々から知っていたということには変わりありません。ある意味、長年にわたってゴーン氏の不正を“見過ごし”てきたことになるわけです。それに加え、法人も立件されるとなると、西川社長ら現執行部は責任を取らざるを得なくなるでしょう」(経済ジャーナリストの松崎隆司氏) 日産は、ゴーンらを取締役から外すため、来年6月の株主総会を前倒しし、臨時招集することを検討しているという。今度は、西川社長が“カエサル”になるかもしれない。
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