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複数の日銀当局者、長期金利の上限は0.2%超を容認
日高正裕、藤岡徹、竹生悠子
2018年10月26日 14:05 JST
7月会合で10年物国債利回りの変動幅拡大を決定
日銀はボラティリティーの上昇や急激な金利上昇は望まず
複数の日本銀行当局者から、現行の金融緩和策で操作対象とする長期金利について、多くの市場関係者が想定している上下0.2%を超える変動幅を許容する意見が出ている。事情に詳しい複数の関係者への取材で明らかになった。
複数の関係者によると、日銀当局者の間では0.25%程度までは10年物国債利回りの上昇を容認するとの声が複数上がっている。一部の当局者は緩やかな金利の上昇を容認する一方で、日銀としては急激な変動は望んでおらず、ボラティリティー(変動率)の上昇を目指しているわけではないという。
黒田日銀総裁Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
日銀は7月の金融政策決定会合で、長期金利は「上下にある程度変動しうる」ことを決定。発表文に変動幅は明記せず、黒田東彦総裁が会見で、2016年9月の長短金利操作導入後の「おおむねプラス0.1%の幅から上下その倍程度」と明らかにした。長期金利の0%目標について、これまでも「程度の見方次第だが、四捨五入でいえばプラスマイナス0.4%と考えている人もいたかもしれない」とも述べた。
7月会合の議事要旨によると、一人の委員が「主要国の最近の長期金利の動きを参考にすると、わが国でもプラスマイナス0.25%程度の変動を許容することが適切である」と述べた。
7月の日銀決定を受けて長期金利は8月2日に昨年2月以来の水準である0.145%まで上昇したが、日銀は同日午後、予定外の買い入れオペを通知し、急激な金利上昇をけん制した。雨宮正佳副総裁は同日の会見で、長期金利が急上昇する場合は「迅速かつ適切に国債買い入れを実施する」と語った。
複数の関係者によると、日銀が0.145%で金利上昇を止めに入ったのは、急な動きを容認しない姿勢を示したものだった。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-26/PH6QB06JIJUP01?srnd=cojp-v2
FOMCメンバー2人、10月の米国株安にも動じず−経済見通し堅持
Christopher Condon
2018年10月26日 11:44 JST
• クリーブランド連銀総裁とFRBのクラリダ新副議長:経済は堅調
• 株式相場の低迷が長引けば信頼感を損なう恐れ−メスター総裁
今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つメンバー2人は25日、10月に入ってからの米株式相場の急落による米経済への影響を重要視しない姿勢を明らかにし、相場の波乱が長引かない限り経済成長の見通しを変えることはないとの考えを示した。
メスター・クリーブランド連銀総裁
写真家:Marlene Awaad / Bloomberg
クリーブランド連銀のメスター総裁は同日のニューヨークでの講演テキストで「株式相場がさらに深く持続的に下落すれば信頼感を損ない、リスクテークや支出の大幅後退につながりかねないが、こうしたシナリオからは程遠い」と指摘。「市場のボラティリティーは見通しにリスクを突き付けており、注視する必要があるものの、私自身の中期的見通しを変更するには至っていない」と述べた。
S&P500種株価指数は10月に7%余り下落したものの、1年前の水準を依然5%強上回っている。最近の急落でもFOMCによる今年4回目の利上げ観測を投資家は後退させてはおらず、フェデラルファンド(FF)金利先物の動きには12月利上げの確率は74%との見方が示されている。
連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長も就任後初の公の場での米経済に関する発言で、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は「極めて堅調だ」と語り、最近の株式相場の波乱が米金融政策に影響する可能性に否定的な見解を示した。
クラリダFRB副議長
写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
クラリダ副議長はワシントンでの講演で、金融市場の動きが経済に影響する可能性を認める一方で、その動きは見通しを立てる際に考慮する幅広い要因の1つにすぎず、持続的なものでなければならないと指摘した。
原題:Two Fed Officials Remain Unfazed by October Global Stock Rout
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-26/PH6NA76JIJUP01?srnd=cojp-v2
市場と感情 広木 隆 2018/10/26
ストラテジーレポート
今回のスパイラル的な株価急落の要因がわからない、という声が多い。
「最近の株安について理由を挙げようと思えばいくつか挙がるが、実際に何が売り材料になっているのか誰にも分からないのが現実ではないか。」(資産運用会社アルビオン・フィナンシャル・グループの最高投資責任者、ジェイソン・ウェア氏:10/25日経電子版<NY株600ドル安、米市場関係者の見方>)
「今回の下げのきっかけについて市場で意見の一致が見られていない」(米運用会社スレートストーン・ウェルスのポートフォリオ・マネジャー、ロバート・パブリック氏:10/23日経NY特急便 <中国株高も力不足、見えぬ「売り一巡>)
僕は常々、「株価が大きく下げるのに特に材料がないことは多い」と述べている。典型例は1987年のブラックマンデーであり、2015年のチャイナショックである。
チャイナショックの時に書いたレポートで紹介したのは、物理学者のアルマン・ジュリアンとジャン=フィリップ・ブショーの研究である。彼らはナスダック上場の900社以上の株式データとダウ・ジョーンズやロイターなどが提供する2年分、数10万件に及ぶニュースを使って、明らかにニュースに関連した大きな株価変動と、そうした関連性がない大きな変動とを選び出した。そして両方のケースについて、大きな変動が起こってから数時間後の変化を観察した。彼らが観察したのはボラティリティの推移だ。突然株価が動くというのはボラティリティ(変動率)がジャンプする(高まる)ということだが、そのジャンプしたボラティリティは時間の経過とともに通常の状態に戻る。その戻る時間を両者について比べたところ、ニュースと関連性のある事象の方が、ニュースと関連のない事象よりも、はるかに短かったのである。
その理由について、ジュリアンとブショーの研究チームはこう推察している。ニュースと明確な関連がある株価変動の高まりは、背景が理解可能であるがゆえに、驚かず、少なくとも狼狽することはない。ところが、(フラッシュ・クラッシュのように)ニュースと関連のない株価の急変動は、説明がつかない不可解さがつきまとい不安になる。それこそ真のショックである、というわけだ。
チャイナショックの時のレポートで、僕はこう述べている。
<市場では、右も左も「中国景気減速で世界株安」との報道であふれている。市場関係者ほぼ全員に「中国不安」⇒「世界株安」という「因果関係」(に見えるもの)が刷り込まれている。しかし、仮に「中国不安」がこの株安の原因であると、本当に市場参加者の全員が盲信的に思っているとすれば、これほどまでに市場の動揺が収まらないのはなぜか?ジュリアンとブショーの研究によれば、理由が特定できればボラティリティは速く収束するはずである。その結果は直感的にも理解しやすい。そうであるならば、これほどまでにボラティリティが高止まり続けるという、その事実自体が、今回の世界株安の理由を市場がまだ特定できていないことの証明ではないだろうか。>
歴史は繰り返すとはよく言ったものである。いま起きていることは2015年と同じパターンである。僕らはふつう、たいていのものごとには原因があって結果があると考える。すなわち因果関係である。ところがHEC経営大学院教授のイツァーク・ギルボアは著書『合理的選択』のなかで、マクロ経済学、金融、政治学、社会学等では多くの因果関係がいまだ特定できていないと述べている。この言葉を紹介したのは2013年6月に出版した自著『9割の負け組から抜け出す投資の思考法』のまえがきである。そこではこうも述べた。「因果関係を特定するのが難しい理由は、人間の行動が必ずしも合理的であるとは限らないからだろう。そうした非合理的な人間の行動を表現するマクロ経済学、金融、政治学、社会学等は、『予想どおり不合理』(ダン・アリエリー)となる。僕たちはそうした因果関係もよくわからない世界に住み、明日を知れぬ世の中を生きていかなければならない。そのうえで、さらに株式という得体の知れないものに投資をするのだということを改めて認識することを本書の出発点としたい。」
人間は弱い。とくに「わからない」状況を嫌う。よって、すぐに「答え」を探ろうとする。しかし、上述したように、この世の中の動きは、竹を割るような明快な説明が常に用意されているわけではなく、むしろわからないことのほうが圧倒的に多い。ここで注意しなければならないのは、「人間には、統計的な推論をするべき状況で因果関係を不適切に当てはめようとする傾向がある」(ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』)という点である。
今回の株価急落は何も材料がないなかで起きている、「相場につきもの」のような価格変動のひとつに過ぎない可能性が高いと思う。むりやり、米中貿易戦争の影響で世界景気の失速懸念とか理由を当て込まないことが大切だろう。前々回のレポートで引用したケインズの言葉を再掲したい。
「投資の収益は日々変動するが、それは明らかに一時的でどうでもいいような性質のものである。ところが、そのどうでもいいようなことが市場に対して全体的に過剰で、馬鹿馬鹿しいまでに非合理的な影響をもってしまいがちである。」(ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』)
米中貿易戦争の影響で世界景気の失速というのは、まだ現実のものになっていないし、そうなる可能性は低いと思っている。ただ僕がいちばん懸念しているのは、ジョージ・ソロスの「リフレキシビティ」という理論である。市場のトレンドと投資家の認識がファンダメンタルズの変化にまで影響を及ぼす経路があるという点である。これは前掲のケインズの言葉に近い概念だ。
通常は、
ファンダメンタルズ⇒投資家の判断⇒市場価格
という経路で相場が形成される。ファンダメンタルズを見て投資家は判断し、意思決定を行い、投資行動をとる。その投資家の投資行動を反映して市場価格は決まる。この順番がふつうである。しかし、時には、いや、往々にして
市場価格の動き(トレンド)⇒投資家の判断
と順序が逆になる。そしてさらに、市場価格の動きが投資家や世間一般の感情に影響し、ファンダメンタルズにも影響を与えることがある。「景気は気から」の理屈で、実際の景気が悪くなる。あたかも、株安が景気減速を予見していたように見えることがあるが、本当は株安自体が景況感を悪化させたのである。90年代以降の米国の景気後退はすべてバブル崩壊と株安が契機になって引き起こされたものだ。
目先の話に戻ると、今回の下げには理屈がないのだから早晩、戻るだろう。聞き飽きたようなリスクパリティの調整とかトレンドフォローのCTAの売りとか、アルゴとか、いろいろあるが、それらはすべて機械が文字通り「機械的」に売るわけで、彼らは「米中貿易戦争の影響で世界景気の失速」などを懸念しているわけではない。そうした感情を持たない機械の売りに、感情を持つ人間の不安心理が撹拌されて、相場の振幅が大きくなっていると思われる。戻るとは言ったが、相場は「上げ100日、下げ3日」、少し時間がかかるかもしれない。
今回の下げで理由はないと述べたが、米国株の急落第1波は明らかに明確な理由があった。10/12付「米国株の急落について」で述べた通り、米国長期金利の上昇に対して株価の割高感を調整する必要があったからだ。S&P500の益回りと米国10年債利回りの差をとったイールドスプレッドが3%を下回り株の割高感が台頭していた。S&P500の益回りと米国10年債利回りの差をとったイールドスプレッドは1800年代後半からおよそ150年に及ぶ超長期の平均で約3%。今週の火曜日に我が国は「明治」に改元して150年を迎えたが、その明治時代の始まりからPERなどのデータがあることにまず驚く。それだけ長い期間にわたって、株式投資には安全資産を上回る3%のプレミアムが必要ということが、歴史的事実として米国市場に刻み込まれてきた。よってこの3%のプレミアムがもつ意味は大きい。
株価収益率、PERは株式のデュレーションと捉えることができる。デュレーションは債券の分析で用いられるもので、@投資額の平均回収期間、A金利変化に対する価格変化を表す。
株式は債券と違って満期・償還がないが、永久債と同様の考え方ができる。株式の価格が将来にわたる利益(E)の流列を割引率(r)で現在価値に割り引いたものの合計だとすると、
ここで割引率rには当然、金利が含まれるので、金利の微小な変化に対する価格の変化を求めると、
よって株式のデュレーション(d)は割引率の逆数、すなわちPERだということがわかる。
米国長期金利が足元の急上昇を見せたのは8/24のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演からであった。10年債利回りは2.80%から3.223%まで42.3bps上昇した。
ダウ平均は10/3の高値から10/11まで6.6%下落した。10/3時点のダウのPERは15.6倍だった(Bloomberg 12カ月先ブレンド)。15.6 X 0.423 = 6.6 ぴったりデュレーション通り、金利上昇分を一気に調整した。
よりデュレーションの長い(PERの高い)ナスダックは8.7%下げた。ナスダックのPERは21倍だったから 21×0.423=8.8 でほぼデュレーション通りである。
以上、見たように、米国株の急落第1波は明らかに明確な理由があったが、一旦、反発した後、現在までに続く相場変動は明確な理由がない。さらなる金利の上昇は起きていないし、3%というイールドスプレッドの観点からも、デュレーションの観点からもバリュエーション調整は完了しているからだ。
今回の急落は、理屈で説明できる部分と、そうではない部分に分けて考えることが大切だ。僕が、よくこむつかしい理屈を話すと、「相場は理屈じゃない」と怒り出すひとがいる。『ストーリーとしての競争戦略』の著者・楠木建氏はこう述べている。「ビジネスの成功を事後的に論理化しようとしても、理屈で説明できるのはせいぜい二割程度でしょう。(中略)理屈で説明できないものの総称を『気合い』とすれば、現実の戦略の成功は理屈二割、気合い八割といったところでしょう。あっさりいって、現実のビジネスの成功失敗の八割方は『理屈では説明できないこと』で決まっている。(中略)八割は理屈では説明がつかないにしても、ビジネスのもろもろのうち二割は、やはり何らかの理屈で動いているわけです。『ここまでは理屈だけれど、ここから先は理屈じゃない』というように、左から右へと考えてみて下さい。すると、『理屈じゃないから、理屈が大切』という逆説が浮かび上がってきます。(中略)野性の嗅覚が成功の八割にしても、二割の理屈を突き詰めている人は、本当のところ何が『理屈じゃない』のか、野性の嗅覚の意味合いを深いレベルで理解しています。」
理屈じゃないから、理屈が大事なのである。理屈がわからなければ、「ここから先は理屈じゃない」と見切れない。米国株の急落第1波は金利見合いのバリュエーション調整で理屈で説明がつく。しかし、足元の変動は、もう「理屈じゃない」世界。理屈じゃないので、下値目途もなにもない。相場のことは相場に訊け、で自律反発を待つしかない。ただ言えるのは、相場がここまで売られる理屈がないので、いつか下げ止まってもとに戻るだろう、ということである。ここで終わって弱気相場にトレンド転換ということではない。
世界で有数のヘッジファンドでファンドマネージャーをしている友人からメールが来た。どうなってしまうのかと、いつになく弱気であった。僕は、ここで述べたようなことを伝え、これはバーゲンセールだ、淡々といい銘柄を拾っていけばいいだろうと答えた。それに対する彼の返信は、
<理屈はその通りだろう。しかし、人情としては、上昇局面で強気になり、下落局面では弱気になるもの。これだけ下げられると、淡々と安値を拾うなんて、頭ではわかっているが、心情的にとてもできない>
生き馬の目を抜くヘッジファンド業界で勝ち続けてきた、百戦錬磨のプロの彼でさえそうなのだ。個人投資家が手が出ないのは無理もない。
僕は、こう返信した。
<ごもっとも。人間はAI運用にはまだまだ負けないが、超シンプルな、ただ売るだけ、みたいな機械の売りには勝てないよね。機械は感情がないから。勝てるヘッジファンドマネージャーになるには感情を棄てないといけない。
心臓移植を待つひとと医者の会話。
「5歳の子供の心臓ならあります」
「だめだ。若すぎる」
「では40歳のヘッジファンドマネージャーのでは?」
「いやだね。そいつにはハートがないから」
(映画『修道士は沈黙する』)>
そして前々回触れたリチャード・セイラー博士の20年以上も前の名著、『市場と感情の経済学』を読むように彼に勧めたのであった。
広木 隆
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。 国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。 長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。 2010年より現職。青山学院大学大学院(MBA)非常勤講師。 テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、BSテレ東「日経プラス10」、日テレNEWS24「まーけっとNAVI」、J-WAVE「JAM THE WORLD」等のレギュラーコメンテーターを務めるなどメディアへの出演も多数。 マネックス証券ウェブサイト(https://info.monex.co.jp/report/strategy/index.html)にて、最新ストラテジーレポートが閲覧可能。 著書: 「ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論」(ゲーテビジネス新書) 「9割の負け組から脱出する投資の思考法」(ダイヤモンド社) 「勝てるROE投資術」(日本経済新聞出版社)
広木 隆 の別の記事を読む
https://media.monex.co.jp/articles/-/10351
日本株は続落、業績失望の電機やサービス安い−米決算警戒で乱高下
長谷川敏郎
2018年10月26日 8:00 JST 更新日時 2018年10月26日 15:47 JST
エムスリーやキヤノン、日立建機が決算失望で売られる
けさ発表の米アマゾンやアルファベットは時間外取引で大幅安
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
26日の東京株式相場は続落。米アマゾン・ドット・コムやアルファベットなど米企業決算が株価に与える影響が懸念される中、国内でも業績失望からキヤノンなど電機、エムスリーなどサービス、日立建機など機械が売られた。
TOPIXの終値は前日比4.91ポイント(0.3%)安の1596.01、日経平均株価は84円13銭(0.4%)安の2万1184円60銭。
東証内Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
三菱UFJ国際投信の宮崎高志戦略運用部長は「米企業決算は悪くないが、景気モメンタムが鈍化する中で株価が行き過ぎていたこともあり、資金が引いている側面がある。日本株はボラティリティーが上がりリスクテイクに踏み切れる投資家は少ない」と語る。時間外取引で下落した米アマゾンとアルファベットは「投資家に買われてきたコアの銘柄であり、今晩の米国株は安くなりそう」とみる。
きょうの東京株相場は上昇と下落を繰り返す不安定な展開だった。ツイッターやマイクロソフトなど堅調な企業決算が評価された25日の米国株市場の流れを受けて朝方は買いが先行、日経平均は207円高まで上昇した。買い一巡後は、日本時間のけさ決算を発表したアマゾンとグーグルの親会社であるアルファベットの株価が時間外取引で大幅安となったことが重しとなり、今晩の米国株市場への警戒から午後には296円安で2万1000円を割り込んだ。日経平均の日中値幅は504円と、一時1047円安となった11日の592円以来の大きさとなった。
投資家心理が大きく揺れているのは、バリュエーションのベースとなるべき企業業績の先行き不透明感が強まったため。国内企業でも25日に決算を発表したキヤノン、エムスリー、サイバーエージェント、日立建機が大幅安。アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「米国の減税効果の剥落(はくらく)や米中通商交渉の影響から業績の上振れ期待は無くなった。少しでも決算内容が悪ければ大きく売られてしまう」と話した。
株価の下げは行き過ぎとも言える。野村証券によると、日経平均の1株利益予想は今期1770円、来期1900円で、26日PERは12.0倍となる。同証投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは「日経平均2万2000円以下は来期減益を織り込む想定で、業績面から売られ過ぎ」と指摘した。
東証33業種ではサービス、精密機器、情報・通信、電機、機械、化学など19業種が下落
パルプ・紙、輸送用機器、ゴム製品、陸運、不動産、保険、銀行など14業種は上昇
東証1部売買高は16億9900万株、売買代金は3兆1857億円
値上がり銘柄数は554、値下がりは1502
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-25/PH6EO86K50XS01?srnd=cojp-v2
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