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ゴーン失脚、3社連合崩壊シナリオに政治的思惑も
https://diamond.jp/articles/-/186191
2018.11.21 Stephen Wilmot ダイヤモンド・オンライン
Photo:Reuters
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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日産自動車のカルロス・ゴーン会長の逮捕は、自動車業界の大物が一人倒れるだけの話にはとどまらない。ゴーン氏がまとめ上げた「ルノー・日産・三菱アライアンス」を伝統的な自動車会社として統合するという野望も打ち砕かれかねない。
そうした動きを期待していた投資家は19日、大きな損失を被ることになった。一方、主に政治的な理由で統合に反対していた向きは、当面は3社の独立が保証されそうな展開に有頂天になったことだろう。
とりわけ大きな問題は、3社連合の立役者なしに現状を維持できるかどうかだ。ゴーン氏が主導したコスト削減策に徐々にほころびが生じれば、3社の利益率を圧迫し、株価への圧力がさらに強まる恐れがある。比較的小規模な大衆車メーカーは、単独ではぜい弱な存在だ。
ゴーン氏はアライアンスの会長だけでなく、3社それぞれの会長と、ルノーの最高経営責任者(CEO)も務めてきた。日産は19日、ゴーン氏が有価証券報告書で報酬を過少申告していたとしたうえで、「会社の資金を私的に支出」するなど、「複数の重大な不正行為」があったと明らかにした。
一つ際立つ疑問がある。なぜ日産ではなくゴーン氏が報酬の報告に責任を負うのであろうか。通常であれば、不正確な有価証券報告書に責任があるのは企業とその監査会社であって、従業員ではない。ゴーン氏が日産の会計部門全体を欺いたのだろうか。日産によると、この奇妙な話は内部告発者によって明るみに出た。
それは本当かもしれないが、国家の政治が絡んでいなかったとは考えにくい。日産とルノーは、互いに相手から買収されることを恐れている。ルノーが日産の株式37%を取得した1999年、日産は破綻寸前だった。ルノーはその後、持ち株比率を43%に高めている。日産は今では規模が拡大し、収益も改善している。かつて救世主とみられた人物を排除するのは、日産が犠牲を差し出して解放されようとする贖罪(しょくざい)の最終段階なのかもしれない。
2016年に三菱自動車をアライアンスに加え、ゴーン氏はここ2〜3年、自ら主導した複雑な株式の持ち合いやコスト削減計画による結束を、独自の社員、事業目標、プロジェクトを持つ企業体へと昇華させることに注力してきた。このため、3社が完全統合に向けて進んでいるといううわさがしばしば浮上した。
かねて大きな障害と見られていたのはフランス政府がルノー株15%を保有していることで、日産は神経を尖(とが)らせていた。フランスでは昨年、改革派のエマニュエル・マクロン大統領が選出され、政府が持ち株を売却して合併が進むとの期待が再び膨らんだ。そうした期待はもともと非現実的に思えるものではあったが、意外なのは今回それを頓挫させたのが日本側だったということだ。
ゴーン氏が問題に見舞われた今、同氏が常々語っていたように、アライアンスの構造が本当に「不可逆的」なのかが試される。連合各社は技術共有に伴うコスト削減努力を続けることに財務面で関心を寄せているかもしれないが、自動車業界では長らく、政治的な関心が財務上の関心に勝ってきたという現実がある。
ゴーン氏は3社連合こそ世界トップの自動車メーカーだと強調していた。連合の乗用車販売台数は昨年、フォルクスワーゲンやトヨタ自動車を上回った。ゴーン氏失脚で投資家が直面するリスクとは、前例のない技術革新によってかつてないほど規模が必要とされるこの時代に、日産と三菱が小規模な大衆車メーカーに逆戻りすることだ。
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