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世界の金融市場、大転換はまだ始まったばかり  嘘の機銃掃射で世界を震撼させるトランプ大統領 10%所得減税や中米移民テロ
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/224.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 31 日 13:55:28: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

世界の金融市場、大転換はまだ始まったばかり

株式にとってやはり危険な月だった10月、中銀頼みも限界に
2018.10.31(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年10月27・28日付)

連日の米株大幅安、トランプ氏「FRBは制御不能」 議長解任は否定
電光掲示板に表示された株価の動きを見つめる投資家。中国・北京にて(2018年10月11日撮影)。(c)Nicolas ASFOURI / AFP 〔AFPBB News〕

 市場が急落する時には、明確な説明を求める集団的なニーズが圧倒的に大きくなる。

 市場の急落がニュースになり、普段は株価パフォーマンスに無頓着な人も突如、答えを求めるようになる。

 10月第4週は間違いなく、株式にとって危険な月としての10月の評判を確立した。24日のウォール街の相場急落で年初来の上昇が吹き飛んだからだ。

 米国株の急落は、その他多くの世界の株式市場にとってすでにみじめだった2018年に輪をかける。

 米国株の比重が31%を占めるFTSE全世界指数は、2012年以来最悪の月間記録を更新しそうだ。

 ウォール街はほんの5週間で、史上最高値から調整領域(直近の高値から10%下落した水準)へと大きく振れた。

 25日には反発したものの、グーグルとアマゾン・ドット・コムの期待外れな決算発表が株式に再び下落圧力をかける。

 かつて全く動じないように思えた米国株式市場が、他国・地域の株式の冴えない動きと歩調を合わせるようになった理由を見つけるのは難しくない。

 責任の一端は債券利回りの上昇にあるとされている。そして、米中貿易摩擦とドル高と世界経済の成長鈍化が企業にダメージを与えている証拠も積み上がっている。

 10月下旬には、米国産業の先行指標となるキャタピラーとスリーエム(3M)がこの点を浮き彫りにした。

 その結果、投資家は、米国企業の業績はピークを越え、減税の追い風も薄れていくというストーリーに飛びついた。

 ありていに言えば、これはバリュエーション(株価評価)が持続不能なことを意味する。

 来年には利益成長が落ち込み、世界の投資家心理に影響を与えるウォール街の大調整を引き起こすと見られるからだ。

 欲しいもののリストを書けるなら、投資家はきっと、すでに多額の債務を抱えた中国がさらに刺激策を講じること、そして米国との貿易問題を解決することを望むだろう。

 そこへ、予算をめぐり欧州連合(EU)とイタリアの間で合意ができることと、ブレグジット(英国のEU離脱)の条件について合意が成立することを加える。

 さらに、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを中断する兆候、ひいてはドルが弱含む兆候が一つでもあれば、投資家のパーティーに花を添えるはずだ。

 このような展開はあり得るものの、市場の現在の緊張はもっと著しい変化を反映している。

 この10年、債券利回りとボラティリティーを抑制してきた中央銀行の対策の終焉だ。

 米国がその先駆けとなっており、ドル高と資金調達コストの上昇――3カ月物の米国債の利回りは2.3%前後――が世界中に波紋を広げた。

 新興国市場の株式を見たら分かる。現在、PBR(株価純資産倍率)では、新興国は先進国の株式と比べたディスカウント率が史上最大になっている。

 資産価格に対する中央銀行の下支えの終わりは、勢いがつき始めたばかりだ。

 欧州中央銀行(ECB)は10月初めに月間150億ユーロの債券買い入れを減らし、先日は12月に量的緩和(QE)政策を打ち切ることを認めた。

 FRBは最大で月間500億ドルのペースでバランスシートを縮小させており、今後も翌日物金利を引き上げていく見込みだ。

 間違ってはならない。FRBが利上げを中断するには、はるかに大規模な市場のショック、それも米国経済に深刻な打撃を与える威力のあるショックが起きなければならないのだ。

 こうした状況はすべて、押し目には買い、乱高下があれば売り、パッシブな投資戦略を通じて群れから離れないようにすることに依存してきた近年の魔法の方程式がトラブルに陥ったことを意味している。

 QE時代の目覚ましい上昇の後の資産運用会社のお粗末な株価パフォーマンスは、こうした不安が具体化しているのが見て取れるところだ。

 投資家にとって重要な展開は、10月第4週の米国株の総崩れが一時、S&P500種株価指数の総リターンを吹き飛ばし、年初からのリターンが9月のピークの12%から1%近くまで落ち込んだことだ。

 歴史的に見ると、株価パフォーマンスがお粗末な時期を相殺する助けになる安定化装置は、長期国債を保有することだった。

 今年は違う。

 多くのポートフォリオにとって問題は、長期米国債の2018年の総リターンがマイナス7.8%になっていることだ。

 また、米国株の痛みにもかかわらず、国債利回りは直近の高値に近い水準で高止まりしている。これは米国の指導体制の魅力を欠く側面を反映した動きだ。

 米国経済はまだ力強いが、減税のような気前のいい財政政策は、短期、中期、長期の米国債の大量発行によって財源をまかなう必要がある。

 シティグループの債券チームが指摘しているように、2018年第4四半期には国債発行額がおよそ3500億ドルにのぼり、年間供給量の3分の1を超える見込みだ。

 我々は今、投資リターンを得るのが難しくなる時期の第1段階にある。

 債券と株式の長期的な関係が崩れたり、少なくとも曖昧になったりしたら、この流れは悪化していくだろう。

 投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、景気刺激策が金融政策から財政政策へとシフトするにつれ、「資産配分の長期的シフト」が起きると見ている。

 債務増大に伴う負の側面は、株式を取り巻く環境のボラティリティーが高まることだが、アクティブ運用のファンドマネジャーや個別銘柄を選別する投資家にとっては良いことだ。

 だが上場投資信託(ETF)を使ったオートパイロット式戦略にとっては、決して明るいニュースではない。

 現在の売り圧力がひとたび和らげば、投資家は以前うまくいったものへと戻っていくだろう。

 我々はまだ、あらゆるサイクルの終わりを告げる本物の弱気相場からは遠くかけ離れているが、ここから先は力強い株価パフォーマンスを生み出すのが難しくなっていく。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54541

 
嘘の機銃掃射で世界を震撼させるトランプ大統領
10%所得減税や中米移民に中東のテロリスト・・・、右往左往の米政府高官
2018.10.31(水) 堀田 佳男
もう外食は無理? トランプ政権幹部、相次ぎ退店や罵倒の憂き目に
米ホワイトハウスで記者会見に臨むサラ・サンダース大統領報道官(2018年6月25日撮影)。(c)AFP PHOTO / Brendan Smialowski〔AFPBB News〕

 「ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)は紛れもなくウソをつくことを楽しんでいます」

 米首都ワシントンで中間選挙を取材中、共和党の選挙戦略官ロン・クリスティー氏がつぶやいた。

安倍首相も呆れているはず・・・
 2016年大統領選時から、トランプは何度も虚偽発言を繰り返しており、一向に収まる気配がない。本人はためらいもなく大胆発言を続けている。

 トランプ政権の高官が匿名という条件で、トランプの言動についての取材に応じてくれた。

 「トランプ政権に仕えていても、全員がトランプ支持であるわけではありません」

 「トランプは数多くのウソをついていますから、周囲にいる政府職員はずいぶん落胆させられています。安倍晋三首相も本当は呆れているのではないでしょうか」

 トランプのツイートを遡って調べるだけで、虚偽と呼べる内容をいくつも指摘できる。

 だが補佐官たちを本当に困らせているのは、国家全体にかかわる発言やツイートである。

 最近では10月22日、突如として中流層向けとして、10%の所得税減税を口にした時だった。

 それは思いつきといったレベルでの減税案であり、中間選挙前に実施したいとの要望だった。

 10%の所得税減税が実際に行われるとしたら、莫大な財政負担になる。

常識では考えられない10%減税だが・・・
 米政府は昨年12月、所得税と法人税の減税を実施しており、米政府にはこれ以上の余裕はない。そこにきて10%の減税は常識では考えられない。

 ホワイトハウスのスタッフたちは減税案がトランプの口から出た後、大慌てだった。

 「大統領、そんなこと聞いていませんよ」と言いたいところだったようだが、トランプの発言を無下に否定するわけにもいかない。

 ホワイトハウスに詰めている記者たちは、10%減税の詳細について補佐官たちに詰め寄った。だが誰一人として満足に答えられない。

 もちろん中間選挙前までというトランプの口約束は、実現不可能だった。

 減税を正式に決定するには議会の承認が必要になるが、議会は中間選挙まで閉会されている。

 ホワイトハウスが新たな減税案を公表するとしたら、経済諮問委員会のケビン・ハセット委員長が総括しなくてはいけないが、ハセット氏は何も知らされていなかった。

逆説的政策に見舞われているホワイトハウス
 匿名で答えた高官は、ホワイトハウスではいま「逆説的政策」という流れに見舞われているという。

 ホワイトハウスが新たな政策を発表する時、これまでであれば職員が関連部署などと協議をしながら骨子を作った。

 そして議会の担当議員とも調整しながら政策が練り上げられて大統領が公表するという流れが一般的だ。

 だが「逆説的政策」では、まずトランプによる発案があり、それを高官たちが政策として肉づけしていくというのだ。

 10%減税案も数週間の期間があれば、政策として練り上げられないことはないが、現実的ではない。

 過去の大統領は米国の最高指導者という立場を意識し、公の席で話をする時には細心の注意を払ってきた。一言の暴言によって、運命が変わることさえあるからだ。

 だがトランプは相変わらずがさつな言動を繰り返す。中米から数千人が米国の国境を目指すキャラバン(遠征)について、こう述べた。

 「キャラバンの中に中東出身のテロリストや犯罪者が紛れ込んでいる」

 不用意な発言だった。

報道官も即座に「間違いなし」
 トランプはキャラバンを構成する人たちを熟知しているわけではない。テロリストがいることを確認したわけでもない。

 単に、数千人の不法移民たちの入国を許可したくないためにでっち上げの理由の口にしたに過ぎない。

 ホワイトハウスの記者たちはトランプの発言後、すぐにサラ・サンダーズ報道官に「犯罪者やテロリストが紛れているのか」を質した。

 同報道官は言い放った。

 「アブソリュートリー(もちろんです)」

 そう言わざるを得なかった。だが犯罪者とテロリストが紛れている確証はない。ホワイトハウスはすぐに情報を公表できなかった。

 米テレビ局の記者たちはキャラバンの中に入って、「トランプが犯罪者やテロリストがいると言っているが・・・」と行進をしている人たちにマイクを向ける。

トランプの嘘を糊塗する高官たち
 もちろん彼らの答えはノーだ。

 するとホワイトハウスは、1日に平均10人のテロリストが米国内に入国しているという統計数字を探しだしてきて公表した。トランプの発言の正当性を保つための行為だ。

 こうした話はいくつもある。

 今年2月、トランプはワシントン市内で軍事パレードを実施すると発言した。フランスで行われたパレードを観て、同じことを考えたようだ。

 トランプは今年11月のベテランズデー(退役軍人の日)に実施したい意向だった。

 しかし国防総省との綿密な打ち合わせの末に打ち出されたアイデアではなかった。

 コストが100億円を超えるとの試算と同時に、ワシントン市内の道路が軍事車両の通過に適さないとの理由もある。

 何ごとも最初は思いつきから始まることが多いが、思慮のある指導者であれば発表する前に細部を調べさせる。

 ある程度具体的な計画が整ったところで公表とならなくてはいけないが、トランプはまず口にしてしまう。

中国や日本への関税もただの思いつき
 中国や日本からの輸入品に対する度重なる関税も、トランプの思いつきからスタートした公算が高い。

 この件では裏が取れていないが、スティーブン・ムニューシン財務長官とウィルバー・ロス商務長官は相手国との貿易交渉を進めているにもかかわらず、トランプに頭ごなしに追加関税をかけられた可能性がある。

 トランプのこうした破天荒な言動が、ほとんど直感と呼んでさしつかえない地点から発信されていることがお分かりかと思う。

 それを考えると、中間選挙で全米各地においてトランプが行う遊説の中身がいかに虚しいかが分かる。

 トランプの口約束の尻ぬぐいをさせられている最大の「被害者」は、サラ・サンダーズ報道官かもしれない。

 トランプ擁護の姿勢を貫き通す姿勢は、滅私奉公の鏡とさえ言える。

 すでにトランプの化けの皮は剥がされているか思うが、トランプ信者たちの信じる力はいまでも強いのが悲しい現実である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54544  

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コメント
1. 2018年10月31日 14:46:17 : Uhelw0NZXs : ibsJFsffOVc[1] 報告
キャラバンを扇動してるのは戦争屋雇われギャングたち。
2. 2018年10月31日 19:01:51 : UGd5uG6y2Q : _7yrpMxYnqY[684] 報告
トランプは 両刃の剣を 弄び
3. 2018年10月31日 21:54:57 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[98] 報告
外為フォーラムコラム2018年10月31日 / 19:15 / 30分前更新
コラム:「カナリア指標」が告げる米景気後退のタイミング=鈴木健吾氏
鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト
4 分で読む

[東京 31日 ロイター] - 10月には米長期金利が約7年ぶりの水準まで上昇し、その後これを嫌気して米国株が急落。リスクオフムードがまん延する中、ドル円相場も月初の114円台から一時111円台前半まで下落した。

米国の景気拡大も10月で112カ月を数え、利上げ効果もあって、住宅関連指標が弱含む中、市場では今回の株価急落と米国経済の後退局面入りを結び付けて警戒感が強まったようだ。しかし結論から言うと、米景気後退を警戒するのは時期尚早だ。少なくとも来年半ばにかけては、素直に米国経済の強さを評価してもよいのではないかと考えている。

何らかの危険が迫っていることを知らせてくれる前兆を「炭鉱のカナリア」と呼ぶ。これは有毒ガスを人間よりもカナリアが先に察知して知らせてくれることに由来する。ガスを察知したカナリアは大騒ぎするわけではない。いつもさえずっているカナリアが黙り込むことで人間は危機が近づいているのを知る、ということのようだ。

<米景気後退入りは3─4年先>

米国経済のカナリアは鳴いているのだろうか。そのサインとして広く知られているのが長短金利の逆転だろう。筆者がメドとして使用している米10年債利回りと政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートは現状、それぞれ約3.1%と2.25%(上限)にある。米連邦準備理事会(FRB)が今後ドットチャートで示している通りに今後利上げを継続した場合、2019年終盤にかけてFFレートは3.25%へ上昇し、2020年前半には3.50%に達するとみられ、この頃に10年債利回りとの逆転現象が起きるのではないかと予想している。

ちなみに長短金利の逆転が起きてから実際に景気が後退局面入りするまでのタイムラグは、過去の例ではおよそ1年半程度かかっている。上記の例に当てはめると、米経済の後退は2021年半ば以降、つまり3年先ということになる。

同じく金利に絡むカナリア指標としては、実質短期金利と潜在成長率の逆転やインフレ率および失業率に対して機械的に連動させる「テイラールール」の適正金利とFFレートの逆転などが挙げられる。

期待インフレ率が2%程度で変わらないとすると、足元で0.25%程度(FFレート2.25%─2.00%)の実質短期金利は、FRBの利上げによって2019年に1.25%、2020年に1.50%に達するが、それでも2%程度とされる潜在成長率には届かない。これ以降に逆転があったとしても、タイムラグも合わせると景気後退入りは3、4年先の話となりそうだ。

政策金利の適正水準を示すとされるテイラールールと実際の政策金利の逆転も、過去の景気後退局面の前に出現している。過去の経験則から言えば、FFレートがテイラールールの適正金利を1.5%程度上回ると景気が後退に向かう傾向がある。

足元のテイラールールによる適正金利は5.25%となり、これを1.5%上回るFFレート(6.75%)は現実的ではない。テイラールールで使用する均衡実質金利を2%から1%に、自然失業率を5%から4%に引き下げて計算すると、適正金利も3.25%まで引き下げられるが、これをFFレートが1.5%上回るには4.75%まで利上げする必要がある。実際には難しい話だ。実現したとしても3、4年後になりそうだ。

<中間選挙以降、ドル115円目指す展開に>

その他のカナリア指標を見てみよう。

失業率が底をつけ、その後0.5%程度上昇すると1年弱のタイムラグを経て景気後退となるパターンが見られるが、9月の米失業率は49年ぶりの低水準となったばかりで上昇の兆しは今のところ見られない。

景気先行指数が前年同月比でマイナスとなると、やはり1年弱のタイムラグの後、景気後退局面を迎える傾向があるが、これも足元では上昇基調を継続している。これまでの動きを見る限り、来年中のマイナス入りもないとみている。

労働分配率も、60%台前半で底を打った後、60%台後半まで上昇すると、その後に景気後退局面が訪れている。足元の労働分配率は62%程度。同指数は動いても年数%程度であり、来年中に60%台後半に乗せるのは難しいだろう。

企業利益率(=企業利益/国民所得)がピークから3%程度低下した場合も、その後多少遅れて後退局面を迎える。今回の景気拡大局面では、企業利益率は2012年に14%台でピークを迎えているが、今でも13%近い水準を維持している。現在行われている7─9月期の決算発表は全般的に良好な数字で、これが12%を割り込むのは当面先と考えている。

このようなカナリア指標は他にもあり、実際にはこれらを組み合わせて景気動向をウオッチしているわけだが、これまで述べた通り米国経済の後退は、そのサインが出てくるのが早くても来年後半、実際の後退は3年後以降になりそうだ。

米国経済のカナリアは鳴き続けている。少なくとも年内から来年前半にかけては、米国のファンダメンタルズは為替市場でドル支援材料になりやすいと予想している。年内についても、11月6日の米中間選挙という政治リスクを乗り越えれば、年末にかけて改めてFRBの利上げやファンダメンタルズが見直され、ドル円は1ドル=115円を目指す展開は十分にあり得ると考えている。

鈴木健吾氏(写真は筆者提供)
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
https://jp.reuters.com/article/column-kengo-suzuki-20181031-idJPKCN1N519J


 

米金利高でも米ドル安がやってくる?!

大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX
大橋 ひろこ 大橋 ひろこ 2018/10/31 印刷 米金利高でも米ドル安がやってくる?!印刷
FX
世界の株式市場が大幅下落となった10月。特に中小型株の下落が大きく、個人投資家のマインドがすっかり冷え込んでしまいましたが、11月は過去の経験則から日米株価の大幅反発が見込めそうです。NYダウ平均は1991年以降の陽線陰線を数えると19勝8敗。日経平均は1995年からカウントして17勝6敗と圧倒的に上昇確率が高いことが検証できます。今年は10月に十分な下落を演じましたので、相応の戻りが期待できそうですがその場合、米ドル/円相場の上昇も期待できるでしょうか。

10月、日経平均は24,448円(10/2)の高値から20,971円(10/26)の安値まで3,477円も下落しました。14.2%の下落です。ところが米ドル/円相場は114.54円(10/4)から111.37円(10/26)までわずか3.17円の下落に収まりました。この間の下落率は3%弱にとどまっています。株価下落にも米ドル/円が底堅い理由として、本邦勢による対外直接投資が旺盛であることが指摘されてきました。

2018年1−8月の対外直接投資は累計11兆3446億円、過去最大であった2017年の同期間の12兆8319億円に並ぶペースであり、日本企業による海外企業のM&A(買収)や外国債券投資などが旺盛で、日本円から外貨へ、米ドルや欧州ユーロなどへ投資されたことで、円売り米ドル高、ユーロ高が進行したということですね。リスク回避相場でも、旺盛な実需による米ドル買いが投機による変動を抑え込むようになってきた構造的な変化が、今後も米ドル/円相場を支えていくとの予想も増えてきています。

しかし、米ドル/円相場のアベノミクス相場以降の高値は2015年6月の125.80円台です。現在は下値が固いとはいえ111〜112円台にあり2015年の高値を更新していません。日経平均の2015年6月の高値は20,952円。今年の10月の高値は24,448円と3,400円あまりも高値を上回っています。

逆説的に言えば、これだけ株価が上昇する過程でも米ドル/円相場は全くついてきていなかった、ということです。要するに大局的には日本株と米ドル/円相場の相関性はすでになくなってしまったと。ですから、11月に株価の大きなリバウンドがあったとしても、米ドル/円相場が再び高値を更新することはないと考えています。

2018年の米ドル/円相場の高値114.55円と安値104.56円の値幅は9.99円。1990年以降で最も小さな値動きに終始しています。直近では2015年にわずか10.01円しか動かなかった年がありますが、翌年2016年には年間変動幅が22.67円にも上る大きな動きとなりました。小動きとなればなるほど、マーケットにはエネルギーが溜まります。トレンドができるや否や一方向に大きく変動する可能性を秘めた状態と言えるのです。

では、この9.99円の狭いレンジを抜けるなら、米ドル高方向でしょうか、それとも米ドル安方向でしょうか。その答えを導く一つの材料に米国の赤字拡大があげられます。

米財務省が10月15日発表した2018会計年度(2017年10月〜2018年9月)の財政赤字は、前年度比17%増の7789億9600万米ドル(約87兆円)となり3年連続で赤字拡大となりました。大型減税や国防費を中心とした歳出拡大を進めたことが背景ですが、実は赤字拡大は為替レートに大きな影響を及ぼします。

一般的には、貿易赤字国は支払い超過となるため、対外債務が拡大し破綻する可能性が懸念されて通貨が下落するリスクとなります。2018年夏場までに起こっていた新興国通貨安はトルコなど貿易赤字国で顕著にみられました。

基軸通貨国である米国は貿易代金を自国通貨で支払うことが可能ですが、新興国は貿易で支払いに充てる基軸通貨の米ドルが必要です。準備通貨として一定の米ドルを調達する必要があり、また潤沢な外貨準備は国の信認にもつながるため、米ドルは常に需要があります。故に米国の赤字拡大は必ずしも米ドル安要因であるとも言い切れないのですが、15日発表の米国の赤字はGDP比で3.9%にまで拡大してきました。前年度から0.4ポイント上昇となっています。

米国は1兆5000億米ドルの減税に加え、向こう2年に政府支出を3000億米ドル近く増やすとしており財政悪化は目に見えています。減税による効果で個人消費が旺盛となり内需を押し上げることで貿易赤字も増加してきており、市場では「双子の赤字」が米ドル安をもたらすとした指摘が再燃し始めています。

米国の双子の赤字がGDP比6%に達すると米ドル安に転じるという過去の経験則から、その時はそう遠くないとみられます。日米金利差からは米ドル高円安となるとの見方が大勢ですが、この先、米国の赤字がテーマとなれば米ドルが大きく下落する可能性もあることに留意しておきたいと思います。

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フリーアナウンサー
フリーアナウンサー/ナレーター/個人投資家。福島県出身。アナウンサーとして経済番組を担当したことをきっかけに自身も投資を始め、現在では個別株、インデックス投資、投資信託、FX、商品先物と幅広く投資している。個人投資家目線のインタビューに定評があり、経済講演会ではモデレーターとして活躍する。自身のトレードの記録はブログで赤裸々に公表しておりSNSでの情報発信も人気。一時期は海外映画やドラマの吹き替えなど声優としても活動していたが、現在は経済番組に専念。現在ラジオNIKKEIなどで経済番組レギュラーを多数抱え、キャスターとしても多忙な日々を送っている。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10373


 

コラム2018年10月31日 / 16:06 / 4時間前更新
コラム:米国は本当の民主主義国家と呼べるか
Lincoln Mitchell
3 分で読む

[30日 ロイター] - 民主主義が定着した国の有権者は、政見や政策、イデオロギーの違いで政党を選ぶために投票所に行くことに慣れている。だが自由が制限された国では、候補者や争点についてではなく、自由で公平な選挙や、そもそもの選挙権を巡る選択肢について投票することが多い。

米国も、後者の方向に向かっているのだろうか。

11月6日に行われる極めて重要な中間選挙に向けて、米国の有権者が投票準備を整える中で、気候変動や移民政策など、共和、民主両党の意見が対立する重要な課題が浮かび上がっている。しかし、今回の選挙では、疑いなく、民主主義そのものが問われる要素が、公民権運動後では前例がないほど深く入り込んでいる。

欧州や北米の多くの国を含めた民主主義国家においては、経済政策を選択し、外交政策の方向性や、同性婚や治安維持などの国内問題について選択をすることが民主主義だ。

だが、民主主義が発展途上だったり、崩壊しつつあるなどして完全ではない国の選挙は様子が異なる。旧ソ連圏や、アジア、中東などの国において、選挙はしばしば、言論や集会の自由を制限して公平な選挙を妨げようとする与党に対して、実質的に民主主義そのものを訴える野党が競う構図となっている。

2018年の米中間選挙は、気がかりなほど、民主的な度合いが低い国の選挙に似た様相を呈している。

例えば、ジョージア州知事選では、共和党候補者で、現職の州務長官として州で行われる選挙を遂行する立場にあるブライアン・ケンプ氏が、主に黒人の有権者数万人から選挙権を奪おうとした。

カンザス州では、共和党の知事候補クリス・コバチ氏が、トランプ大統領によって、米国ではめったに起きない不正投票についての調査委員会の委員長に指名されたことで悪名を馳せた。コバチ候補はこれまでのキャリアで、特に非白人による投票が困難になるような選挙権制限を提唱してきた。

アイオワやミズーリ、ノースカロライナなどの州でも、共和党がこの2年間、選挙投票を難しくする法律を州議会で成立させている。

選挙権を巡り、共和、民主両党が対立しているだけではない。共和党が州議会を支配するオクラホマとルイジアナでは、合衆国憲法修正第1条が権利を保障する言論や集会などの活動を制限したり、抗議活動に対する罰則を強化したりする法律が成立している。

こうした一連の動きは、抗議活動の権利を制限するよう提案し、メディアを「人民の敵」と頻繁に罵倒する共和党大統領の下で起きたことだ。

楽観的な材料があるとすれば、米国における民主主義を巡る議論が驚くほど活発に、そしてより公に行われるようになったことだろう。

民主主義の強化を訴える人々は、選挙権を妨げる法律の撤回や、修正第1条のより柔軟な解釈を求めている。一方で、憲法には民主主義を制限する意図があり、投票を容易にすることを定めたものはなく、米国はそもそも民主国ではなく共和国だと主張する人々もいる。

2016年の大統領選で、2000年のジョージ・W・ブッシュ氏に続き、トランプ氏が一般投票で過半数を得ずに当選した今世紀2人目の共和党大統領となったことや、連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏が、米国民の少数派を代表する上院議員らによって承認され、人口差に関係なく各州に上院議員2人を割り当てることの「非民主性」が注目を集めたことで、こうした議論はさらに先鋭化している。

こうした傾向は、政府の安定性や正当性にとってマイナスに働くものの、米国をゆっくりと、より民主的な国に変えるかもしれない。

民主党が次に国の政権を取り返す場合は、米国における「民主的な正統性の危機」と一部で危惧されている事態に対応するため、構造改革を進める可能性が高い。

例えば、最高裁の定員拡大や、首都ワシントンや自治領プエルトリコを州に格上げし、それらの多様な住民が上院議員を選出できるようにすることで、現在白人が圧倒的多数を占める少規模州の存在によって生じている上院での人種的不平等を縮小することなどが挙げられる。

これらは党派的な立場に根ざした主張だが、米国の政治構造における民主的ではない部分がすべて共和党の有利に働いているという、民主党議員の間で広がりつつある認識を反映している。

こうした問題のほとんどは、中間選挙では解消されない。上院の構成や、最高裁判事の承認プロセス、大統領の選挙プロセスは、今回の投票用紙上で問われている内容ではない。

だがそれでも、真に民主的なアメリカを望む人々は、こうした構造的な改革が必要であること、そして民主主義についての国家的が議論は、米国政治の一部になっていることに気付き始めている。

*筆者はニューヨークとサンフランシスコを拠点とする政治アナリスト兼研究者です。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/mitchell-midterms-idJPKCN1N50N4


 
コラム2018年10月31日 / 12:14 / 8時間前更新
コラム:フェイスブック、想定し得る「悲惨なシナリオ」
Jennifer Saba
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[ニューヨーク 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米フェイスブック(FB.O)は30日発表した第3・四半期決算で売上高の伸びが鈍かった。売り上げ不振や顧客情報流出など直面する課題に対処すれば経費がかさみ、業績が悪化するという苦しい状況で、ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は迅速な対応を迫られそうだ。

フェイスブックの幹部は7月、同社の売上高の大部分を占める広告収入が今年下半期に減速すると警告。以来フェイスブックの株価は35%近く下落し、米ハイテク大手5社「FAANG」で最もさえない値動きとなった。

従って第3・四半期売上高の前年比伸び率が前年同期の47%から33%に鈍化したことに驚きはない。

フェイスブックの成長ペースは頭打ちなのかもしれない。同社は顧客情報の流出と2016年米大統領選のロシア介入疑惑という、非常に大きな問題に直面している。緊迫した政治環境や、米国や海外で深まる人々の分断の一因がフェイスブックにあると見る人も多い。

ザッカーバーグ氏は有害なニュースフィードの削除を約束するとともに、同社による個人情報の利用を制限しようとする規制当局と格闘している。この結果予想されるのはユーザー数の減少で、自動投稿(ボット)などのアカウントを削除したツイッター(TWTR.N)でも同じことが起きた。フェイスブックのデイリーアクティブユーザー数(DAU)は北米では前年比横ばいで、欧州では減った。利用者数が減れば広告主に対する価格決定力が弱まる。影響は既に表れていて、第3・四半期の利益率は前年同期の50%から42%に悪化した。

利益率が2020年までに20%に低下し、売上高伸び率が今年の見通しの36%から10%に下がるという悲惨なシナリオを想定していみよう。現在、2020年の利益見通しに基づく株価収益率(PER)は15倍で、これを当てはめるとフェイスブックの時価総額は現在の4100億ドルから1600億ドル程度に落ち込む計算だ。

企業の経営陣はここまで業績が悪化する前に、事業買収など対応策を模索し始めるものだ。ザッカーバーグ氏はこれまで、インスタグラムを10億ドルで買収するなど、M&Aで目利きぶりを発揮してきた。しかし追い詰められれば慧眼に曇りが生じて筋の悪い案件に引っかかり、自爆しないとも限らない。

背景となるニュース

*フェイスブックが30日発表した第3・四半期決算は純利益が前年同期の47億ドルから51億ドルに増加した。1株利益は1.76ドルで、リフィニティブがまとめたセルサイドのアナリストの予想平均1.48ドルを上回った。

*売上高は33%増の137億ドルで、予想の138億ドルに届かなかった。総費用は53%増の79億5000万ドル。

Facebook Inc
146.22
FB.ONASDAQ
+0.00(+0.00%)
FB.OTWTR.N
*9月の平均デイリーアクティブユーザー数(DAU)は9%増の15億人だった。
https://jp.reuters.com/article/column-facebook-idJPKCN1N5094


 


 
深まる分断:米国の政治はどう変わったのか?
「性別」と「学歴」を軸に分断の背景をチャートで分析
By
Aaron Zitner and Dante Chinni
2018 年 10 月 31 日 16:33 JST

 米国の有権者がいかに分断されているかを理解するには、人口構成の2つの重要な属性、「性別」と「学歴」に注目するといい。
 かつては大学を卒業していない白人男性と大卒白人女性の政治観は近かった。だが近年では、有権者の約40%を占める両者の動きは明確に分かれた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースの最新世論調査を分析したところ、その違いはこの項目ができた1994年以降で最も大きくなっている。
 このギャップは米国の政治では割と新しい現象であり、それによって選挙運動の進め方も根本的に変わってきた。白人有権者はかつて「説得可能」な存在と考えられていた。彼らはどちらかの政党寄りだったかもしれないが、手の届かない有権者は多くなかった。それが今では下のチャートの通り、議会選では大卒白人女性の60%が民主党候補を支持している。大学を出ていない白人男性が共和党を支持している割合はさらに高く、両者は基本的に対立候補にとって手の届かない存在となっている。
議会支配政党として支持するのは?(2018年10月時点)

WSJとNBCニュースが登録有権者900人に対して10月14~17日に電話で行った世論調査に基づく(誤差の範囲:プラスマイナス3.27ポイント)
大卒の白人女性大学を出ていない白人男性共和党民主党0%10203040506070
 女性では、次の議会を民主党が主導すべきだと考える有権者の割合が共和党支持率を33ポイント上回った。これとは対照的に、男性では共和党支持率が42ポイント高かった。
 有権者の二極化を前に、多くの候補者は対立候補を支持する層の説得には時間を費やしていない。中間選挙ではよくあることだが、今回は極端だ。このギャップは各党が最も強調する争点や、長年の民主党および共和党の地盤の一部が今年は接戦になっている理由を説明するのに役立つ。
 米国の政治では性別による違いが根強く、それが最も明白に表れるのが大統領選だ。1980年以来、民主党の大統領候補に投票した女性の割合は一貫して男性を上回っている一方、男性は共和党候補を選好してきた。70年代に行われた全国的な出口調査の初期には、こうした男女差は見られなかった。
民主党の大統領候補に投票した有権者の割合

出典:ピュー・リサーチ・センター
%女性男性1975’80’85’90’952000’05’10’1530405060
 現在、有権者全体の70%超を占める白人間のそうした分断に学歴が拍車をかけている。大卒者が民主党に流れる一方、共和党は4年制大学を卒業していない有権者を取り込んできた。
 学歴による分断は、白人以外の有権者ではここまで激しくない。全体的にかなり民主党寄りだからだ。マイノリティーの間では近年、大卒の有権者とそうでない有権者の政治観が近くなっている。

 性別や学歴による分断は、白人有権者の政治的志向を劇的に変えた。その背景には経済的および文化的な要因がある。大学を出ていない人々は景気後退の影響をもろに受け、その後の回復局面では多くの人が取り残されていると感じた。下のチャートが示すように、高校しか出ていない男性の所得は2008〜17年の10年間に減少した。
所得中央値(インフレ調整後)

出典:米国勢調査局
大卒の白人女性大学を出ていない白人男性2008201730,00035,00040,00045,000$50,000
 文化的な価値観や政府に対する考えの違いは、バラク・オバマ前大統領の時代に拡大した。オバマ氏は当時、教育や社会福祉への支出を増やすなど積極的に行動する政府の構築を約束していた。白人有権者の中で、大卒女性はオバマ氏の政権運営理念を支持する割合が群を抜いて高かった。それに対し、大学を出ていない男性は特にこの3年間に、そうした理念への疑念を深めている。
政府がもっと国民を助けるべきだとする人の割合

出典:WSJ/NBC電話調査
%大卒の白人女性大学を出ていない白人女性大卒の白人男性大学を出ていない白人男性2000’05’10’15203040506070
 ドナルド・トランプ大統領は、ブルーカラー層が多い地域の「忘れられた人々」を助けることを主眼とした「米国第一主義」を約束した。白人の2つの層の乖離はトランプ政権になって一段と進み、大学を出ていない男性は就任当初から同氏への支持を強め、大卒女性の間では同氏への否定的な見方が拡大した。
トランプ大統領に対する見方の変化

出典:WSJ/NBC電話調査注:肯定的な見方の割合から否定的な見方の割合を引いた値
大卒の白人女性大学を出ていない白人男性Jan. 2017Oct. 20180-25 pct. pts.2550
 両グループの姿勢の違いは、移民政策や銃規制、医療保険など、中間選挙を左右する争点の多くに鮮明に表れている。いずれについても、大学を出ていない男性はトランプ氏の政策スタンスに賛成、大卒白人女性は反対だ。
政策の支持率
銃の規制強化
大卒の白人女性 大学を出ていない白人男性-20 pct. pts.0204060

不法移民の送還強化
医療保険制度改革法の緩和ないし撤廃
WSJとNBCニュースが登録有権者900人に対して9月16〜19日に電話で行った世論調査に基づく(誤差の範囲:プラスマイナス3.27ポイント)


 民主党の候補者は今年の選挙戦で、銃規制強化や医療保険制度改革法の存続を強く訴えている。大卒白人女性の求める政策に近いが、民主党は4年前にはこうしたテーマを取り上げたがらなかった。一方で共和党の候補者は、以前よりも大々的に不法移民対策を訴えている。この姿勢は、大学を出ていない白人男性の間で高く支持されている。
 こうした変化こそ、民主党がこれほど多くの女性候補を擁立している背景になっている。銃規制に向けた下院での戦いが、相対的に学歴の高い地区にシフトしている理由も分かる。大卒有権者の間で共和党への支持が弱まっていることを示す大きな変化もある。以前は共和党にとって最も頼れる有権者だった大卒白人男性が、今では両党の間で揺れ動き、過去1年の世論調査では一貫して民主党支持を表明しているのだ。
下院選の女性候補者数

出典:ラトガース大学米国女性・政治センター(CAWP)
20182016民主党共和党0255075100125150175200
 2006年7月には、支持が揺らいでいた共和党地区の約半分で大卒者の割合が全米平均を上回っていた。今年はそうした地区の約70%で、大卒者の割合が全米平均を上回っている。
危ぶまれている共和党地区(*)の数

出典:米国勢調査局データ、L2経由の推計、クック・ポリティカル・リポート*クック・ポリティカル・リポートが「五分五分」「民主党寄り」「民主党が勝つ見通し」と判断した地区
.地区20062018大卒者の割合が全米平均以上大卒者の割合が全米平均未満05101520253035
 リッチモンド郊外にあるバージニア州の第7地区は、白人有権者の分断を如実に示す。同地区は1970年以来、下院議員に共和党候補を選んできた。アナリストらは今年の当選確率が五分五分だと予想している。
 2014年には、同地区の民主党候補は思想的な偏りのない中道として選挙運動を展開した。今年、民主党候補のアビゲイル・スパンバーガー氏は同党の支持基盤を活気づける論点を取り上げている。銃の禁止、不法移民の市民権取得への道筋、高齢者向け医療保険制度(メディケア)のような国民皆保険化などだ。
 共和党候補で現職のデービッド・ブラット氏も、自身の支持基盤を盛り上げようとしている。医療保険制度改革法の撤廃を目指し、不法移民の「恩赦」に反対し、銃規制と戦うと約束しているのだ。
 世論調査では、ブラット氏が大学を出ていない白人男性の支持を集める一方、スパンバーガー氏は大卒白人女性の支持率でリードしている。サンプル数は正確な数字を算出できるほど多くないものの、大卒の白人有権者全体の支持率は10ポイント差で民主党候補が高いことは分かる。一方で、大学を出ていない白人は共和党支持率が30ポイント高くなっている。
バージニア州第7地区での下院選の支持率

出典:モンマス大学が有権者400人に対して9月15~24日に行った調査に基づく(誤差の範囲:プラスマイナス4.9ポイント)
共和党候補デービッド・ブラット氏民主党候補アビゲイル・スパンバーガー氏大学を出ていない白人大卒の白人0%255075
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WSJ社説】「出生地主義の廃止」は大統領に不利
合衆国憲法
合衆国憲法 PHOTO: GETTY IMAGES/ISTOCKPHOTO
2018 年 10 月 31 日 14:54 JST

 ドナルド・トランプ米大統領は中間選挙について、移民政策を争点とした選挙にしたいとかなり本気で望んでいる。しばらくの間は、民主党の行き過ぎた行動のおかげで、トランプ氏が優勢のように見えた。しかし、トランプ氏は選挙が目前に迫った今週、米国籍の出生地主義を大統領令によって廃止する考えを表明したことで、憲法に関わる問題のタネを自らまいてしまった。

 トランプ氏は不法行為の阻止や、中米の左派グループに組織された移民集団の米国入国阻止に努めている限り、政治的に優位な立場にあった。難民申請者への対応に追われる入国管理当局を支援するため兵士を非軍事的目的で国境に派遣することも、正当化できるだろう。米国は、誰であれ国境に突進することは許さないというシグナルを送らなければならない。それはとりわけ、失望あるいは、さらに悪い結果を招くであろう移民らの旅を阻止するためである。

 一方で、国籍の出生地主義をめぐるトランプ氏の言動は、移民に関する法制面でも、政治的にも自らを不利な側に立たせることになる。マイケル・コーエン氏(トランプ氏の元顧問弁護士)は、法的アドバイスを与えなかったのだろうか。

***

 米国で生まれた全ての人に与えられる国籍取得の権利は、1868年に批准された合衆国憲法修正第14条の「合衆国で生まれたか、合衆国に帰化し、合衆国の管轄に属するすべての者は、合衆国の市民であり、その居住する州の市民である」という条文に依拠している。これはjus soli(ユス・ソリ)、つまり出生地主義という不文律の原則である。

 出生地主義に反対する人たちは「管轄に属する者」という文言を、米国に忠誠を尽くす義務のある者にのみ適用することによって、この単純な意味を不明確にしようとしている。外国人である親は別の国に忠誠を尽くす義務があるのだから、その子供に(自動的に)国籍を得る権利はないという論理だ。

 だが、「管轄」は法律の効力が適用される範囲を指すと広く理解される。つまり、それは米国の国土にいるほぼ全員に適用されることを意味する。1868年に示された例外は、外交官(免責特権を有する)と居留地に住む先住民族だった。連邦議会は後に先住民族に生得権としての市民権(国籍)を与える一方で、部族の主権を縮小した。

 米国の法律の管轄下には、確実に全ての移民が入る。でなければ、たとえ移民法を破ったのだとしても、彼らが訴追されるはずがない。忠誠を尽くす義務に関して言えば、どの住民に米国に忠誠を尽くす義務があり、どの住民にないかを政府が決めるという先例ができあがることをわれわれは本当に望んでいるのだろうか。米国市民でありながら別の国の市民でもある人たちにとって、それは何を意味するのか。

 修正第14条の本来の目的は、政治家が自分たちの判断で米国人ではないと考える人たちに国籍を与えないのを防ぐことにあった。これはかつて奴隷だった人々のことを意味していたが、この条項をめぐる当時の議論の場でも、移民の子供の国籍に関する質問が出た。

 デービッド・リブキン氏とジョン・ユー氏が以前指摘したように、南北戦争時代にペンシルベニア州選出の上院議員だったエドガー・コーワンは「カリフォルニア州にいる中国人移民の子供は米国市民か」と尋ねた。すると、カリフォルニア州選出の上院議員ジョン・コネスは「イエス」と答えた。 (訳注:リブキン氏は 憲法訴訟の専門家でレーガン政権とブッシュ(父)政権に仕えた 経験がある。ユー氏は カリフォルニア大学バークレー校 の法学教授)

 最高裁が1898年に判決を下した合衆国対ウォン・キム・アーク裁判でその考えはさらに強まることになった。中国人排斥法によって国籍の付与を禁じられていた中国人の両親の間にサンフランシスコで生まれた子に対して国籍を付与することを支持したのだ。最高裁は「修正第14条は領土内の出生によって市民権が得られるという古くからの基本的な規則を確認するもので、米国居住外国人のもとに生まれた全ての子が含まれる」と記していた。

 トランプ大統領は現在の最高裁が異なった判断を下すと想像しているのかもしれない。だがそれは疑わしい。判事たちは憲法条文に忠実であることを自負しており、修正第14条を(国への)「忠誠」という極めてあいまいな意味に読み替えるのは困難を要するだろう。一方、下級裁判所は、バラク・オバマ大統領(当時)が何百万人もの不法外国人に労働許可証を交付するという法を無視した大統領令を発動した時以上に素早くトランプ大統領による大統領令を却下するだろう。

 「バースツーリズム(出産旅行)」と呼ばれる米国籍取得のための行動について、トランプ大統領がその阻止を望むのであれば、いつでも法案を作成したり、憲法修正への支持を働き掛けたりすることは可能だ。しかし、議会が法案を承認する公算は小さい。憲法修正であればさらに可能性は小さい。つまり、中間選挙を1週間後に控えて大統領令の発動を主張するというトランプ氏の行為はむなしいジェスチャーだ。

 トランプ大統領は今年、政治的な過ちを犯した。子ども時代に米国に連れてこられて不法入国した移民たちに法的地位を付与する代わりに国境警備を強化することを拒否したことだ。これが成立していれば共和党は移民問題で成果を上げることができたかもしれない。だがトランプ氏は政治問題化を望んだ。それがうまくいくのかどうか、まもなく分かるだろう。

 不法移民に寛容な政策を取る「サンクチュアリ・シティー(聖域都市)」の禁止や、移民税関捜査局(ICE)廃止要求への反対を主張する時、トランプ大統領は依然として法的にも政治的にも堅固な基盤に立っている。しかし、修正第14条を勝手に書き換えようとする離れ業のような行動に出ることは自身の法的立場、そして政治的信頼を損ねることになる。

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トランプ氏、米国籍の出生地主義「ばかげている」 廃止を計画


 


 
米国籍の出生地主義:そこが知りたいQ&A
米最高裁(写真)は出生地主義の根拠となっている修正第14条を繰り返し支持してきた
米最高裁(写真)は出生地主義の根拠となっている修正第14条を繰り返し支持してきた PHOTO: ANDREW HARRER/BLOOMBERG NEWS
By Jess Bravin
2018 年 10 月 31 日 12:57 JST 更新

 ドナルド・トランプ米大統領は「市民権(国籍)の出生地主義」を廃止する大統領令を出す考えを明らかにした。これは、過去何年にもわたって他の保守派の人々が示唆してきたことに賛意を示したものだ。つまり、合衆国憲法の解釈によっては、米国は不法移民が国内で生んだ子供に対し国籍付与を拒否できるという考えだ。

 法学者や憲法の専門家らの中で、こうした考えを共有する者はほとんどいない。それは、合衆国憲法修正第14条の文面や、何世紀にもわたる慣行、最高裁の判例が逆の方向を示しているからだ。

 実際、司法省のサイトに掲載された同省の公式見解も、国籍に関する条項は憲法改正によってのみ変更が可能になるというものであり、同省の法律顧問局(OLC)は、変更を目的とした通常法案や大統領令は「一見して憲法違反になる」と結論付けている。トランプ大統領の発言を受けて、この1995年の判断を見直すことになるのかとの問いに対し、同省の報道官からの返答はなかった。

 従って、米国で生まれた子供への自動的な米国籍付与を廃止する法律の制定は、法廷では極めて分が悪いことになる。大統領令(これは基本的には米政府による連邦職員に対する政策指示であり現在あるいは未来の大統領によって修正・撤回が可能)であれば、さらに厳しく合法性を問われることになろう。この問題に関する主要論点を挙げる。

国籍の出生地主義とは何か

 合衆国憲法修正第14条の下では、国籍を得る条件について、広範な解釈を示している。同修正条項は、ドレッド・スコット対サンフォード裁判での1857年の最高裁判決を無効とするために、南北戦争後の1868年に批准された。最高裁の判決は、アフリカ系米国人の国籍と法的保護を否定する内容だった。修正第14条は「合衆国で生まれたか、合衆国に帰化し、合衆国の管轄に属するすべての者は、合衆国の市民であり、その居住する州の市民である」とうたっている。

修正第14条がアフリカ系米国人への適用を意図したものならば、なぜ不法移民が米国で生んだ子供たちも同様に国籍を得ているのか

 修正第14条は「生まれた全ての者」という包括的な文言を使っており、最高裁は一貫して、その文言通りに同条を適用している。1898年の合衆国対ウォン・キム・アーク裁判でホレース・グレー判事は、過去何世紀にもわたる前例を指摘し、サンフランシスコで中国国籍の親の下に生まれたウォン・キム・アークは米国市民であり、海外に渡航した後に米国に再入国することができるとした。当時、中国人労働者の移住を禁じた中国人排斥法が存在したにもかかわらずだ。最高裁は1982年、テキサス州に対し、不法移民の子供たちを公立学校から排除することはできないとする判決を下した。その際に最高裁は「修正第14条の『規定範囲』に関して言えば、合法的に入国した外国人居住者と、不法入国した外国人居住者を区別する合理的な差異はない」との見解を示した。

全ての国が出生地主義なのか

 そうではない。カナダやメキシコのほか、米州の国の大半は、米国と同じ方式を取る。だが、欧州の国の多くは出生地とともに親の法的立場にも目を向ける。例えば英国、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポルトガルやスペインはみな、自国内で出生した子が自動的に国籍を取得することに制限を設けている。

出生地主義に反対する理由とは

 これに反対する人々は、この慣行が不法移民を後押しすると主張する。米国内で出産した場合、子が米国市民としての利益を受けられることを知っている女性を利するという形で不法移民を後押ししているという主張だ。

トランプ大統領は大統領令を出すことで、出生地主義の廃止を宣言できるのか

 トランプ氏はそう考えていると述べているが、その主張を支持する法的根拠を特定しておらず、議会の同意が必要というこれまでの自身の見方がなぜ変わったのかも説明していない。同氏がそのような命令を出した場合、早急に法的な困難に直面することが確実だ。裁判所が執行を差し止める命令を出す一方で、行政権限に関する同氏の異例な主張が裁判で争われる公算が大きい。

 1995年に司法省による市民権条項の分析について証言した元司法次官補のウォルター・デリンジャー氏は30日、「行政府の当局者が、トランプ氏の命令で法律および憲法に違反することがあれば衝撃だ」とツイートした。

最高裁は出生地主義を制限する大統領令や法律を支持するか

 一貫した修正第14条の解釈を変えるような大統領令は、大統領権限を異常に主張するものであり、司法の精査を突破できる可能性は低い。新たな法律については、大統領令と比較すると、わずかに可能性が高い。政府のうち立法府と行政府という公選による二機関の政策判断を反映するからだ。それでも、判例の抗しがたい重みに反する。

 1898年のウォン・キム・アーク裁判は、米国の「管轄に属する者」という文言は幅広く解釈されるべきだと指摘している。最高裁は「修正第14条が『米国で生まれた全ての者』に『かつ、その管轄に属する者』を加えてその文言とした真の目的が、最小かつ最適な文言によって、以下の2つの場合を除外するためにあるように見える。その場合とは、敵国に生まれた子と、外国の外交的代表者の子の2つだ」と述べている。

 別の言葉で言えば、最高裁は修正第14条に関し、国際法に基づく特定の法的地位にある人物、つまり外交官および軍事的占領により米国の領土を保有している敵国の市民が生んだ子どもたちを除外していると解釈している。これらの範疇(はんちゅう)に入る人は、米国への帰属を求めるのではなく、むしろ米国との交渉あるいは軍事的勝利を目指す国の人と同じである。いずれも、経済移民などトランプ大統領が標的とする人物とは共通点がない。

「出生地主義」の慣行を廃止するには何が必要か

 憲法の修正が最も明確なやり方だろう。しかし、そうすることは困難な手続きである。修正案は上下両院でそれぞれ3分の2の支持での可決が必要であり、その後、米国の4分の3の州で批准されなければならない。他の選択肢もあるが、それはさらに難しく、これまで実現したことはない。その方法は、3分の2の州の要請によって憲法会議を召集すれば、同会議で修正案を提出することが可能となるものだが、同案は4分の3の州によって批准される必要がある。憲法はこれまで27回修正されており、1960年以降では5回修正されている。

 共和党は憲法の修正を図るのではなく、ことあるごとに条文の歴史的解釈の変更を求める法案を提出してきた。同党のスティーブ・キング下院議員(アイオワ州)は何度も提案を行っており、最近では昨年も提案している。同議員の提案は米国で生まれた子どもの両親の少なくとも一方が米国籍や永住権の保有者であるか、あるいは米国籍がなくても軍隊に所属している場合を除いて、この子どもの米国籍を認めないという内容だった。

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実際のところ、この種の法案が議会で承認されることは可能なのか

 それはあり得そうにない。たとえ11月6日の中間選挙で共和党が上下両院での支配を維持したとしてもだ。1990年代には、不成立に終わったものの、「出生地主義」廃止を目指した法案に超党派の支持があった。だが、現在ではそうした提案に対してほぼ全会一致で反対する民主党と、共和党の一部懐疑派の問題を克服しなければならない。法案が上院での審議にこぎつけたとしても、議事妨害(フィリバスター)に直面するだろう。フィリバスターを回避するには上院定数100人のうち60人の支持が必要である。

国籍に関する修正第14条の解釈変更を求める法案を支持する主張はどのようなものか

 一部共和党議員は修正第14条の「管轄に属する者」という文言について、従来の適用範囲を制限する余地があると主張している。例えば、キング議員が昨年提出した「2017年出生地主義市民権法案」(Birthright Citizenship Act of 2017)は、適格条件を満たす両親の間に生まれた子どもだけが米国の「管轄に属する者」になるとし、それ以外の子どもには米国籍を認めない内容となっている。

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出生地主義の米国籍付与、トランプ氏が廃止表明
トランプ政権 米中間選挙 北米
2018/10/30 22:48
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領が出生地が米国なら米国籍が付与される制度を廃止する意向を示したことが30日、明らかになった。11月の中間選挙を直前に控え、不法移民対策を求める保守層の支持固めを図る狙いとみられる。実行に移せばリベラル派が猛反発し法廷闘争となるのは必至だ。

11月の中間選挙を直前に控え、不法移民対策を求める保守層の支持固めを図る狙いとみられる=AP
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11月の中間選挙を直前に控え、不法移民対策を求める保守層の支持固めを図る狙いとみられる=AP

米ネットメディアのアクシオスが30日、29日に収録したトランプ氏とのインタビューの一部を公開した。トランプ氏は米国は出生地に基づいて国籍が付与される出生地主義を採用する唯一の国だと主張し「ばかげている。やめるべきだ」と語った。実際には出生地主義をとっている国は少なくない。

制度廃止に向けた手続きでは憲法改正は不要だと指摘。「大統領令だけで変えられる」と強調した。米国憲法の解釈では米国で生まれた子どもには米国籍を付与するとの考えが主流だ。米メディアでは大統領令だけで制度を廃止できるのか懐疑的な見方が広がっている。

トランプ氏は移民の増加が治安の悪化につながっているとみる。不法移民が米国で出産して子どもに米国籍を取得させ、永住権をスムーズに取得するケースなどを問題視しているようだ。

トランプ政権はすでに強硬な不法移民対策を相次いで打ち出している。米政府は29日、中米から米国に向かう移民集団に対応するため、週内に米兵約5200人を派遣すると発表した。移民集団の出国を止められないホンジュラスやグアテマラ、エルサルバドルへの経済援助の停止に踏み切る構えも見せている。

トランプ氏は中間選挙が目前となり、保守層の支持固めを急いでいる。米メディアによるとトランプ氏は心と体の性が異なるトランスジェンダーの存在を事実上否定するともとれる措置を検討している。性の定義を生まれつきの性別に限定し、個人の選択に委ねたオバマ前政権からの転換を図る。

中間層向けに追加減税をする考えも示している。2017年末に成立した大型税制改革で個人所得税も減税となったが、さらに手厚い措置を講じるという。財源の手当ても見通せないだけに、露骨な選挙対策との見方が出ている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3714879030102018FF2000/


 

 
2018年10月31日 ロイター
メルケル独首相が引退へ、EU改革にとって吉か凶か
メルケル独首相
10月29日、メルケル独首相(写真)は、キリスト教民主同盟(CDU)が12月に開く党大会で党首として再選を目指さず、首相も4期目の現任期限りで退くと表明し、EU改革には急ブレーキがかかる事態になった。ベルリンで撮影(2018年 ロイター/Hannibal Hanschke)
[ブリュッセル 29日 ロイター] - メルケル独首相は29日、キリスト教民主同盟(CDU)が12月に開く党大会で党首として再選を目指さず、首相も4期目の現任期限りで退くと表明し、欧州連合(EU)改革には急ブレーキがかかる事態になった。ただ一部からは、最終的にドイツが欧州統合に向けて積極的な役割を果たすきっかけになるかもしれないとの期待が出ている。

 EUの政策担当者や専門家の多くにとっては、今回の出来事はドイツの政治機能まひの長期化と、それに伴うさまざまな悪影響をもたらす公算が大きいと受け止められた。

 独立系シンクタンク、ジャック・ドロール・インスティテュートのルーカス・グッテンバーグ副所長は「EUにしてみれば、メルケル氏の発表は12月の首脳会議で何か(合意)が必要な際に、考えられる最悪のタイミングで起きた」と述べた。

 12月13─14日のEU首脳会議でマクロン仏大統領などは欧州統合強化に向けた新たな措置を決議したい考えだ。しかしメルケル氏は重要な政策案件について、その1週間前のCDU大会で選出された新党首の判断を仰ぐ必要があるかもしれない。

 EU諸国の閣僚らは既に細かいルールの修正で合意しているが、ブレグジット(英のEU離脱)をにらんでより広範なEU改革を打ち出すというマクロン氏の構想は、かすまざるを得ない。

 グッテンバーグ氏は「(現在の連立に手間取ったことで)メルケル氏が動ける余地は既にかなり限定されている。マクロン氏らにとっては決して良いニュースではない」と話した。

 欧州で13年にわたって重要な仲介者となってきたメルケル氏の影響力後退で、今後各国首脳が新たな対立を解決するのが困難になりかねない面もあるだろう。

 東欧諸国のある外交官は「ドイツの存在がなくなり、事態収拾はより難しくなる」と懸念する。

 メルケル氏は、ユーロ圏の財政分野にある「南北格差」に関しては周縁国への支援に否定的なドイツ国内のタカ派をなだめる上で大きな役割を果たしてきた。また自身が旧ソ連圏の東ドイツで暮らした経験を踏まえ、最近ではEU補助金や人権問題を巡る「東西対立」で橋渡しに携わっている。

 この外交官は「中東欧にとっては、共産党独裁政治の国で生活することの意味を本当に知っているドイツの首相を味方につけていたのはとてつもなく有利な要素だった。その大事さは、失った後でしか分からないだろう」としみじみと語った。

 グッテンバーグ氏は、ドイツはこの先も全般的な親EU姿勢やブレグジットに対するEUの既存の方針を守り、イタリアが試みているEUの財政ルール破壊に反対すると予想しつつも、欧州統合の進化に向けた「建設的な」動きはしばらくお休みになるとみている。

 一方でシティバンクのエコノミストチームは、ドイツの地方選挙で緑の党が躍進したことがユーロ圏改革にとって追い風となり、フランスで難局に立ち向かうために中道勢力が広範な支持を集めてマクロン氏を大統領の座につかせたように、ドイツでも同じような動きを呼び起こす可能性があるとの見方を示した。

「親EUの緑の党の台頭は、少なくともユーロ圏にとって大きなプラスになり得る」という。

 欧州緑の党のフィリップ・ランベール共同代表は「メルケル氏がCDUの統制力を失うとすれば、それはドイツ国内で欧州統合のアイデア自体が失われることになる」と警戒する。それでも、メルケル氏がしがらみから解き放たれ、国民に必ずしもドイツのためにならない改革を受け入れるよう力を注げるようになった点は希望が持てるとの考えだ。

 INGジャーマニーのエコノミスト、カルステン・ブゼスキ氏も同意見で、メルケル氏は政治的な遺産(レガシー)を残すための自由を得たと指摘し、ドイツ経済と通貨同盟の改革により大胆に踏み込んでいく可能性があると付け加えた。

 シンクタンクのフレンズ・オブ・ヨーロッパのジャイルズ・メリット会長は、メルケル氏の下でドイツは財政黒字を抑制できず、ユーロに緊張をもたらしたと指摘。「『メルケル後』の(政治の)不安定化や混乱を懸念するのは分かるが、近視眼的だ。メルケル氏が退場するという見通しは、ドイツの有権者を自分たちにとって短期的利益より大きな利益、つまり欧州統合へと回帰させる触媒となると期待できる」と述べた。

(Alastair Macdonald記者)


https://diamond.jp/articles/-/183956


 

社説】メルケル氏の退任表明、大連立の失敗
国民は連立政権に不満を抱くが出口は見つからず
ドイツのメルケル首相はヘッセン州議会選挙の大敗を受け、12月のCDU党首選に出馬せず、2021年には首相からも退任すると発表した(29日)
ドイツのメルケル首相はヘッセン州議会選挙の大敗を受け、12月のCDU党首選に出馬せず、2021年には首相からも退任すると発表した(29日) PHOTO: TOBIAS SCHWARZ/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
2018 年 10 月 30 日 14:45 JST 更新

 アンゲラ・メルケル氏が独首相の座から長くゆっくりとした引退へ向かう過程は、同氏が12月の党首選に出馬しないと29日に発表したことで大きく歩を進めた。問題は独連立政権が選挙で新たな大敗を喫したにもかかわらず、新たな首相候補が誰1人として浮上してきていないことだ。

 28日に行われた独ヘッセン州の州議会選挙で、メルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)の得票率は27%にとどまり、2013年の実績を11ポイント下回るとともに、1960年代以降で最悪の結果となった。社会民主党(SPD)の得票率も11ポイント低下し、緑の党と同率の得票率2位となった。これは、2週間前のバイエルン州議会選挙で両党が同様の大敗を喫したことに続くものだった。同州ではSPDも敗北したが、同州におけるCDUの保守系姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)が被った敗北はさらに際立っていた。昨年の連邦議会選挙後に、不人気な中道大連立政権をつくった決断は、途方もない失敗だったようだ。

 28日の選挙で勝者となった党の1つは、ドイツのための選択肢(AfD)だ。同党の得票率は9ポイント上昇して13.1%となり、得票率4位となった。出口調査によると、今回AfDに投票した有権者の4分の1は、5年前にはCDUに投票していた。緑の党もAfDとともに、不満を抱く有権者のもう1つの受け皿として浮上し、2つの州議会選挙のどちらでも、得票率2位となった。緑の党は、近い将来、中道左派の主要野党となるかもしれない。

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 ここで問題となるのは、メルケル氏率いる政府が2021年の次期国政選挙まで生き残るか否かだ。メルケル氏が18年間就いていたCDU党首のポストを空けるという動きは、変化が進行中であることを、党員が首相のポストに挑むことを促すことなしに、党員たちに改めて周知することを意図しているようにみえる。だがこれは、ますます人気を失っている政権が、互いに競い合うことも、選挙で改めて有権者から付託を受けることも拒否したまま、今後も国政を運営することを意味する。

 その結果は政治的惰性だ。それは新たなエネルギーとアイデアを持った新たな指導者が現れ、新政権を樹立するまで続くだろう。29日にはメルケル氏の後継者とされるアンネグレート・クランプカレンバウアー氏のほか、メルケル氏を批判しているイェンス・シュパーン、フリードリヒ・メルツの両氏が党首候補に名乗り出た。有権者が現状の連立以上のものを望んでいることを主流派政党が認識しない限り、非主流派政党は支持を伸ばすだろう。

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イタリアの政治不安、景気に既に影響も−財政拡大で成長目指すと政府
Lorenzo Totaro
2018年10月31日 16:32 JST
• 政府支出拡大がリセッション回避につながると連立政権は主張
• 政治不安が家計・企業支出に影響を与えている可能性を専門家は指摘
イタリアのポピュリスト連立政権は、2019年予算での政府支出拡大がリセッション(景気後退)回避につながると主張し、対立も辞さないアプローチが既に景気に悪影響を与えている恐れがあるとの警告を振り払おうとしている。
  欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、財政赤字の国内総生産(GDP)比率目標を2.4%に設定したイタリアの19年予算の修正を求めており、同国政府は2週間以内に再提出する必要がある。ポピュリスト政権は、成長の伸び悩みが何年も続く状態からイタリア経済を脱却させ、再び軌道に乗せることを目指しているが、巨額の公的債務を減らす前に減税や給付拡大を行う政府の計画は、投資家のリスク許容度を試すことになりかねない。
  イタリア経済財務省は30日の声明で、債務削減計画のさらなる詳細を提出するよう求める29日付の欧州委の書簡を受け取ったことを明らかにした。11月13日の期限までに欧州委に回答することを政府は確認した。
  欧州委は「イタリアの公的債務が引き続き主要な脆弱(ぜいじゃく)性」だとした上で、「そのような高水準の公的債務は、政府が国民のためにより生産的な投資を行う余地を制限する。イタリアの経済規模を考えると、ユーロ圏全体にとっても共通の懸念要因になる」と指摘した。
 
  バークレイズの欧州担当シニアエコノミスト、ファビオ・フォイス氏はリポートで、「今起きている外需の減速に加えて、夏に表れた政治不安の兆しが、家計や企業の支出判断に影響を与えている可能性をわれわれは否定しない」とコメントした。

原題:Italian Populists Double Down on Spending Plans as Growth Stalls(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-31/PHG84N6K50XZ01?srnd=cojp-v2

 

 

2018年10月31日 加藤 出 :東短リサーチ代表取締役社長
欧州諸国が日本よりも英国のEU離脱に関心が薄い本当の理由

EU欧州委員会のユンケル委員長(右)は、ある会合で登壇した際に音楽が止まらず、即興でダンスを披露。メイ英首相(左)をまねたジョークだったとみられている Photo:REUTERS/アフロ
 10月中旬に欧州へ出張した際に感じたが、英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)に対する視線において、日本と欧州大陸のEU加盟国の間には大きな違いがある。

 欧州の拠点を英国に置く日本企業は多い。日本では合意なしの離脱(ノーディール)が恐れられ、英国とEUはもっと真剣に交渉すべきだという声をよく聞く。だが、欧州大陸のEU加盟国はBrexitへの関心が意外に薄い。主要メディアの報道頻度も(日本人から見ると)低く感じられる。

 その第一の理由として、EU側はより悩ましい問題を多々抱えている点が挙げられる。

 ドイツでは、難民の統合や地方選挙での与党の敗北、さらには民主主義を揺るがしかねないソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上のフェイクニュースなどが大問題となっている。フランスでは、エマニュエル・マクロン大統領の改革路線が激しい反発を招き、イタリアではポピュリズム(大衆迎合主義)政党の拡張的な財政政策が単一通貨ユーロの枠組みを揺るがす恐れがある。

 第二に、英国に対する欧州諸国の愛想が尽き、Brexitを優先して議論する気がなくなってしまっている面がある。

 もともと英国は、欧州内の移動の自由を保障するシェンゲン協定やユーロには非加盟という「わがまま」なEU加盟国だった。しかも、EU離脱という極めて重要な問題を国民投票にかけてしまい、51%対49%という僅差にもかかわらず、「離脱は決まった。主権を取り戻す」と騒ぎだした。

 その上、英政府は今も北アイルランドの国境問題などを国内でまとめられていない。EU加盟国はかなり冷ややかになっている。

 先日ドナルド・トゥスクEU大統領は、インスタグラムでテリーザ・メイ英首相がケーキを選ぶ写真にジョークを添えてからかった。ジャン・クロード・ユンケル欧州委員会委員長も、英保守党大会でABBAのヒット曲「ダンシングクイーン」に合わせて踊ったメイ首相をまねてみせた。いずれも英国側は「失礼だ」と怒ったが、EU側は軽くいなした。EUにとって今の英国は「いじり」の対象になってしまっている。

 Brexitがノーディールになると、英仏間のドーバー海峡のトンネルで大混乱が起きるといわれている。しかし、仏紙「ル・モンド」(10月20日)は無邪気な記事を掲載していた。ノーディールで英仏間の輸出入に関税が掛かると、トンネルの仏側の街カレーでは免税店が増え、街がにぎわうかもしれないと期待されているという。

 英ロンドンで先日聞いた話では、最近のフランス当局は、Brexitをソフトランディングさせることよりも、欧州の玄関口としてこれまで英国が享受してきたビジネスをパリなどに誘致しようと一段と熱心になっているという。

 一方、ノーディールで最も打撃を受けるのはドイツだろう。高級車などを英国へ大量に輸出しているからだ。独BMWのミニのように、欧州大陸から輸入した部品を英国で組み立てて、完成品を大陸に輸出することは困難になる。

 それ故ドイツ政府関係者はソフトなBrexitを(フランスよりも)強く願っている。しかし、そのドイツですらも、年内最後の閣僚会議がある12月18日までに英政府が国内で話をまとめられなければ、ノーディールを前提にした対応策を考え始めざるを得ないというスタンスになっている。今後の展開には注意が必要といえる。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
https://diamond.jp/articles/print/183687

 

ドル指数が今年の高値、EU離脱リスクでポンド下落
Katherine Greifeld、Robert Fullem
2018年10月31日 5:03 JST 更新日時 2018年10月31日 6:15 JST
• 英国の合意なきEU離脱の可能性、格付けに影響し得る−S&P
• 円やスイス・フランなど逃避先通貨は下落、米国株反発で
30日のニューヨーク外国為替市場ではドルが続伸。ブルームバーグのドル指数は年初来高値を更新した。一方でポンドは下落。英国の合意なき欧州連合(EU)離脱の可能性は同国の信用格付けに影響するほど十分に高まったと、S&Pグローバル・レーティングが指摘した。
  ドルは主要10通貨の大半に対し上昇。ドル指数は一時、2017年5月以来の高値を付けた。ポンドはドルに対し一時0.8%下げる場面があった。米国株が反発したことから、逃避先通貨は米国債と並んで下落。円とスイス・フランは対ドルで下落率上位に入った。
  ニューヨーク時間午後4時30分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.3%上昇。ドルは対円では0.5%高の1ドル=112円97銭。ユーロはドルに対して0.3%安の1ユーロ=1.1345ドル。

  この日はユーロ圏の7−9月(第3四半期)域内総生産(GDP)速報値が予想を下回ったことも、ドル高の材料となった。
  ユーロは対ドルで続落。欧州委員会がイタリアに宛てた書簡で、同国の公的債務はユーロ圏全体における懸念だとの見方を示したと伝わった後、日中安値を付けた。
欧州時間の取引
  ユーロは、月末特有の資金フローがドルを押し上げる中で早い時間に下げたが、ドイツの州インフレ統計に支えられて落ち着いた。リスク選好ムードが戻ったことで、主要10通貨の中では円の下げが目立った。
原題:Dollar Sets 2018 High as Pound Flops on Brexit Risk: Inside G-10(抜粋)
Euro Steadies as German Data Meet Month-End Flows: Inside G-10
(第1・2段落を書き換え、4段落以降を追加して更新します.)

 


ドル・円が3週間ぶり高値圏、日米株高でリスク選好−113円台前半
小宮弘子
2018年10月31日 10:46 JST 更新日時 2018年10月31日 15:01 JST
• 日銀政策は現状維持、物価見通しを引き下げ
• 日銀より株安に歯止めかかっているかが最大の関心事−ソニーFH
東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=113円台前半と3週間ぶり高値圏。前日の米国株の大幅反発や日本株の上昇を受けてリスク選好ムードが広がり、ドル買い・円売りが優勢となっている。
  31日午後2時50分現在のドル・円は前日比0.1%高の113円28銭。ドル高・円安が進んだ海外市場の流れを引き継いで始まり、月末のドル買い需要が意識される中、仲値にかけて113円33銭と9日以来の高値を付けた。正午過ぎには、日本銀行が金融政策の現状維持を発表。同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では物価見通しが引き下げられた。
  ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部の尾河真樹部長は、「CPI見通しが下方修正されている状態で、正常化は遠いという印象」とした上で、「今は日銀で為替が動くというより、株安の流れに本当に歯止めがかかっているかがマーケットの最大の関心事ではないか」と指摘。「リスクオフのときはドルも同時に買われるので、株の変動に比べればドル・円の値動きは小さいが、センチメントが改善すれば今のようにじわっと円安の方が強くなってくる」と話す。
  黒田総裁が午後3時半から行う定例記者会見について尾河氏は、「昨日、米株は戻ったが、株式相場のボラティリティはまだ高く不安定な状態。そこであえて出口的なことをちらつかせることは控えるのではないか」と予想。「緩和をしっかり維持するというスタンスの発言になると思うが、だからといってすごい円安にいく話でもない」とみている。
  
  一方、みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストらはリポートで、20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上の長期金利の変動を容認するような発言があったり、午後5時公表予定の当面の国債買い入れ方針でオペの減額や回数削減が示されれば、「長期金利上昇期待を通じてドル・円の下押し材料と捉えられる」可能性はあると指摘。ただ、米利上げ局面ではドル・円は2年程度の金利との連動性が高まる傾向があるため、日本の長期金利や超長期金利が上昇しても円高の影響は限られると分析している。
  30日の米株式相場は大幅反発。S&P500種株価指数は上げを失う場面があったが、取引終盤に上昇した。月間では8%余りの下げ。31日の東京株式相場は午後に一段高となり、日経平均株価の上げ幅は400円を超えている。
  三井住友信託銀NYマーケットビジネスユニットの矢萩一樹調査役は、今月は米株が下落したため、月末のリバランスで「特に年金などのインデックスはドルを買わなければならなくなっている」と指摘。「ドルは非常に高くなりやすい」とし、日銀イベントをこなした後にドル・円が売られる場面があれば、「むしろそこは買うところ」とみている。


アジア株、ほぼ全面高−中国や香港の主要株価指数が軒並み上昇
Adam Haigh
2018年10月31日 17:44 JST
• 上海総合指数と深圳総合指数、いずれも1.4%高
• 香港ハンセン指数は1.6%値上がり−H株指数は1.4%高
31日のアジア株式相場は上昇。日本株をはじめ、中国や香港、台湾、韓国の主要株価指数が軒並み上昇し、ほぼ全面高となった。月間ベースで世界株がここ6年余りで最悪の月を終えようとする中で、アジア全域で買いが広がった。
  MSCIアジア太平洋指数は前日比で1.5%を超える上昇となっている。中国本土市場では上海総合指数が1.4%高の2602.78で終了。深圳総合指数も1.4%上げた。
  香港のハンセン指数は1.6%高。本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は1.4%上げて引けた。

原題:Stocks Rally Into Turbulent Month’s End; Bonds Dip: Markets Wrap(抜粋)

 

米国の資産運用会社にとって残酷な10月−ブラックロックなど株価低迷
Annie Massa、Charles Stein
2018年10月31日 12:12 JST
• 低調な収入や鈍い資金動向、手数料引き下げ競争が響く
• 業界が「成長していないのであれば、死にかけている」とみる株主も
米国の資産運用会社にとって残酷な月となっている。
  不安定な株式相場に機関投資家が神経を尖(とが)らせた10月、ブラックロックやステート・ストリートなどの株価は大きく下げている。低調な収入や鈍い資金動向、それに業界内の手数料引き下げ競争が激化しているとの認識も重しだ。

  エバコアISIのアナリスト、グレン・ショア氏は先週の投資家向けリポートで、「投資家は考える前に行動する可能性が高いことから、これからも厳しくなるだろう」と指摘した。資産運用会社とカストディー(証券管理)銀行から成るS&Pの指数は今月、S&P500種株価指数全体より下げがきつくなっている。
  
デイブレイク:アメリカ。 "(出典:ブルームバーグ)
  デロイト・コンサルティング傘下ケーシー・クワークのコンサルタント、ベンジャミン・フィリップス氏は、「業界全体を見ている株主が口にするのは『成長していないのであれば、死にかけている』ということだ」と語った。
Sinking Stocks
It has been an ugly month for asset managers

Source: Bloomberg
Note: Data from Oct. 1-29.
原題:BlackRock’s October Plunge Leads Selloff in Asset-Manager Stocks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-31/PHFWV16S972801

 

4. 2018年10月31日 22:00:51 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[99] 報告
米国除く11カ国参加TPP、12月30日に発効−日豪など6カ国批准
Matthew Brockett、延広絵美
2018年10月31日 9:17 JST 更新日時 2018年10月31日 11:30 JST

豪州が批准、CPTPP参加国は世界GDPの14%占める
来年にも日本で閣僚級の初委員会を開催予定−茂木再生相

米国を除いた11カ国による環太平洋連携協定(TPP)が12月30日に発効する。茂木敏充経済再生担当相が31日に発表した。かつては中国の影響力拡大をけん制する米国中心の貿易協定になるとみられていたが、トランプ米大統領が2017年の就任直後に離脱を宣言した後は、世界3位の経済大国である日本が主導し発効に向けた取り組みが進められていた。

  ニュージーランド(NZ)政府は31日、オーストラリアが「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」を批准し、6カ国以上がCPTPPの国内手続きを終えてから60日後に発効との条件を満たしたと発表。CPTPPはこれまでにNZに加え、カナダとメキシコ、日本、シンガポールが批准していた。

  世界1、2位の経済大国である米中間の貿易摩擦に伴う関税強化や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る欧州内での対立の中で、世界全体の国内総生産(GDP)の14%を占めるCPTPP参加国は自由貿易の推進を図る。

  茂木再生相は31日の会見で、TPP11は「日本の経済成長、アジア太平洋地域の発展に大きな意味を持つ」と強調した。来年には発効後初の閣僚級の委員会を日本で開催する予定で、新規加盟国についても協議する。

  NZのパーカー貿易・輸出振興相によれば、CPTPPはNZにとって主要20カ国・地域(G20)の一角である日本とメキシコ、カナダとの初の自由貿易協定となる。

原題:Pacific Trade Pact Abandoned by Trump Officially Set to Kick In(抜粋)

(リードに情報を追加するとともに、茂木再生相の発言を入れて更新しました.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-31/PHFPZQ6S972901?


 


 

米大卒者の約4割、大卒資格不要の仕事に就職
米国の大卒者の43%が最初は大卒資格の要らない仕事に就いていることが調査で明らかに
By Melissa Korn
2018 年 10 月 30 日 15:09 JST

 米国の大学で何を専攻すべきか考えている学生は、学費という多額の投資からリターンを得ることにますます焦点を当てるようになっている。安定していて、かつ高い給与が望める仕事に就ける分野に進もうとしているのだ。

 しかし、労働市場分析会社バーニング・グラス・テクノロジーズの新たな報告書によると、フィットネス学や刑事司法学、経営学といったより職業志向の強い専攻科目は、英文学やジェンダー学よりも不利な選択肢となることが分かった。

 同報告書によると、国土安全保障や法執行を学んだ大卒者が最初に就く仕事の65%は、自身の学んだ専攻分野が必要のない仕事だった。その割合は、心理学と生物学の学位を持つ人では、それぞれ54%と51%だった。

 工学を学んだ大卒者の場合は29%で、他のどの専攻よりも良い結果となった。バーニング・グラスはリアルタイムの求人情報と2000年から2017年に大学を卒業した人の履歴書400万枚以上を調査した。

 同調査では、平均すると大卒者の43%が最初は大卒資格の要らない仕事に就いており、そのうちの約3分の2は5年後も大卒資格不要の仕事を続けていることが分かった。

 一方、哲学や外国語学、民族学、ジェンダー学、歴史学、英文学といったリベラルアーツ分野の大卒者が自身の教育水準に合った仕事に就ける確率は50%以上となっている。

 リベラルアーツ分野の大卒者は教職や社会奉仕関連の仕事に進むことが多いため、給料は高くないかもしれない。ただ、交通学、調理学、農学、行政学などを専攻した人よりも高い確率で資格に適した職に就くことを見込めるという。

 ファトマタ・ジャーさん(22)は今年5月、ジョージ・メーソン大学のコミュニケーション学部を卒業した。以来ほぼ毎日、広報・宣伝関連の仕事やインターンシップの求人に応募し続けてきた。

 ジャーさんは現在、バージニア州フェアファックスの自宅近くのスーパーマーケットで週に30時間ほど店員として働いている。

 家族で初めての大卒者であるジャーさんは、在学中にインターンシップに応募することができなかった。というのも、学費や生活費を賄うために仕事で稼ぐ必要があったからだ。広報などの分野で実務経験が足りないため、希望する業界に新入社員として就職するには、今からインターンになる必要があるかもしれないとジャーさんは語っている。

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脱時間給、厚労省が対象5業務を提示
経済
2018/10/31 20:47
厚生労働省は31日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会を開き、脱時間給制度の対象業務を金融商品の開発、金融のディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発の5つとする素案を示した。会社からスケジュールの指示を受ける場合は対象から外すと盛り込んだが、労働側委員からは「対象範囲が広い」と懸念の声が出た。

ディーリング業務は資産運用会社のファンドマネジャーやトレーダーを想定し、顧客注文の取り次ぎは対象外とした。コンサルタントは個人を顧客とする場合は対象に入れない。経営者側委員は「金融はグローバルな視点から、より柔軟な時間法制が必要だ」との意見が出た。

脱時間給は働いた時間ではなく、仕事の成果で評価する制度。対象年収は1075万円以上を想定している。働き方改革関連法で来年4月の創設が決まり、厚労省は年末までに制度の詳細を詰める方針だ。

脱時間給、対象の議論着手 年収・業種巡り難航も
働き方改革 経済
2018/10/15 18:56

厚生労働省は15日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、働いた時間でなく成果で評価する「脱時間給制度」の対象要件の議論に着手した。同省は年収1075万円以上のアナリストやコンサルタントらを想定しているが、正式には省令で決めることになっている。

厚労省は年内には結論を得たい考えだが、労働者側の反発が強く議論は難航しそうだ。同日の分科会でも、労働側委員から「年収の想定要件が低すぎる」などと懸念する意見が相次いだ。

脱時間給制度は今年6月に成立した働き方改革関連法に盛り込まれた柱の一つ。一部専門職を対象に残業代や休日手当など労働時間の規制から外し、仕事の成果で賃金を決める仕組みだ。

対象業務はアナリストやコンサルタントのほか、金融商品の開発業務やディーリング業務、研究開発業務などを念頭においている。2019年4月から制度が始まる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36498340V11C18A0EE8000/

働き方改革法が成立 脱時間給や同一賃金導入
2018/6/29 11:48 (2018/6/29 12:53更新)

政府が今国会の最重要法案とした働き方改革関連法は29日午前の参院本会議で可決、成立した。残業時間の上限規制や、正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の導入を柱とする。日本の労働慣行は大きな転換点を迎える。


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働き方改革法には与党に加えて、日本維新の会、希望の党、無所属クラブの5会派が賛成した。立憲民主党、国民民主党、共産党などが反対した。加藤勝信厚生労働相は法成立を受けて「改革を通じて生産性向上につなげる。法の趣旨をさらに説明し、一人ひとりが実情に応じて働くことができる社会の実現に努力したい」と述べた。

28日の参院厚生労働委員会では付帯決議を可決した。働き方改革法に関する要望や監督指導の徹底を促す内容で47項目からなる。脱時間給制度を導入した事業所全てに労働基準監督署が立ち入り調査するなど、野党が反対してきた脱時間給制度に関する13項目も盛り込まれた。国民民主党、立憲民主党も付帯決議には賛成した。

働き方改革法は労使の代表が参加した「働き方改革実現会議」の実行計画に沿ってつくった。労働基準法など計8本の法律を一括で改正する。長時間労働を是正するため、残業時間の規制は「原則月45時間、年360時間」と定める。繁忙期に配慮し、上限は年間で計720時間、単月では100時間未満に規定する。違反した企業には罰則を科す。大企業は2019年4月、中小企業は20年4月から適用する。

与党などの賛成多数で働き方改革関連法が可決、成立した参院本会議(29日午前)
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与党などの賛成多数で働き方改革関連法が可決、成立した参院本会議(29日午前)

同一労働同一賃金は、正社員や非正規などの雇用形態に関係なく、業務内容に応じて賃金を決める制度だ。基本給は勤続年数や成果、能力が同じなら同額とする。休暇や研修も同様の待遇を受けられるように改め、通勤・出張手当も支給する。大企業は20年4月、中小企業は21年4月から導入する。

脱時間給制度は、年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなどの専門職に対象を限る。残業代は支給せず、成果で賃金を決める。無駄な残業を減らし、労働生産性の向上につなげる狙いがある。

制度を利用するには、企業の労使で導入に合意し、対象者本人の同意も得る必要がある。健康確保措置として「4週間で4日以上、年104日以上」の休日確保を義務付ける。労使で「労働時間の上限設定」「2週間連続の休日」などから1つ以上の対策を選択する必要もある。対象者が自らの意思で制度から離れることもできる。19年4月から始める。

安倍晋三首相は今国会を「働き方改革国会」と位置づけ、法成立に強い意欲を示してきた。しかし、厚労省の労働時間調査に不備が見つかり、同法案の柱だった「裁量労働制」の切り離しを2月末に決めた。衆院では5月31日に本会議で法案を可決し、参院に送付していた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32398980Z20C18A6MM0000/


 

2018年10月31日 週刊ダイヤモンド編集部
証券業界が銀行業界に「500メートル」歩み寄った理由
東京証券取引所の近くで約70年続いた兜町の老舗うなぎ屋「松よし」(写真左)は今年12月末で閉店。約50年前に竣工した東京証券会館にあった日本証券業協会は10月末、茅場町から日本橋へ移転した

 戦後の証券史を見続けてきた店が、ついに暖簾を下ろす。

 東京証券取引所がある兜町は、証券の街として知られている。その一角にあるうなぎ屋「松よし」は多くの証券マンに愛された老舗だ。創業は東京証券取引所が戦後に再開したのと同じ1949年。「株価のうなぎ登り」のゲン担ぎもあって、かつては多くの証券マン達で賑わった。しかし、町の衰退に伴って今年12月末、約70年にわたって営業してきた店を閉じることを決めた。

 証券の街からなくなるのは「松よし」だけではない。

 兜町に隣接する茅場町は、日本証券業協会が入居する東京証券会館の他、多くの証券会社が本社を置いてきた場所だ。

 だが、日本証券業協会は10月29日、建物の老朽化に伴い、日本橋に移転。その移転場所については「どれだけ遠くても兜町・茅場町の中心地から1キロメートル以内でと考えた」(鈴木茂晴・日本証券業協会長)というものの、証券の街から出ていったことに変わりはない。

立会場がなくなり
町の衰退が加速
 そもそも兜町・茅場町の周辺が証券の街として発展する基礎を作ったのは、「日本の資本主義の父」として知られる渋沢栄一氏だ。

 渋沢氏は1878年、財界の有力者たちと共に東京証券取引所の前身となる東京株式取引所を開設した。その後、周辺に株式仲買人が店舗をつくり発展してきた。それから約100年後のバブル期には、英国のシティ、米国のウォール街と並ぶ世界の金融センターとなった。

 だが、90年代前半のバブル崩壊後は衰退の一途をたどる。

 96年から始まった、金融制度改革を目指す「日本版金融ビッグバン」の一環で、98年に証券業が免許制から登録制に移行した。翌99年には、株式売買の委託手数料が完全自由化され競争が激化。ネット証券の台頭によって中小証券は苦境に陥った。

 さらに町の衰退を一気に加速させたのが99年4月末。従来、株式の売買は証券取引所の立会場で、「場立ち」と呼ばれる証券マンたちが手を使ったサインで行っていた。だが、証券取引所が株式の全銘柄をコンピューターシステムによる売買に切り替えたことで、立会場は閉場。場立ちが姿を消すとともに街の活気は失われていった。

 こうした中、証券各社は兜町・茅場町エリアから徐々に離散。野村ホールディングスの本社は、兜町・茅場町エリアにほど近い日本橋の「軍艦ビル」だったが、2005年には事実上の本社を大手町に移した(ただし、登記上は今も日本橋が本社)。また、SMBC日興証券も、かつては兜町にあった事実上の本社を、13年からは東京駅前の新丸の内ビルディングに移している(ただし、登記上は丸の内の別のビルが本社)。

兜町・茅場町の
会員企業数は三分の一に
 今回の日本証券業協会の移転について、ある大手証券の幹部は「茅場町から日本橋への移転については何の感慨もない」と切って捨てる。

 それもそのはずである。

 1986年時点で、兜町・茅場町に本社を置いていた日本証券業協会の会員企業は44社で、東京地区の会員企業に占める割合は3割以上だった。

 ところが、現在は同エリアの会員企業は立花証券、極東証券など13社に過ぎず、東京地区の会員企業数に占める割合は、わずか7%でしかない。

 証券の街の衰退は、証券業界そのものの衰退とも重なり合う。

 バブル崩壊から数年後、金融ビッグバンの前年である1995年末時点の時価総額ランキングをみると、野村証券(現・野村ホールディングス)は10位、大和証券(現・大和証券グループ本社)は25位と上位に位置していた。

 だが、今や野村ホールディングスは74位、大和証券グループ本社に至っては121位と大きく低迷している(18年10月29日時点)。しかも、かつての4大証券の内、今や独立系大手は野村と大和のみ。一方、メガバンク傘下のSMBC日興、みずほ証券、三菱UFJ証券ホールディングスの台頭の方が目立つほどだ。

 日本証券業協会の本部があった茅場町から移転先の日本橋のビルまでは、直線距離にして約500メートル。その先には全国銀行協会がある丸の内が広がる(現在はビル建替えに伴い大手町に一時移転中)。日本証券業協会が「証券の街」を出て、「銀行の街」に近づいて行ったことは、証券業界において銀行系証券が大きな存在になりつつあることを示唆しているようにも見える。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)
https://diamond.jp/articles/-/183855

5. 2018年10月31日 22:02:27 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[100] 報告
主要指標の動きに注目ズバリ!江守哲の米国市場の”今” 江守 哲 2018/10/31米国株
米国株式市場はさらに下値を切り下げました。下落の理由については様々な解説がなされていますが、とにかく手仕舞い売りを出さざるを得ない投資家の売りが断続的に出ているようです。株価は日中に戻しても、戻り局面で売られており、戻り待ちの売りが待機していることがわかります。それだけ、売り遅れた投資家が多かったといえます。
10月30日の市場ではようやく下げ止まりましたが、このまま反発基調になるのかはまだ不透明です。今回のような下げ局面になると、市場に対する解釈が変わってきます。つまり、これまで強気材料としてきたものを、逆に理解するあるいは悪材料として理解するようになります。
データの中身が変わっていないのに、市場動向が大きく変化すると、このようなことが往々にして見られます。第3四半期の米主要企業の決算内容の解釈は、まさにその典型でしょう。アマゾン・ドット・コムとアルファベットはともに売上高の伸びが鈍化し、これが材料視されて売られています。これまでのハイテク株の上昇をけん引し、将来に対する期待も高かった両社への株価が急落したのは、そのような背景があるからだと感じます。
もっとも、これまで堅調だった米国経済にも変化の兆しが見られないわけではありません。第3四半期の実質GDP速報値は、季節調整済み年率換算で前期比3.5%増と、約4年ぶりの高い伸びとなった前期の4.2%増から減速したものの、好調な個人消費に支えられ、トランプ政権が目指す3%超を維持しました。
しかし、堅調な個人消費は株高による資産効果によって支えられてきたともいえます。米国の家計の金融資産のうち、5割以上が株式・債券です。株価が高く、金利が抑制されていれば、家計資産は膨らみます。それが消費を押し上げやすくします。設備投資の落ち込みは、企業が将来の投資に慎重になっていることを示しています。
米中貿易戦争の影響が出始めているとも解釈できます。輸出の減少も同じ理由と考えることができるでしょう。グローバル貿易が縮小し始めている可能性があり、世界景気の鈍化を示唆しているとも考えられます。住宅投資の減少も、金利上昇による影響が出始めており、すでにピークアウトしたと考えるべきでしょう。在庫投資の増加は、在庫の積み増しではなく、販売鈍化の可能性があり、景気がピークアウトした可能性も指摘できます。
このように、これまで堅調だった経済指標も中身をよく見ると、それほど楽観できるわけではないこともわかります。10月の株価急落で、クリスマス商戦を控える個人消費が影響を受ける可能性は十分にあります。無論、経済指標は株価の動きに遅れます。景気が悪化に転じるときには、株価はすでに下落に転じていることでしょう。
現時点の株価急落は、高値からの下げがおおむね10%程度にとどまっています。しかし、中期的なトレンドは崩れ始めています。いまは楽観論と悲観論が交錯している状況です。現状で将来の株価動向を見極めるのはかなり難しい状況にあることだけは確かでしょう。
まずは株価そのものの動きを見極めることが重要でしょう。そのうえで、米国債やドル、VIX、金価格の動向に注目しておきたいところです。金融危機が発生した2008年のときには、その前年の2007年の半ば以降に「債券高、ドル高、VIX高、金価格上昇」の動きが確認されました。株価も2007年10月にはピークアウトしていました。今回も似たような状況になりつつあります。株価動向に加え、資金フローが反映されるこれらの市場の動向にもぜひ注目しておきたいところです。

【図表1】 2008年の金融危機の際の主要市場の推移@

出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成

【図表2】 2008年の金融危機の際の主要市場の推移A

出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成
江守 哲
エモリキャピタルマネジメント株式会社 代表取締役
大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。 著書に『LME(ロンドン金属取引所)入門』(総合法令出版)など 共著に『コモディティ市場と投資戦略』(勁草書房)
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