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スーツ大手3社が赤字転落で壊滅状態に…AOKI、漫画喫茶などカフェ事業拡大で生き残り図る
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25553.html
2018.11.19 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
AOKIの店舗(「Wikipedia」より)
青山商事、AOKIホールディングス、コナカの紳士服大手3社の業績が深刻だ。決算期間が異なるが、11月に3社が発表した直近の決算は、3社とも減収、最終赤字だった。
業界最大手の青山商事が11月9日に発表した2018年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比3.0%減の1051億円、最終損益は1億円の赤字(前年同期は19億円の黒字)だった。
業界2位のAOKIが11月8日に発表した18年4〜9月期連結決算は、売上高が前年同期比2.1%減の839億円、最終損益は10億円の赤字(前年同期は1億円の黒字)だった。
業界3位のコナカが11月9日に発表した18年9月期連結決算は、売上高が前期比4.4%減の651億円、最終損益が4億円の赤字(前年同期は9億円の黒字)だった。
労働人口の減少やファッションのカジュアル化などが影響し、スーツ需要の減少が続いているが、このことが決算に如実に表れた格好となった。なお、スーツに対する家計の支出は減っており、総務省の家計調査によると、08年に6807円あった1世帯当たりの背広服への年間支出額は、17年には08年の7割弱の水準となる4676円まで減った。00年の8782円と比べると半額近くまで減っている。
需要が減っていることに加え、競争が激化したことも影響している。イオンやイトーヨーカ堂、ユニクロなどが低価格スーツの販売を強化しており、小売り各社が、小さくなっているパイを奪い合っている状況だ。
スーツ市場は縮小が続いているが、そうしたなかでもオーダースーツ市場は活況を呈している。カジュアル化が進むなかでも、勝負スーツを1着は持っておきたいというニーズが高まっており、それにオーダースーツが応えているかたちとなっている。近年、紳士服大手3社は、この市場に活路を見いだそうとしている。
青山商事は16年2月にオーダースーツ店「ユニバーサル ランゲージ メジャーズ」の展開を始めた。AOKIは同年10月に「ディファレンス」を始め、店舗数を増やして需要の取り込みを図っている。コナカも16年から一部の店舗で試験的にオーダースーツの販売を始めていたが、今年10月からは全店での販売を開始した。
ただ、大手3社のオーダースーツ事業の業績への影響は、まだまだ限定的だ。コナカのディファレンスは急成長しており、現在約50店を展開するまで成長したが、ファッション事業の全店舗数に占める割合は1割にとどまる。青山商事のメジャーズの現在の店舗数はわずか5店にすぎない。AOKIは本格展開が今年10月とあって、業績への貢献はこれからだ。
一方で、異業種が相次いでオーダースーツ市場へ参入しており、紳士服専門店の脅威となっている。衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOが7月からオーダースーツの予約を始めて話題となったが、ほかにもアパレル大手のオンワードホールディングス子会社が17年10月にオーダースーツ店「カシヤマ ザ・スマートテーラー」の展開を始めたり、大手商社の伊藤忠商事が同年12月に全国のテーラーと提携した高級オーダーメードスーツ事業に参入するなど、競争業者が増えている。
また、アパレル大手の三陽商会が傘下のブランド「ポール・スチュアート」の一部店舗で行っていた婦人スーツのパターンオーダーを今年8月から広げ、婦人服を扱う全店(約40店)で取り扱うようにするなど、既存の事業者も軒並みオーダースーツに力を入れ始めている。オーダースーツ市場でも新旧織り交ぜた競争が発生しており、紳士服専門店といえども競争を勝ち抜くことは簡単ではないだろう。
■3社とも事業の多角化が進む
スーツ市場が厳しいこともあり、紳士服大手3社はスーツを扱う事業で苦戦を強いられるが、一方でスーツ以外の分野にも手を広げており、それらの事業が生き残りのカギとなっている。
青山商事は、スーツを軸とするビジネスウェア事業のほか、カジュアル衣料品店「アメリカンイーグル」を中核とするカジュアル事業、クレジットカードを運営するカード事業、印刷・メディア事業、雑貨販売事業、靴修理店「ミスターミニット」を運営する総合リペアサービス事業などを手がける。
だが、カジュアル事業が足を引っ張っている。9月末時点で34店を展開するアメリカンイーグルや、同9店のジーンズ店「リーバイスストア」などを運営するが、同事業は長らく営業赤字を垂れ流している。18年3月期は8億円の赤字だった。状況はいまだ改善せず、18年4〜9月期は5億円の赤字となっている。同事業のてこ入れは急務といえるだろう。
一方でカード事業が成長し、利益面で大きな貢献を果たしている。青山商事が展開するスーツ店「洋服の青山」で利用すると特典が得られるクレジットカードを手がけているが、会員数は順調に伸びている。それに伴い、稼ぎ出す利益が大きく増えており、18年3月期の営業利益は前期比39.7%増の18億円となった。18年4〜9月期も好調で、前年同期比18.3%増の11億円を稼ぎ出している。
AOKIは、スーツを軸としたファッション事業のほか、結婚式場を運営するブライダル事業、カラオケルーム事業、漫画喫茶などを運営する複合カフェ事業を手がけている。
AOKIの場合、本業以外の事業はどれも比較的順調だ。前述の事業群に関していえば、10年代に入ってからは、通期ベースで営業赤字を出した事業はない。青山商事と比べて安定しているといえるだろう。
特に成長著しいのが、複合カフェ事業だ。漫画喫茶「快活CLUB」を展開している。03年に1号店を出店し、その後、店舗数を急速に増やしていった。18年9月末時点で同事業の店舗数は359店にもなり、業界最大の店舗数を誇っている。快活CLUBはバリ島の高級ホテルをイメージしているのが特徴だ。近年は女性専用エリアを充実させるなど、女性客の開拓に力を入れている。事業業績は好調で、18年3月期は売上高が前期比12.8%増の341億円で、ファッション事業に次ぐ規模となった。営業利益は9.4%増の20億円を叩き出している。18年4〜9月期も好調で、売上高は前年同期比6.4%増の183億円、営業利益は59.0%増の17億円だった。
ファッション事業以外は、どの事業も大きな問題があるわけではないが、予断を許さない状況に変わりはない。ブライダル事業は婚姻件数の減少や地味婚の拡大といった要因により先細りが懸念される。カラオケ事業は主力顧客の若年層の人口減により苦戦が予想される。慎重な運営が必要といえそうだ。
コナカは、スーツを軸としたファッション事業のほか、とんかつ店「かつや」や、からあげ専門店「からやま」などを運営するフードサービス事業、学童保育「キッズデュオ」などを運営する教育事業を手がけている。どちらの事業も急成長しているが、規模はまだまだ小さく、収益の柱となるのはこれからとなる。
大手3社とも、スーツのてこ入れに加え、第2、第3の事業の育成に力を入れている。多方面に注力しなければならず、難しい舵とりを迫られそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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