http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/352.html
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(回答先: 好況は誰の功績? オバマ氏とトランプ氏の記録比較 米ねじれ議会は世界市場に最良の結果−JPモルガン 日本株大幅反発米株高 投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 08 日 19:24:18)
ビジネス環境で、ついにロシアにも抜かれた日本
世界銀行2019年版ビジネス環境ランキング:香港、韓国にも遠く及ばず
2018.11.8(木) 安達 祐子
首位はニュージーランド、2位シンガポール、3位がデンマーク、その後、香港、韓国と続く。写真はニュージーランド首都ウェリントンの議会前に掲げられた同国の国旗(2016年3月24日撮影)。(c)AFP PHOTO / Marty Melville〔AFPBB News〕
日本のメディアではハロウィーンほどの大きな扱いは受けないが、10月31日の世界の主要ニュースの一つは、世界銀行グループが発表するビジネス環境ランキングだ。
とりわけロシアでは関心が高く、今回は31位に上昇したため大きく取り上げられた。
2020年までに20位以内目指す
今年の順位が特に注目された理由に、ウラジーミル・プーチン氏が2012年に大統領に返り咲いた際に出した「5月令」として知られる大統領令の存在がある。
(今年5月、4期目再登板時に提示された「5月令」については前回のコラムでも触れた)
2012年5月7日の大統領就任日に、プーチン氏は大統領令「長期的国家経済政策について」にて2012年から2020年までの経済政策の指針を提示した。
その中で重要課題として掲げられたのは、ロシアの投資環境改善であった。
ビジネス環境改善努力の目安として、世界銀行のビジネス環境ランキングにおけるロシアの順位を上昇させることが提示された。
具体的には、2018年までにトップ20位以内へ引き上げるとの目標を示した。
5月令発表当時、ロシアの同ランキングは120位であり、段階的に、2015年までには50位、そして2018年にトップ20位入りを果たすという目標が示された。
世界銀行のビジネス環境ランキングとは何か――。
世界銀行が毎年発表する「Doing Business(ビジネス環境の現状)」とは、世界190カ国を対象に企業の設立や経営に関するビジネス環境に係る10分野について、国内の中小企業が国内最大の経済規模を持つ都市において事業活動を行う際のシナリオを設定し、「事業活動のしやすさ」を比較する報告書である。
評価される10分野は、起業(事業設立)、建設許可、電力事情、不動産登記、信用供与(資金調達)、投資家保護、納税、輸出入(貿易)、契約執行、破綻処理である。
それぞれにランクづけがなされ、総合順位が算出される。
着実にランクアップを続けるロシア
都市については、ロシアの場合はモスクワとサンクトペテルブルクでの状況がモニタリングされる(日本の場合は東京と大阪)。
このプロジェクトが開始された2003年版は186か国が対象となっていたが、2014年からは対象国も190へと拡大し、測定基準も改定された。
表1と表2は、それぞれロシアの総合ランキングと分野別ランキングの推移を示したものである。
ご覧のとおり、ロシアは目標の20位には及ばなかったが、様々な投資環境改善策が進められた結果、着実にランクアップを実現している。
表1:ロシアの順位の推移(2009〜2018)
出典http://www.doingbusiness.org/
表2:ロシアの分野別ランキングの推移
出典http://www.doingbusiness.org/
世界銀行によると、今年のランキングについては、ロシアにおける諸改革の中でも、建設認可の取得プロセスが改善されたことが特に評価されたという。
手続きの数、時間(日数)、コストで測定される建設許可分野であるが、この1年の間に13日ほど時間が短縮されたこともあり、昨年の115位から48位へ上昇した。
手続き上の問題については、文書の多くが電子化されるなどの改革が進み、7日で建設許可取得が可能になり、コストと時間的な負担が改善した。
不動産登記と電力事情に強み
10分野の中で、ロシアに比較的強みがある項目は、不動産登記(12位)と電力事情(12位)である。
その一方で、弱い項目として指摘されるのは、貿易(99位)と少数投資家保護(57位)である。
実際、今回トップ20位以内に入れた分野は、(1)電力事情(12位)と(2)不動産登記(12位)と(3)契約執行(18位)の3項目であった。
遅れているのが破綻処理(55位)と少数投資家保護(57位)の2分野である。
つまり、ロシアにおいて、手続きの数や時間で評価される項目よりも、制度内容によって評価される項目の方が、改善が難しい現状を表している。
少数投資家保護の項目は、コーポレートガバナンスの改善につながる測定項目から成っている。
ロシアについては、取締役の責任(Extent of director liability index)において、10点満点のうち2点と、特に低い数字となっている。
表3:トップ10 & 日本 & BRICs
出典http://www.doingbusiness.org/
今回、ロシアのメディアでは「20位という目標を達成できず」といった見出しの報道が目立った。
他の旧ソ連諸国では、多くの投資環境改善策を講じたジョージアがトップ10入りしたほか、行政手続きの効率化を図ったアゼルバイジャン(25位)とカザフスタン(28位)がロシアより上位となった。
BRICsの中でも、中国とインドの順位上昇が今年は注目されたが、ロシアが上位につけている。
フランス32位、スイス38位、日本は39位
同時に、31位という結果は、フランス(32位)やスイス(38位)よりも高いし、表3に示すように、日本(39位)よりも高い。
参考までに、日本が2016年に立てた政府目標は、2020年までに先進国中3位を目指すというものだった。
ロシア政府は今回の結果に満足しているようだ。
マキシム・オレーシキン経済発展大臣は「120位代からスタートしたことを考えれば、31位という結果は20位という目標から程遠いものでは決してない」と述べている。
さらに、改革は現在進行中で、昨年から実施されているものが時期的に今年のランキングには反映されなかっただけで、それらが反映されていれば順位はもっと高かっただろうとの見解を示した。
経済担当のアンドレイ・ベロウーソフ大統領補佐官も、2012年からの6年間で実現した投資環境改善の結果は素晴らしいものだ、と評価している。
この世界銀行のビジネス環境ランキングそのものについては、算出の仕方など留意したうえで参照する必要があることは確かで、指標やその評価方法を含めて批判は常に存在する。
ちなみに、今年のノーベル経済学賞をウィリアム・ノードハウス氏とともに受賞したポール・ローマー氏は、世界銀行在任中に発した指標に対するコメントがきっかけの一つとなり、今年1月に世界銀行のチーフエコノミストの職を辞したことは記憶に新しい。
英エコノミスト誌は、影響力があるからこそ批判があるわけで、重要なリポートであることには変わりはない、といった論調を今年の報告書発行のタイミングで示した。
ロシアの現状を理解することに関していえば、このランキングは、各年の推移や他国との比較がロシアのビジネス環境改善策の動向を把握する手助けになる。
また、ロシアでも注目度の高いこのランキングをはじめ、その他の各種ランキング(例えば世界経済フォーラム=WEFの世界競争力ランキングなど)とも照らし合わせれば、より参考になるのではないかと考えている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54594
2018年11月8日 野口悠紀雄 :早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
新在留資格は弥縫策、「永住移民」と正面から向き合う必要がある
写真はイメージです Photo:PIXTA
政府は、外国人労働者の受け入れを拡大するため、新しい在留資格を作る出入国管理法の改正案を閣議決定した。
これは、外国人労働に対する政策の大きな転換だと言われる。
しかし、人手不足緩和を出稼ぎ外国人労働者に依存するのでは、限界がある。将来の労働力不足からすると、本格的な受け入れ体制が必要だ。これは、国際的な比較からも確かめられる。
最終的な問題は、永住移民を認めるかどうかだ。日本社会の構造を変える重大な問題であるからこそ、十分な議論と周到な準備が必要だ。
急増する外国人労働者
この4年間で約8割増
まず、「外国人労働者」とは何かを整理しておこう。
厚労省によると、外国人労働者は、主としてつぎの4つのカテゴリに分類される。
(1)身分に基づく在留資格
(2)資格外活動
(3)技能実習
(4)専門的・技術的分野の在留資格
これら4つのカテゴリとその他を含めて合計すると、2017年で約128万人になる。
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図表1に示すように、14年頃以降、急増している。13年には約72万人だったのだから、4年間で56万人増えたことになる。
今回の新在留資格の主要な点は、つぎのとおりだ。
外国人に認められる在留期間は、通算で5年を上限とし、家族の帯同は基本的に認めない。
技能実習生の場合は、最低3年間の技能実習後に、新たな在留資格への移行が可能となり、合わせて8年から10年の滞在が認められる。
滞在中に高い専門性を有すると認められた人材については、専門的・技術的分野への在留資格の移行によって、在留期間の上限を付さず、家族帯同を認めることを検討する。
外国人移住者数は世界第4位
「永住者」は非常に少ない
外国人移住者の状況は、国際的に見てどうなっているか?
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OECDの「外国人移住者(Inflows of foreign population)統計」による数字は、図表2に示すとおりだ。
日本は、2016年で約43万人であり、世界第4位だ。
15年に約30万人になり、韓国を抜いて世界第4位となったことから、「日本にも移民大国時代が到来した」として話題になった。そのときよりさらに増えているわけだ。
人口に対する比率を見ると、日本は0.3%だ。図表2で見るとおり、これは、フランス、イタリア、アメリカなどとあまり違わない水準だ。
なお、人口に対する比率では、ドイツ2.1%、イギリス0.7%、カナダ0.8%、オーストラリ0.9%、韓国0.8%などが高い。
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ただし、図表2に示す数字は、「有効なビザを保有し、90日以上在留予定の外国人」である。このように、かなり広い定義のものであることに注意が必要だ。
図表1で見た数字は、15年の90.8万人から16年の108.4万人へと17.6万人の増加だから、図表2の数字よりかなり少ない。
また永住者となると、後で見るように、これよりずっと少ない。
OECDの統計には、「一時的労働者」という分類項目もある。これは、図表3に示すとおりだ。
この「一時労働者」は16年で日本は約20万人なので、これが、図表1の定義に近いものと考えられる。
これで見ると、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなどに比べるとかなり少ないものの、ヨーロッパ諸国とはほぼ同程度の水準だ。世界第6位である。
人口の「0.045%」
世界の標準から隔絶
以上で見る限り、外国からの移住者は増えている。しかし、これは、一時的な労働者にすぎない。
問題は、移民を認めるかどうかだ。
「移民」について、日本政府は明確な定義をしているわけではないが、一般には、当初から永住や日本国籍取得を前提として来日する外国人を指すものとされている。
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この定義で見た流入者は、日本では、諸外国に比べて著しく少ない。
OECDの統計で「永住移民の流入」(Permanent immigrant inflows)という項目を見ると、図表4のとおりだ。
2013年における日本の移民は約5.7万人であり、人口の0.045%でしかない。これは、韓国の0.13%より低い数字だ。
それに対して、アメリカでは約100万人であり、人口の0.3%になる。
ヨーロッパ諸国では、この比率は0.5%から1%程度である。イギリスは0.45%、ドイツは0.58%だ。スイスでは1.7%にもなる。
図表2に示した移住者全体に比べると、日本の場合には10分の1に減ってしまう。ヨーロッパ諸国ではあまり違わないので、日本の場合に永住移民がいかに少ないかが分かる。
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OECDの統計には、「人口中における外国生まれ」という項目もある。この数字は、図表5のとおりだ。これで見ても、日本は世界で例外的なほど少ない。
全人口に対する比率を見ると、ヨーロッパは15%以上、オーストリア、スイスでは3割ほどである。
つまり、日本は、外国人を一時的な労働者として活用するだけであり、社会の一員として認めていないのである。
永住者の受け入れに関して、日本は世界の標準からまったく隔絶して、それを「拒否」しているわけだ。
将来の労働力不足に対応できない
数百万人規模の外国人労働者が必要
前回11月1日付けの本コラム「働く高齢者を増やせば将来の労働力不足はどの程度緩和できるか」で、今後の日本で労働力不足が深刻化することを書いた。
仮に、60代が現役と同じように働き、女性の労働力率が男性並みに高まるとしても、なおかつ、労働力率の低下や労働力の減少といった問題を避けられないのだ。
現在に比べた労働力の減少は、数百万人のオーダーであり、場合によっては1000万人を超える可能性もある。
これに対して外国人労働力の拡大で対応しようとしても、現在、議論されているような規模では、問題にならない。数十万人のオーダーでは、焼け石に水なのだ。
しかも、現在の制度にすでに多くの問題が発生していることが指摘されている。
安い賃金、劣悪な労働環境、高額な紹介料などから、技能実習生の失踪が増えていると報道されている。これでは、ゾンビ企業を助けるだけだ。不法就労の外国人労働者がますます増えるなどの批判もある。
そもそも、「5年間で帰る。家族を連れてこられない」というような「出稼ぎ労働」しか認めない制度が長続きできるはずがない。
外国における論評にも、「もはや日本は、働くのにそれほど魅力的な国ではなくなっている」との指摘が見られる。介護は国内にいても大変な仕事なのだから、外国で働くのはもっと大変だとの指摘もある。
この状況を変えるには、移民の拡大という選択肢に頼らざるを得ない。
日本全体の労働力率を低下させないためには、数百万人の規模の外国人労働者が必要だ。つまり、現在の10倍以上が必要だ。
われわれは、移民の問題と正面から向き合う必要がある。
移民の問題と
正面から向き合え
以上の検討から明らかなように、移民こそ最終的な問題である。外国人労働者の拡大は、それまでのつなぎ策であり、弥縫策でしかない。
「移民が嫌だ」と言っているだけでは、将来生じる問題に対しての答えにはならない。
移民として認め、日本の社会に入れることが必要だ。選挙権を与える。社会保障を与える。それが世界的な常識だ。
外国人労働者が増えて、なし崩し的に移民を認めざるを得なくなり、さまざまな摩擦が生ずることのほうがずっと大きな問題である。
日本社会の良い点を守りたいのであれば、移民に日本社会の規律を守らせるべきであって、そのためのさまざまな制度・施策が考えられなければならない。
混乱が生じる可能性に対して、早くから周到な準備をすることが必要なのである。
どの国も問題を抱えている。しかし、対応せざるを得ないのだ。
社会の構造を変える重要な問題であるからこそ、十分な議論と準備が必要だ。
(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 野口悠紀雄)
https://diamond.jp/articles/-/184724
2018年11月8日 八代尚宏 :昭和女子大学グローバルビジネス学部長・現代ビジネス研究所長
新在留資格への誤解、必ずしも「単純労働受け入れ」ではない
出入国管理法改正で単純労働受け入れか
今回の出入国管理法改正案では、外国からの単純労働受け入れが増加するのではないかと懸念が広がっています Photo:PIXTA
出入国管理法改正案で
就業資格は「日本語能力」が基準に
政府は外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法の改正案を国会に提出した。これまで高度人材以外の就労は、原則として技能実習生や留学生のアルバイトに限定されていた。これを介護や建設等の14業種について新たな就労資格を2019年度に創設するとしている。これについて、「単純労働者の受け入れ」や「事実上の移民政策」という批判がある。これに配慮して政府は、外国人の受け入れを人材が足りない分野に限定し、人材が確保されれば受け入れを停止する措置を盛り込むとしている。
この政府案は、従来の「原則禁止・例外自由」の外国人労働政策に多くの矛盾が生じていることの反省に基づいている。現行制度には、(1)例外自由として列挙されている専門的分野に、「興行」等、高度人材とは言い難い職種も含まれている、(2)日系人という特殊な分類で、専門的能力や日本語能力も問われないフリーパスの就労資格が混在している、(3)技能実習生という名目で、事実上、低賃金労働を強いられる場合がある、等の問題がある。
外国人就労は原則として高度人材に限定するという大原則にもかかわらず、現実にはそれ以外の分野での労働力不足が深刻化したために、なし崩し的に例外枠が増えてきた。とくに技能実習生については、受け入れ先の企業からの転職が認められないという制約が大きく、人権問題も生じ易い。また、日本で学んだ技術を母国で生かすという建前にもかかわらず、例えば、造船業で実習生として働くベトナム人は造船業がない母国に帰ってもその技術は生かせず、実習期間が終われば、日本のライバルの韓国で働かざるを得ないという、実習生と日本企業の双方にとって不幸な実態もある。
今回の在留基準では「日本語能力」という、分野横断的な基準で就業資格を定めた。これを通算で5年間就業できる特定技能1号と、審査でより高い日本語能力を示せば、在留資格を更新でき、永住権や家族の帯同も認められる特定技能2号を容認した。また、日本人と同一賃金を義務付け、安上がりの労働者として使われることの防止も盛り込んだ点に大きな特徴がある。
必ずしも単純労働の容認ではない
「中度人材」の受け入れへ
今回の新在留資格について、「単純労働を容認した」という表現は必ずしも妥当ではない。確かに大学卒を必要としていない点で「高度人材」の分類には含まれないとしても、介護や建設関係の業務は、誰でも一定の熟練なしにできる業務ではない。何よりも外国人について高度の日本語能力を前提としている以上、むしろ「中度人材」という新たな概念を設けるべきである。
例えば、技能実習生は来日時には未熟練労働者であっても、3年間も働けば言葉も覚えて一定水準の技能は習得できるはずである。本来はその技能を客観的な基準で評価した上で、一定の在留資格を与えるべきという考え方もあった。
また、フィリピン、インドネシア、ベトナム等の国との経済連携協定(EPA)では、介護・看護分野での国家試験に合格することを条件に、在留資格が得られる制度が設けられている。さらに、特定の地域に限定された国家戦略特区では、家事支援人材や外国人農業支援人材の受け入れ制度もあり、これは特区を設置する自治体の増加とともに、全国的に広がっていくことになる。これらの新しい制度では、フルタイム労働を前提に、日本人と同等額以上の報酬が義務付けられている。いずれも就労期間が3年に限定されているが、今回の制度と結びつければ、3年以内に十分な語学能力を身に付けることで在留期間の延長も可能となる。
日本の大学を修了した留学生についても大きな壁がある。これは就職先の日本企業の職務が留学生の大学での専門分野と関連性がないとして就労ビザが出ない場合も少なくない。一般に、職種を限定しない正規社員として雇用される場合に、日本人なら理科系の学科出身者が金融機関に就職することはまれではないにもかかわらず、留学生にだけ出身学科と同じ分野の仕事しか認めないというのも大きな矛盾である。今回の日本語能力を基準とした在留資格は、こうした問題を解決することができる。
「外国人雇用法(仮称)」の制定なくして
外国人労働者の増加には対応できない
特定の専門的技能を前提とした外国人の就労資格から、高度の日本語能力を基準とした資格への転換は、従来の外国人を一定の条件の下で受け入れるポジティブリストから、逆に受け入れてはいけないネガティブリストへの移行とも密接に関連する。
このネガティブリストには、犯罪等の履歴は当然として、不法就労者や生活保護受給を目的とした外国人の入国のチェックが含まれる。このためには外国人を雇用する事業主の責任を明確にした新たな法律の制定が必要とされる。具体的には、外国人を雇用するすべての事業主は、最低賃金や労働時間等の一般的な規定だけでなく、就労資格や社会保険料納付等について確認する義務があり、これを怠ると大幅な課徴金を課される仕組みである。なお、これは直接の事業主だけでなく、下請け企業として契約関係にある大企業にも一定の責任を課すことで、より実効性が担保される。
この考え方は、第1次安倍内閣の経済財政諮問会議でも議論されたことがあったが、厚生労働省と法務省の消極的な姿勢で実現しなかった。しかし、今後も増える外国人労働者に対して、入国管理法だけで対応することは、もはや現実的ではない。外国人の働き方や年金・医療等に関わる厚生労働省の積極的な関与が不可欠となる。例えば、社会保障協定のない国の労働者については、就労期間中の年金保険料の支払い分を帰国時に一時金で支払う等の措置である。
また、実際に外国人の生活に向き合っているのは市町村であり、とくに外国人が集住する地域の自治体の経験から学ぶことは多い。外国人労働者だけでなく、その子弟も含めて、「外国語としての日本語」の教育手法の普及に、国が支援する必要性が大きい。
外国人労働者の受け入れ問題では、とかく「低賃金労働者を求める企業の利益」と「仕事を奪われる労働者」の対立というステレオタイプの議論がある。しかし、現行制度のように技能実習生という資格で、事実上の低賃金労働を合法化されている実態を改め、日本人と同等以上の賃金を義務付ければ、今後の急速な労働力の減少時代に、日本人労働者との利害対立は克服可能であろう。
明治時代の日本では、米国や南米に多くの移民を送り出し、その海外送金が貴重な外貨の獲得源となった時期があった。また、日本人がその移民受け入れ国で、さまざまな貢献を果たした例も少なくない。現在のアジア諸国でも、豊かな日本で学び、働くことを希望する、多くの潜在的に優れた労働者がいる。そうした人々を秩序ある仕組みの下で受け入れることを、単に「企業の利益のため」と見なすことは矮小な論理である。
「外国人労働者はいいが移民は受け入れない」とか、「景気が悪くなれば受け入れは停止」という目先の議論ではなく、人口減少社会の日本が活力を維持するためには、どのような形での外国人との共生が必要かについて、政府は長期的なビジョンの形成を速やかに行う必要がある。
(昭和女子大学グローバルビジネス学部長・現代ビジネス研究所長 八代尚宏)
https://diamond.jp/articles/-/184727
2018年11月8日 八代尚宏 :昭和女子大学グローバルビジネス学部長・現代ビジネス研究所長
新在留資格への誤解、必ずしも「単純労働受け入れ」ではない
出入国管理法改正で単純労働受け入れか
今回の出入国管理法改正案では、外国からの単純労働受け入れが増加するのではないかと懸念が広がっています Photo:PIXTA
出入国管理法改正案で
就業資格は「日本語能力」が基準に
政府は外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法の改正案を国会に提出した。これまで高度人材以外の就労は、原則として技能実習生や留学生のアルバイトに限定されていた。これを介護や建設等の14業種について新たな就労資格を2019年度に創設するとしている。これについて、「単純労働者の受け入れ」や「事実上の移民政策」という批判がある。これに配慮して政府は、外国人の受け入れを人材が足りない分野に限定し、人材が確保されれば受け入れを停止する措置を盛り込むとしている。
この政府案は、従来の「原則禁止・例外自由」の外国人労働政策に多くの矛盾が生じていることの反省に基づいている。現行制度には、(1)例外自由として列挙されている専門的分野に、「興行」等、高度人材とは言い難い職種も含まれている、(2)日系人という特殊な分類で、専門的能力や日本語能力も問われないフリーパスの就労資格が混在している、(3)技能実習生という名目で、事実上、低賃金労働を強いられる場合がある、等の問題がある。
外国人就労は原則として高度人材に限定するという大原則にもかかわらず、現実にはそれ以外の分野での労働力不足が深刻化したために、なし崩し的に例外枠が増えてきた。とくに技能実習生については、受け入れ先の企業からの転職が認められないという制約が大きく、人権問題も生じ易い。また、日本で学んだ技術を母国で生かすという建前にもかかわらず、例えば、造船業で実習生として働くベトナム人は造船業がない母国に帰ってもその技術は生かせず、実習期間が終われば、日本のライバルの韓国で働かざるを得ないという、実習生と日本企業の双方にとって不幸な実態もある。
今回の在留基準では「日本語能力」という、分野横断的な基準で就業資格を定めた。これを通算で5年間就業できる特定技能1号と、審査でより高い日本語能力を示せば、在留資格を更新でき、永住権や家族の帯同も認められる特定技能2号を容認した。また、日本人と同一賃金を義務付け、安上がりの労働者として使われることの防止も盛り込んだ点に大きな特徴がある。
必ずしも単純労働の容認ではない
「中度人材」の受け入れへ
今回の新在留資格について、「単純労働を容認した」という表現は必ずしも妥当ではない。確かに大学卒を必要としていない点で「高度人材」の分類には含まれないとしても、介護や建設関係の業務は、誰でも一定の熟練なしにできる業務ではない。何よりも外国人について高度の日本語能力を前提としている以上、むしろ「中度人材」という新たな概念を設けるべきである。
例えば、技能実習生は来日時には未熟練労働者であっても、3年間も働けば言葉も覚えて一定水準の技能は習得できるはずである。本来はその技能を客観的な基準で評価した上で、一定の在留資格を与えるべきという考え方もあった。
また、フィリピン、インドネシア、ベトナム等の国との経済連携協定(EPA)では、介護・看護分野での国家試験に合格することを条件に、在留資格が得られる制度が設けられている。さらに、特定の地域に限定された国家戦略特区では、家事支援人材や外国人農業支援人材の受け入れ制度もあり、これは特区を設置する自治体の増加とともに、全国的に広がっていくことになる。これらの新しい制度では、フルタイム労働を前提に、日本人と同等額以上の報酬が義務付けられている。いずれも就労期間が3年に限定されているが、今回の制度と結びつければ、3年以内に十分な語学能力を身に付けることで在留期間の延長も可能となる。
日本の大学を修了した留学生についても大きな壁がある。これは就職先の日本企業の職務が留学生の大学での専門分野と関連性がないとして就労ビザが出ない場合も少なくない。一般に、職種を限定しない正規社員として雇用される場合に、日本人なら理科系の学科出身者が金融機関に就職することはまれではないにもかかわらず、留学生にだけ出身学科と同じ分野の仕事しか認めないというのも大きな矛盾である。今回の日本語能力を基準とした在留資格は、こうした問題を解決することができる。
「外国人雇用法(仮称)」の制定なくして
外国人労働者の増加には対応できない
特定の専門的技能を前提とした外国人の就労資格から、高度の日本語能力を基準とした資格への転換は、従来の外国人を一定の条件の下で受け入れるポジティブリストから、逆に受け入れてはいけないネガティブリストへの移行とも密接に関連する。
このネガティブリストには、犯罪等の履歴は当然として、不法就労者や生活保護受給を目的とした外国人の入国のチェックが含まれる。このためには外国人を雇用する事業主の責任を明確にした新たな法律の制定が必要とされる。具体的には、外国人を雇用するすべての事業主は、最低賃金や労働時間等の一般的な規定だけでなく、就労資格や社会保険料納付等について確認する義務があり、これを怠ると大幅な課徴金を課される仕組みである。なお、これは直接の事業主だけでなく、下請け企業として契約関係にある大企業にも一定の責任を課すことで、より実効性が担保される。
この考え方は、第1次安倍内閣の経済財政諮問会議でも議論されたことがあったが、厚生労働省と法務省の消極的な姿勢で実現しなかった。しかし、今後も増える外国人労働者に対して、入国管理法だけで対応することは、もはや現実的ではない。外国人の働き方や年金・医療等に関わる厚生労働省の積極的な関与が不可欠となる。例えば、社会保障協定のない国の労働者については、就労期間中の年金保険料の支払い分を帰国時に一時金で支払う等の措置である。
また、実際に外国人の生活に向き合っているのは市町村であり、とくに外国人が集住する地域の自治体の経験から学ぶことは多い。外国人労働者だけでなく、その子弟も含めて、「外国語としての日本語」の教育手法の普及に、国が支援する必要性が大きい。
外国人労働者の受け入れ問題では、とかく「低賃金労働者を求める企業の利益」と「仕事を奪われる労働者」の対立というステレオタイプの議論がある。しかし、現行制度のように技能実習生という資格で、事実上の低賃金労働を合法化されている実態を改め、日本人と同等以上の賃金を義務付ければ、今後の急速な労働力の減少時代に、日本人労働者との利害対立は克服可能であろう。
明治時代の日本では、米国や南米に多くの移民を送り出し、その海外送金が貴重な外貨の獲得源となった時期があった。また、日本人がその移民受け入れ国で、さまざまな貢献を果たした例も少なくない。現在のアジア諸国でも、豊かな日本で学び、働くことを希望する、多くの潜在的に優れた労働者がいる。そうした人々を秩序ある仕組みの下で受け入れることを、単に「企業の利益のため」と見なすことは矮小な論理である。
「外国人労働者はいいが移民は受け入れない」とか、「景気が悪くなれば受け入れは停止」という目先の議論ではなく、人口減少社会の日本が活力を維持するためには、どのような形での外国人との共生が必要かについて、政府は長期的なビジョンの形成を速やかに行う必要がある。
(昭和女子大学グローバルビジネス学部長・現代ビジネス研究所長 八代尚宏)
https://diamond.jp/articles/-/184727
2018年11月8日 窪田順生 :ノンフィクションライター
外国人労働者の「輸入」が日本社会に100年の禍根を残す理由
一部で「移民政策」ともいわれている入管法改正案が成立しそうだが、この政策は後世に計り知れない悪影響を与えかねない。実は100年前の日本でも同様の事態は発生しており、それは今日にまで在日朝鮮人差別問題として尾を引いている。(ノンフィクションライター 窪田順生)
「移民政策」は日本の労働者にも
百害あって一利なし
日本社会で事実上の「移民政策」を進めて、果たしてうまくいくのか
https://diamond.jp/articles/-/183282
安倍首相が頑なに「移民政策」と認めない「外国人労働者の受け入れ拡大」を目的とした出入国管理法改正案が、なし崩し的に成立しそうだ。
誰も投獄されていない特定秘密保護法や、物証のない首相の口利き疑惑の時は、この世の終わりのように大騒ぎするマスコミや野党も、驚くほどあっさりとした批判で終わっているからだ。
だが、この政策は我々の子どもや孫の世代に、計り知れない悪影響を与える可能性が高い。
前々回(『安倍政権の「移民政策」、実現なら日本の若者の賃金は上がらない』)も指摘したが、現在の日本の人手不足問題の多くは「雇用ミスマッチ」による「人手偏在」によるところが大きい。つまり、新卒ホワイトカラーの求人には過剰に人手が集まるのに、低賃金で辛い単純労働的な求人は見向きもされないため、「留学生」や「技能実習生」という弱い立場の「短期移民」への依存度が高まっている状況なのだ。
こういう負のスパイラルを断ち切るには賃金アップと生産性向上、それができない経営者の淘汰しかないのだが、今回の移民政策への転換でそれが一気にパアとなる。
「人手偏在」にどんなに外国人労働者を注入しても、辛い単純労働の価値をさらに下げるだけで、低賃金がビタッと定着するからだ。こうなれば、低賃金でコキ使われる日本人や在日外国人の皆さんは「お前の代わりはいくらでもいる」と脅されるなど、これまで以上の弱者になる。つまり、「外国人労働者の受け入れ拡大」で潤うのは、低賃金労働を前提としたビジネスモデルを死守したいブラック経営者だけで、我々一般の労働者からすれば「百害あって一利なし」なのだ。
そう言うと、「既に日本は移民国家だ」という開き直る人も多いが、なぜそうなってしまったのかというと、今から100年前、良識のある日本人たちの「警鐘」を無視したからだ。
100年前の雇用ミスマッチで
政府は朝鮮人労働者を“輸入”
1917年、北海道や九州の炭鉱で深刻な人手不足が発生した。
当時、日本の人口は右肩上がりで増えていた。おまけに、ワークライフバランスなんて概念もないので、労働者は朝から晩まで働かされた。そんな状況でも「人手不足」だというのだから、炭鉱業では常軌を逸した「雇用のミスマッチ」が蔓延していたわけだが、日本政府はそれを是正することなく、禁断の果実に手を出す。「試験的」という名目で、三菱、三井などの炭鉱に朝鮮人労働者約700名の受け入れを行ったのである。
だが、当時の新聞人は今と比べてかなりまともだった。「読売新聞」(1917年9月14日)の「労力の輸入 最後の計算を誤る勿れ」という記事が以下のように警鐘を鳴らしている。
「鮮人労働者の輸入は生産費の軽減を意味し随(したが)って生産品の低廉を意味するが如きも事質に於ては只内地労働者のエキスペンスに於て資本家の懐中を肥やすに過ぎざるなり」
「要するに鮮人労働者を内地に輸入するは我内地の生活を朝鮮の生活と同一の水準に低下せしむるとなしとせず」
これは杞憂でも妄想でもなかった。「試験」の結果に気を良くした経営者は続々と「鮮人労働者」を受け入れた。しかし、その一方で、日本の労働者の待遇は一向に上がらず、程なくして小林多喜二の「蟹工船」に描かれたようなブラック労働が定着していったのである。
この100年前の過ちを、さらに大規模なスケールで繰り返そうというのが、今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」なのだ。
さらに言ってしまえば、「人間」を「労働力」という側面でしか見ない政策が、憎悪と対立につながっていくことも、我々は歴史から学ぶことができる。
生活の基盤を持つ
外国人が感じる「差別」
政府が「労働力の輸入」に舵を切ってから3年後、「朝鮮移民」が増えた日本で「在京朝鮮人の過半数は内地へ来て一年か二年経つと思想的に悪化し当局に対して白眼視する様になる傾向が現れて来た」(読売新聞1920年8月24日)という問題が発生している。
そのように聞くと「当時の朝鮮人は悪さをすることを目的にやってきた犯罪者も多かった」と、トランプ大統領のようなことを言う人も多いが、実は当時の朝鮮人の態度が悪くなる最大の理由は、「日本人のような扱いを受けられない」という不満だった。先ほどの新聞記事に登場した朝鮮人はこんな風に述べている。
「内地人と私等とを差別されるので困る。学生は学校、職工は工場で、其他日毎に遭ふ日本人は皆一様に私達に侮蔑的態度で接してゐる。相当な地位或は財産が出来て内地の婦人を娶ろうとしても鮮人だからと云ってまとまらぬ」(同上)
この主張の是非についてはややこしくなるのでちょっと脇に置く。本稿で筆者が言いたいのは、日本人側がいくら外国人を「労働者」や「移民」と呼んで、日本人と異なる特別扱いをしたところで、それはこちらの一方的な押し付けであり、当の外国人は日本で暮らして働く以上、遅かれ早かれ日本人と同じ扱いを望むようになる、ということだ。
よそ者のくせに何たる図々しさだ、と思うかもしれないが、それが「人間」というものだ。
皆さんも想像してほしい。もしどこかの別の国へ移住して、その国の言葉をしゃべり、その国の中で立派に働き、そこで家族を養うようになったら、その国の人とせめて同じくらいの権利や公共サービスを受けたいと思うのではないか。
その国で何年も暮らしているのに「外国人労働者」と言われ続け、体調を崩して働けなくなったりしたら、すぐに国から出てけと言われたらどうか。「差別」だと感じるのではないか。
どちらが正しい、間違っているという話ではない。100年前、日本にやってきた朝鮮人労働者が感じた「差別」というものが、「従軍慰安婦」の問題や今回判決が出た徴用工の問題にもつながって、「負の遺産」になっているのは、動かしがたい事実なのだ。
「労働者」としか見ないのが
すべての悲劇の始まり
ここまで言えば、もうお分かりだろう。今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」も「朝鮮人労働者」問題のリバイバルで、これから100年続く民族間の遺恨につながる可能性が極めて高いのだ。
隣の国との問題はあくまでレアケースで、他の外国人労働者と遺恨など生じるわけがない、と嘲笑する方も多いかもしれないが、既にブラック労働に辟易とした「技能実習生」が、日本嫌いになって帰国するなどの問題が起きている。また、「移民政策」だと批判された際の安倍首相の反論にも、その兆候が見て取れる。
「素行善良で独立した生計を営める資産または技能があるなど、厳しい条件が課される」
要するに、誰かれ構わず入れるわけではなく、品行方正な労働者だけしか入れませんというのだ。
素晴らしいじゃないかと思うかもしれないが、我々が受け入れるようとしているのは、血が通った人間である。入国した時は素行善良でも、1年経過すれば「差別」に不満を漏らす外国人になるかもしれない。技能や資産があっても、ブラック労働に耐えかねて仕事をボイコットするかもしれない。このように外国人を「労働者」としか見ないところがすべての悲劇の始まりだということを、首相は歴史から学ぶべきだ。
2016年、SNSで一枚のFAXの画像が話題になった。
技能実習生の雇用を企業に促すためのFAXで、「外国人技能実習生で人手不足を解消!! 労働力として全国で約15万人が活躍中!」という文言が大きく踊っていた。もちろん、何者かが何らかの意図を持って作成したビラである可能性もあるが、それを見て筆者が「いかにもありそう」と感じたのは、以下のような記述があったことだ。
「入国前には日本語やマナーを徹底教育しますので外国人技能実習生はオススメいたします」
「実習生は基本仕事を休みません! 途中で辞めません! マジメで素直です! 残業、休日出勤は喜んで仕事します!」
ここに日本人が100年前から克服できない「病」の片鱗が見える。人手不足の炭鉱で朝鮮人を働かせた時代から、日本人にとって、外国人は低賃金で文句を言わずキビキビ働く、「労働者」であって、「人間」として見ていないのだ。
外国人差別が根強く残る国で
「移民政策」が成功するわけがない
さらに厄介なのは、この病はインテリの方が症状が重いことだ。先日もニュースを見ていたら、「論説委員」という立派な肩書きを持つ方が大真面目な顔をして、こんなことをおっしゃっていた。
「これから日本人は人口が急速に減っていく、いま反対をしても我々が年をとって、誰も介護をしてくれないなんてことにならないように、外国人を受け入れていくしかない」
外国人を労働者どころか、介護要員や社会保障維持の人柱のようにしか考えていないのだ。こういう「外国人差別」が根強く残る国では、「移民政策」など進めて成功するわけがない。
世界一真面目で勤勉と何かにつけて自画自賛している我々日本人でも、あまりに辛いと仕事を投げ出す人がいる。会社を辞める人もいる。働きたくても働けないと心を病む人もいる。
ならば、これから大量に受け入れる「外国人」だってそうならない保証はない。そうなったら、さっさと荷物をまとめて日本から出て行け、と不法滞在外国人扱いとなるのか。これまで日本社会に馴染んできた家族はどうするのか。使い捨てのコマではなく、人間らしく扱うべきだ、と言う声も必ず出てくるはずだ。
安倍首相はこれを頑なに「外国人労働者」と呼ぶが、世界ではそういうスタイルで働かされるのは「奴隷」と呼ぶ。
今の国会で行われている論戦の最大の問題は、外国人を「人間」として見ていないことだ。
「労働力」という頭数でしか見ていないので、「人間」ならば起こりえる不正受給、犯罪、心の病など、我々日本人の中で当たり前に見られる問題がスコーンと抜けているのだ。
その中でも最もゴソっと抜けているのは、人間ならば当然抱くであろう「妬み」や「ひがみ」という感情だ。
なぜ日本人よりも何倍も多く働いているのに、日本人よりも待遇が悪いのか。なぜこんなにも日本に貢献しているのに、日本人のように扱ってくれないのか。我々は「使い捨て」なのかーー。
このような不平不満に答えられないような制度設計では、外国人が雪だるま式に増えれば「破綻」をするのは目に見えている。
個人的には、日本の賃金アップと生産性向上がある程度の水準まで到達した後、それでもまだ人手が足りない分野があるというのなら、「移民」を受け入れられればいい。ただ、その時は日本人とそれほど変わらない待遇にする、という覚悟を持つべきだ。
外国人は日本人が豊かな生活を送るための「お手伝いさん」や「奴隷」ではないのだ。
https://diamond.jp/articles/-/184728
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