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特捜部を待つゴーンの徹底抗戦 “人質司法”には絶対屈しない https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/242130 2018/11/22 日刊ゲンダイ 黙っちゃいない(C)日刊ゲンダイ 日産のゴーン容疑者の役員報酬を巡る有価証券報告書の虚偽記載事件。会見した西川広人社長は「強い憤りと落胆を覚えている」と釈明していたが、被害者顔に違和感を覚えた人は多かったはず。特捜部とタッグを組んで司法取引し、すべてをゴーン容疑者に押し付けて会社は無罪放免――。そんな調子のいいシナリオも透けて見えるからだ。だが、世界中の政財界に顔が利くゴーン容疑者が特捜部に黙って屈服するわけがない。 そもそも、有価証券報告書の虚偽記載は、逮捕されたゴーン容疑者と代表取締役のケリー容疑者の2人でできるわけはない。有価証券報告書は上場会社にとって「最高レベル」の書類だからだ。 「日産クラスで間違いがあれば、市場を大きくミスリードすることになります。経理部門が作成しますが、報酬委員会や取締役会、外部の公認会計士がチェックします。絶対に間違いがないように細心の注意を払う。ゴーン、ケリーの両容疑者で、虚偽記載を何年も繰り返せるわけがありません」(金融ジャーナリストの小林佳樹氏) ■司法取引で社員を“売った”日産 仮にゴーン容疑者やケリーがワルだとしても会社も同罪。それなのに日産は司法取引“特典”で法人責任を免れるか、立件されてもチョボチョボで済まされる可能性があるのだ。 6月に日本に導入された司法取引制度は、他人の犯罪を捜査当局にチクれば、見返りが得られる「密告型」だ。司法取引に詳しい中川亮弁護士がこう言う。 「検察にとっては、犯罪行為につながる生々しい情報を得られ、強力なツールですが、危険性をはらんでいます。情報提供者は、自らの罪を逃れたいわけですから、全面的に検察に協力します。場合によっては、誇張やウソの供述もしかねません。司法取引が冤罪の温床と言われるゆえんです。問題は、社員らに罪を押し付けて、本来なら罪を問われるはずの会社が無罪放免になってしまうことです」 実際、日本で司法取引が初めて適用された7月のタイの発電所を巡る贈賄事件で、東京地検特捜部は「三菱日立パワーシステムズ」の元幹部3人を起訴する一方、司法取引に応じた会社は起訴しなかった。このため、「会社が社員を売った」と批判の声が続出。今回、特捜部はゴーン容疑者という超大物を逮捕し、司法取引制度を再びアピールするための“仕切り直し”と喜んでいるようだが、そう簡単な話じゃない。 「司法先進国のフランスは、容疑者の人権が手厚く保護されていて、例えば、取り調べの全過程は録画・録音され、弁護人の立ち会いも必須です。森友事件で逮捕・起訴され、10カ月間も接見禁止で長期勾留された籠池容疑者夫妻のように、自白するまで帰さない日本の“人質司法”なんて論外でしょう。そんな事態になれば、フランス政府、マクロン大統領だって黙っていません」(全国紙司法担当記者) ゴーン容疑者の徹底抗戦が始まる。
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